異常に食べ続ける難病“プラダー・ウィリー症候群”で23歳女性が死亡。

このほど英スタフォードシャー州の裁判所で、「プラダー・ウィリー症候群」という非常に珍しい病に苦しんだ末、2013年7月に死亡した23歳の女性につき、入所施設の責任をめぐる裁判が開かれた。あまりにも珍しい病名、信じがたい症状を示すその病気に介護職員らの勉強不足が指摘されたが…。

異常な食欲、肥満、筋力の低下などを特徴とする「プラダー・ウィリー症候群(Prader-Willi syndrome 以下PWS)」という病気をご存じだろうか。2013年7月20日、英スタフォードシャー州にある「ヴィクトリア・ミューズ(Victoria Mews)」という介護付き住宅で、非常に珍しいその病と闘っていたカースティー・デリーさん(当時23歳)が死亡した。司法解剖により死因は肺水腫と特定されたが、家族は介護にあたった職員の監督不行き届き、勉強不足がカースティーさんの肥満を加速させ、死に至らしめたとしてこの施設を訴えていた。このほどそのヒアリングが行われたが、ほとんど知られていなかったこの病の苦悩の真実が法廷で次々と明らかになったことを複数のメディアが大きく取り上げている。

当時の彼女のBMI値は、通常19~25であるのに対し42.1という大変な肥満で「糖尿病」もあったという。カースティーさんは2012年10月、ソーシャル・ワーカーの強い勧めがあって介護付き住宅の「ヴィクトリア・ミューズ」に入所した。母親のジュリー・ファローズさんはこのほど法廷で、「食器戸棚や冷蔵庫にあるはずのアラームが作動していないのか、娘を訪ねると食べ物がきれいさっぱり無くなっていることがあり、2013年になると足がむくんで歩くことも困難になって行った」と述べ、この病気に関する施設職員の知識や危機感が甘かったことを非難している。…

PWSは15番染色体に関連した生まれつきの遺伝性疾患で、約1万6000人に1人の確率で発生する。乳児期はうまくミルクが飲めず体重が増えない、歩行開始と言語の発達がかなり遅れる、低身長で骨折しやすいなど様々な症状に苦しめられる。しかし幼児期になると異常な食欲で食べることが止まらず肥満に転じ、感情の起伏が激しくなることから食欲抑制剤や精神神経系の服薬が必要となる。また成人になれば高脂血症のため動脈硬化を起こしやすく、脳梗塞や心筋梗塞も心配される。

さらにPWS患者には、皮膚が感じ取るべき痛みや味覚に鈍感であることも大きな問題のひとつに挙げられる。怪我や感染に気付かず、食べ物ではないものまで口に運んでしまうため、本人はもちろん、看病する家族や診察、指導する医師も苦悩するという。乳幼児期の症状こそ特徴的なものが多いPWSだが、成人すると数々の症状はどれも他の疾患にもみられるものばかりとなってしまう。2歳の時にPWSと診断され、病に苦しみ続けた娘の死をきっかけに、異常なほどの食欲増進と過食を呈する深刻なこの難病への理解が深まるよう、ジュリーさんは強く訴えかけている。
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