パチンコ出玉規制 現行と比べてどれくらい減るか検証

カジノ合法化に向けた「IR整備推進法」が成立した一方で、大きな問題となるのがギャンブル依存症対策。警察庁は、その一環としてパチンコの出玉規制を強化する動きを見せている。

 警察庁は、7月11日にパチンコやパチスロの出玉機能に関するルールとなる「風適法施行規則」の改正案を発表した。その内容は、出玉を現行の3分の2に抑えるというもの。8月9日まで改定案に対する一般の意見を募集し、来年2月からの施行を目指している。

 現行では、パチンコの大当たり出玉の上限は1回あたり2400玉だが、改正案では1500玉が上限となっている。パチンコ玉は1玉4円で貸し出すのが一般的であり、等価交換として計算すると、1回の大当たり出玉は9600円相当から6000円相当となる。これはパチスロについても同等の出玉減少となっている。パチンコライター・A氏はこう話す。

「今回の改定案で重要なのは、1回の大当たり出玉が減ることよりも、射幸性の抑制という部分です。この改定案が施行されれば、パチンコで大きく勝つことがかなり難しくなります」(以下、「」内同)

「射幸性」とは、言い換えれば「ギャンブル性」ということ。射幸性を抑えれば、出玉の波は緩やかになり、大勝ちしたり大負けしたりする可能性が低くなる。

 今回の改正案で、警察庁は標準的な遊戯時間を4時間と設定し、4時間の遊技で獲得できる出玉を発射した玉の1.5倍未満と定めている。さらに、「1時間の遊技では2.2倍未満」、「10時間の遊技では1.33倍(3分の4)未満」と定めた。現行の「風適法施行規則」では「1時間で3倍未満」、「10時間で2倍未満」と定められており、改正案ではかなり出玉が規制されることが分かる。

◆1日打っても5万円勝てるかどうか

 では、具体的に出玉の数はどれくらいに抑えられるのだろうか。細かい出玉性能は置いておくとして、ひとまず改定案に定められた数値に基づき概算してみよう。

 まず、パチンコでは1分間に100玉が発射される。単純にこれを4時間続けたとすると、合計で2万4000玉が発射される。最大の出玉はその1.5倍ということで3万6000玉となり、そのうち発射した玉を差し引いて、手元に1万2000玉が残る計算となる。これを1玉4円で計算すると4万8000円。つまり、4時間打って最大で4万8000円相当を交換できるということだ。しかし、これがそのまま勝ち額になるわけでなく、投資した金額を差し引いた額が勝ち額となる。

「最大出玉1.5倍といっても、よっぽど運が良くないとそこまで出ることはないです。単純に確率でいうのは難しいですが、たとえば競馬の万馬券を当てることがめったにないように、パチンコでも出玉性能の上限まで出ることはほとんどないでしょう。しかも、最初に大当たりを引くまで1万~2万円使ってしまうことも珍しくないということを考えれば、勝ち額という点ではだいぶ減ってしまいます」

 1時間遊技した場合と、10時間打った場合の最大出玉について、現行の規則と改定案とで概算し、比較してみよう。

【1時間遊技した場合】
・現行規則
→最大出玉:1万8000玉 最大差玉:1万2000玉(4万8000円相当)
・改定案
→最大出玉:1万3200玉 最大差玉:7200玉(2万8800円相当)

【10時間遊技した場合】
・現行規則
→最大出玉:12万玉 最大差玉:6万玉(24万円相当)
・改定案
→最大出玉:8万玉 最大差玉:2万玉(8万円相当)

 出玉は3分の2程度になったが、“差玉”についてはそれ以上に減っていることが分かる。

「たとえば、現在なら1日で10万円くらい勝つ可能性もありますが、改定後では10万円勝つことなどまずありえないと考えていいでしょう。警察庁としては1回の遊技で最大5万円程度の出玉しか得られないような遊技機のみ認める方針とのことなので、“最大に大勝ちしてプラス5万円”くらいの感覚になると思います。これはパチスロも同様になると思われます。

 現在のパチンコ・パチスロ業界では、出玉の波が荒い機種、つまりハイリスクハイリターンの機種が人気となる傾向があります。しかし、今回の改定案が採用されれば、そのような機種はパチンコ店から消えてしまうでしょう。これを機にパチンコをやめる人も増えるかもしれません」

 ギャンブル依存症対策の一環として検討されている今回の「風適法施行規則」の改定。パチンコ業界は重要な岐路に立たされているといえそうだ。

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