幸せ呼ぶ猫神の呟き 6剤以上でリスク増大 「多剤処方」はやっぱり問題だ!

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6剤以上でリスク増大 「多剤処方」はやっぱり問題だ! 

年齢を重ねると体の不調が出てくるのは仕方がないが、薬の数が増えるほど、思わぬ作用で健康を害するリスクも高まってくる。高齢者で今、こうした「多剤処方」が問題に。無駄な薬はないか、かかりつけ医や薬剤師に相談してみよう。

 千葉大学医学部附属病院(千葉市中央区)の薬剤師、新井さやかさんは、内科の病棟に入院していた70代の男性患者のカルテをみて驚いた。

「上の血圧が80(mmHg、単位以下略)で、下が52。これは低すぎますね」

 2型糖尿病のほか、泌尿器の病気や高血圧などの持病もあった男性。ふらつきなど薬の副作用と思われる症状が出ていた。

 処方されている薬を新井さんがチェックすると、心臓の機能を保ち、血圧を下げる薬が3剤、胃腸系の薬が2剤、血糖を下げる薬が2剤、尿の出をよくする薬が3剤など全部で13種類23錠にものぼった。薬の内容を精査すると、尿の出をよくする薬には、血圧を下げる作用もあった。薬の相乗効果で思いのほか血圧が下がっていたようだ。

 男性は、薬の代謝にかかわる腎臓の機能も低下していたことから、新井さんは「少し薬を減らしたほうがいい」と判断。医師や看護師などと相談し、最終的に10種類15錠にし、また1剤あたりの服用量も減らした。

「男性は、退院時には上の血圧が120台まで上がり、ふらつきなどもなくなりました。薬を減らして持病が悪化することもありませんでした」(新井さん)

 この男性のケースは、今、高齢者医療で大きな問題となっている“多剤処方(ポリファーマシー)”の典型例だ。「その患者に必要な量以上に薬が処方されている状態」で、かえって健康を害することさえある。

 こうした問題が起きるのは、同院も含め、ほとんどの病院では診療科が臓器別に分かれているためだ。複数の病気を抱えている患者は、それぞれの診療科を受診し、治療を受けて、薬をもらう。その結果、薬の重複などが生じ、多剤処方になってしまう。

 同院の高齢者医療センターでは多剤処方対策として、2015年9月から医師と看護師、薬剤師らがチームを組んで、「ポリファーマシー・フレイル回診」をスタートした。外科系の入院病棟を週に1回見てまわり、入院患者の処方薬の状況を確認。多剤処方が疑われるケースでは、患者や家族の同意のもと、薬をやめる、薬の種類を変える、量を減らすといった調整をしている。

 チームを束ねる医師で同センター長の横手幸太郎さん(千葉大学大学院教授)はこう説明する。

「各診療科でも薬の重複を確認していますが、日々の診療に忙しく、確認しきれないところがあります。そこでわれわれが横串を通すように、各科で処方されている薬について、重複がないか、慎重な投与が必要な薬はないかなどをチェックすることになったのです」

 チームで中心となって動く同センターの医師、石川崇広さんはこう言う。

「入院中は常に医師や看護師などがいるので、減薬を試みて何かあったときに素早い対応が可能。問題がないことを確認してから退院するので、患者さんやご家族も安心だと思います」

 退院後は、かかりつけ医などほかの医療機関が処方を引き継げるよう、「●●剤を減らしました」など状況を記した手紙(診療情報提供書)を送っている。

 新井さんらのまとめによると、同院に入院した65歳以上の患者の26%が10剤以上の薬を処方されていた。うち48%で、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬など、15年12月に日本老年医学会が発行した『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015』の中で「特に慎重な投与を要する薬物」とされた薬が使われていたこともわかった。

 現在、チームは回診のほか、ポリファーマシー外来も始め、他科から紹介された患者の処方薬の調整も行っている。

「患者さんの中には、『薬はたくさんもらうほどいい』と思っている方もいます。薬に対する精神的な依存や不安などへの理解や対応も、必要だと感じています」(石川さん)

 実際、高齢者にはどれくらいの薬が処方されているのか。先のガイドラインによると、医療機関の診療報酬明細書(レセプト)の調査では、70歳で平均6種類以上の薬を服用していた。また、薬の数が増えるほど、健康への害(有害事象)が生じ、特に6剤以上でリスクが増えることもわかった。

 この理由について、総合診療医の徳田安春さんは、次のように解説する。

「加齢にともない腎臓や肝臓の機能が落ちて、薬の代謝が悪くなるので、薬の成分が体内にとどまりやすい。さらに、身体の脂肪の割合が高くなるため、脂溶性の薬が残りやすい」

 そのため有害事象が起こりやすいのだという。

 先にも述べたが、高齢者は糖尿病や高血圧、心臓病、関節の痛みなど、複数の持病があることが多い。

「関節痛などで、“痛み止めには胃薬”というように、副作用対策として必ずセットで処方される薬もあるので、薬の数はどんどん増えてしまいます」(徳田さん)

 薬が増えれば、薬と薬の相互作用が起こりやすい。冒頭の男性のケースのように効果が強まったり、逆に弱まったり、思わぬ症状を引き起こしたりすることもある。例えば、認知症の薬とパーキンソン病などの治療に使う抗コリン薬を併用すると、効果が薄れることがある。また、骨粗しょう症に使うビタミンD製剤と、降圧に用いる利尿薬の併用で、血液中のカルシウムが増える高カルシウム血症のリスクが高まる。

 救急の現場でも診療にあたっていた徳田さんは、搬送されてきた高齢者で、多剤処方が原因と思われる症例をいくつも見てきた。

「高カルシウム血症は、重症になると意識障害が起こることがあります。高齢の患者さんやご家族に話を聞くと、多くの薬を飲んでおられる。過ぎたるは及ばざるが如し、です」(徳田さん)

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( 2017/07/18 09:50 ) Category ■美容・ヘルス | トラックバック(-) | コメント(-)