今年4月にスタートした『ごごナマ』(NHK総合)が、妙な形で注目されている。船越英一郎が司会を務める生番組だが、トーク中、船越が不意に見せる一挙手一投足に世間が注視しているのだ。理由は、言うまでもない。妻・松居一代の“乱心”がありながら黙して語らない船越だけに、彼の挙動から心理を探ろうと、野次馬根性で番組を視聴する層が激増したからだ。

 そして、やはりこれまでにいくつかのサムシングがこぼれ落ちている。7月5日には、番組冒頭でいきなり「一日一日大切に生きなければと、こう思う今日この頃ですけど(笑)。今は『早く過ぎてほしい!』と思うこともありますけどね」と発言。

 7月10日には、お笑い芸人のはなわが音信不通であった妻の父親へ向けた曲「お義父さん」をスタジオで披露し、それを聴いた船越が思わずホロリとする様子が話題となった。

■「すし店の修業に意味はない」の真意とは

 7月12日にゲスト出演したのは、ホリエモンこと堀江貴文。らしくない態度でペコペコと頭を下げながら登場する。不遜なイメージを持たれがちな彼であるが、打って変わって今回は謙虚だ。

 現在、5月に発売した著書『多動力』(幻冬舎)が話題になっているホリエモン。元来、ネガティブなイメージを含んでいたはずの「多動」という言葉をポジティブな形で発信した同書であるが、著者の独特の考えを掘り下げるのが、この日の番組の趣旨のよう。

 そしてその期待に応え、持論を展開する堀江氏。例えば、ネット上で意見が飛び交った「すし店の修業に意味はない」という主張について「レシピサイトがあるし、築地に行けば仲卸さんが代わりに切ってくれる。技術は自動化もされていく。そうなると、残るのはコミュニケーションスキルだ」と、あらためて解説する。

 ほかにも、「手作り弁当よりは冷凍食品」「電話をかけてくる相手とは仕事するな」と、いかにも賛否を巻き起こしそうな彼の主張を番組は取り上げているが、その真意を真摯に一つひとつかみ砕いて説明するホリエモン。その様子から、不遜な印象を受けることはなかった。

■ホリエモンの口撃に、“2時間ドラマの帝王”は……

 そして、番組は後半戦へ突入。このタイミングで行われる「船越のクエスチョン5」は、“聞きにくいけど聞いてみたい”質問を船越がゲストへ直撃する名物コーナーである。

 第1の質問は、「想像通り、豪邸に住んでいる?」。この問いに「NO」と即答する堀江氏。彼が“家”を持たずにホテルを転々とする生活を送っているのは、すでに有名だ。理由は、いくつかあるらしい。まず、「家があると、物がたまってしまう」。また、“マスコミ対策”もある。

「たまに『週刊文春』の“文春砲”が飛んでくるんで、家が特定されると面倒くさいんですよ」(ホリエモン)

 思わず、こちらがヒヤッとしてしまう。松居がYouTubeにアップした「週刊文春は私を騙した」という動画は記憶に新しいが、文春は松居側と船越側の両陣営へ取材をした貴重なメディア。今の船越にとっては耳当たりの良くない雑誌名だと思われるが、ホリエモンはお構いなし。

 一方の船越は、海千山千。「わ~っと報道陣が来ると、ご近所にもえらい迷惑にもなりますし」と、クールな表情でコメントして受け流そうとする。だが、ホリエモンはまだいく。「えらい迷惑になっちゃうんです(大苦笑)」と、この日にしては珍しく高いテンションで笑みをこぼす彼の態度には、やはり勘繰りを入れざるを得ない。あのホリエモンが、ワイドショーやネットニュースで日々報道され続けている“松居一代問題”を知らないとは思えないのだが……。

 続けて「まだまだ結婚はあきらめていない?」という問いが投げ掛けられたが、当然のように「NO」と即答するホリエモン。彼は「結婚は要らないです。もう、結婚はおなかいっぱいです!」と、苦笑を浮かべながら断言している。

「1回結婚して離婚したんで。いや、大変ですよ!」「それがまた週刊誌のネタになっちゃうし」と、ウンザリした表情で結婚への拒否反応を見せたホリエモンであったが、いま本当に愚痴をこぼしたいのは、どう考えても船越のほうのはず。だが、やっぱり船越は海千山千。「結婚は要らないんですか!?」と、何食わぬ顔でリアクションしている。“2時間ドラマの帝王”の異名にたがわぬ、名演技ではないか。

■『ごごナマ』で一皮むけた!?

 テレビ界から生番組が減って久しい昨今。そんな今なのに、しかも、よりにもよってこんな状況で、生番組(しかも帯番組!)に出続ける船越。視聴者の“オカズ”になりそうな仕草をたまにチョイ見せし、デリケートワードを受け流し、全国の野次馬(視聴者)からの視線と対峙し続けるハートの強さは、想像を絶する。

 御年56歳ですでに大御所の船越だが、『ごごナマ』で完全に一皮むけた感がある。「今、このスリリングなプログラムを見ないで、何を見るんだ!」と、レコメンドせざるを得ない。ちなみに7月6日に行われた定例会見において、NHKの上田良一会長は、船越から降板の申し出がなかったことを明かしている。
(文=火の車)

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