「自殺してこいよ」妻が「旦那デスノート」に投稿…夫にバレた場合の法的リスク

「旦那デスノート」がネット上で話題となっている。サイトにある説明によると、「旦那へ死んで欲しいという願いを書くものである。書く人物が自分の旦那じゃないと効果は得られない」とある。

6月27日現在で1200件以上の「デスノート」が集まっている。内容を見てみると、「保険金残して逝って下さい。」、「包丁あるから自殺して来いよまじで」、「死因はなんでもいい即死で」などと言った過激な書き込みも多い。

中には、夫や自分の職種や実家の場所、出会ったきっかけや自分の年齢、出身地などを記載し、個人の特定につながりかねないものもある。

夫が「旦那デスノート」を見て、「これは明らかに自分のことだ」と確信できる情報があった場合、妻の法的責任を問うことや、法律上の離婚理由とすることは可能なのだろうか。山岸陽平弁護士に聞いた。

●プライバシー権の侵害や名誉毀損に該当するおそれ

近年は、離婚問題にインターネットでの情報発信に関するトラブルが関わってくることが増えています。

インターネットにおける情報発信には多様なものがあります。ここで重要なのは、まず、情報の内容が個人特定可能なものか否か。次に、個人特定可能なものだとすれば、書き込まれた人の権利を侵害する程度のものか否か。さらには、特定の人たち相手の発信なのか公開の場での発信なのか、です。

「旦那デスノート」は、匿名による公開の場での情報発信です。書き込みはハンドルネームで行われていますし、その内容は第三者から見ると誰のことかわからないものが多くなっています。

しかし、ハンドルネームではあっても、同一人の書き込みはリスト化されていますので、知り合いが見たときに個人特定可能に至ることがありえます。そして、個人特定可能となった場合には、書き込みの内容が実際の出来事に基づいているかいないかにかかわらず、夫に対するプライバシー権の侵害や名誉毀損に該当するおそれが高いといえます。

●リスクの高い行為をしていることを忘れないで

しかし、それが即座に離婚事由となるわけではありません。書き込みの内容のひどさにもよりますが、もし、妻による書き込みが夫に発覚しても、親族や知人に情報が広まらないうちに真摯に謝って書き込みを消すなどすれば、夫についての情報の拡散が一応防止されたことになりますから、その後夫婦としての共同生活を続けていける客観的な可能性はまだ残っているようにも思われます。

もちろん、「旦那デスノート」に個人特定できる形で書き込んでいたことが発覚したことで別居が始まり、別居期間が長くなることにより離婚理由に該当することは考えられますから、万が一書き込みが発覚したとしても謝れば大丈夫と思ってはいけません。本当の意味でやり直していくためにはかなりの努力が必要でしょう。

いずれにしても、「旦那デスノート」に書き込む女性は、誰にも見せない日記帳に夫の悪口を書くのとは全く異なる、リスクの高い行為をしているということを頭に置いておく必要があります。

【取材協力弁護士】
山岸 陽平(やまぎし・ようへい)弁護士
金沢弁護士会所属。富山県出身。京都大学法学部・同法科大学院を経て弁護士登録。北陸地方を中心に、相続、成年後見、離婚、交通事故、会社法務、不動産、行政事件などへの取り組み多数。ブログなどを通じてわかりやすく情報を発信している。
事務所名:金沢法律事務所 事務所URL:http://bengokanazawa.jp/

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