幸せ呼ぶ猫神の呟き 部下にうまく仕事を“催促”する、たった1つの方法
                 


部下にうまく仕事を“催促”する、たった1つの方法

仕事を頼んだのに、忙しいせいか相手がなかなか動いてくれない――。ビジネスでは、こんなシーンに遭遇することも多いと思います。そんなときは相手に“催促”をするわけですが、催促時のコミュニケーションというのは、仕事を頼むとき以上に難しいものです。

 例えば、あなたが部下や後輩に、顧客へメールで報告書を送るよう指示したとしましょう。「この報告書、今日中にA商事のBさん宛てにメールしといてくれる? Ccに私を入れてくれればよいから」

 報告書はすでにできているので、メールに添付して送るだけ。しかし次の日に確認すると「まだ送っていません」という答えが。さて、あなたは何と言いますか?

a)え、まだなの? メール。報告書送るだけじゃん。
b)まぁ、手の空いたときでいいけど……(でも早く送ってよ)
c)今日中って言ったよね。なんで送ってないの?
d)まだなのね。お客さんを待たせることになるから、すぐに送って。
e)待っていたんだけどね。まぁそれはいいけど……(終了報告、待ってたんだけど?)

 今回挙げた5つの例の中では、d以外の4つは効果が上がりにくいでしょう。仕事を離れ、日常的なシーンを思い浮かべると、直感的に分かりやすいかもしれません。

 レストランでなかなか出てこない食事を催促するときに、「いつ出てくるの!?」と店員を問い詰めても効果は薄いでしょう(もちろん例外もあります)。それよりも「まだ来てないので、早く出していただけますか?」や「13時にはここを出たいんです。間に合うメニューに変えてもらえますか」などと言ったほうが、少なくともコミュニケーションはスムーズで生産的なはず。これは仕事でも同じです。

●相手のパフォーマンスを低下させるコミュニケーション

 人のコミュニケーションスタイルは、大きく分けると3つの要素に分けられます。攻撃的に自分の思いや考えを伝えるアグレッシブ(Aggessive)、自分の考えを押し殺し、相手に合わせる消極的なノンアサーティブ(Non-Assertive)、そして相手の状況をくんで主張するという意味を持つアサーティブ(Assertive)です。

 先ほど挙げた例では、aとcがアグレッシブ、bとeがノンアサーティブに当たります。一般的にこの2種類のコミュニケーションは、ことビジネス上ではよしとされません。相手のパフォーマンスが下がりやすくなってしまうためです。

 アグレッシブな言い方をすると、相手は恐怖や戸惑いを感じます。相手が「自分に非がある」と自覚している場合はなおさらです。結果的に相手の心が離れて、協力が得られなくなったり、反抗されたりしてチームの崩壊につながることすらあります。これは避けたほうが良いでしょう。

 一方、ノンアサーティブな言動だと、その場は収まりますが、根本的な問題は解決していません。また同様の展開になる可能性が高いのです。こうしたコミュニケーションが多い人は、本音を言えずに言葉を濁す“察してちゃん”です。自分が我慢すればよい、自分がNOと言うことで相手の気分を害したくないと考える優しく臆病な人が多いのです。

 不可能な納期にも関わらず、断れずに「できる」と言ったり、嫌なのに「いい」と言ってしまうことがしばしばあり、納期が遅れて顧客やチームに迷惑をかけたり、自身も“分かってもらえなかった”“私ばっかり我慢した”とストレスがたまりがちになるなど、誰も幸せにならない結末を迎えてしまいます。

 もし自分の周囲にそんな人がいたら「はっきり言ってくれた方が親切だよ」と、優しく伝えてみて下さい。はっきり言っていいとOKをもらうことで、勇気が出てコミュニケーションがスムーズになるケースもあります。

 では最後の1つ、アサーティブなコミュニケーションとはどういうものなのでしょうか。

●「事象+伝えること+理由」の3点をバランスよく入れる

 今回の例では、dがアサーティブなコミュニケーションに当たります。これは“相手の状況を尊重した上で、自分の伝えたいことをきちんと伝える”スタイルです。相手との摩擦が起きにくく、パフォーマンスを最大限発揮しやすくなるメリットがあります。チーム内コミュニケーションだけでなく、日常のコミュニケーションなどにも使える、汎用性の高いスキルと言えるでしょう。

 そのポイントは、発言する内容に「起きている事象」+「伝えること」+「相手が納得する(であろう)理由」という3要素をすべて入れるということです。今回のケースにこの形式を当てはめると、例文は以下のようになります。

 「これ以上お客さんを待たせたくないから、すぐにメールを送って欲しい」「今メールを送ってもらいたい。なぜかというと、お客さんと今日午前中にメールする約束になっていたからね」といった言葉でもOK。この3つの要素が入っていれば、順番が変わっても問題ありません。しかし、必ず行わなければならないことが2点あります。

・「伝えること」を明確に言葉に出すこと
・「伝えること」と「理由」を必ずセットで伝えること

 まずは「伝えること」をしっかりと言葉にしましょう。そうしないと、相手が相手なりの解釈で行動を起こし、解決が先延ばしになってしまいます。しかし「伝えること」ばかりを言っても、相手に“やらされ感”が生じてしまいます。そこで必要なのが「理由」です。事情を理解することで「送ればいいんでしょ!」と言われた通りに動くのではなく、的確に反省し、最終的に自主的な行動を促すことができます。

 また、自分が説明した理由で“相手が納得するか”どうか振り返ることも必要です。人はしばしば自分を基準にものごとを捉えてしまうもの。例えば、「普通すぐ送るでしょ、メールくらい」と“メールをすぐに返すのは当たり前”と催促する理由(価値観)を示しても、それが相手の納得するものでなくては意味がありません。「申し訳ありません……」とただしょんぼりしたり、言い訳ばかりして結局メールを送ろうとしない、といった行動に終始してしまいます。ここがアサーティブなコミュニケーションのキモと言えるでしょう。

 この3要素のバランスが崩れると、cのように「起きている事象」ばかりを指摘して追い詰めたり、bやeのように「伝えること」を欠いたぼんやりとした言葉になってしまいます。感情が高ぶっているときなどは特に、こうした原則を忘れがちになってしまうので注意しましょう。

●今回のまとめ

Q:相手に仕事を催促したら、相手のモチベーションが下がってしまいました。どうすればいいのでしょうか。

A:ついつい攻撃的な言い方をしたり、自分基準の理由で催促していませんか? 「事象+伝えること+理由」の3点をバランスよく入れた、アサーティブな言い方を、自在に使えるようにしていきましょう。
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