1

子どもの貧困は大人と社会の責任!? 親の『学び直し』を支援する取り組みとは

昨年5月に制定された「子どもの貧困対策の推進に関する法律」に続いて「子供の貧困対策に関する大綱(※1)」が、同年8月に閣議決定されました。

この大綱等を踏まえ、内閣府を中心に文科省、厚労省、日本財団と協力して今後「子供の未来応援国民運動」を展開するとのことです。どのような内容なのでしょうか。子どもの貧困の原因と合わせてご紹介しましょう。
.
◆子供の貧困とは

子どもの貧困は、言い換えれば「親の貧困」が原因といえます。貧困家庭で育ってしまった子どもは、親を反面教師として自力で踏ん張って道を切り開く子がいる一方、経済的なハンディキャップなどを乗り越え切れずに、貧困の連鎖に陥ってしまう子がいることも確かです。

数年前、ある定時制高校の先生から実際に聞いた話です。

「生徒の保護者の中には、生活保護を受けながらパチンコに興じ、生徒が稼ぐアルバイト代を当てにして生活している」という、にわかに信じがたい事例があったそうです。これでは子どもが真っ当に働く意欲を失ったとしても無理はありません。

子どもの貧困は、子どもには何の責任もありません。かといって、そのすべての責任を保護者に押し付けてしまうのはあまりにも酷といえます。

健康上の理由などにより「働きたくとも働けない」という深刻な問題を抱えていたり、母子(父子)家庭にみられる「働いても時間の制約があって不安定な雇用形態・低賃金を強いられる」、あるいは「技能・経験不足に起因した低賃金」というワーキングプア現象、それ以外にも様々な原因で貧困家庭は広がってしまいます。
.
◆親の「学び直し」!?自助努力を支援する取り組みとは

冒頭の「子供の貧困対策に関する大綱(※1)」では、子どもに対する学習支援や生活支援、経済支援と様々なメニューが並んでいます。その中で注目したいのは、「自立支援教育訓練給付の活用等により、親の学び直しを含めた就業支援を推進する」との部分です。

自立支援教育訓練給付とは、既に各自治体で実施している制度のことで、雇用保険の教育訓練給付金の受給資格を有していない母子(父子)家庭を対象に、資格取得講座の受講費の一部や看護士・保育士など一定の資格を取得するための

高度技能訓練促進費、および入学支援修了一時金が受給できる制度です。(※2一部実施していない自治体もあるようですが、詳しくは居住地の自治体で確認して下さい)

この制度は、母子(父子)家庭が対象で、親が学び直してスキルアップを図ることで、収入増に結び付けるのが狙いです。必ずしも子どもの貧困家庭のすべてが利用できる制度ではありませんが、可能な範囲で自助努力をすることは欠かせません。

何より、親が必死になって学ぶ姿は、その姿を見た子どもに必ずや好影響を与えるに違いありません。まずは、親が子どもに見習われるように襟を正すことも大切です。

◆「子どもの貧困」は社会全体の問題でもある

その一方で、子どもの貧困率悪化という事態に対して当事者でなくとも、他人事として聞き流すことなく「自分はなにができるのか」と考えてみる必要性を感じます。親族あるいは友人・知人、職場の同僚、ご近所などの様々な立場で「相談を聞き必要に応じて助言をする」という共助も欠かせません。

しかし、注意したいのは、それがたとえ「よかれ」と思っての金銭の貸借であっても、まったく別の新たなトラブルに発展しないとも限りませんので、あえて慎むのも共助の考え方だと思います。

子どもの就学支援という公助の部分では、経済的な理由(生活保護世帯・一定水準を下回る所得の世帯)により就学困難な小学生および中学生に対して、学用品、給食費、通学交通費、修学旅行費、医療費などを支援する制度(※3)や高校生への奨学給付金(※4)、大学・専門学校生への奨学金の貸与(※5)という仕組みがあります。詳細は、居住地の自治体などに確認して下さい。
.
◆かの「タイガーマスク現象」、現在は?

2010年12月に「伊達直人」と名乗る人物から、児童養護施設にランドセルが送られたことを記憶している方も多いと思います。これを皮切りに全国各地の養護施設へ善意の寄付が相次ぎ、あわゆる「タイガーマスク現象」としてマスコミに大きく取り上げられました。

ところがその後、善意の寄付は途絶えてはいないものの、この輪が大きく広がっているわけではないようです。養護施設に限らず、子どもの貧困問題に対して自助・共助・公助を駆使して社会全体で支え合う仕組みが、今求められます。

関連記事
最新記事