幸せ呼ぶ猫神の呟き ものづくりのまち「墨田区」に出かけたら買いたい逸品

ものづくりのまち「墨田区」に出かけたら買いたい逸品

◆江戸から続く、ものづくり文化を次世代につないでいくプロジェクト

 墨田区は江戸時代から続くものづくりの町で、現在も製造業が集積している。最盛期には1万近くの事業所があったが、現在では3000ほどにまで減り、その多くが零細企業ということもあり、時代の趨勢に押し流されている。

 墨田区はこうした製造業者をバックアップし、“ものづくりのまち・すみだ”として、技術力や商品力を高めて地域のブランド力を発信していく事業に取り組んでいる。そのひとつが商品や飲食店メニューに対しブランド認証を行う「すみだモダン」だ。2014年は14の商品と、10のメニューが認証を受けた。

「大田区に次いで製造業が多い墨田区ですが、小さな事業者が大半で、景気に左右され廃業するところも増えていました。ものづくりのまちとしてのアイデンティティーが失われつつある中で、東京スカイツリー誘致の話が出て、2006年に建設が決定したのをきっかけに、「すみだ地域ブランド戦略」の一環として、2009年から『ものづくりコラボレーション』というプロジェクトを始めました。

受託製造でやっているところがほとんどで、自社商品を持っている事業者が少なかった中、クリエイターやプランナーさんなどのアイディアと、墨田区の事業者さんの技術力を組み合わせることで、すみだ発の付加価値の高い商品を発信することができ、国内外から注目を集めました」(墨田区 産業経済課担当者)

「ものづくりコラボレーション」には、プランナーの松田朋春さんや、クリエイティブディレクターの山田遊さん、墨田区ゆかりのアッシュコンセプト代表・名児耶秀美さんなど、著名なクリエイターが関わり、伊藤バインダリーの「上質メモブロック」や、マルサ斉藤ゴムの「マンマルディー」、紗蔵の「革うちわ」など、高品質で遊び心のある商品が続々と登場した。


「ものづくりコラボレーション」の活動によって、自社商品を発売する事業者が徐々に増えてきたため、2010年より墨田区の地域ブランドとして認証を行う「すみだモダン」を開始。現在は墨田区で製造されている商品部門と、墨田区でしか味わうことのできない飲食店メニュー部門の2つがある。

 選定方法は、商品部門については、東京芸術大学学長の宮田亮平さんを審査委員長とした、各業界の著名人を集めた「すみだブランド 認証審査会」が選考のうえ、「すみだ地域ブランド推進協議会」が認証している。飲食店に関しては、区民で構成された「すみだブランド区民調査隊」が調査、試食を行ったうえで同協議会が認証している。

すみだモダン2014 飲食店メニュー部門/みそとんかつ(和風洋食 久茂登)、玉の井そば・うどん(きそば 長平)、向島松竹もんじゃスペシャル(古民家ワインショップ&バー お静)、猫道オムライス(Smile Kitchen)、特製コッペサンド 自家製スモークチキン(柳島カフェ)、アイスコーヒー、コーヒー飲みくらべ(しげの珈琲工房)、モカチーズケーキ(すみだ珈琲)、ロマーノ、ウェットカプチーノ(マキネスティコーヒー)

「行政が選んで認証したというものではなく、プロの目を通して選ばれたものになっています。エントリーは2014年度の場合59件ほどで、その中から14件が選ばれました。審査会メンバーの先生方も『5年目にしてまだ、すみだはこんなに商品が出てくるのか』と驚いていたほど。墨田区のものづくりには底力があり、商品の層も厚いと思います」(同担当者)

 最近では、海外からの反応もあり、パリのセレクトショップ「コレット」に商品の実物を見せて、パリでの販売の可能性などについて調査を行なった。評価は良好で、パリで認められた商品として、国内やアジアでもさらに販路を広げていきたいという。

 また、行政レベルでデザインプロダクトに力を入れている台湾からの打診もあり、「ものづくりコラボレーション」の台湾版ということで、台湾のデザイナーと墨田区の事業者が提携して商品を開発する計画もある。

◆すみだモダン2014認証商品

「本漆し塗り マグカップ(安宅漆工店)」

文化財の修復を任されている高度な漆職人の技が、日常生活に活かされているというのが認証理由。コーヒーでもみそ汁でもおいしくいただける、日常にある普段使いの漆塗り。

「趣向裂カード入れ 蓋付き(前川表具店)」

壁貼り、襖、屏風、掛軸といった和の裂(きれ)や紙を貼って仕立てる表具の技。製作時に余った端裂で作ったカード入れ。それぞれにストーリーのある日本伝統の織物を身近に感じることができる小物だ。

「kazari earrings basic(塩澤製作所)」

 御輿などに使われる錺(かざり)金具を作る技を使って仕上げたピアス。約1,500もの鏨(たがね)と言われる金属に模様を打ち込む型から、外部デザイナーの視点で選ばれた文様をかたどっている。

「ボディブラシ(宇野刷毛ブラシ製作所)」

 ヤギの毛、馬のたてがみや尾の毛といった自然素材を、手植えの技で丁寧に作り上げたボディブラシ。洗顔、ボディ、爪・手先、頭と用途別に種類が揃っている。

「kaico(昌栄工業)」

 シンプルで洗練されたデザインと使い心地の良さを兼ね備えたホーロー製品。金型を製作する金属加工会社だからこそ、機能やフォルムを追求するデザイナーの提案にも応えることができたという。

「merippa(中橋莫大小)」

 社名の「中橋莫大小」は「なかはしメリヤス」と読む。メリヤスは墨田区の地場産業だが、老舗メリヤス工場が初めて手掛けた自社ブランドのスリッパ。優しい肌触り、表裏両面使えるリバーシブルなデザイン、くるっと丸めて携帯にも便利と、リピーターも多い人気商品。

「IKIJI シャツ(精巧)/IKIJI 米つなぎ柄ニット・ジャケット(テルタデザインラボ)」

「IKIJI」は墨田区内を中心とした製造業者が共同運営するメンズブランド。山東京伝、葛飾北斎らが描いた江戸の粋を現代風にデザインしている。着心地の良さにも定評がある。

「ornament Card Case(吉田テクノワークス)」

 プラスチックとは思えない繊細なグラデーションの美しさが認証理由。社外デザイナーとのコラボで誕生したカードケースで、色と質感は、世界最高レベルのプラスチック成形技術「ダブルインモールド」により実現した。

「葛飾北斎文具5点セット(ヨシダ印刷)」

 現在建設中である、墨田区で生まれ、生涯の多くを墨田区で過ごした葛飾北斎を顕彰する「すみだ北斎美術館」は来年度に完成の予定だ。こちらは北斎生誕の地にある印刷会社が、世界的芸術家への敬意を込めて制作した文具セット。絵の奥行きを伝えるために立体的に加工したり、繊細な印刷技術で北斎の世界観を表現。展示会場には、昭和20年代に生産、販売していた学童用学習ノート「ヨシダノート」の復刻版も。当時大ヒットした商品で、各ページにお話を盛り込んだ「童話ノート」は実用新案特許も取得していた。

「若煮佃煮味噌炊き(海老屋総本舗)」

 佃煮といえば醤油で炊くという常識を破った、味噌炊きの佃煮。味噌や発酵文化への関心が世界的に高まる中、試作を重ねあさりとしじみを使って完成した商品。ごはんのお伴にも、酒のつまみにもぴったりだ。

「みつよしのざる豆腐(三善豆腐工房)」

 幻の大豆と言われる「小糸在来」を使い、水にさらさない製法で甘みと香りを最大限に引き出したざる豆腐。口に含むと豆の風味が広がり感動を覚えるほど。

「栗羊羹(青柳正家)」

 透明感のある羊羹にたっぷりと詰まった栗。栗と羊羹の一体感のある仕上がりに職人技を見た、というのが認証理由。格式ある向島菓匠の三代目当主が作る、素材の上質さがわかる逸品。

「やさしさ しびれる ニッキ飴(宮川製菓)」

 懐かしさを感じるニッキ飴を作っているのは、創業以来手づくり飴にこだわる宮川製菓。MILD、MEDIUM、STRONGの3種類があり、手づくりならではの味の濃淡の違いを出している。ちなみにSTRONGを試してみたが、甘い味のあとにガツンとくるピリピリ感。最初は驚いたが、クセになりそうな刺激的な味わいだ。

 すみだモダン認証商品は、東京スカイツリータウン東京ソラマチ イーストヤード5階の「産業観光プラザ すみだ まち処」で購入することができる。また、墨田区にふるさと納税を行うと、返礼品としてすみだモダン認証商品を受け取るといった連携も進められている。

■すみだモダン http://sumida-brand.jp/

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