行方不明者にも葬儀は行う?その際の注意事項を専門家に聞いてみた

大規模な自然災害などが起こると、多数の行方不明者が発生した旨の報道がなされる。報道された後、時間の経過とともに行方不明者の数が増減していく。そもそもこの行方不明者とは何なのだろうか。「教えて!goo」では「行方不明者とは?」と題して行方不明者の定義についての質問があった。

■警察に届け出があれば行方不明者となる

質問者は、東日本大震災を例に行方不明者と身元不明者の違いが分からず、混乱していると言う。それに対しての回答を見てみよう。

「行方不明者は届け出があって初めて行方不明者となるので、警察に行方不明者として届け出がでた数が正解です」(onioni1999さん)

警察に行方不明者としての届け出がでた場合に、行方不明者として扱われるという回答であった。身元不明者との差について言及している回答はなかったが、読者の皆様はどう考えられるだろうか。

■行方不明者となった場合、法的にはどうなるか。

行方不明者について法的な措置と、残された家族はどうすべきか。ここで、葬儀にまつわるさまざまな問題に詳しい、心に残る家族葬を運営する葬儀アドバイザーに取材し、話しを伺ってみた。

「心情的なものを抜きにすれば、行方不明者を長年放置して起きる問題は多々あります。戸籍や相続等、生死が分からなければ法律関係の手続きもできません。聞いた話ですが、所在不明のまま戸籍が残されていた方がいたそうで、その方は、記録上では150歳以上の高齢者であったそうです。恐らく戸籍を管理する役所も死亡届の提出がなければ戸籍の変更はできないため、このようなことになるのでしょう」

行方不明者をそのまま放置した場合に発生する問題は、多岐にわたる可能性があり、あくまでも残された家族が手続きを行うことが前提である。手続きを行わなければ、問題を解決できないということだろう。しかし、生死も判別しないのにも関わらず死亡届を提出することができるのだろうか。

「本来死亡届には医師または歯科医師による死亡診断書もしくは死体検案書が必要になります。自然死であれ災害や犯罪などによる変死であれ、死因を特定するためには遺体の存在が必要となります。ですが、行方不明者の場合ですと、死体どころか本人の生死すら分かりません。この場合は民法による『失踪宣告』という手続きを行うことになります。行方不明者がその消息を絶ってから7年間生死が確認できないとき、家庭裁判所に申し立てをして認定されれば死亡したものとみなされます。ただ、失踪宣告の効力はあくまで相続や婚姻などの法律上の手続きに対してのものとなります」

行方不明者についての法的な対応、並びに手続きについてご説明をしていただいたが、残された家族の心情はいかばかりかと思われる。そんな筆者の内心を察してくださったのか、葬儀アドバイザーは次のような話をしていただいた。

「ある方の葬儀を行ったのですが、その方は行方不明になってから20年が経過していました。元々、それはある施設からの失踪がキッカケでした。失踪後、すぐに職員や警察などが捜索したようですが結局見つからず、当時の天候等から判断すると、生存の可能性が絶望的になってきました。それから20年が経過し、いよいよどうするかということをご家族で話し合って葬儀を行うことにしたそうです」

行方不明になってから20年……。葬儀アドバイザーはさらに話を続けた。

「私が担当したのですが、遺体がないため形だけの葬儀でした。しかしご家族はそれでも『やっと戻ってきたという気がした』と、葬儀後に話していました。失踪してから20年間、いつどこで何をしていても、心のどこかに得も言われぬ違和感を抱いていたとも話していましたが、葬儀を行ったことで、そのツッカエがとれたのだろうということが伺えました」

葬儀本来の目的の一つは残されたご遺族の心に区切りをつけることでもある。行方不明者の葬儀となると、火葬がないため、仮葬儀として空の棺を燃やすようなことはなかったようだが、「何かが戻ってきた」という気がしたと話した家族だが、その何かとは、分かるようで分からない、分かるとしたら、のこされたご遺族だけなのだろう。

専門家プロフィール:心に残る家族葬 葬儀アドバイザー

故人の家族と生前に親しかった方だけで行う家族葬こそが、故人との最後の時間を大切に過ごしたいという方に向いていると考え、従来の葬儀とは一線を画した、追加費用のかからない格安な家族葬を全国で執り行っている。

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