忙しさを増幅させているのは自分自身…なぜ過労死寸前まで頑張るのか

 誰もがふと口にする「死ぬほど忙しい」というセリフ。単なる挨拶代りのこともあれば、実際に過労死寸前という場合もある。SPA!が35~45歳の男性サラリーマン1979人を対象にアンケートを取ると、実に8割以上が忙しさを実感していることが判明。では、なぜこんなにもアラフォー会社員は激務を強いられるのか?

◆忙しさを増幅させるのは自分!?

 現代の“忙しさ”の正体は、果たして構造問題だけに起因するものなのか? 精神科医の春日武彦氏は、業務内容の変化で“忙しさの質”が変わってきたと指摘する。「自分の判断や裁量が生かせない、労働マシンとして使役される仕事が増えたことで、受け身で働く人が急増しています。こうした状態は、常に無力感や孤独と隣り合わせ。『なんで自分だけ』という被害者意識も生まれやすく、業務量の多寡にかかわらず“理不尽な忙しさ”を感じやすくなります」

 「忙しくても頑張る理由は?」というアンケート結果でも「生活のために仕方なく」(129人)、「会社に対する責任感」(63人)といった受け身の回答が過半数を占め、ポジティブな項目は合計しても4割に満たない。「肉体的に余裕があっても精神的に余裕がなければ実感としての“忙しさ”は変わりません。しかも、客観的に見れば業務量はたいしたことがないように見えるので、周囲の理解が得られず、孤立するという悪循環に陥ってしまいます」

<忙しくても頑張る理由は?>
・生活のために仕方なく 129人
・会社に対する責任感 63人
・仕事が楽しい、やりがいがある 38人
・頑張れば収入が増えるから 34人
・人に認めてもらいたい 13人
・経験値になる 9人
・出世、キャリアアップを目指す 8人
・クビ、左遷などが怖い 6人

◆忙しさを感じるタイプとは?

 仕事に向き合う精神状態によっても“忙しさ”は増幅されるということだが、春日氏によると「特に危険なタイプ」が存在するという。広告代理店で働く中村雄二さん(仮名・39歳)の事例だ。

「もともとクリエイティブ志向で、資料作りには人一倍こだわりがありました。その結果、今ではあらゆる部署から資料作りを依頼されるようになったのですが、質が下がったと思われたくなくて手を抜けず、残業まみれの毎日です」これに対し春日氏は、「完璧主義者は不安感が強く、仕事を断れない。しかし、完璧主義なので仕事をさばけず、どんどん追い詰められてしまう」と指摘。さらに、もっと厄介なのが橋口智也さん(仮名・43歳・教育)の事例。

「ウチの会社は異動が多く、その都度、仕事を一から覚えないといけないのですが、40歳を過ぎると頭を下げるのもキツくて。周りには『ベテランなんだから』と笑われているような気がして、残業しても仕事が回らず、鬱と診断されて3か月の休職になりました」春日氏によれば、「被害者意識が強く孤独な人は、根本的な仕事の打開策を見いだしづらいので、深みにハマってしまう」とのこと。下手なプライドで自分の首を絞めてしまわぬよう注意したい。

【春日武彦氏】
精神科医。都立墨東病院精神科部長などを経て、成仁病院顧問。著書に『自己愛な人たち』(講談社現代新書)、『待つ力』(扶桑社)など多数

― 死ぬほど忙しいの正体 ―

関連記事
最新記事