1

歯医者だからって、むし歯も入れ歯も全部得意なわけじゃない!?

お医者さんであれば、内科、外科、眼科など、専門分野が分かれているのが普通です。でも歯医者さんは、みな一律に歯医者さん。むし歯も、歯周病も、入れ歯づくりも手がけるのが普通です。

インプラントや歯科矯正といった専門性の高い治療に関しても、歯医者さんなら誰がやっても法的には問題なし。では、どこで治療しても同じ? いえいえ、やはり歯医者さんにも専門性はあるし、得意不得意もあるはずです。

 それを知るには、まず看板を見ることから始めましょう。歯科医院の名前が「◯◯矯正歯科医院」「△△インプラントクリニック」などとなっている場合、矯正やインプラントが専門だとわかります。また、看板のわきに「小児歯科」「矯正歯科」などと書かれていることで、ある程度の専門性がわかります。

ただし看板に出してもいいと法律で認められている科は、「歯科」「小児歯科」「歯科口腔外科」「矯正歯科」の四つのみ。しかも、そのすべてを掲示していることも多く、専門的なトレーニングを受けているとは言い切れませんから注意が必要です。

 さらに、「上手な入れ歯を作ってほしい」と思った場合、この四つの標榜科だけではどの歯医者さんを選べばいいか全然わかりません。そこで役に立つのが、学会認定の「専門医制度」「認定医制度」です。

「学会」とは、ひとつの分野の学術研究を目的とした研究者や臨床家の団体です。歯科医師による学会は、現在76あります(2015年5月現在、日本歯学系学会協議会登録の学会)。これらの学会の中には、その分野で一定の知識・経験・技術をもっている歯科医師に対して、独自の基準を設けて「認定医」「専門医」「指導医」として認定しているところも少なくありません。

 たとえば「歯周病専門の歯医者さん」を探しているなら、日本歯周病学会のホームページが参考になります。学会の認定医(3年間研修施設で研修、歯周治療の知識と技量をマスターしたうえで認定医試験に合格)や、専門医(認定医登録後2年間研修施設で研修、専門医試験に合格)を都道府県別に検索できるようになっています。

 では、入れ歯の専門医や、むし歯の専門医は? 言葉が難しいのですが、入れ歯やブリッジなどは「日本補綴歯科学会」、むし歯は「日本歯科保存学会」が認定医制度、専門医制度をもっていますので調べてみましょう。

 ところで、認定医や専門医なら信頼できると言い切れるのでしょうか。松尾歯科医院院長の松尾通歯科医師はこう評価します。

「専門医や認定医は、それなりの努力をしないと取れない資格ですから、一定の基準を満たす歯科医師といえます。でも、専門医や認定医資格をもっていなくても優秀な歯科医師はたくさんいますし、その逆もあるのです」

 学会は、ひと言でいえば勉強会。さまざまな学会に所属しているのは、勉強熱心な証拠でしょうか。「学会に籍を置いているからといって、勉強しているとは限りません」と松尾歯科医師。ただ、どんな学会に所属しているかで、専門分野を推しはかることはできると言います。

「さまざまな学会があり、伝統的な学術系の学会もあれば、新しい学会もあります。学会のホームページを見れば、何を目指し、どんな活動をしているかがわかります。私が会長をつとめる日本アンチエイジング歯科学会では、歯科医療だけでなく、歯にもからだにもいい食事やサプリメントや運動の提案などもしています。

そのような助言を歯科医師にも求めたいのであれば、当学会の認定医を調べて、そこを訪ねてみるのもひとつの方法だと思います」

 学会や専門医などを調べるのに欠かせないホームページ。では、各歯科医院のホームページはどの程度、参考にすべきでしょうか。NPO法人みんなの歯科ネットワーク副理事長の大塚勇二歯科医師は「うのみにするのは危険です」と話します。

「見栄えのいいホームページで、院長がすばらしい理想を語っていたとしても、それはあくまで宣伝文句ととらえたほうがいい。真実もありますが、そうでない可能性もあるものです」

 所在地、診療時間、休診日、予約の方法、歯科医師の数などはホームページが参考になります。

「あとは実際に受診してみないとわかりません。現状を説明してもらうだけということもできますので、『いいかも』と思えたら行ってみましょう」(大塚歯科医師)

関連記事
最新記事