運転免許自主返納が大幅増…代替「経歴証明書」の魅力アップ

自主的に運転免許証を返納する65歳以上の高齢者が昨年、県内で初めて1万人を超えた。返納者に交付される「運転経歴証明書」の有効期限がなくなるなど、免許を手放すデメリットが解消されたことが最大の要因だ。

高齢ドライバーによる事故が増加する中、証明書の提示で受けられるサービスも増加しており、県警は事故減少に向け、自主的な返納を呼びかけている。

運転免許証の自主返納制度は、高齢者による交通事故の増加や事故を懸念する家族らからの相談を受けて平成10年から始まった。その後、「免許証の代わりになる身分証がほしい」という要望に応え、自主返納者には金融機関などで公的な身分証として使用できる「運転経歴証明書」を発行するようになった。

■使用期限を廃止

 ただ、これまでの制度では証明書の有効期限は半年間。免許返納後1カ月以内に申請が必要で再発行もできないなど不便な点が多かったが、24年に制度を改正。再交付が可能になったほか、交付申請期間が返納後5年間に延長され、使用期限も無期限になった。

 県警運転免許課によると、21~23年の返納数は年間2千~3千件を推移していたが、制度変更のあった24年には6213件と倍増。昨年11月末時点での返納数は1万1113件で前年を既に3319件上回っており、証明書発行数も同様に3284件上回る1万629件と大幅に増加した。

 25年の県内の高齢ドライバーは免許人口約462万人のうち82万2千人と17・8%を占めている。県警交通企画課によると、県内の交通事故件数は減少傾向にあるが、高齢ドライバーの占める割合は22年の16・6%から26年には21・4%まで増加している。

 加齢に伴う身体機能や認知機能の低下は、さまざまな事故を招く。県内では17日、加須市の82歳の男性が東北道下り線を約9キロ逆走、「理髪店に行こうとしたら道に迷った。なんで高速にいたのかよく覚えていない」と説明した。

ブレーキとアクセルを踏み間違えて急発進したり、障害物がないのに対向車線にはみ出したりする事故も高齢ドライバーに多いという。

■タクシー代割引

 こうした背景から、県警は高齢ドライバーの自主返納を促進しようと、運転経歴証明書の提示でさまざまなサービスを受けられる「シルバーサポーター制度」を20年から導入。県内153団体の協賛を得て、タクシー代金や自転車修理費を割引して返納者の交通の利便をサポートするほか、デパートや飲食店などでの割引も充実している。

 県警運転免許課の一條信幸次席は「痛ましい事故を防ぐためにも、運転中にヒヤッとする経験が増えたと感じたら、積極的な免許返納をお願いしたい」と話している。

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