幸せ呼ぶ猫神の呟き 五月病と何が違う? 六月病の症状と実態を医師に聞く
                 


五月病と何が違う? 六月病の症状と実態を医師に聞く

五月病という言葉は既に世間に広く認知されており、市民権を得たと言ってよい。この五月病の症状として一般的によく知られているのは、まじめに業務をこなしていた新入社員が、大型連休が明けた頃から抑うつや無気力状態に陥ったり、体のだるさなどの症状を訴えたりする――というものではないだろうか。

実は近年、この五月病と似た症状を6月に呈する「六月病」なる病にかかる人が増えていると、複数のwebサイトで紹介されている。この六月病とは一体どういうもので、五月病とどう違うのだろうか。

今回は、ウィメンズヘルスクリニック東京の院長・浜中聡子医師に「六月病の実態」についてうかがった。

○3の倍数月は不調を訴える人が多い

六月病を知るためには、まず五月病をしっかりと理解する必要がある。それでは五月病とは何なのか、その実態を浜中医師に聞いたところ、「そもそも医学的にそのような病名はないです」との回答が返ってきた。

「正式な病気としては、六月病も五月病も存在しません。実のところ、心身が悪くなる人は、昔からそれほど一時期に集中しているわけではありません。本当にそういった患者さんが多いのは3、6、9、12と3の倍数月だと話す先生もいらっしゃるぐらいです」

3月は、4月から進学や入社で環境が変わることに対してストレスを感じやすく、6月は新しい環境下での疲れが出始めてくる。夏休みが終わった直後の9月は、特に子供たちが久しぶりの学校での対人関係に悩み、クリスマスや正月といったイベントに向けて街が色づきだす12月は、世を儚む人が増える―。こういった理由から、3の倍数月は心や体の不調を訴える人が多くなると考えられている。

○六月病の正体は適応障害

それでは、いわゆる五月病や六月病の正体は何なのだろうか。浜中医師は、大まかに言ってしまえば、これらの"病気"は適応障害に該当すると解説する。国際疾病分類第10版(ICD10)は「ストレス因により引き起こされる情緒面や行動面の症状で、社会的機能が著しく障害されている状態」を適応障害と定義している。

新入社員を例にとってみると、毎日を過ごす場所が学校から会社へと変わることは非常に大きな変化だ。その環境の変化は大きなストレスとなりうるし、これまでに経験したことのない業務に矢継ぎ早に対応していくことも、当人にとっては大きな負荷となる。これらのストレス要因がたまっているところへさらに問題がプラスオンされると、ある日突然、適応障害になってしまう可能性がある。

ICD10のガイドラインによると、一般的に適応障害では抑うつ気分や不安、怒り、焦りや緊張などの情緒面の症状が出現するという。浜中医師は具体的に出てくるのが多い症状として、「疲れやすい」「やる気がでない」「食欲がない」「熟眠感がない」「寝つきが悪い」などを挙げる。

「人間の心身はさまざまな要素に左右されますが、気圧や気候の変動で抑うつをきたす人もいます。今年もそうでしたが、5月、6月は日によって気温が暑くなったり寒くなったりと頻繁に変わることもあり、負担がかかりやすい時期だと思います。そこに今までの疲れが相まって、いわゆる五月病や六月病といった適応障害が出てくるのではないでしょうか」

万一、適応障害と思しき症状の出現に自身や周囲が気づいた場合は、当該人にリラックスをしてもらうことで対処するのがよいと浜中医師は解説する。きちんと休みを取り、自分のために時間を使う中で徐々に実際の環境に適応していくのがベスト。それでも改善が見られないようならば、専門の医療機関を訪れるようにしよう。

○記事監修: 浜中聡子(はまなか さとこ)
医学博士。北里大学医学部卒業。ウィメンズヘルスクリニック東京院長。米国抗加齢医学会専門医、国際アンチエイジング医学会専門医などの資格を多数取得。アンチエイジングと精神神経学の専門家で、常に丁寧な診察で患者に接する。

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