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小学生の間で流行っている危険な“度胸だめし”。やめさせるにはどうすればいい?

■小学生の遊び方がエスカレートしている!

最近、ツイッターで、「3年生の女の子がわざとバイクの前に飛び出して来た」という投稿があり、大きな話題となりました。「走っている車やバイクの前に飛び出す」という度胸だめしが、小学生の間で流行っているらしいのです。危険極まりない行為をやりたくなる心理とは何なのか? そして、大人はそれに対し、どう対応していくべきなのでしょうか?

■危険な遊びをやりたくなる心理

「自分を強く見せたい」

「勇気がある人間だと思われたい」

人間ならだれもがそう思います。さらには、

「本音はやりたくないけれど、ノーと言えないからやる」

こんな心理も存在します。特に子どもの場合、ガキ大将的な存在の子がいると、「仲間外れが怖い」などの理由で、本意ではない振る舞いをすることも多くなります。「強がりたい」「強い者には逆らえない」、どちらも理解はできます。その延長で、“度胸だめし”が発生するのも分かります。私たちも子ども時代に、少なくとも何度かはこのような思いを経験し、何らかの度胸だめしをしたことがあると思います。もっともっと可愛いものでしたが……。

子どもがわざと車の前に飛び出したとしても、もし事故になれば、社会的制裁は運転者に下されます。車を運転している方は、こんな遊びに巻き込まれたら、たまったものではありません。もはや、昔のような当事者だけで楽しむ度胸だめしとは違い、他者を巻き込んだ危険な遊びへと発展してしまっているのです。

■子どもたちにとっての「命」が軽くなってきているという懸念

子どもたちの度胸だめしがエスカレートしている理由として考えられるのが、「命の重さ」の変化です。最近、子どもたちにとって、命が軽く捉えられつつあるようです。その背景にゲームの存在があるのではと感じています。今の時代、子どもたちはゲームの世界に慣れ親しんでいます。その世界は、高いところから落下しても無傷、いざというときには高く舞い上がれる、もし倒れても復活する……など、まるで「生命」が2つも3つもある超人のような錯覚を感じさせます。そのような場面に多くさらされることで、命に対する尊さが薄れてきているのではないでしょうか。

大人にとっては、現実と非現実の区別は簡単かもしれません。しかし、その境界線は、年齢が下がるほど、あいまいになります。筆者はこれまでにも、ゲームの弊害について書いてきましたが、低年齢のうちは、親がゲームのコンテンツに注意を払う必要があると思います。

■頭ごなしに叱っても子どもの行動は変わらない

このような危険行為に対し、私たち大人は、どう対応していくべきなのでしょうか? 私たちは、子どもの問題行動を改善したいとき、「〇〇すると、××になるぞ!」という叱り方をすることがよくあります。「そんなことしたら、痛い目に遭うぞ」とワーストシナリオを提示し、注意喚起をするやり方です。しかし、これには、子どもの行動を改善させる効果が薄いことが分かっています(*アメリカの研究:「オオカミ少年」の物語は、子どもの嘘を減らす効果がなかったのに対し、正直であることの素晴らしさを称えた「ジョージ少年と桜の木」という物語は、効果が非常に高かった)。

子どもの行動を変えるには、「〇〇すると、××になるぞ!」という脅し系よりも、「~~するのはとても素晴らしい」と理想形を提示する方が、ずっと効果的なのです。今回のケースで言えば、「車にぶつかったら、ケガするぞ!」と叱るだけでは不十分というわけです。なんとなく、びっくりさせるようなことを言った方が即効性がありそうですが、実際は逆。正当な教えこそが、子どもたちを動かします。例えば、

「この横断歩道は車が完全に止まったのを確認してから渡ろうね」
「左右を確認して渡っているのが分かると、運転している人はすごく安心なんだ」

といった内容です。あまりにも当たり前すぎるからか、こんな言い方では説得力がないのではと感じる方も多いようですが、子供には、「何がダメなのか」よりも、その代わりに「何をすべきか」を言ってあげないと伝わりにくくなります。大人はあ・うんの呼吸で、何をすべきかまで察知できるのですが、子どもは「ダメ」だけでは動けなくなってしまいがちなのです。

■刺激が多い時代、21世紀の道徳教育を

今、求められるのは、子どもたちのモラル向上です。「昔よりルーズになったから」ではなく、今の社会には悪い方へと脱線しがちな刺激がたくさん存在するからです。昔よりも刺激の多い時代に生きている以上、良し悪しの境界線がエスカレートしがちなのは否めません。それを踏まえた21世紀ならではの「道徳教育」が必要なのではないでしょうか。

最近の子どもたちは、ゲームやテレビに時間を費やす分、生身の人間とのふれあいが減ってきているため、「相手がどう思うか」と他者の立場に立った見方をするのが苦手な傾向があります。それをサポートするような心理学的なアプローチが、小学校の段階で必要になってきているのだと思います。これまで、小学校での道徳授業は、教科外活動でしたが、2018年からは、「特別の教科・道徳」とし、教科へと格上げになります。これを機に、良し悪しを教える道徳教育のみならず、「心」の理解を促す内容が強化されることを願っています。

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