健康な人でも入れる?働きながら通える?老人ホームの豆知識

「終の棲家」として老人ホームを選択することも、今では一般的になった。だが、それと比例するように、順番待ちでホームに入れない不安の声や、職員による高齢者への虐待といった悲惨な事件も耳にする機会が増えたように思う。こうした事態をなるべく回避するには、月並みだが早めに準備することが肝心だ。老人ホームについて、今から知っておくべき情報についてまとめてみた。

■有料老人ホームって何?

「教えて!goo」の「老人ホーム=介護施設??」という質問には、「老人ホームは『高齢者の施設の総称』と考えてください」(haihaiokさん)などの回答が投稿されている。

これはその通りで、一口に老人ホームといってもさまざまな種類がある。なかでも代表的なものが、社会福祉法人や自治体が運営する公共型の施設「特別養護老人ホーム」と、民間事業者が運営する「有料老人ホーム」。特別養護老人ホームは要介護認定が必須な上に、順番待ちが長いことで知られるが、有料老人ホームは自立~要介護まで、幅広い人が入居できる。という訳で今回は、一般社団法人医介の代表理事でもある株式会社DHM(ディーム)の代表取締役の猪飼大さんに、有料老人ホームのあれこれを聞いてみた。

「有料老人ホームは、一般的に65歳以上の方が入居することが可能です。申し込みの際には身元保証人が必要で、ご家族のいらっしゃらない方は後見人をつけたり、保証会社に頼むというケースも見受けられます」(猪飼さん)

他に、職員や他の入居者と一緒に生活する上で問題となる行動を起こさないかどうかも見られるようだ。また、入居の際には頭金となる入居一時金が必要となる。

「『入居一時金は高額』というイメージや、『一度払ったら戻ってこないのでは?』という懸念もあると思います。しかし最近では、返還金制度や短期解約の場合の特例がある施設も増えています。入居の前にそうした制度を確認しておくことも重要です」(猪飼さん)

実際に入居一時金がいくら掛かるかというと、民間企業なので価格はさまざま。場合によっては数千万円~億を超える高級老人ホームや、反対に入居一時金を0円にして月額利用料を高めに設定している施設も。自分の懐事情ともよく相談して決めることが大切だ。

■“優良”老人ホームは、お風呂を見れば分かる!?

有料老人ホームをさらに細分化すると、介護付有料老人ホーム、健康型有料老人ホーム、住宅型有料老人ホームなどがある。例えば夫婦のうち一方は健康でもう一方は要介護度が高い場合、二人で同じ介護付きホームに入居できるのだろうか?

「はい、入居はもちろん可能です。ただし介護度がご夫婦で違う場合、お手伝いする内容が変わってくるので、部屋を別々にしていただく場合も多々あります。自立の方の施設が併設されているホームか、自立の方と要介護の方のフロアが分かれているホームを選ぶとよいと思います。部屋を別々にするのは元気な方の精神的な負担になってしまうことを避けるためです。しかし、お手伝いできるところは施設のスタッフと協力しているケースもありますよ」(猪飼さん)

ちなみに健康な人の場合、老人ホームから仕事に出かけている人もいるとのこと。なお、経済力があるからといって入居するのに有利、不利ということはないそうだ。
最後に、よい有料老人ホームを選ぶポイントについて聞いてみた。

「必ず施設長と話をして、運営の方針などをしっかり確認するとよいでしょう。あとは、年数が経っていても綺麗な建物は、掃除が行き届いているということです。特にお風呂場は清潔に保つのが難しく、掃除するにも労力がかかります。個人的見解ですがお風呂が綺麗な施設はしっかりしていることが多いと感じますね」(猪飼さん)

老人ホームの見学者は、一人暮らしで認知症の人など、自宅での生活が難しくなった人が多いのだという。しかしながら、元気なうちに自分に合うホームを決めた方がよいのだと猪飼さんは教えてくれた。

最期を迎える場所となるかもしれない老人ホーム。自分の理想とする老後と照らし合わせ、慎重に選択したいものだ。

●専門家プロフィール:猪飼大
株式会社DHM(ディーム)代表取締役。一般社団法人医介代表理事。在宅医療に携わる医師向けの開業・運営支援を行う。健康状態にあわせた最適な住まいを探す「施設への住み替え支援サービス」を地域貢献として従事。関東圏を中心に介護施設の幅広いネットワークを持ち、「地域包括ケアシステム」の一翼を担う。

関連記事
最新記事