前川前次官の「内閣官房参与からも要請」証言を、木曽内閣参与も認める!「巨大な忖度の塊」「総理の意向文書も違和感ない」とも

「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」。一昨日、渦中の前川喜平・前文科省事務次官がコメントを発表し、獣医学部設置の特例について昨年9月上旬、和泉洋人総理補佐官から「総理の代わり」として「文部科学省の対応を早くしてほしい」と求められていたことを公表。同じように10月半ばにも和泉首相補佐官に呼び出され「特例に向けた状況」を問われたという。

 既報の通り、和泉首相補佐官は菅義偉官房長官と付き合いが長く、菅官房長官の後押しによって第二次安倍政権の首相補佐官に選出されたといわれる人物で、菅官房長官の「片腕」という立場だ。そんな「官邸の最高レベル」の片腕が直接、事務次官を呼びつけた上、「総理の代わり」となって加計学園の早期開学に向けてとっとと対応しろと迫っていたのだ。

 さらに、本日発売の「週刊文春」(文藝春秋)では、前川氏の新たな証言を掲載。記事では、内閣官房参与であり加計学園が運営する千葉科学大学で同年4月から学長を務めている木曽功氏からも、昨年8月下旬に"今治市の獣医学部新設を早く進めてほしい"と要請があったと前川氏は証言。木曽内閣官房参与はその際、「文科省は(国家戦略特区)諮問会議が決定したことに従えばいいから」と言ったという。

 この前川氏の新証言について木曽氏自身も、朝日新聞の取材に対して自らの圧力は否定しつつも「私は加計学園の理事で、(加計学園が運営する)千葉科学大の学長だ。(獣医学部が)話題として出ない方がおかしい」と加計学園の獣医学部新設について話したことを認めた。また、獣医学部新設をめぐる一連の動きについて「巨大な忖度の塊だと思う」とし、"総理の意向"文書の存在についても、「違和感はない。(上司に)報告するためにメモにしているような気がする」と語っている(朝日新聞6月1日付)。

 内部文書や今回の元トップ官僚による証言からも、もはや加計学園のために国家戦略特区を使って獣医学部新設を進めたことはあきらかだが、こうした証拠を突きつけられて慌てふためいているのは無論、官邸と安倍首相だ。しかも、国民から向けられた疑惑に答えようという姿勢は皆無、ただひたすら説明責任の放棄と話のすり替えに必死だ。 たとえば、菅官房長官は「前川氏が勝手に言っていることに、いちいち政府として答えることはない」と取り付く島もなく、オフレコの場では相変わらず前川氏の個人攻撃をつづけている。

●前川前次官、木曽内閣官房参与の新証言にも菅官房長官は...

 呆れ果てたのは、竹下亘・自民党国会対策委員長の発言だ。竹下国対委員長は前川氏の証人喚問について「今回は明確に必要ないと思っている」と明言。記者から「必要ないと考える理由は?」と訊かれると、「必要ないということが、その理由だ」と答えになっていない答えを返したのだ。

 竹下国対委員長といえば、森友学園問題の際、安倍昭恵夫人による100万円寄付疑惑が浮上し「総理に対する侮辱だ」と激怒して、それまで籠池泰典氏の参考人招致すら拒否していたにもかかわらず一転、籠池氏の証人喚問を提案したが、今回は「前川氏の証人喚問が必要ない理由は必要ないから」。これで国民に納得しろとは無理筋も過ぎる。 一方、加計学園問題の要である安倍首相は、サミット帰国後からは獣医学部新設の問題を「岩盤規制にドリルで穴を開ける改革」と強調。無茶苦茶な話のすり替えを展開しはじめたのだ。

 実際、一昨日に行われた参院法務委員会では、民進党の小川敏夫議員に、過去に加計学園で役員に就き報酬を得ていたのではないかと追及されると、安倍首相はその事実を認めた。これで安倍首相と加計学園は利害関係にあることが明確となったわけだが、しかし安倍首相は開き直ったように「はるか昔のこと」「印象操作だ」とわめき立て、「まるで私が友人である加計さんのために便宜を図ったという前提で議論しているが、それは極めて恣意的」と反発。「(便宜を図ったというなら)小川さんが証明してもらいたい」と言い放った。

 利害関係者であることが判明したというのに「印象操作」などと言えた立場かと思うが、さらに安倍首相はつづけて、こんな話をはじめたのだ。「獣医学部の新設についてはですね、民主党時代に、これまさに民主党時代に、平成22年度中を目途にすみやかに検討と、前向きに格上げしたわけでございます」「それを踏まえて私たちは、まさに岩盤規制にドリルで穴を開けるためにこうした努力を行っているわけで、これを政局のためにですね、いわば抵抗勢力と手を組むかのごとくはですね、これはやはり政治家としてどうなんだろうと私は率直に思っている」

●安倍首相、山本地方創世相は、"民主ガー"と民主党政権のせいに

 獣医学部新設は民主党が検討したものを安倍政権が引き継いだだけ──。民主党政権下で始まった高校無償化や子ども手当は引き継がず廃止したくせに、詭弁ここに極まれりだが、あらためて言うまでもなく、いま問題になっているのは「加計学園のために安倍首相は自分がスタートさせた国家戦略特区を使って獣医学部新設を押し進めたのではないか」ということだ。

 そして最大の焦点は、獣医学部新設に名乗りをあげ、加計学園と比べてはるかに入念な準備と世界的な実績を重ねてきた京都産業大学が振り落とされたことだろう。安倍首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議において「広域的に獣医学部がない」という条件を設けたことによって、京産大は事実上、手を下ろさざるを得なくなったわけだが、2020年度の「獣医師の確保目標」では、「広域的に獣医学部がない」愛媛県よりも京都府のほうが深刻だというデータもある。これについて議長たる安倍首相はきちんとした説明もせず、お決まりの民主党に責任を転嫁しているのである。

 しかし、この厚顔で無責任にも程がある答弁を行った同じ日、山本幸三地方創生相は安倍首相と共謀したかのように、獣医学部新設は民主党時代から動き出していたと示す資料を、記者会見でわざわざ公表したのだ。内部文書の再調査を求められても「文科省は『確認できない』と言っている」の一点張りの一方、本題からズレまくったどうでもいい資料を引っ張り出してきて「自分たちの責任じゃない! 民主党だ!」と言い募る。......安倍首相や官邸がこれで押し通せると踏んでいるとしたら、どこまで国民を馬鹿にする気なのだろう。

 前川氏の証言や内部文書など具体的で信憑性の高い証拠に対し、ただ個人攻撃をするだけで何の反証もできていない安倍政権。だが、「首謀者・安倍首相、実行部隊・官邸」という重要証言を無駄にさせてはいけない。前川氏のみならず、和泉首相補佐官や木曽内閣官房参与、内閣府の藤原豊審議官、そして加計孝太郎理事長らの証人喚問・参考人招致がかなわなければ、この国はいよいよ人治国家であると認めてしまうことになるだろう。

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