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裏垢の情報が流出…犯人は特定できる? 法的対応や慰謝料はとれるの?

アイドルの熱愛発覚、企業の機密情報の流出など、裏アカウントによる騒動が後を絶たない。裏垢、鍵垢の情報が流出し不利益が生じた場合、責任の所在はどこにあるのか?

◆法適用は?裏垢トラブルの半分は顔見知りによるもの

 ネット中傷問題に詳しい弁護士の清水陽平氏は次のように話す。

「例えば芸能人の場合、裏垢や鍵垢の情報を流出させた相手に対し、本人は責任を問うのが困難なことが多いです。鍵垢であっても自ら一定の範囲に公表しており、そこから流出する可能性は常にあります。そのため、流出させられたとしても違法と言えない余地もある。また、流出により人気が下がったとしても、法的な因果関係の立証は困難です」

 また、裏垢を用いて悪質な行為をしていたことが雇用先に発覚した場合、「会社の内部情報を流出させるものであったり、職業倫理に違反するようなものであれば、懲戒処分される可能性がある。しかし、業務に直結しない悪ふざけ程度であれば解雇は無効でしょう。雇用先の社会的信用を毀損したか否かが処分の可否・程度の判断要素になる」という。

 裏垢にかかわる訴訟手続きは容易ではないが、「お金をかけてでもやりたい」という人は多い。

「相手方の特定には、SNSの運営会社、その後プロバイダへと、2回の裁判手続きが必要になることが通常です。まずSNSの運営会社の本社は海外にあることが多いので開示手続きに早くて1か月、さらにプロバイダへの裁判については6か月から8か月程度はかかります。しかも、ツイッターのようなログイン型投稿といわれる形式をとる投稿方法は、プロバイダ責任制限法が予定していない類型のものであるため、特定が難しくなります。費用としては、最低でも60万円程度はかかります」

 それでも、相談に来る10人中1~2人は実際に依頼をするという。

「ただ裁判で勝っても慰謝料額は高くても100万円程度で、相手が払えなければ回収できません」

 そして実際に開示請求してみると、加害者が被害者の予想外の人物であることも少なくない。

「顔見知りもそうですが、見知らぬ人や一度会った程度の場合も意外と多いです。最も多いのは元上司や元職場をなじるものですが、ブログを見て気に入らなかったとか、目についたからという理由で一方的に誹謗中傷することも」

 裏垢を巡る状況はどうなるのか。

「今後も事例は減ることはないと思うので、状況に合わせて法改正されていくことを期待します」

【清水陽平氏】
弁護士。法律事務所アルシエン所属。ネット中傷、炎上、2ちゃんねるの削除要求などを得意とする。著書に『サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第2版』(弘文堂)など

― [裏アカウント]マル秘調査 ―


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