幸せ呼ぶ猫神の呟き アロマオイルで寝起きの頭を覚醒できるのか
                 


アロマオイルで寝起きの頭を覚醒できるのか

アロマオイルというと、癒やしや安らぎなどメンタルを落ち着かせ、また、心地良い睡眠へいざなうイメージがある。だがその反対、すなわち寝起きの頭をシャキッとさせたり、睡魔を追い払うようなものはないのだろうか。「教えて!goo」に「目を覚ますテクニックを教えて下さい」と投稿した相談者も「アロマオイルとかで手軽にできるものがあれば」とユーザーの知見を求めている。

■アロマは神経伝達作用を調整する

「覚醒や睡眠にはモノアミンと呼ばれる脳内伝達物質が影響しています」。鳥居医療総研(横浜市)の統合医療研究所主任研究員、國永麻衣子さんが語る。総研代表の鳥居伸一郎医師が今年2月に出版した新書「脳に効く香り」(フレグランスジャーナル)の執筆にも協力している。

モノアミンとは、元気・やる気に関与するノルアドレナリン、安心感や冷静さに関与するセロトニン、満足や幸福感に関与するドーパミンなど神経伝達物質の総称である。

國永さんは「精油(アロマオイル)が神経伝達作用を調整することはいくつかの研究で明らかにされています」とし、「気分的にシャキっとしたり、もうひと踏ん張りするという意味合いでリフレッシュ効果を得ることは可能です」と説明する。

■リモネンを含む柑橘系で交感神経を亢進

眠気覚ましの効果があるアロマオイルとして、國永さんはペパーミント、ローズマリー・シネオール、レモン、グレープフルーツを挙げた。

「柑橘系の精油にはリモネンという芳香成分が多く、果物そのままの爽やかな香りです」と國永さん。そしてリモネンは活動や緊張・ストレスに関わる交感神経を亢進(こうしん)する、という文献もあるそうで「交感神経が亢進すれば、ノルアドレナリンも増えるので、リモネンを多く含む精油は『元気・やる気が出る』と言えます」(國永さん)。

アロマオイルの効果と脳科学は密接につながっていたようである。國永さんによれば「神経伝達物質を調整する観点から考えれば、眠気覚ましといった単独の作用ではなく、むしろ脳の多用な機能を調整していると捉えることができます」とのことだ。

具体的には、ペパーミントに含まれるメントールには禁煙・節煙補助効果が得られたという研究結果もあり、柑橘系精油には空気清浄作用や胃腸の動きをよくしたり、血行促進の作用があるといわれているそうだ。

■貴婦人の気付け薬だった「樟脳」

ところで、眠気覚ましに効くアロマというと、19世紀にフランスの貴婦人が携帯し、気付け薬にしたという小瓶「フランコンドセル」に思い至る。いったいどのようなアロマを使っていたのだろうか。

國永さんは「フランコンドセルのセルとは、気付け薬そのものを指します。樟脳などをベースとして作成された強い匂いのする結晶を細長い瓶に入れて香水のように持ち歩いていたようです」と教示する。

樟脳といえばタンスの防虫剤が思い出されるが、「今日までの研究では中枢神経を刺激する作用があり、血管運動や延髄の呼吸中枢を活発にするといわれています」(國永さん)とのこと。

コルセットをきつく締めすぎて失神した貴婦人を覚醒させたフランコンドセル。樟脳はクスノキやローズマリーによく含まれているそうなので、ペパーミントや柑橘系でも眠気が取れないときに試してみよう。

●専門家プロフィール:國永麻衣子
鳥居医療総研統合医療研究所主任研究員。看護師、保健師、JAAアロマコーディネーター、NARD協会認定アロマアドバイザー、NARD協会認定アロマインストラクター、HPS認定プロアロマセラピスト。都内大学病院で血液腫瘍内科、救命救急センター等で看護師として勤務の傍ら上記資格取得。2017年から現職。

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