インプラント長持ちさせるには/照山裕子お口の悩み

<歯科医照山裕子が答えるお口の悩み(19)>元モデルの照山裕子クリア歯科新宿院院長が、口臭が気になる、歯周病が進んできた…歯と口の悩みなど、皆さんの悩みに回答します。

 Q インプラントを長持ちさせる方法を教えて下さい。

 A 「インプラントは何年もちますか」とよく聞かれます。セルフケアは勿論、定期的なメンテナンスを受けているか、きちんと練られた治療計画に基づいた処置であったかなど、いろんな要素によって結果に差が出ます。学会等の指針を見ると「10年あたりが目指す期間」と書いてあることが多いです。何年もつかという質問の答えは難しく、歯ぎしりやかみ合わせによって被せ物が割れたり、被せ物とインプラントをつなぐネジが折れたりする想定外の破損がありますし、何より患者さんの全身疾患、生活習慣や口腔(こうくう)ケアによっても大きく左右されます。

 天然の歯の場合、骨と歯根の間には歯根膜が介在しています。クッション性があり、調節機構をもっています。一方、インプラントはダイレクトに骨につながっています。たばこなどお口の環境に好ましくない生活習慣をしていても天然の歯ならジワジワと進行しますが、インプラントはある日突然だめになります。

 口腔ケアは自前の歯以上に重要です。天然の歯根より細いインプラントは、被せ物と歯肉の間に汚れが入りやすく、そのケアを怠るとインプラント周囲炎を起こします。普通の歯ブラシでは十分なケアができないため、専用歯ブラシが必須です。また、フッ素に対する注意も必要です。フッ素はエナメル質を硬くし、虫歯予防効果がありますが、インプラント本体につくと腐食を進行させることが分かってきました。市販の多くの歯磨きにはフッ素が配合されています。微量を使う分には問題ありませんが、脱落のリスクを少しでも下げるために、差し歯と歯肉の間にすり込むような使い方は避けること。フッ素無配合の専用歯磨きも発売されています。

 チタンと骨が結合する現象は1952年に発見され、1965年に初めて歯科治療に使われました。その最初の患者さんが生涯を終えられるまでの41年間は使えたという記録が残っています。口のケアができずに自分の歯を失った人は、インプラントだともっと早く失うことは間違いありません。インプラントを希望されても「あなたの歯では1年もちませんから勧められません。口の中をきれいにして半年後にもう1度考えましょう。」と言うことは多いです。高いお金を払い、手術で痛い思いをしたのにロストしてしまうほど不幸なことはありませんから、見きわめが肝心です。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ) 歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。歯と全身の関わりについて幅広く学んだ経験を基に、機能面だけでなく審美的要素にもこだわった丁寧な治療がモットー。分かりやすい解説でテレビ、ラジオにも多数出演している。学生時代はモデル事務所に所属。近著に「歯科医が考案 毒出しうがい」(アスコム)。

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