薬剤師が解説! 夏休みの家族旅行で気をつけたい、子供の「乗り物酔い」対策とは?

■乗り物酔いの薬について教えてください

 Q:子供が夏休みに入り車で色々出かけたいと思っているのですが、子供の乗り物酔いに悩まされています。まだ、薬を飲ませたことはないのですが、乗り物酔いの薬について教えてください。

 A:せっかくの夏休みですものね。楽しく過ごすためにも、子供用の乗り物酔いの薬が売られていますので、薬局でご相談の上、使ってみてもいいかもしれませんね。

■どうして乗り物酔いになるの?

 乗り物酔いになる仕組みは、まだ完全には分かっていないようです。ここでは、現在いわれている原因をご紹介します。

 目で見ている映像と体で感じている動きの認識が、脳の中でずれて混乱してしまうことによって起こります。事前にどっちにカーブするかが分かっていると酔いにくくなる、というのはこのためです。子供は乗り物の動きを予測できない場合が多いので、乗り物酔いしやすいといわれています。

 また、乗り物の動きを予測できたとしても、動いている物に乗っているという不安や、動きに慣れていない状態だと、乗り物の振動で耳の中にある平衡感覚をつかさどる器官(内耳)が過剰に刺激されてしまい、それが脳に伝わって乗り物酔いになるといわれています。

 このように、内耳(平衡感覚)、目(視覚)、筋肉(体感)のバランスが脳の中で混乱してしまうのが原因とされています。また、不安感などの不快な気持ちが症状を引き起こすこともあります。

■乗り物酔いの症状は?

 気持ちが悪い、顔色が悪くなる、冷や汗が出る、生唾が多くなる、生あくびが出る、めまいがする(ぐるぐる目が回る)、息が荒くなる、頭が痛くなる、心臓がどきどきするといった症状が出てきます。ひどくなると、吐いてしまうことがあります。

 このような症状が出てきたら、乗り物から降りることが一番です。降りてしばらくして落ち着くと症状が治まります。

■乗り物酔いの症状を抑えるには?

 乗り物から降りることが一番なのですが、バスや電車等ですぐに降りられない場合は、窓を開けて新鮮な空気を吸ったり、遠くを眺めたり、腹部や胸元の締め付け感を緩めるなど、体を楽な状態にします。立っている場合は、なるべく座らせてもらうようにしましょう。

 症状が軽い場合は、おしゃべりをしたり、ストレッチをしたり、気分を変えることが重要です。症状が重い場合は、降りるか、吐いてしまうとすっきりします。吐いた後は、口の中をゆすいでサッパリさせましょう。

■乗り物酔いの予防は?

 脳が疲れていると酔いやすくなりますので、乗り物に乗る前日は十分に睡眠をとり、疲れないようにしておきましょう。また、空腹の状態でも脳にエネルギーがいきませんので、消化の良いものを腹八分目程度には食べておくようにしましょう。

 乗り物に乗っているときには、不安感、緊張感をとるように周りの人とお話しするか、外を見るなどリラックスするようにしましょう。気が紛れるからといって、本を読んだり、ゲーム機で遊ぶのは避けるようにしましょう。

■乗り物酔いの薬について

 乗り物酔いの薬には、主に次のような成分が入っています。

□1.抗ヒスタミン薬(生体内にあるヒスタミンの働きを抑える成分)

 アレルギーの薬にも入っている成分ですが、抗ヒスタミン薬は、脳(中枢)にある吐き気を感じさせるところを抑える働きがあります(嘔吐中枢抑制作用)。

 成分名の例:マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸(サリチル酸)ジフェンヒドラミン、塩酸メクリジン、ジメンヒドリナート、塩酸プロメタジンなど

□2.副交感神経遮断薬(副交感神経の興奮を抑える成分)

 副交感神経の特に脳(中枢)への働きを抑えます。それによって、視覚と平衡感覚などの脳の混乱を抑えますので、めまいや吐き気などを軽減します。

 成分名の例:臭化水素酸スコポラミン

□3.中枢神経興奮薬(中枢神経を興奮させる成分)

 中枢神経に働いて、脳の感覚の混乱を抑えて、乗り物酔いを予防します。

 成分名の例:カフェイン、ジプロフィリン、テオフィリン、アミノフィリン

□4.その他

 めまいを抑える薬(鎮暈薬:塩酸ジフェニドール)や、吐き気を抑える薬(鎮吐薬:アミノ安息香酸エチル)、鎮静効果の薬(鎮静剤:ブロムワレリル尿酸)などが含まれている商品があります。

 乗り物酔いがひどいようでしたら、乗り物に乗る30分ぐらい前には飲むようにしておきましょう。乗り物酔いになってからでも、早い段階であれば、薬を飲んで楽になることもあります。また、子供用の薬は、子供の体重、年齢によって量が変わりますので、説明書をきちんと読んで使ってください。

■薬を選ぶ際の注意点

 1の抗ヒスタミン薬はほとんどの薬に入っています。眠気の副作用があります。また、のどが渇くこともあります。ただし、緑内障や前立腺肥大のある人は服用を避けてください。

 2の薬も子供用のほとんどの酔い止め薬に入っています。乗り物に乗る不安感や興奮を抑えます。ただ、こちらの薬ものどが渇くことがあります。1と同様、緑内障や前立腺肥大のある人は服用を避けてください。

 3の薬は、カフェインが含まれている飲み物と一緒にとらないようにしてください。脈が速くなるなど中枢の興奮作用が高まってしまうことがあります。

 また、錠剤、液状のタイプ、水なしで噛んで溶かすタイプなどが販売されていますので、色々考えて選択できるようになっています。その他、分からないことがありましたら、購入する前に薬剤師に相談してみてくださいね。

 なお、酔い止めの薬がすぐ飲めるようにと、車の中に入れっぱなしにしている方もいらっしゃいますが、薬の成分は高温で変化するため危険です。部屋の涼しいところで保管するようにしてください。

 乗り物酔いは、精神的な部分もありますので、「薬を飲んだから大丈夫」という安心感から乗り物酔いがひどくならない場合があります。あまりにも辛いようでしたら、薬剤師に相談して薬の服用を選択してみてもいいかもしれません。

 この記事を書いているだけで、小さい頃に酔ったことを思い出してなんだか気持ち悪くなってきました。乗り物酔いの精神的な部分として、以前の乗り物酔いの辛さを思い出してしまう「学習効果」もあるといわれています。

*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の薬局での会話をもとに構成したものです。相談が必要な方は、医師や薬剤師に実際にお聞きください。

 本記事は、主にファイザー株式会社のホームページを参考に作成いたしました。

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