1

糖尿病の薬(1) 「ビグアナイド薬」

 第1回 ビグアナイド薬―メトホルミンの物語―

【どうやって誕生したの?】
 糖尿病薬が発見されるまでには、研究に長い年月がかかります。発売後も使用調査から使用上の注意が見直され、患者さんに大切に育てられて、新しい使い方が生まれていくのです。

 この新シリーズでは、各種糖尿病薬の発見の歴史をたどり、その意味を深く知ることで、新しい薬の正しい使い方を身に付けてもらいたいと願っています。

 第1回目は、メトグルコ錠(ジェネリック名は、メトホルミン塩酸塩錠など)の名前で知られるビグアナイド薬(BG薬)を紹介します。

 その発見の歴史は古く、中世の欧州で多年草のマメ科の植物ガレガソウ(別名:フレンチライラック)に、多尿や口渇などの糖尿病の症状を緩和する作用があると知られていました。後に、その抽出物の「グアニジン」に血糖降下作用があることが発見されましたが、そのままでは毒性が強いため、1950年代からその誘導体が開発され、フェンホルミンやメトホルミンが薬として誕生したのです。

【新しく見直された効果は?】
 フェンホルミンでは乳酸アシドーシスという重篤な副作用が続き、BG薬の使用全般が制限された時期もありました。80年代後半になるとBG薬の肝臓でブドウ糖の産生を抑えるメカニズムが解明されるようになりました。98年には英国のUKPDS(※)という大規模臨床試験で、メトホルミンは肥満の糖尿病の人に、スルホニル尿素薬(SU薬)と同じくらい有効性がありながら、体重の増加や低血糖の発症が少なく、心筋梗塞など糖尿病に関連した死亡を大きく減少させることが報告され、欧米で糖尿病に対する第一選択薬に位置付けられました。

 近年、日本でも1日2250mgまでの最大用量が認められ、他には抗がん効果も研究中で、いまなお新しい治療効果が期待されています。

【より安全に効果的に使うポイントは?】
 メトホルミンは、高用量で使っても安全で効果が高い薬であることが分かっています。乳酸アシドーシスという副作用はめったに起こりませんが、腎機能がかなり低下したときや、高齢者(特に75歳以上)、脱水、シックデイ時、利尿薬やSGLT2阻害薬という種類の糖尿病薬を併用時、ヨード造影剤を使用する際には注意が必要です。

 体調が変化したときや併用薬があるときは、お薬手帳を持参し、主治医やかかりつけ薬剤師に相談しましょう。

(※)The United Kingdom Prospective Diabetes Study

フローラ薬局 河和田店薬局長 篠原 久仁子(しのはら・くにこ)
監修/新潟薬科大学 薬学部教授 朝倉 俊成(あさくら・としなり)

『月刊糖尿病ライフさかえ 2017年1月号』より

関連記事
最新記事