幸せ呼ぶ猫神の呟き  ヒトの体の6割は水分でできている。だから「乾く」ことは健康によくない。なるべく「潤い」を保たせるほうがいいのだが、老いは「乾き」を連れてくる。口の中にも…。
                 


 ヒトの体の6割は水分でできている。だから「乾く」ことは健康によくない。なるべく「潤い」を保たせるほうがいいのだが、老いは「乾き」を連れてくる。口の中にも…。

ぐっすり寝て、スッキリ起きたい──。古来、マクラは存在したといい、人間の飽くなき欲求の対象だった睡眠。残念ながらコントロールは難しく、科学が発達した現代でも老若男女を悩ます永遠のテーマだ。どうすれば自分の眠りとうまく付き合うことができるのか。そのコツを紹介する。

 現代人の睡眠に対する欲求は計り知れず、最近はマクラ型の“タワシ”がよく眠れると売れているらしい。ウワサを聞き、プロデュースしたヘッドスパ「悟空のきもち」銀座店を訪ねた。

「正確にはタワシではなく、タワシの質感などを再現した睡眠グッズです。寝心地を追求するマクラとは対極にあるもので、“睡眠用たわし”と呼んでいます」

 そう答えるのは、ヘッドマイスターの風間咲希さん。3月24日の発売から1カ月ほどで、5千個を売り上げ、現在は5カ月待ち。

「予想よりもはるかに売れています」(風間さん)

 マクラ、マットレス、アイマスク、音楽CD……タワシに限らず、ちまたには安眠、快眠グッズがあふれている。効果のほどは不明だが、ぐっすり眠れて、スッキリ目覚めたい。そう願わない人はいないはず──。

「一つ言えるのは、睡眠にこだわりすぎるとストレスや不安になり、かえって睡眠の状態が悪くなるということです」

 こう忠告するのは、睡眠研究の第一人者、筑波大学(茨城県つくば市)医学医療系教授の櫻井武さんだ。

「睡眠は呼吸などと同じで、脳が必要だと判断したときに起こる行動であり、自分でコントロールが難しいもの。でもポイントを知っておくと睡眠と上手に付き合うことができます」

 個人差がある上、年齢や生活環境、仕事の内容などによって大きく異なるのが、睡眠の特徴だ。では、どんな付き合い方が望ましいのか。これだけは押さえたいポイントを、最新知見を交えお伝えしよう。

【1】シニア世代は早めに布団に入るのは逆効果
 熟睡できない、夜中に起きてしまうといった睡眠問題を抱えるシニア世代。高齢者の3人に1人は何かしら不眠症状を抱えているというデータもある。

 若いときのように眠りたいという気持ちはわかるが、人が必要とする睡眠時間は、年齢を重ねるほど短くなる。個人差もあるが、シニア世代の睡眠時間の平均は、5~6時間ぐらいだ。

「この世代で最も控えたい行為は、睡眠時間を確保しようと早めに布団に入ることです」(櫻井さん)

“布団に入っても眠れない”という日課が繰り返されると、強い不安となって記憶の奥底に刷り込まれる。その結果、寝室自体が不安を覚える場所となり、余計に眠れなくなってしまう。

「理想は、布団に入ると条件反射的に眠気が襲ってきて、眠りにつくという状態。でも、それは寝つきの悪さに悩むシニア世代にとっては難しい。ですので、眠くなるまでは寝室や布団に入らないようにすることをお勧めします」(同)

 夕食後、寝るまでの間は睡眠のことを忘れる。それが眠りをよくするコツなのだ。

【2】シニア世代の散歩は朝はNG、夕方以降に
 一般的には目覚めてから16時間後に眠る態勢が整う。つまり、朝4時に起きれば、夜8時には眠れるようになるわけだ。だが、シニア世代の場合、睡眠時間が短くなるため、8時に寝たら夜中の1時、2時前には起きてしまう。

 こうした「眠る時間が早まる」傾向に対しては、あえて生活リズムをうしろにずらすという方法がある。ここで活用するのが「光」の作用だ。朝の太陽光は、24時間ぴったりではない体内時計をリセットする役目を持つ。これは網膜にある神経節細胞が朝の強い光をキャッチすることで、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌リズムを調整してくれるためだ。

 ただし、日光はいつ浴びてもいいわけではない。国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)部長の三島和夫さんは言う。

「朝7時に目を覚ますケースで考えてみます。午前中から午後の3時ぐらいまでの日光は早寝・早起きになるよう体内リズムを早める。晴れているときは、30分ぐらいの日光浴で前日にずれた分は取り戻せます。一方、3時以降の太陽光や照明は体内リズムを遅らせます」

 体内リズムが前に進みやすいシニアでは、「体内リズムを遅らせる」効果を利用。三島さんは、睡眠に悩むシニア世代に提案する。

「散歩は朝ではなく、夕方以降に。その時間帯の太陽光を浴びることが大事。夜はむしろ部屋を明るくするといいでしょう」

 睡眠を妨げるとされるブルーライトを出すスマホやパソコンも、体内リズムを遅らせるという役割からすると、むしろ控えなくてもよいそうだ。

【3】深い睡眠を得るには昼間の活動が大事
 先に述べたとおり、加齢で睡眠時間が短くなるのは自然なこと。ならば長く寝ようとするのは諦めて、睡眠の質を高めることを考えたほうがよさそうだ。

「シニア世代の睡眠で大事なのは、“日中ちゃんと活動ができているかどうか”です」(櫻井さん)

 昼間をどう過ごすかが重要で、寝るのも忘れて何かに没頭するような生活のほうが、望ましいという。

 眠りと心の不調を専門とする、すなおクリニック(さいたま市)院長の内田直(すなお)さんは、患者に日中の活動量を上げることを勧めている。睡眠薬を使っても眠れないと訴える高齢患者も、昼間の活動量を増やすことで夜の眠りが誘導され、睡眠薬を減らすことができているそうだ。

「日がな一日テレビを見て、ダラダラしているのは、絶対にダメ。散歩でもいいので体を動かすことが大切です。気分もスッキリしますし、心地よい疲労感が出るので、眠りやすく、眠りも深くなります」(内田さん)

【4】半身浴で脳を温め、一気に冷やすと熟睡が得られる
 現代科学で眠りを促す作用がわかっている方法は、入浴。三島さんは入浴と睡眠脳波の関係を調べたことがある。風呂に入って汗を流すと、寝つきまでの時間が短く、深い睡眠をもたらすことがわかった。

「その理由は、脳内の温度が急激に下がるためだと考えられています。入浴すると脳の温度が上がるため、その分、風呂から上がると脳の温度が一気に下がる。それが睡眠の質を高めるのです」(三島さん)

 ちなみに、入浴はぬるめの半身浴が勧められる。

【5】現役世代の「週末の寝だめ」は百害あって一利なし
 深夜まで残業や付き合い、朝は7時前に起きて出社──。働く世代の寝不足は今に始まったことではない。そんな寝不足を解消する決め手といえば、週末の寝だめだろう。NHK放送文化研究所の国民生活時間調査(2015年)によると、働く人の睡眠時間の平均は、平日が6時間56分に対し、土曜は7時間24分、日曜は7時間53分。寝だめをする実態が見て取れる。

 三島さんは、「この寝だめが問題」と忠告する。その背景にあるのは、最近言われている「睡眠負債」という新しい概念だ。

「睡眠負債とは、十分な睡眠が確保できないことで生じる“睡眠のツケ”のこと。確かに、寝だめにより平日の眠気や倦怠感、パフォーマンスの低下は解消できます。ですが、慢性的な睡眠不足で血糖の調整が狂うなど、体への負担は軽くならないことが、これまでの研究でわかっています」

 つまり、土日の寝だめでは利息分は返せても、本質的な借金までは返せないということだ。しかも昼すぎに起きて、夕方近くに外出する行動は、夜の眠りを遅らせ、週明けの朝に起きられなくなる原因にも。先に述べたとおり、午後3時以降の太陽光や照明は体内リズムを狂わせるからだ。特に夜型に傾きやすい現役世代は禁物だ。

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