幸せ呼ぶ猫神の呟き いじりといじめの境界線…「いじられキャラ」は辛い?

いじりといじめの境界線…「いじられキャラ」は辛い?

◆実は嫌で辛いのに「いじられキャラ」を演じていませんか?

近年、「いじめ」には、厳しい目が向けられるようになりました。一方で、攻撃性が表面的に現れない、軽い嫌がらせについては、あまり問題視されていないように思えます。

たとえば、「いじり」がその一つ。集団のなかで「いじられキャラ」を作り、からかいのターゲットにしたり、その人をネタに茶化したり笑ったりすることは多く見受けられるようです。

いじる側は、仲間の誰かをからかったり馬鹿にしたりすれば、その分だけ、自分の優位性を感じることができます。無意識に行っていることが多く、本人も「遊んでいるつもり」「冗談でやっているだけ」と、思い込んでいます。

いじられる側も、その役割を演じていれば、集団の中での自分の存在感をアピールすることができます。そのため、「何を言われても平気」「みんなに笑いを提供している」と思いこんだりもしますが、心の底では、「いじられキャラをやめたら、自分の存在感がなくなってしまう」というグループ内に属することでの不安を抱えていることが多いものです。
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◆いじられキャラから脱出したい気持ちを抑圧していると?

そうした心の底にある思いを押し殺したまま、無理に「いじられキャラ」を演じていると、心身や行動に影響が現れてしまいます。食欲不振や不眠が現れたり、家の中でふさぎ込む人もいれば、「お腹が痛い」などと訴えて、休みがちになる人もいます。

攻撃性を自分に向けて、自傷行為をする人もいますし、外に向けて、幼いきょうだいやペットをいじめたり、家庭内で暴力をふるったりする人もいます。物事に集中できず、落ち着きがなくなったり、忘れ物が増えたり、成績が下がったりする人もいます。
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◆いじりを受けている被害者が「NO」と言えない理由

「嫌だ」「不快だ」と思うなら、それをはっきり伝えることが、いじめをなくすための大切な方法ですが、「いじられキャラ」の人には、それが不可能なことが多いのです。なぜなら、「NO」を突きつけることによって、集団の中での自分の居場所を失ってしまうことを恐れるからです。無視される恐怖に比べれば、プライドを犠牲にして、みんなにかまってもらう方がましだと感じているのです。

とはいえ、プライドを傷つけられることを言われ続ければ、自分に自信を持てなくなってしまいます。また、いじり方がエスカレートすることで、ひどいいじめに発展してしまうこともあります。

◆「されたら嫌」ならいじめ!「冗談だった」は通用しない

まず前提として、当事者だけでなく、社会全体で「“いじる”ことも、いじめにつながる」という意識を持つことが必要です。

相手の気持ちを想像し、「自分がされたら嫌」と思うことは、他人にもやらないことが原則です。学生は、こうした啓発を自助努力で行うのは難しいため、学校や社会の中で心理教育をしていく機会が必要になると思います。

また、いじる側の「遊んでいただけ」「冗談のつもり」といった言い訳は通用しない、ということも覚えておく必要があります。いじめは、加害者がいくら「○○のつもりだった」と言い訳しても、いじめや嫌がらせは、「行動の事実」で判断されますし、本当は嫌だったという「被害者の心情」が尊重されるのです。

この「被害者の心情」の理解には、注意が必要です。先にお伝えしたように、「いじられキャラ」を演じている人は、何をされてもヘラヘラと笑っていると見えることが多いようですが、それは「仲間に入れてもらうためには、いじられるしかない」という思いがあるからです。したがって、いじった相手が笑っているからといって、心から喜んでいるとは判断できないことは覚えておくべきでしょう。
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◆いじられキャラからの脱出法…「NO」を言える自分を!

友達関係は、対等であるべきもの。したがって、嫌なのに無理に「いじられキャラ」を演じ続ける必要は、ありません。「本当は不快なのに、その気持ちを出せない」「いじられなければ、仲間に入れてもらえない」という状況に置かれていること自体、対等な人間関係ではないことになります。

「自分は『いじられキャラ』を無理に演じているのかもしれない」と気づいたら、まずは、自分の本当の気持ちに気づくためにも、身近にいる信頼できる人やカウンセラー、教師に相談してみるといいでしょう。安心できる場で、自分の気持ちを表出していけば、心の底に抑圧してきた気持ちが湧きだしてくるでしょう。

そして、大切なのは、「いじられるのは不快だ」「もういじらないでほしい」という本当の気持ちを伝えられる自分を目指すことです。被害者がきっぱりした態度で拒否しなければ、加害者は調子に乗ってしまいます。「NO」を突きつけるには、かなりの勇気がいると思いますので、カウンセラーや教師などの第三者に相談しながら、伝えるタイミングを考えていくのが有効でしょう。
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◆「いじられる環境」だけに依存しないことも大切

また、「いじられキャラ」を演じなくても安心して過ごせる自分の時間や、活動拠点を持つことも大切です。学校や職場の特定の人間関係だけが、自分の世界のすべてではないはずです。趣味、学外活動、自助グループ、ボランティア……、どんなことでもいいので、世界を広げていくこと。すると、自分に自信が湧き、「演じる自分」から卒業することができます。

学校でもそれ以外の場所でも、友人との関係は、対等であることが条件です。「いじられキャラ」などを生みだして、不愉快な関係にならないよう、お互いを尊重し合っていくことが大切です。

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