キスや濃厚な接触は危険! 死を招く「ぺットからの感染症」

インコやオウムの糞に含まれる細菌の吸入で感染する「オウム病」。昨年から今年にかけて、妊婦2人が亡くなりました。.
「家で飼っているペットは大丈夫」は大きな誤解


「動物からヒトへの感染症」が増えている

「オウム病」は、「動物からヒトへと感染する病気」=「人獣共通感染症」の1つです。その中には、重症化すると死を招く疾患もあります。
「人獣共通感染症」は非常に種類が多く、世界中で200種以上に及んでいます。
そして、SARS,エボラ出血熱など、新しい感染症が次々に発見されていますが、その多くが「人獣共通感染症」であることがわかってきています。
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「家で飼っているペットは大丈夫」は大きな誤解

感染源としては、野生動物や、野良犬・野良猫が最も危険ですが、ペットを介して感染する可能性も十分あり得ます。家の中で飼っている“家イヌ”“家ネコ”や、かごの中の小鳥であっても、様々な菌や寄生虫を体内に持っています。例えば、イヌが顔を舐めてくることがありますが、イヌは自分の尻や尿を舐めることもあります。犬の口内は決して清潔とは言えず、ヒトに病気をうつす可能性は十分にあります。

「オウム病」は室内で飼っているインコ等から感染

妊婦2人が亡くなった「オウム病」は、クラミジア・シッタシという微生物を保菌している鳥からヒトに感染する人獣共通感染症で、肺炎を主体とする急性感染症です。 日本における「オウム病」の感染源は、60%がオウム・インコ類であり、そのうち約3分の1はセキセイインコです。ほとんどはペットとして飼われているものと思われます。 感染経路は「オウム病」に感染した鳥の乾燥した排泄物や羽毛を吸入したり、キスや口移しで餌を与えたりする際の経口感染です。
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動物やトリの展示施設で集団発生も

初期症状としては、38℃以上の発熱および咳。頭痛も約半数に認められます。 重症例では、呼吸困難や意識障害、合併症を引き起こすこともあります。高齢者などで数年に一度、死亡例が報告されますが、妊婦の死亡例は今回が初です。妊娠中で抵抗力が弱くなっていたのかもしれません。 動物やトリの展示施設で、オウム病が集団発生することがありますので、妊娠中は入場を避けるべきでしょう。

妊婦さんだけが危険な「ネコからの感染症」!

妊婦が要注意の人獣共通感染症には「トキソプラズマ症」もあります。トキソプラズマは極めて小さな寄生虫です。豚、ネズミ、ニワトリなど多くの哺乳類・鳥類を中間宿主とし、ネコ科の動物を最終的に寄生する終宿主にしています。 

そのため、ネコが排泄した糞に触れたり、感染した動物の肉を加熱せずに食べると、感染の可能性があります。 しかし、健康な成人であれば症状が出ることはまれで、発症しても軽い風邪程度の症状で済みます。ところが、トキソプラズマに一度も感染したことがない女性が、妊娠中もしくは妊娠直前(妊娠開始6ヶ月前~)に初めてトキソプラズマに感染すると、流産・死産したり、胎盤を経由して赤ちゃんに感染し、「先天性トキソプラズマ症」を引き起こす可能性があるのです。
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胎児に及ぶ重大な影響

「先天性トキソプラズマ症」の4大徴候は,水頭症,脈絡膜炎による視力障害,脳内石灰化,精神運動機能障害と、いずれも重い症状で、重大な影響を及ぼします。このほかに,肝機能障害,黄疸,貧血,血小板減少などが見られることがあります。さらに、出生時に症状がなくても,思春期頃までは遅発性の発症リスクが存在します。 妊娠の前後は、特にネコには近づかないよう注意しましょう。
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100%のネコ、75%のイヌが持つ菌で死亡も!

「パスツレラ症」は、ペットオーナーが最も注意しなければならない感染症です。というのも、パスツレラ菌の保有率は極めて高く、イヌの約75%、ネコの約100%が口腔内に保有しているからです。多くは、イヌ、ネコに咬まれたり、引っかかれたりした傷から感染しますが、キスや口移しで餌を与える際の経口感染もあります。 受傷後、約30分~数時間後に激痛を伴う腫脹と浸出液が排液されます。さらには、気管支炎・肺炎・副鼻腔炎などの症状も出ます。 高齢者や免疫機能が低下している人では、重症化して敗血症や髄膜炎を起こし、死亡した例もあります。
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乳幼児は、カメなど爬虫類にも注意!

ミドリガメなどの爬虫類の50~90%はサルモネラ属菌を持っているとされています。 「サルモネラ症」を発症すると、胃腸炎症状の食中毒を引き起こしますが、乳幼児や高齢者は抵抗力が弱いため、敗血症、髄膜炎などを合併し、死亡するケースもあります。
「サルモネラ症」は、爬虫類や飼育箱をさわった手指にサルモネラ菌が付着し、これが口に入ることで感染します。 子供は無意識に手を口に持って行くことが多いので、カメ等は、小さな子供のいる家庭には不向きなペットと言えるかもしれません。

ペットとは、節度のある接触を

ペットは可愛い家族の一員ですが、飼い主の責任として、感染症の予防は心がける必要があります。顔をなめさせる、口移しで餌を与える、キス等過剰な触れ合いは控え、動物を触ったら手を洗いましょう。また、飼育小屋等は清潔にし、排泄物は速やかな処理を。

高山哲朗先生 監修
平成14年 慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院を経て、平成24年 わたクリニック副院長。 医学博士。日本内科学会認定医。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。日本医師会認定産業医。 東海大学医学部客員准教授。予測医学研究所所長

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