一晩寝かせたカレーに食中毒の危険性 検出されたウェルシュ菌とは?

2017年4月11日(火)、3月8日(水)に東京都内の幼稚園で発生した集団食中毒の原因が、一晩寝かせたカレーに発生したウェルシュ菌によるものだということがわかりました。(参考) カレーを作って一晩寝かせてからも食べる、といった方もいらっしゃるかと思われますが、いったいウェルシュ菌とはどのような細菌なのでしょうか。 今回はウェルシュ菌の概要、ウェルシュ菌による食中毒を起こしやすい料理、病院での治療内容などを医師に解説していただきました。

ウェルシュ菌とは

ボツリヌス菌と同じクロストリジウム属の細菌で、酸素のない場所で繁殖することができ、熱に強い性質があります。 人や動物の腸に存在するため、健康な状態でも便の中に見られ、肉や魚など食品にも付着しています。

一晩寝かせたカレーはなぜ食中毒の危険がある?

加熱することで他の細菌は死滅しても、熱に強いウェルシュ菌の芽胞は生き残ります。 特に、カレーはとろみがあるため加熱をやめてもゆっくりしか冷めず、鍋の中央では無酸素状態となり、ウェルシュ菌の繁殖に有利な状況になります。

ウェルシュ菌による食中毒を起こしやすい料理

カレー以外にも煮物やスープ、ハンバーグ、ローストビーフなどでウェルシュ菌による食中毒が生じています。 食べる前日に大量に調理し、翌日温めなおす場合に起こるため、給食施設での集団発生が起こりやすくなります。

ウェルシュ菌による食中毒の症状

6~18時間の潜伏期間を経て、水のような下痢や腹痛が起こります。 吐き気や発熱は見られないことが多いとされ、1、2日で回復し、後遺症を残すことはまれとされています。 抵抗力の低い子ども、高齢者、妊婦は特に注意が必要です。

一晩寝かせる以外にある危険な調理法

加熱が不十分
一般的な細菌は、加熱により死滅します。

素手で調理する
手には雑菌が付着しています。特に、お弁当に入れるおにぎりは素手で作らないようにしましょう。

自家製の保存食
自家製の瓶詰、缶詰、真空パック食品で、ボツリヌス菌による食中毒が生じることがあります。

生で食べる食材と加熱食材を同じ器具で調理する
例えば豚肉を切った包丁やまな板でサラダの野菜を調理すると、豚肉には加熱をしていても、野菜に食中毒の原因菌やウイルスが付着することになります。

食中毒の応急処置

■ ステップ1
嘔吐や下痢がある場合、我慢せず出すようする

■ ステップ2
市販の下痢止めや吐き気止めは使用せず、水分補給に努める

■ ステップ3
水分が取れず尿が出ない、意識がもうろうとするなどの脱水症状があったり、周囲に同じような症状の人がいる場合は速やかに病院を受診する

■ ステップ4
ウイルスが原因の食中毒は、便や嘔吐物中のウイルスが他人への感染を引き起こすこともあるので、ビニール袋で密封したり、次亜塩素酸で処理するなどの予防策を行う

食中毒の病院での治療

食中毒で救急車を呼ぶ判断基準
病院への移動が難しいほど衰弱していたり、意識がもうろうとしている場合は救急車を呼んで下さい。

検査
血液や便を検査し、原因究明に努めます。

治療内容
点滴により脱水を予防します。原因が細菌である場合、抗生物質を投与します。

処方される薬
原因になる細菌に効果のある抗生物質や、整腸剤を使用します。
食中毒の予防対策

□ 食品は消費期限を把握し、早めに使い切る
□ 肉や魚を購入したら、汁が他の食品につかないようにする
□ 肉、魚、卵などを扱う場合は、前後に手洗いをする
□ 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はー15℃以下に保つ
□ 冷蔵庫に食品を詰め過ぎない
□ 調理器具は熱湯や次亜塩素酸で消毒し乾燥させる
□ 肉や魚は中心温度75℃以上で1分以上加熱する
□ 保存していた食品はにおいや色を確認し、怪しいと思ったら捨てる
□ 保存食はパッケージが膨らんでいたら内部でガスが発生しているので捨てる
□ 真空パックに入っている食品でも、要冷蔵と書いてあったら内部は無菌ではないので必ず冷蔵する

最後に医師から一言

食中毒はO157など一部を除くと後遺症なく治癒することが多いですが、下痢や嘔吐は大変苦しい症状であります。 できる限り発生させないように対策をしましょう。 (監修:Doctors Me 医師)

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