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医者にタメ口が多い2つの理由

医者のタメ口が多い理由はナゼでしょう? これには“意図的にタメ口で話している場合”と“知らないうちにタメ口になっている場合”が考えられます。医者にタメ口が多い2つの理由について解説します。

医者にタメ口が多い理由1:緊張をほぐしたい
人の命を扱う医療の現場ではどうしてもカタイ雰囲気になりがち。そのため、あえて砕けた話し方の方が効果的な場合もあります。実際に「砕けた話し方」と「丁寧な話し方」を比較してみましょう。「高齢の夫人が胃カメラを勧められた」というシチュエーションで考えてみたいと思います。

□砕けた話し方
「おばあちゃん、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。最近の胃カメラは細いし、昔ほどキツくないよ。眠って検査することもできるんだよ」

□丁寧な話し方
「患者様。胃カメラには、出血、穿孔、ショックなどの偶発症が存在します。学会の報告では、胃カメラの偶発症は0.005%、死亡率は0.00019%、鎮静剤の偶発症は0.0013%となっております。比較的安全ですが、まったく危険がないわけではございません。どういたしますか?」どうですか? 砕けた話し方のほうがいいという人も多いと思います。標準語より関西弁のほうが親しみを感じる人がいるように、砕けた話し方を好む人もいるでしょう。

医者にタメ口が多い理由2:知らないうちに思想が植え込まれている!?
医者の他に、タメ口が多いと言われる職業に警察官や自動車教習所の教官などが挙がるようです。では共通点はなんでしょう?

それは、その職業の人に対して意見しにくいこと。「もしかしたら不利益を被るかも」などと考え、思ったことを言い出せない場面もあるのではないでしょうか? もちろん、多くの医者、警察官、教官は言うでしょう。「オレはそんな態度はとっていない」と。たしかに権力思想になっているのはほんの一部だと思います。ただし、人は環境により、自己中心的、攻撃的になる可能性があります。権力思想についての興味深い実験結果を2つ紹介しましょう。

環境により人格は変わる!? “スタンフォード監獄実験”
1971年、アメリカ・スタンフォード大学心理学部で、心理学者フィリップ・ジンバルドーが普通の人に特殊な肩書きや地位を与えるとどうなるかを実験しました。実験は、新聞広告などで集めた普通の大学生など70人から21人を選び、11人を看守役に10人を囚人役に分けてそれぞれの役割になって生活させようとするもの。役になりきるように指導した結果、看守のイジメにより精神的に錯乱する囚人が出現したり、禁止されていた暴力をふるう看守が出現したりするなど実験はエスカレート。

カウンセリングしていた牧師が事の重大性に気付き、中止を要請することになります。しかし、ジンバルドーや看守は要請を拒否。牧師がこの状況を家族に連絡し、弁護士を通じて中止させるに至りました。2週間行う予定の実験はわずか6日間で終了となったのです。強い権力を与えられた人間と持たない人間が狭い空間にいると理性を失い暴走してしまうこと(権力への服従)、性格に関係なく役割を与えられただけでそのような状況に陥ってしまうこと(非個人化)が実験により明らかになったのです。

権力を持つと態度が変わる?
1970年代初期、テンプル大学の心理学者・デービッド・キプニスが、権力が倫理にどのような影響を与えるかを調べた実験があります。キプニスは、仮想の仕事環境で「管理職」と「部下」の役割を与え、さらに「わずかな権力しか与えない管理職」のグループと「解雇、異動、昇進など権力を強く持たせた管理職」のグループに分けて、部下の成績を向上させるという実験を行いました。

すると権力を持たない管理職は話し合いで合理的に物事を解決したのに対して、権力を持たせた管理職は、部下に批判的で、要求が厳しい、高圧的など、権力で物事を解決するようになったのです。さらには部下の業績には否定的で、部下の業績を自分のものにするという傾向もみられました。権力を持つことにより自分のイメージが大きくなり、権力を持たない者に対して共感する力が低下するとキプニスは警鐘を鳴らしています。

「地位が人を作る」逆もしかり
「地位が人を作る」と言いますが、逆もまたしかり。医者の多くは“緊張をほぐしたい”という意味合いでタメ口になっているものと思われますが、環境によって影響を受けている可能性もないとは言い切れません。また、医者でなくても、警察官、教官、管理職などなど、なんらかの権力を有している人は、知らないうちに自己中心的、攻撃的になっている可能性があります。「権力」は「パワハラ」の可能性を有しているので注意が必要です。

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