「還付申告5年間有効」の落とし穴 確定申告したのに住民税では無効になる控除も

確定申告で還付になる場合は、5年さかのぼって申告できます。国税庁の確定申告書等作成コーナーでも、平成24年分の所得税申告までは対応しています(平成29年3月現在)。還付申告5年間有効の制度もかなり知られてきて、サラリーマンで医療費控除やふるさと納税などの申告を遡って行う方も多いですが、ここにも落とし穴があります。
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住民税への影響

■住民税のしくみ

例えば平成26年分の還付申告を行った場合、平成26年分の所得が確定します。住民税については、平成26年分の所得に基づくものでは平成27年度(平成27年6月~平成28年5月)にすでに支払っています。 平成26年分の確定申告を行っていないのに、平成27年度の住民税が決められて支払っている(多くの場合、給与天引き)のは、サラリーマンの場合、会社が従業員お住いの自治体に「給与支払報告書」を提出しているためです。期限後に平成26年分の確定申告を行った場合、住民税の計算資料も変わりますから、平成27年度の住民税でも還付が生じることがあります。

■住宅ローン控除や上場株の損失などは注意

住民税においては、5~6月に行われる納税通知書の送達時までに申告しないと、下記のような控除・損失は無効になってしまうので注意が必要です。

・住宅ローン控除(所得税から引ききれない場合)
・上場株式等の配当を総合課税で申告し配当控除を活用する
・上場株式等の譲渡損失の損益通算・繰越控除

平成29年3月に、平成27年分の住宅ローン控除の所得税申告をした場合でも、平成28年度住民税において住宅ローン控除はもう活用できないということです。また青色申告65万控除や、マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除は、確定申告を期限内に行わないと活用できません。 関連記事を参照:「今年からはマイナンバーで紐づく…確定申告終了後のマネー(税・公的保険料)を整理しよう」

社会保障制度(所得制限などがある)への影響

確定申告した所得が、数多くの社会保障制度の利用に影響を及ぼします。所得制限の所得に関しては、住民税の計算資料に基づきますので、住民税の計算で控除等が無効になってしまうと、社会保障制度の活用においても困ることが出てくることになります。平成28年分の確定申告を先送りして平成30年6月に医療費控除の還付申告をしたとします。

一般に医療費控除の申告をすると、児童扶養手当などの所得制限では有利に働きます。しかし平成30年6月の期限後申告では、平成28年の所得に基づく制度の活用(遡及して手当をもらう等)に関しては、改めて手続きが必要になり面倒なことになります。

関連記事を参照:
確定申告によって自分の受ける社会保障はどう変わってくるのか(1)
寡婦(夫)の受けられる手当・年金~死別・離婚にまつわる制度のお話(2)

4月頃までには還付申告を

上記の影響を考えると、5年間権利があるからといつまでも還付申告を先送りできるものではないことが分かっていただけたと思います。還付申告の先送りで多い理由の一つは、確定申告期間(2月16日~3月15日)における税務署の混雑があります。そうであっても、3月後半~4月頃のまだ住民税額決定がされていないうちに行ったほうがいいと言えます。(執筆者:石谷 彰彦)

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