幸せ呼ぶ猫神の呟き マタハラ防止策 1月から企業に義務化
                 


マタハラ防止策 1月から企業に義務化

具体例で啓発・話し合い

妊娠や出産を理由にした従業員への嫌がらせ「マタニティー・ハラスメント(マタハラ)」の防止策が、1月から企業に義務付けられた。各社は問題となる上司の言動を示すなど啓発に力を入れるが、マタハラは同僚からも起こりうる。皆が働きやすい職場づくりに課題は多い。

 2015年秋、東京スター銀行に転職した女性行員(41)は、面接で「子育てしながら一緒に働きましょう」と言われ、驚いた。以前の勤務先では、第2子出産後に職場復帰する際、「前と同じポジションは用意できない」と、補助的な業務に替えられたからだ。妊娠や出産を理由に不利益な配置変更をすることは、男女雇用機会均等法などで規定するマタハラにあたる可能性がある。

 東京スター銀行の育休取得者は毎年10人を超え、子育てと両立して働く行員も増えている。それに伴い、マタハラ防止にも取り組んできた。社内セミナーで、マタハラを違法とした14年の最高裁判決を例に周知を徹底。ママ・パパ行員と管理職向けのコミュニケーションガイドも作成し、「こんな忙しい時に休職なんて困ったなあ」など問題になる言動を例示した。

 女性は現在、育児との両立のため午後6時半までの勤務だが、複数の顧客を抱える責任ある仕事を任されている。「上司が理解を示してくれ、子育て中の同僚もいて働きやすい」と話す。多くの企業は、法改正前からマタハラ対策に力を入れてきた。SOMPOホールディングスは16年、損害保険ジャパン日本興亜などグループ企業全社員対象の「人間尊重ポリシー」を改定し、妊娠を理由とした差別行為は一切行わないと明記した。

 また、産休・育休取得者に対する上司向けマニュアルを作成。「産休前の部下に『復帰後は時短だよね?』と言うのは、本人がフルタイムで働く意欲があるかもしれないので『BAD』」などと事例を示した。出産を理由にした事業主による解雇、降格などは改正前から違法だったが、今回新たに上司や同僚のマタハラも禁じられ、企業に防止策が義務づけられた。

 NPO法人マタハラNetの前代表理事、小酒部(おさかべ)さやかさんは「企業のマタハラへの理解がさらに進むだろう」と話す。一方で、「育休取得者や時短勤務者が抜ける分を、周囲が長時間労働で補わなければならない職場もある。そうした人が疲弊すれば不満がたまり、マタハラを誘発する恐れがある」と懸念する。

 厚生労働省の15年の調査でも、マタハラの加害者は上司や男性だけでなく、同僚や部下、女性も多かった。セクハラやパワハラとの違いが浮き彫りになった。働きやすく、マタハラの起きない職場づくりを模索する企業も出てきた。損保ジャパン日本興亜では、育休取得者の復帰前に職場のメンバー全員が集まり、生産性をあげ、誰も残業せずに済む働き方を話し合う。

 役員と社員合わせて4人のコンサルティング会社、旅館総合研究所では、社長の重松正弥さん(44)以外は全て既婚女性。個々の事情に応じた働き方ができるようにと、午後5時半以降の残業を禁止し、保育園に入れなかった子がいる社員は在宅勤務にした。取締役で子育て中の岩沢優花さん(34)は、「日頃からメールやインターネット電話での連絡を密にし、お互いさまの気持ちで業務を補い合っています」と話す。

 職場のコミュニケーションに詳しい第一生命経済研究所主席研究員の宮木由貴子さんは、「親の介護や自分の病気などで制限のある働き方をする人が、今後増えていく。マタハラが起こるような職場はもたなくなる。長時間労働の是正や、感謝を言葉で伝えるなど丁寧な意思疎通にも取り組むべきだ」と指摘する。(福士由佳子)

■マタハラの防止策 改正男女雇用機会均等法と改正育児・介護休業法が2017年1月に施行されたことで、企業に義務づけられた。政府の指針では、具体策として〈1〉マタハラの行為者に厳正に対処すると、就業規則などで規定して周知徹底〈2〉相談窓口の設置――などを行うべきだとしている。

マタハラにあたる言動の例

▽妊娠した部下に上司が

・「産休や育休は認めない」

・「(派遣・契約社員に)更新しない」

・「(正社員に)パートになれ」

▽妊娠で重労働を免除された人に同僚が

・「あなたばかりずるい」と仲間はずれにする

▽職場復帰後

・普通ありえないような配置転換

・減給

▽時短勤務者に同僚が

・何度も「あなたが早く帰るせいで周りは迷惑している」

(厚生労働省の資料から)

■マタハラの防止策:改正男女雇用機会均等法と改正育児・介護休業法が2017年1月に施行されたことで、企業に義務づけられた。政府の指針では、具体策として〈1〉マタハラの行為者に厳正に対処すると、就業規則などで規定して周知徹底〈2〉相談窓口の設置――などを行うべきだとしている。

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