幸せ呼ぶ猫神の呟き ■美容・ヘルス
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食事のたびに大量の汗が…そんな人には思わぬ病気が潜む

 激辛のカレーやラーメンを食べると誰もが顔や頭の中、唇の上や鼻の頭などに汗をかく。しかし、汗の量が異常に多かったり、普通に食事をしただけでも滝のような大量の汗を滴らせる人は病気が隠れていることもあるから要注意だ。サラリーマンの病気に詳しい、弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長に話を聞いた。

「激辛のカレーやラーメンを食べたときに出る汗は、酸味、塩味、甘味などの味覚成分も原因ですが、一番の理由は辛味成分です」本来、辛味は味覚要素には含まれないが、辛味による汗を含め、味覚性発汗と呼ぶ。

「味覚は口の中で体に良いものと悪いものを感知するセンサー。甘味、苦味、酸味、塩味、うま味を味覚神経によって脳へ伝えます。一方、辛味は渋味と同じで味覚神経以外で伝わります。痛覚や温冷覚に近い感覚刺激です」

 この辛味成分は、舌や口の中の粘膜を刺激して反射的に汗を出す。

「辛子の主成分はカプサイシンという物質です。これを含んだ食べ物を口にすると口腔内にある高温に反応する温度センサーが刺激され、その信号が神経回路を介して痛みと熱の感覚を脳に伝えます。ところが、その途中で脳の体温調整中枢から顔の汗腺に下向する発汗神経を刺激して、反射的に顔に汗が出るのです」

 激辛ラーメンのスープを飲むと汗の量が一層多く出るのは、カプサイシンの「痛み」とスープの「熱」がダブルで高温センサーを刺激するからだ。「このシステムは口腔内を極端な高温などから守るためのものですが、別の効果を生みます。顔や頭に汗をかくことで、汗をかいた部分の皮膚が冷却され、冷えた血液が脳に流れ込むのです。結果、脳がスッキリします。赤道直下の国々や夏の暑い季節にアツアツの辛い食べ物が好まれるのは、これが理由でしょう」

■耳下腺の手術をした人も注意

 もちろん、食事をすると、体内での熱産生量が増えて汗をかく。とくに栄養素の中ではタンパク質が最も多く熱産生を行うため肉を食べると汗をかきやすい。「こうした汗は誰にでも起こる生理現象のひとつですが、その程度がひどい『味覚性多汗症』は、味覚の刺激が過度に働くため、通常の味覚性発汗に比べて異常なほど分泌されます」

 この味覚性多汗症を引き起こす病気として知られているのが「Frey症候群」。耳の前下方にある耳下腺には唾液を分泌させる耳介側頭神経と、顔を動かす顔面神経が走っている。そこにできる腫瘍などの手術によって耳介側頭神経が損傷し、その後、誤った経路で神経が再生され、数年後に味覚性多汗を発症してしまう場合があるという。

「それ以外で注意したいのが糖尿病性神経障害です。これが味覚性多汗症を招く場合があります」

糖尿病による神経障害は、網膜症や腎症と並ぶ、糖尿病の3大合併症のひとつだ。

「自律神経が障害されると、低血糖時に交感神経がうまく働かなくなり、無自覚性低血糖になりやすくなります。また、急に立ち上がったときにめまいや立ちくらみなどを起こし、失神を起こす場合もある。胃の動きが悪くなって便秘や下痢を起こす人もいます。熱いものや辛いものを食べると顔に汗をかくのは味覚性発汗で、生理的な現象ですが、食事ごとに大量の汗をかくという人は糖尿病の進行を疑う方がいいかもしれません」

 気温がグングン上がるこれからの季節は汗をかくのは当たり前のように感じるが、食事中の顔の汗は注意が必要だ。

「白髪」が告げる 老化しそうな臓器となりやすい病気

 鏡を見るたびに増えていく白髪にため息をつく。そんな人も多いのではないか。同じ年代なのに白髪が一本もない人もいれば、白髪だらけの人もいる。「白髪は老化の象徴」といわれるだけに気になるのは当然だ。しかし、人はなぜ白髪になり、それは体のどこの老化を象徴しているのだろうか?

「本来、髪の毛自体に色はありません。髪の毛をつくる『毛包』という組織の色素幹細胞が色素細胞を生み出し、その色素細胞がメラニン色素をつくって髪の毛に供給することで髪は黒くなるのです。白髪になるのは色素細胞の数が減ったり、消滅したりして色素をつくれなくなるからです」

 こう言うのは色素細胞研究の専門家で、岐阜大学大学院医学系研究科の青木仁美講師だ。白髪は半透明で光に反射して白く見えるのだという。なぜ色素細胞が減るのか?

「色素幹細胞が分裂しにくくなるからで、その主な原因は加齢です。若白髪のように遺伝的要素から色素幹細胞の寿命が早い人もいますが、紫外線や放射線、体内の酸化、精神的ストレスなども関係しています」(青木氏)

 白髪は生え際や髪の毛の分け目で目立つ。それは紫外線が当たりやすいからだ。

「また、毛包内の色素幹細胞を守る『ニッチ』といわれる微小環境が障害されたり、色素幹細胞の活動を活発化させる遺伝子が変異すると色素幹細胞が分裂しにくくなり、色素細胞は減少します」(青木氏)

 放射線治療を受けたがん患者で、たまに治療後に、最初に生える髪が白髪になるのは、ニッチが放射能による障害を受けやすいから。色素幹細胞自身は比較的放射能に抵抗性があるので、髪が生えかわると黒い髪に戻ることが多い。

 興味深いのは、この色素細胞は髪の毛だけでなく体のあちこちにあって、一定のつながりをもっていると考えられることだ。

「色素細胞は髪の毛のほか、皮膚、網膜の奥、内耳、髄膜などさまざまなところに存在しています。そしてその役割は外界からの過度の刺激から臓器を守ることです。たとえば、髪の毛や皮膚の色素細胞は主に紫外線から髪の毛や肌を守ります。目では光が集まる網膜の温度が高くなったり、酸素不足になったりするのを防ぐと考えられています。内耳の色素細胞は、聴覚や平衡感覚に重要です」(青木氏)

■全身の病気に関わっている可能性も

 ならば、白髪は、身体のあちこちに存在する色素細胞の減少や機能低下を意味するのか?

「ハッキリとは証明されていませんが、可能性はゼロではありません。少なくとも、色素細胞の病気が身体全体の病気に関わる場合があります。たとえばダーウィンはその著書『種の起源』の中で目の虹彩の色が左右違う猫が難聴を伴うと記述しています。ヒトでは、1951年にオランダ人医師のワーデンベルグが目の虹彩・皮膚の色素異常症と難聴を伴うワーデンベルグ症候群を報告しています」(青木氏)

 フォークト・小柳・原田病(以下原田病)は、突然両目に網膜剥離が生じて見えにくくなる病気だ。目の病気だと思われがちだが、同時に髄膜炎、難聴を生じ、その後に皮膚の白斑、白髪、脱毛などが生じる。日本神経眼科学会理事で、「清澤眼科医院」(東京・南砂)の清澤源弘院長が言う。

「この病気は色素細胞に対する自己免疫疾患だといわれています。原田病では色素細胞を標的として病気が起きることから、メラニン色素が多い組織、つまり目、耳、髄膜、皮膚、毛髪などで炎症が起きるのです」

 原田病では目に症状が出てくる前に、風邪をひいたときのような頭痛やめまい、微熱、頭皮のピリピリ感、全身倦怠感などといった髄膜炎症状が見られ、やがて両目の充血、かすみ、ゆがみ、視力低下が表れる。耳では感音性難聴、耳鳴り、めまいなどが起きる。発症後、半年から数年後には皮膚の白斑、白髪、脱毛が見られ、まつげや眉毛も白くなったりする。

 色素細胞は心臓にもある。その異変は心房細動由来の不整脈発症などに影響するとの報告もある。また、目の色素細胞の異変は失明につながる加齢黄斑変性症に関係するともいわれている。

 色素細胞を収縮させて皮膚の色を薄くするメラトニンは、ヒトではまだ未解明な点も多いが、生殖腺の発達や性腺機能を抑制する作用も報告されている。色素細胞の異変マウスでは繁殖能力の低下を伴うことも多く、不妊につながっているのでは、との見方もある。これまで色素細胞の喪失の結果として表れる白髪は単なる老化として片づけられてきた。しかし、今後の研究次第では病気の予兆と捉えられるかもしれない。

片頭痛に新治療法 「予兆療法」で頭痛薬いらずになるのか

 片頭痛に悩んでいる人は、新しい治療法「予兆療法」が症状軽減につながるかもしれない。11月の日本頭痛学会総会で予兆療法について発表した「かく脳神経外科クリニック」(山口県)の郭泰植院長に聞いた。 片頭痛は慢性頭痛のひとつで、「ズキンズキン」「ガンガン」といった激しい痛みが4~72時間続く。吐き気や嘔吐を伴い、仕事や育児などの生活の質(QOL)を著しく低下させる。

 この片頭痛の薬物治療の基本は、急性期治療と予防療法だ。

「急性期治療では、頭痛発作が始まったらトリプタンや鎮痛薬・制吐剤を服用して痛みを軽減させます。片頭痛発作が月2回以上ある場合や、急性期治療だけでは治療が不十分な場合、β遮断薬やカルシウム拮抗薬などを日常的に数カ月服用して、頭痛発作の頻度を減らす予防療法が検討されます」(郭院長=以下同)

 片頭痛はさまざまな因子の影響を受けやすい。ストレスや疲労、睡眠不足、月経周期、空腹、アルコールなどだ。さらに気圧、気象、気温、湿度、風、雷などの天候の変化も誘発因子のひとつで、近年は異常気象による片頭痛のコントロール不良も増えている。

「異常気象時代の片頭痛にどう対応するかを考えていく中で、行ったのが予兆療法です。急性期治療の薬が不要になった患者さんもいます」片頭痛の経過は、予兆期、前兆期、頭痛期、回復期に分類される。郭院長は、予兆期に行って頭痛発作の阻止あるいは軽減を目的とする治療戦略を予兆療法と呼ぶこととした。

 片頭痛の予兆は視床下部や脳幹の機能が関与しており、症状は首や肩の凝り、生あくび、眠気、食欲増進、甘いものを欲す、イライラ、むくみ、だるい、光や音が不快など。前兆期は、キラキラ・ギザギザの光が見えるなどがある。

■めまい薬で全患者の86%に効果

 郭院長が片頭痛患者334人に予兆と前兆について聞くと、予兆がある人は322人(96%)で「首や肩の凝り」が最多。前兆がある人は39人だった。天候の変化で頭痛発作が誘発される人は236人、めまい症がある人は265人いた。

 334人中、①予兆あり②天候の影響③めまい症あり――の条件を満たす111人に、めまい症の薬ジフェニドールを予兆期に服用してもらった。気圧の低下を耳の奥にある「内耳」のセンサーが感知して、内耳から脳幹への興奮の伝達で頭痛発作が誘発される。ジフェニドールは、この興奮を調節し、予兆期にて頭痛発作を阻止する。

 その後に調査を行った73人のうち、「2回に1回以上頭痛発作の出現を阻止」できたのは35人(48%)で、全体の86%に発作阻止の効果が見られた。頭痛の強さも、7割以上で軽減した。

 予兆療法は片頭痛の予兆を自覚した時のみ行うことが原則。一人一人が予兆期における最適な服用のタイミングを見つける必要がある。まだ周知された治療ではないため頭痛専門医の指導を受けるのが望ましい。

「前兆に比べ、予兆はある人が多い。片頭痛に移行する予兆か、それとも一般的な不調かは、頭痛の起こった日時や症状を記録する頭痛ダイアリーで見極められます。予兆療法は頭痛発作を直前に阻止するため、精神的な不安も軽減します。予兆療法、急性期治療、予防療法をうまく組み合わせることで、頭痛をより上手にコントロールできるようになり、薬の使い過ぎが招く薬物乱用頭痛の予防も期待できます」

喉が詰まるような違和感は「脳梗塞」の予兆かもしれない

喉が詰まったような違和感を覚えた場合、脳梗塞の予兆の可能性がある。国立病院機構東京医療センター感覚器センター(耳鼻咽喉科学)角田晃一医師に聞いた。

 角田医師が市中病院に勤務していた時、内科から80代の患者が紹介されてきた。「扁桃炎ではないか」との見立てだったが、角田医師が口腔内を見ると、1カ所、咽頭後壁(口の突き当たり)がボコボコ腫れ、脈と同期して拍動していた。扁桃炎ではなく、口の中への頚動脈の変位走行異常(以下:走行異常)だった。

「その理由として考えたのは、高齢で前かがみの姿勢になると、胸、胸郭、頭のてっぺんの距離が近くなり、首が短くなる。静脈は縮むことができますが、動脈は加齢で硬くなっていて縮まず、抵抗のない口の中で不自然に曲がるしかなかった、ということです」

 すると、血液の流れに変化が起こる。血管が曲がっているため、あるところではせき止められ、あるところではドッと流れる。後者の時、その流れの勢いで血栓が一気に脳へ飛び、脳梗塞を起こす可能性がある。

「この患者には『脳梗塞を起こすリスクがあるからすぐに内科へ行きましょう』と紹介状を書きました。ところがその患者はすぐに行けなかった。すると6日後、脳梗塞を起こして病院へ救急搬送されました」

■高齢で身長が3センチ以上縮んだ人は危険

 角田医師は、脳梗塞と動脈の変化を調べるために、同センターと国立病院機構の計12施設の患者のデータを分析した。対象は65歳以上85歳未満で、脳梗塞患者72例と、めまいや難聴で受診したが脳梗塞は否定された患者163例。いずれも、「そもそも脳梗塞のリスクが高い人」である心房細動、不整脈、心臓弁膜症、糖尿病、その予防治療のアスピリンやワーファリンといった血液をサラサラにする薬を処方されている人を省いた。

 その結果、脳梗塞患者は87・5%に頚動脈の走行異常(曲がっている、蛇行しているなど)があったが、非脳梗塞患者は8・6%に過ぎなかった。

 さらに、身長3センチ以上減は脳梗塞患者で76・4%、非脳梗塞患者で19・6%。頚動脈の走行異常と身長3センチ以上減の両方がある人は、脳梗塞患者の87・5%、非脳梗塞患者の6・75%だった。

「つまり、脳梗塞と頚動脈走行異常、身長3センチ以上減は密接な関係にあるということ。身長が減少するのは、加齢で前かがみの姿勢になっているからです。自覚症状としては、最初の2カ月は座ったり立ったりした時に頚動脈が喉の突き当たりを移動するため、喉の違和感を覚える人が多い。頚動脈変位走行異常が何カ月も続くと、変位走行異常が固定してしまい、自覚しなくなる」

 ベテラン耳鼻咽喉科医が意識して脈を取りつつ口腔内の検査をすれば、走行異常した拍動する腫れは見つかる。前かがみの姿勢で身長が若い時と比べて3センチ以上縮んだ人なら、脳梗塞のリスクを疑って口の中を調べたほうがいい。

「頚動脈の走行異常が起こっていれば、アスピリンやワーファリンなどの服用をすることで、脳梗塞が予防できるかもしれません」 冒頭の患者のような例があるので、姿勢が悪くなりのどの違和感がある人は、医師に行くのは、できる限り早めに。頚動脈走行異常を指摘されれば、何をおいてもすぐ病院で精査を。

靴底の減り方で分かる足の問題点 ~5パターンのうち4つはNGです~

足のクリニック表参道院長 桑原靖

 自分が履いている靴の靴底が、どんな擦り減り方をしているか、見たことがありますか。次の五つのパターンが考えられ、どれに該当するかで、足のどこに問題があるのかが分かります。

 (1)やや外側が減っている
 (2)中心が減っている
 (3)内側が減っている
 (4)外側が減っている
 (5)左右非対称に減っている

◇かかとやや外側は「正常」

 五つのパターンのうち、正常なのは(1)だけです。靴のかかとの外側が減っていると、O脚のせいだと気にする人が多いのですが、かかとのやや外側が減るのはむしろ正常なのです。

 歩くときの足の動きを考えれば、靴のかかとのやや外側が減るのが、ごく自然なことであると分かります。歩くときは、かかとの少し外側から着地し、次に足裏全体が着いて、足首が前に進んで親指の付け根で地面を蹴って抜けていきます。

 このとき、最初に地面に接するのは、靴のかかとのやや外側です。靴の裏側をひっくり返してみると、靴のかかとの外側が補強されていることが多いのはこのため。従って、かかとのやや外側とつま先のやや内側が減るのが正しいすり減り方です。

◇猫背や腰痛になりやすいパターン

 では、他のパターンがなぜ、いけないのかを見ていきましょう。

 (2)の靴の中心が擦り減るパターンは、アキレス腱が硬く、縮んでいることが考えられます。縮んだアキレス腱に引っ張られて、体が後ろに傾き、重心が中心からかかとに偏ってしまいます。

 この状態だと、体がバランスを取ろうとして前かがみになるので、猫背になり、腰痛や股関節痛の原因にもなります。

 また、アキレス腱が硬い人は、足首を前に倒して体重を正しく移動させることができないため、足裏の接地後、すぐにかかとが浮いてきて、最後に股関節をギュッとねじって歩くような癖がついてしまいます。そして、このときの擦れが靴底に表れてきます。

 (3)の靴の内側が擦り減るのは、かかとが内側に傾いた「過回内(かかいない)」の状態になっている可能性があり、さまざまな足のトラブルの原因になります。

 人間の足は、中心が真ん中の中指ではなく、人差し指にあり、そのラインの延長線上に、足のアーチの最も高い頂点がきます。足の中心から内側の親指側のほうが狭く、負荷がかかると弱いため、足は内側に傾きやすい構造になっています。

 このように不安定な構造になっているのは、歩くたびに足のアーチがほんの少したわむことで、衝撃を吸収し、効率よく蹴り出す力を生み出すためです。

 ◇外反母趾や巻き爪の原因にも

 真っすぐ立ったときの足を後ろから見たとき、内側に倒れている状態を「回内」、外側に倒れている状態を「回外(かいがい)」といいます。

 回内が過剰になる(過回内)と、足のアーチがつぶされて、扁平足になります。すると、たわみではなく、歪みとなり、外反母趾(ぼし)や強剛母趾、タコやウオノメ、巻き爪などのトラブルを起こしやすくなってしまうのです。

 足首が内側に倒れると、ふくらはぎも内側にひねられてしまうため、膝や股関節の痛みにつながります。つまり、かかとの内側が減る「回内」の状態は、足のトラブルが起こりやすいサインともいえるのです。

 (4)の靴底の外側が減っている場合は、足首が外側に傾く「過回外」の状態です。過回外の人は、本来は正面を向くはずの膝が外を向いてしまい、足を外側に向けて歩くので、ふくらはぎの骨がねじれ、足首や膝に負担がかかります。

 また、過回外の人の足は構造に遊びがなく、接地した時にほとんどたわまないため、足で衝撃を吸収することができず、膝や股関節を痛めやすくなってしまいます。分かりやすく言うと、ゴツゴツした足と表現することもできます。

◇減りが左右で違うなら原因確認を

 (5)の靴底の減り方が左右で違う場合は、どちらかの足が強く、回内していて、重心が偏っているか、左右の足の長さが違っていることも考えられます。

 膝を曲げた体育座りの格好になって、左右の高さを比べてみてください。生まれつき、左右の脚の骨の長さが違う場合もありますが、どちらかの足のアーチがつぶれてしまって、膝から下の長さに差が出ていることもあります。

 左右差があっても、1~2センチくらいまでなら大きな影響はないのですが、それ以上の差があると、一方の膝や股関節に負担がかかり、痛みの原因になります。インソールで左右差をなくすこともできますので、早めに専門医にかかって原因を突き止め、対策を取った方がいいでしょう。(文・構成 ジャーナリスト・中山あゆみ)

桑原 靖(くわはら・やすし)

 「足のクリニック表参道」院長。2004年埼玉医科大学医学部卒業。同大学病院形成外科で外来医長、フットケアの担当医として勤務。13年東京・表参道に日本では数少ない足専門クリニックを開業。専門医、専門メディカルスタッフによるチームで、足の総合的な治療とケアを行う。 日本下肢救済・足病学会評議員。著書に「元気足の作り方 ― 美と健康のためのセルフケア」(NHK出版)、「外反母趾もラクになる!『足アーチ』のつくり方」(セブン&アイ出版)など。

「隠れインフル」って何? 感染症のプロが「インフルの俗説」を一蹴

インフルエンザについて、高熱が出ない「隠れインフル」の流行や、感染者が紅茶を飲むと菌が死滅する、など諸説が流れています。果たして、これらは正しいの?まだまだ猛威を振るうインフルに、私たちはどう対処すればいいの?感染症のエキスパート、神戸大学医学部感染症内科の岩田健太郎先生にお話をうかがいました。

「隠れインフル」って何?

――「隠れインフル」という言葉をよく聞きますが、何なのでしょうか。

岩田健太郎先生(以下、岩田): 「隠れインフル』などという概念はありません。インフルエンザウイルスに感染して、あとは発症しない人と、発症しても軽症の人、そうでない人といろいろな人がいるというだけの話です。軽めの症状でインフルエンザに診断される人はいますが、「隠れインフル」と呼ぶ必要もないし、特別扱いする根拠もありません。

――症状がない、もしくは軽症であれば、病院に行かないのでは?

岩田: 軽めの症状でも病院に行く人はいます。インフルエンザには、迅速検査といって鼻の奥に長い綿棒を入れて粘膜を採って検査する方法があるのですが、病院によっては、激しい咳や高熱が出ていなくても検査することがあるんです。しかも、この迅速検査をしても、(インフル感染があったとしても)5割~6割の確率でしか分からないんです。

――軽症の人と重症の人では、治療法は変わるのでしょうか。

岩田: 症状が軽ければ、治療薬の効果は相対的に下がり、副作用リスクは相対的に上がります。重症ならば逆になります。一般に、インフル薬を飲んでも、薬を飲まない人に比べて症状が出る期間が1日ほど短くなるだけなんです。やみくもに薬を飲むのではなく、効果と副作用について考えたほうがいい。症状が軽いのに、わざわざ副作用のりスクを取る必要はないでしょう。家で寝ていたらいいんです。

症状が軽ければ、外出してもいいのか

――インフルエンザでも症状がひどくなければ、通勤や通学をしてもいいのでしょうか。

岩田: それほど症状がひどくなければ通勤や通学をしても構いませんが、周りに配慮してマスクや手洗いは必要です。中等度以上の症状がある場合は、家でゆっくり休んだほうがいいでしょう。もちろん、感染のリスクをゼロにしたいなら、通勤も通学もしてはいけません。

――外出する場合、マスクはしたほうがいいのでしょうか。

岩田: たとえ軽症でも、咳やくしゃみをすると飛沫(しぶき)が飛んで感染することがあります。インフルエンザウイルスに感染している人は、マスクをしましょう。ただ、健康な人が予防のためにマスクをしても、効果は期待できません。

かかりやすい人とかかりにくい人がいる?

――感染しやすい人としにくい人がいるのでしょうか。

岩田: 非常に太っている人の場合、感染しやすいというデータはありますが、理由は分かっていません。かかりにくい人がいるわけではありませんが、持病がある人や免疫抑制剤を使用している人、幼児や高齢者、妊婦、ぜんそくなどの呼吸器疾患を持っている人は、重症化しやすいのです。

――ワクチンの予防効果はあるのでしょうか。

岩田: ワクチンには、その年に流行すると予測された4つの型が入っています。その予測が外れることはあまりありません。10月から12月にかけて接種するのが望ましいです。流行してから慌てて打っても、火が燃え広がってから消火器を持って、火消しに行くようなものです。

諸説は本当なのか

――紅茶を飲むとウイルスが死ぬという説があるのですが。

岩田: それは根も葉もないデタラメです。紅茶でインフルエンザが治るなら、医者はみんな使っています。

――予防にはマイタケがいいという説はいかがでしょうか。

岩田: 紅茶もマイタケも、そうした民間の俗説は、あまり信用しないほうがいい。まともな情報はあまり面白くないので誰も飛びつきませんが、そうした物語は魅力的に思えるんです。簡単に金持ちになれる方法とか、信用しないほうがいい。

――正しい情報をみつける方法はありますか。

岩田: 雑誌やテレビ、ネットの情報に影響されないこと。情報は自分で管理するという意識も持つことが大事です。ガセネタに飛びついてだまされても、それは自己責任です。情報の取捨選択は自分でやるものであって、簡単に手に入ると思わないほうがいいんです。相対的に英語の情報は、信用度の高いものが多い。「Pub Med(パブメド)」で検索したり、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)のホームページを見たりするといいでしょう。

※Pub Med:医学、ライフサイエンスに関する文献のデータベース

●岩田健太郎(いわた・けんたろう)先生 プロフィール
島根県生まれ。1997年島根医科大学卒業。2004~09年亀田総合病院(千葉県)。08年から神戸大学大学院医学系研究科・医学部微生物感染症学講座感染治療学分野教授、神戸大学都市安全研究センター感染症リスクコミュニケーション分野教授。米国内科専門医など。著書に『もやしもんと感染症屋の気になる菌辞典』(朝日新聞出版)ほか

子育ての大変さは「休めばいいじゃん」では解決しない。何がストレスなのか?

眠れない、ゆっくりご飯が食べられない、お風呂もじっくり入れない、ほっと一息つくなんてもってのほか。毎日があわただしく過ぎて行く子育て期間。

じゃあ、ほんの少しでも、主人や両親に子どもを預けて休息時間やリフレッシュタイムをもらえたら、子育てはグンと楽になるのでしょうか?  ほとんどのママの答えはこうでしょう。「NO」。だって、子育てが大変な理由、それは「休めないから」ではないのです。

思ったらすぐ行動できる幸せ

筆者の友人は、ふたりの子どもが1歳と2歳のときに職場復帰しました。当時、友人は「子育てで毎日大変で、その上仕事もして家事もして…って私、倒れてしまうかも。でも、仕方ないよね」と、不安そうだったのを覚えています。

筆者は彼女の話を聞きながら、「まだまだ子どもに手のかかる時期。きっと大変だろうなぁ」と思っていました。それから数カ月後、久々にその友人と会うと、なんだかイキイキ。疲労感などみじんも感じさせないのです。

「どうしたの?  なんかすごくパワーがみなぎってる感じでいいね」と思わず声をかけると、友人はこう言ったんです。

「仕事と育児、家事の3つをこなすのは確かに大変だし、時間がいくらあっても足りない。でも、仕事中は『喉が渇いた』と思ったときにすぐにお茶が飲める、『トイレに行きたい』と思ったときにすぐにトイレに行ける…。今まで当たり前だと思っていたことが、すごく幸せに感じて。肉体的にはしんどいな、と思うことがあるけど、『これをやりたい』と思ったときにすぐにできる時間がある今は、精神的な疲れがまったくない」

確かに、子育て中は「気が付いたら朝から飲み物を飲んでいなかった」という日はしょっちゅうだし、トイレの戸を閉めようものなら大号泣されるから、トイレの戸をあけっぱなしで用を足す…なんてことも。

たまには外食を…といっても、子どもに食事を与えるのが先。ようやく自分の番…となっときに、お腹いっぱいで退屈になった子どもが席から立ち上がろうとする。急いで冷めた料理をかきこむ、もちろん味なんてわかりません。

これが日常で、これが当たり前の風景。自分の意思で行動できない。行動が制限される。そんな不完全燃焼な気持ちが心の中に蓄積されていく…これこそが「子育ては大変だ」と感じる原因なのではないでしょうか。

愛しているがゆえの苦悩

そう考えると、ママたちが口癖のように「ひとりになりたい」「誰にも邪魔されずに好きなことをしたい」と思うのは至極当然のように思えてきませんか? 

それは決して「子どもの存在をうっとうしく感じる」わけでも「子どもを産んだことを後悔している」わけでもないのです。ただ単に、「こう、と決めたことを最後までやり遂げたい」という願望の表れなのです。

食事を最後までゆっくり味わう、お風呂で体のすみずみまでしっかりと洗う、落ち着いて用を足す。やって当たり前、できて当然のことができない苛立ちは、かなりのストレスになります。

そして、自分の時間を邪魔する相手というのが、世界で一番愛おしい存在、というのも事態を厄介にしている一因。

例えは悪いですが、急いでいるのに、前に道いっぱいに並んでおしゃべりしながらゆっくりと歩いているグループが立ちはだかっている。「すいません」と何度か声をかけるのに、まったく気付いてくれない。

そんなときは、「なんなのこの人たち、常識ないなぁ」と怒りを相手に向けることができます。家族や友人に「こんな非常識な人がいてさ…」とグチることも可能です。

でも、おいしいコーヒーを淹れて、いざ飲もうとしたら「ウンチ出た」という子どもの訴え。おむつを替え、手を洗い、アレコレしていると、すっかりコーヒーは冷めてしまった…。

こんなとき、「もう、なんでこのタイミングでウンチなのよ!」と一瞬思っても、すぐに「あぁ、こんなこと思うなんて、私はひどいママかも」と、自己嫌悪に陥ってしまいませんか? 

家族に「せっかくコーヒー飲もうと思ったのに、ウンチしたんだよ!」なんてグチっても、「出ちゃうものは仕方ないじゃん」で片づけられるのがオチ。「今これしたかったのに…」という怒りや失望は、自分の心で片づけるしかないんです。

幸せ、しんどい、どっちも本音

「大変なのは今だけ」「すぐに手がかからなくなる」これを呪文のように繰り返しても、あまり効果はないかもしれません。だって、いつかくる未来に思いをはせても、今の大変さは変わらないのですから。

子どもがいることは嬉しい、幸せ。でも、生活が制限されてストレスに感じるのも事実。自分が望んで今の生活があるとはいえ、たまにはグチや弱音は出てしまいますよね。だって、本当に大変なんですから。世のお母さん、本当にお疲れさまです。

わが子が発達障害?親がぶつかる「最初の壁」

発達障害など、子どもの心を扱う医療機関で、数か月にも及ぶ「予約待ち」が常態化しているという。異変に気づいても、すぐには専門医に診せることができず、不安を募らせる親が少なくないそうだ。小児外科医で、数々の医療ルポを手がける松永正訓さんが現状をリポートし、解決への道を探る。

◆発達障害は稀ではない

 私は、千葉市の中心部からやや離れた住宅街で小児クリニックを構えています。診療の合間に、小児がんや先天性染色体異常、在宅呼吸器を使う子どもたちについてルポルタージュを書いてきました。

 昨秋には、『発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年』(中央公論新社)という本を出版しました。この本を書くうちに、発達障害の診療に関して、医療界に大きな問題があることが見えてきたのです。

 発達障害とは、脳の先天的な発生・発達の異常に基づく障害です。2012年に文科省が実施した調査によれば、通常学級の中で発達障害の可能性のある児童・生徒の数は約6.5%であるという報告がなされています。15人に1人の割合です。こんなに多いのかと驚く人が多いでしょう。

 発達障害とは次の三つを言います。多いとされる順に書きます。

 1.学習障害

 2.注意欠如多動性障害

 3.自閉症スペクトラム障害

 これらの三つは重なり合い、1人の子どもが複数の障害を併せ持っている場合もあります。自閉症スペクトラム障害の「スペクトラム」というのは聞き慣れない言葉かもしれません。自閉症には、知的障害を伴う子から正常な子まで知能に幅があり、自閉的な傾向の強さにも大きな幅があります。こうした幅のことを連続体=スペクトラムと表現しているのです。

 私が自著で描いたのは、勇太君(仮名)という現在18歳の青年と、その母親の立石美津子さんのこれまでの人生です。勇太君の知能指数は37で、精神年齢は5歳8か月と判定されています。自閉症の特徴であるコミュニケーション障害と、頑(かたく)ななこだわりの強さが見られます。母親の立石さんは幼児教育の専門家で、著作活動や講演活動をしています。本には、母親がいかに勇太君の障害を受容していったのかについて書きましたが、ここではそのプロセスにも関わる「自閉症の診断の難しさ」を論じたいと思います。

◆「初診までに4年」のクリニックも

 勇太君は2歳を過ぎても言葉を発しませんでした。保育園に入園後も、ほかの園児と遊ぶことができませんでした。この頃、勇太君はアトピー性皮膚炎のために国立成育医療研究センターに通っていたので、母親は言葉の遅れについても相談しました。するとアレルギー科の主治医は、こころの診療部に予約を入れてくれました。こうして勇太君は発達障害について、相談から1か月後に診察を受けることになったのです。

 こころの診療部の医師は、勇太君の様子を見て、1分もしないうちに「お子さんは自閉症ですね」と診断したそうです。母はあ然として、これを誤診だと考え、次回の予約をキャンセルして、ほかの病院の児童精神科を回ることにしました。

 具体的には、東京大学医学部附属病院、東京都立梅ヶ丘病院(2010年に閉院)、瀬川記念小児神経学クリニックといった有名医療機関です。いずれの病院も予約の電話がつながるまで1か月以上かかり、予約から初診まで数か月待ちだったそうです。三つの病院を巡り、どこでも「自閉症ではない」とは言われずに、母親は病名を受け入れざるを得なくなりますが、それまでに1年を要しました。神奈川県内にあるクリニックの予約も取ったそうですが、初診の順番が回ってきたのは4年後でした。これらのことを考えると、勇太君が最初に、1か月の待ち時間でこころの診療部を受診できたのはとても幸運だったということになります。ただ、病名に納得するまでに時間を要したため、多大な時間を費やすことになったのです。

 自閉症という診断を受け入れた勇太君の母親は、息子を療育に通わせることを決めました。療育とは、自閉症児に対して発達を促し、自立して生活できるように援助をする取り組みです。先述の都立梅ヶ丘病院を受診することにしましたが、この時も、電話がつながるまでにやはり1か月かかり、予約から受診までにさらに6か月を要したといいます。

◆子どものこころの専門医が足りない

 なぜ、ここまで時間がかかるのでしょうか? それは、子どもの心を診療できる医師が極端に少ないからです。これは首都圏に限らず、全国的な問題だと言えるでしょう。もしかしたら、地方の方が深刻かもしれません。

 私が開業する千葉市も似たような状況です。千葉県こども病院の精神科は、一時、予約から受診まで9か月待ちと言われました。現在は、翌月の予約を前月の1日(ついたち)に電話で受け付けるシステムになっていますが、枠がいっぱいになると、翌月に持ち越されます。

 千葉大学医学部附属病院のこどものこころ診療部も、年間予約枠を4クールに分け、前月の1日に電話で予約を受け付けます。ここでもやはり、枠がいっぱいになれば、次のクールに持ち越しになります。

 子どもの心を専門に扱うのは、児童精神科医か、子どもの心を専門とした小児科医です。こうした専門医を増やすためにはどうすればいいのでしょうか?

 実は、現在のところ、答えはありません。私は小児外科医ですが、外科医としてお腹(なか)の中の病気をすべて手術で治せるようになるまで10年以上の修業が必要でした。現在の医療システムは、医学部を卒業した後に前期・後期の研修医制度があり、それだけでも医師が基本的な力を付けるために5年以上を要します。そこから子どもの心を専門に修業を積んでも10年はかかります。つまり、今の時点で、専門医を大勢養成しようと考えても15年はかかるということです。

 たとえ15年後になってしまっても、専門医が大勢いる時代がぜひ来てほしいのですが、保護者の立場からすれば、最も知りたいのは「現時点で誰に頼ればよいか」だと思います。私は、小児科のかかりつけ医にまず相談すべきではないかと考えています。
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◆発達障害を疑うとき

 幼い子どもを育てている親が、我が子の発達障害を疑うのはどんなときでしょうか。まず、1歳半の健診(健康診断)のときでしょう。

 健診の際に、身長や体重といった身体面のチェックをすることはもちろんですが、1歳半では、「言葉が出るか」「社会性があるか」を評価することが非常に重要になります。子どもが親との間でコミュニケーションを取れるかは大事なポイントです。

 子どもが知っているものや欲しいものを指さすのは、親に共感を求めたり、欲求を伝達しようとしたりする仕草(しぐさ)です。困った時に親に助けを求めるのも重要なコミュニケーションです。ほかの子どもに関心を持って一緒に遊ぼうとするのは、子どもの社会性を表します。おもちゃを本来の遊び方で遊べるかなどの見極めは重要なポイントです。ミニカーを走らせるのは、おもちゃに合った遊び方と言えますが、例えば、単に一列に並べるのは定型発達と少しずれているかもしれません。

 この時点で、明らかな異常があれば、かかりつけ医は専門機関に子どもを紹介することになります。しかしながら、

 1 専門機関を受診するまでに数か月待つ場合

 2 明らかな発達障害と言い切れない場合

 は、かかりつけ医も対応に苦慮します。

 千葉市の場合は、そうしたお子さんに対応するシステムがあります。療育を行ってくれる児童発達支援の施設が千葉市には59か所あります。かかりつけ医が意見書を書くと、受給者証が発行され、家族は1割負担で通所施設を利用できます。そして、かかりつけ医は子どもを発達支援施設に紹介したらそれで終わりでなく、定期的にクリニックを受診してもらい、子どもの発達の様子を保護者と一緒に見ていくのです。

 発達支援施設に通うことで、お子さんの発達が順調に進めば、それは最良の経過です。ですが、定型発達とずれていくのであれば、改めてお子さんを専門機関に紹介するという形を取ります。

◆カギを握る「かかりつけ医」

 こうしたシステムは自治体によって異なると思います。すべての自治体でこうした取り組みができているとは限らないでしょう。しかしながら、発達障害の疑いのある子どもを診ていく上でカギになるのは、専門医よりもむしろ小児科のかかりつけ医かもしれないという事情は、各地で共通ではないでしょうか。

 もちろん、私を含めた小児科かかりつけ医は、児童精神科医のような高度な知識は持っていません。けれども、これだけ専門家が少ない現状を考慮すれば、当面は最初の窓口となる私たち開業医が一生懸命勉強をしていくしか解決方法はないでしょう。

 保護者の中には、開業医を「単に薬をくれる人」のように見る人もいます。しかし、かかりつけ医の役割は決してそういうものではありません。子どもの成長と発達を支援して行くのが本来の役目なのです。風邪などの治療はむしろ、「おまけ」のようなものです。

 開業医の側も、保護者の期待に応えるべく、研鑽(けんさん)を積む必要があります。千葉市医師会では、発達障害の子どもに対する勉強会や研修が始まり、私も参加しています。発達障害の疑いのある子と専門施設の間を取り持つ開業医の役割は非常に重要だと思っています。

◆母親の切なる思い

 18歳まで勇太君を育ててきた母親の立石さんは、これまで数え切れないほどたくさんの発達障害児の家族に講演会などを通じて接してきました。立石さんも開業医の役割がカギになると指摘します。

 自分の子どもが「発達障害かも?」と疑ったときに、自分からかかりつけ医にその話を切り出したり、発達相談センターの門を叩(たた)くのはかなり勇気が要ると言います。お子さんが風邪などで小児科を受診した際に、医師の方でも発達の異常がないか目を配り、もし気づいたなら、発達障害の可能性を口にしてほしいと立石さんは提言します。

 私は、この指摘は非常に重要だと思います。患者家族と開業医は何でも相談できる信頼関係を作っておき、もしも子どもに発達障害などの可能性があるのなら、この先どのようにしていくかを遠慮なく話し合う。それが何より子どものためになるでしょう。

■プロフィル
松永 正訓( まつなが・ただし )
 1961年、東京都生まれ。87年、千葉大学医学部を卒業後、小児外科医になる。99年に千葉大小児外科講師に就き、日本小児肝がんスタディーグループのスタディーコーディネーターも務めた。国際小児がん学会のBest Poster Prizeなど受賞歴多数。2006年より「 松永クリニック小児科・小児外科 」院長。2013年、『運命の子 トリソミー』で小学館ノンフィクション大賞受賞。近著に『 発達障害に生まれて 』(中央公論新社)。ヨミドクターで、コラム「いのちは輝く~障害・病気と生きる子どもたち」を連載中。

10人に1人が100才以上の長寿村 血管年齢の若さが関係か

「長寿村」と呼ばれる小さな集落が、イタリア南部にある。人口700人、10人に1人が100才以上であり、そのほとんどが心身ともに健康に暮らしているこの村は、これまで幾度となく、長寿の秘訣をひもとくための調査の対象になってきた。

 実際、「村で採れたオリーブをよく食べることが理由」「気候も影響しているのでは?」「ストレスのない暮らしが秘訣ではないだろうか」など、諸説発表されている。

 その中でも、もっとも新しく、また多くの注目を浴びているのが、米カリフォルニア大学が発表した「長寿村の住民は『血管年齢』が若い」という研究結果だった。通常であれば高齢になるにつれ衰えがちな血管が、長寿村に住む高齢者たちは非常に若く保たれており、中には20代と同等の血管を持つ人もいたという。

「血管の若さは健康と密接な関係がある」──そんな仮説が、医師や研究者たちの間で話題となり、調査が進んでいる。

 自治医科大学名誉教授で新小山市民病院院長の島田和幸さんが解説する。

「皮膚が年齢とともに老化していくように、年を重ねれば血管もまた体の中で確実に古くなっていきます。皮膚は老化しても命に影響を及ぼすことはありませんが、血管の老いは直接、病気に関係します。だからこそ自分の血管年齢を把握し、対策をとることが必要なのです」

 最新の知見により、血管は“パイプ”の役割のほかにもさまざまな機能を持ち、内臓をはじめとした体の各部位に大きな影響を及ぼしていることが明らかになってきた。

 つまり、せっかく心臓が送り出してくれた血液も、血管に異常があったり、老朽化して機能が衰えたりしていれば、体に悪影響を及ぼすことになるわけだ。

 肌のように目に見える場所で、自分でチェックできるなら別だが、体内の異常や老いは、自覚することが難しい。しかし、1日10万回も心臓が動くうち、音もなく、確実に血管は老いてゆくのだ。

◆ボクサーのジャブを脳に受け続ける

 見えないからこそ恐ろしい「血管の老い」だが、そもそもそれを測る「血管年齢」とは何なのか。

 約20年にわたって、血管年齢を研究している産業技術総合研究所(茨城・つくば)の人間情報研究部門主任研究員・菅原順さんが解説する。

「本来はしなやかである、大動脈や頸動脈などの 『血管の壁』は加齢によって次第に硬くなっていきます。その進行度合いを、“年齢”というなじみ深い指数で表したものが『血管年齢』なのです。過去に蓄積された多数の測定データから、『血管の硬さの指標がどのくらいならば、何才に相当する』と年齢に当てはめているわけです」

 当然、「血管年齢」の高さと病気の罹患リスクは比例する。

「血管年齢が高くなるほど心臓や血管に関係する病気になる可能性が上がります。つまり、自分の血管年齢を知ることは、現時点でどの程度、病気になるリスクがあるのかを知る目安にもなるのです」(菅原さん)

薬の「のみ合わせNG」 コレストロール薬&トクホ飲料の懸念

日本には「NGな食べ合わせ」の言い伝えが多数存在する。うなぎ&梅干しや、天ぷら&スイカなどが有名なところだろう。だが、科学的にこれらが本当に体に不調をもたらすというわけでは必ずしもない。しかしながら、最新研究でわかった薬との「NG食べ合わせ」、「NGのみ合わせ」は存在するのだという。

◆コレステロール薬×トクホ飲料

 高脂血症の患者が、血液中のコレステロール値を低くするために服用する『スタチン』。これをトクホ飲料と一緒にのむのは危険だと『薬が毒に変わる危ない食べ合わせ』の著者で医師の柳川明さんは指摘する。 「トクホ飲料にもコレステロール値を下げる成分が多く含まれており、スタチンと併用すると急激に数値を下げてしまう可能性があります」

◆骨粗しょう症の薬×牛乳

 加齢とともに骨が弱くなり、骨折などをしやすくなる骨粗しょう症は、特に女性にリスクが高い病気の1つだ。骨粗しょう症の薬とカルシウムの多い牛乳を一緒にのめば効果が倍増しそうだが、実は逆。

「骨粗しょう症の治療に使われる薬は、牛乳と相性の悪いものが多い。例えば『ビスフォスフォネート製剤』とよばれる薬は、服用後30分以内にカルシウム分の多いものを食べたり飲んだりすると、薬の成分とカルシウムがくっついて分子量が増えすぎてしまい、薬が体に吸収されにくくなるのです」(柳川さん)

 効果が見込めないのはまだしも、副作用が生じる可能性のある薬も存在する。

「『活性型ビタミンD3製剤』はさらに注意が必要です。牛乳と一緒にのむと血液中のカルシウムが増えすぎて、高カルシウム血症になる危険性がある。その結果、疲れやすくなる、食欲が低下するなどの症状に加えて、不整脈が起きる、動脈硬化のリスクが高まるといった副作用も懸念されます」(柳川さん)

 いずれにせよ、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどを食べたり飲んだりするのは、1時間以上間隔をあけるようにするのが賢明だ。

日常をおもしろがる認知症女性 コンビニの年齢確認にも大笑い

父が急死したことで認知症の母(84才)を支える立場となった本誌・女性セブンのN記者(55才・女性)が、介護生活の中の出来事を明かす。  父に先立たれ、独居で認知症も患い、できないことも増えてきている母だが、なんだか毎日幸せそうだ。物盗られ妄想に苦しんだ時期に比べて、いや、若いころと比べても“おもしろそうに笑う“ことが増えてきた。

◆小さな笑いの種を丁寧に拾い、笑いにつなげる母

 母と娘と3人で出掛けたときのことだ。いつもサ高住の中の食堂で3食済ませる母にとって、外食はさぞワクワクするのだろう。駅前に軒を連ねる飲食店の看板や店先に貼られたおいしそうな料理写真を、一つひとつうれしそうに見ていた。

 ふと「ラーメン・つけ麺」と書かれた目立つ看板に足を止めた。食堂ではラーメンのような食事は出ないから、たまにはいいかと思っていると、母がおもむろに、「ぼくイケメン…だよね」とつぶやいた。

 私は思わず母を二度見。娘はドカンと大爆笑した。

 数分前のことは忘れるが、自分が10代や20代だったころの記憶は鮮明。そんな認知症の症状には慣れてきたが、10年くらい前に巷で流行ったギャグが、母の口をついて出てくるとは意外だった。

「ラーメン・つけ麺・ぼくイケメン」のギャグが流行ったころ、母はまだ認知症を発症していなかったし、こういう大衆的なお笑いにはまったく興味がないと思っていた。まさか、こっそり脳の引き出しにしまい込んでいたとは…。

 このギャグがよほど気に入っていたのか、あるいは案外ベタなお笑いが好きなのか、母の顔には娘と孫を爆笑させた“してやったり”の笑みが広がっていた。

◆母の目に映る世の中はおもしろいことだらけ

 父が亡くなった直後から1年余りの母は、物盗られ妄想をはじめとするBPSD(行動・心理症状)が激しく、笑顔どころか表情も失った。人の老いは、やはりこんな暗闇の中にあるものなのだと当時の私は思い込んでいたが、生活が落ち着いてBPSDが失せると、母は見る見る明るい表情を取り戻した。娘の私が驚くほど、以前にも増してよく笑うようになったのだ。

 たとえばコンビニで、父に供える日本酒を買うとき、「年齢確認をお願いします」とぶっきらぼうに店員さんが言うだけで、もう我慢できずに笑っている。

「この人、あたしをいくつだと思っているのかしら」

 お笑いのネタにはなりそうな場面だが、実際にはスルーされる日常のひとコマだ。それもわかっているのか、声を押し殺してヒィヒィ笑う。

 街を歩く若者の奇抜なファッションにも即、反応。股下がダボッとして足首まで垂れ下がったサルエルパンツなどは母には衝撃的なスタイルで、「あら、どうしたの!? あんなに足が短くていいの?」と、目を輝かせて笑う。そのサルエルパンツの彼が、人目もはばからず彼女とイチャイチャしていたのも、おかしさに拍車をかけたようだ。

 母の笑いを見ていると、昨年亡くなった樹木希林さんが語った「客観的に楽しむのではなく、その中に入っておもしろがる」という人生論がわかる気がする。母は明らかに、心底おもしろがっている。

 そして極め付きは自分のおなら。高齢者によくある“歩きっぺ”だ。自分でも思いがけないタイミングで音が出てしまうようで、歩きながら鳴らしては笑う。その絶妙な間がおかしくて、こちらも大いに笑わせてもらうのだ。

池江選手告白の「白血病」 治療法が劇的進化!もはや“不治の病”ではない

造血される過程で細胞が「がん化」

競泳女子の池江璃花子選手(18)が、白血病の診断を受けたことを自身のツイッターで明かしました。 「私自身、未だに信じられず、混乱している状況です」としながらも、「しっかり治療をすれば完治する病気でもあります」と前向きな言葉がつづられています。
池江選手の言葉通り、白血病は今や不治の病などではありません。
化学療法や支持療法、骨髄移植などの進歩は劇的で目覚ましく、多くの患者さんが病いを克服し、社会復帰をされています。

【画像】池江璃花子選手

白血病は血液のがんです。
血液細胞には赤血球、血小板、白血球があります。すべての細胞の源である造血幹細胞から、それぞれの細胞になるまでには何段階もの細胞分化を経ますが、そのいずれかの段階で白血球またはリンパ球になる細胞が異常に増えてしまう病気です。がん化した細胞(白血病細胞)は、骨髄内で増殖し、骨髄を占拠してしまうため、正常な血液細胞が減少します。
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「急性」と「慢性」は全く別の疾患

白血病は、がん化した細胞のタイプから「骨髄性」と「リンパ性」に分けられ、さらに病気の進行パターンや症状から「急性」と「慢性」に分けられます。※急性骨髄性白血病56%、急性リンパ性白血病19%、慢性骨髄性白血病22%、慢性リンパ性白血病3%(日本人ではまれとされる) 他の疾患のように、急性白血病の経過が長引いても、慢性白血病になる訳ではありません。白血病の急性および慢性は、それぞれ異なった疾患なのです。

急性白血病は、急激に発症し、顕著な貧血や白血球増加、血小板減少(出血傾向)を示すことから迅速な治療が必要となります。
一方、慢性白血病の白血球数は著明に増加するのですが、症状のないことも多く、健康診断で偶然に見つかることも多いようです。しかし、最終的には急激に悪化(急性転化)しますので、この急性転化を遅らせるような長期にわたる適切な治療が必要になってきます。
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白血病の症状と原因は?

池江選手がいずれの白血病かはまだ判明していないとのことですが、1月のレース後には「体のだるさを感じることが多くなっている」「疲れの抜けが遅くなっている」と話していました。白血病の症状には、どのようなものがあるのでしょうか。急性白血病では、異常な白血病の細胞が増えることで、息切れや動悸などの貧血症状や、生理が止まりにくい、青あざができやすいなど血が止まりにくい症状が出ることがあります。

また、全身で炎症が生じるため、熱やだるさなどの風邪のような症状が日増しにひどくなる場合や、抑うつなどの症状が現れることもあります。慢性白血病は、初期には症状がないか、あっても軽い場合が多いとされています。会見で日本水泳連盟の副会長は、「まさか、このような病名を言われるとは思っていなかった」とも述べています。白血病の原因とは何なのでしょうか。

白血病をはじめ、一般的にがんは、遺伝子や染色体に傷がつくことで発症すると考えられています。たとえば慢性骨髄性白血病では、患者さんの95%以上でフィラデルフィア(Ph)染色体という異常な染色体が見つかります。 遺伝子や染色体に傷がつく原因として、放射線、ベンゼンやトルエンなどの化学物質、ウイルスなどが挙げられていますが、そのしくみは完全には解明されていません。また、白血病は遺伝もしません。親が白血病であったとしても、子どもが必ず白血病になるわけではありません。

進歩を続ける治療法

治療法ですが、急性白血病では、まず複数の抗がん剤を組み合わせた寛解導入療法を行って、数週間で骨髄の白血病細胞を完全に死滅させます。その後、正常な骨髄の細胞のみが増えて回復してきた頃に、わずかに生き残った腫瘍細胞を消滅させるための寛解後療法(地固め療法、および維持強化療法)を行います。慢性骨髄性白血病の薬物療法には、分子標的治療薬、化学療法、インターフェロン‐α療法があり、白血病細胞を減少させ、症状を抑える効果があります。

治療の効き具合によって、あるいは再燃時には、さらに踏み込んだ治療が必要な場合があります。ヒト白血球型抗原(HLA)が一致する、適切なドナーがいる患者では、造血幹細胞移植を行うケースもあります。その後再発がみられないことを定期的な外来診療で確認していきます。とはいえ、急性・慢性ともに、良い薬が新たに登場しています。実用化に向けて、治験が進んでいる新しい薬剤もあります。

日本水泳連盟の会見では、担当医師から早期発見だったと伝えられたことに加え、「(池江選手は)白血病に必ず勝つんだという姿勢を見せている」「本当に我々大人が頭が下がる」とも述べられました。池江選手の一日も早い回復を祈りたいと思います。

医師 小林 晶子(医学博士)
(写真:時事通信)

「女性ホルモン」を維持する食生活とは?

◆日々、忙しくしている女性だから

女性の社会への登用が広がったことで、その生き方は以前にも増して多岐にわたっています。特に、妻・母・社会人という役割を持つ女性たちは、自分のことが後回しになりがちです。

お金も時間もなく、忙しくしている間に日々が過ぎてしまうという人が多いように思います。それでも、女性なら誰しも自分らしく女性らしく、可愛く可憐でエレガントに生きていきたいと思う気持ちはどこかにあるはずです。

ここでは女性が健康を守るために、最も身近な健康法である「食事」でできることを考えていきましょう。
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◆女性特有の不調は食事でカバーできる?

女性特有の不調は、ホルモンバランスの乱れが原因になっている可能性があります。

しかし、私たちの身体はどこかの部位に異常があるからといって、機械の部品のように交換することはできません。そのため、「さびないように」日ごろから食生活に気をつけることが必要です。

ホルモンはコレステロールから合成されるため、材料はたっぷりすぎるほど体内にあります。しかし、コレステロールからホルモンを合成するためには、ビタミンやミネラルなどの手助けが必要になります。

ビタミンやミネラルを豊富に含む、お茶や生野菜、果物などは、抗酸化作用を持つポリフェノール類も多く含んでおり、酸化ストレスから身体を守る作用もあります。

また、大豆製品(豆腐、納豆、豆乳、厚揚げなど)に含まれている大豆イソフラボンはエストロゲン(女性ホルモン)に似た構造を持っていて、女性ホルモンに類似した働きをしていると言われています。

さらに、カルシウムを多く含む食品を意識的に摂るようにしましょう。女性ホルモンが減少すると、骨密度が減少し骨粗しょう症のリスクが上がります。

そのため、骨粗しょう症予備軍を指摘された方などには、寝る前のスキムミルクをおすすめすることもあります。

まだ少し先の話だと思いますが、高齢者が寝たきりになる原因で最も多いのは「大腿骨骨折」です。寝たきりになると認知症のリスクも上がり、生命予後もよくありません。

ただし、これらの食材はクスリではありませんので、過度の期待は禁物です。不調をカバーできるほどの食材ははっきり言ってありません。

とはいえ、食事は毎日のことなので、手をこまねいてみているのはもったいないという気持ちも分かります。何よりも大前提として大切なのは、主食、主菜、副菜がそろった栄養バランスの良い食事を摂ることです。

次に、食事の中に取り入れたい「ハレ」と「ケ」の考え方について解説します。

◆さびない身体を目指して

女性ホルモンを増やす食事についてお話ししてきましたが、本当は何よりも知っておくべきことがあります。身体がさびてしまう原因は加齢や運動不足だけではなく、一番の原因は「ストレス」であるということです。

健康にいいとされる生活習慣には青写真があります。高度成長期時代の生活がそれです。もちろん、青写真どおりの生活を送ることができれば理想的ですが、ライフサイクルが多様化した今、すべての人がそのような生活を送ることはできません。

身体にいいとされる習慣でも、自分の性格に合わないものもあります。仲間に薦められたとしても気乗りしないのであれば、ストレスになり逆効果です。

健康によいと分かっていても、「ちょっと違うな」と思ったときは、潔くやめることが必要なときもあります。いつまでも若々しく過ごすために何よりも大切なことは、日々を楽しみ、笑顔で過ごすことです。

◆ハレの日を楽しもう!

日本には「ハレの日」「ケの日」の考え方があります。「ハレの日」は現在でも使われている言葉ですが、華やかな祝いの日をさします。

一方、「ケの日」は日常生活を意味します。「ケの日」は何事も無く、無事に過ごせることこそが最高の贅沢です。

それでも、日常生活に変化を与えたい、刺激がほしいというときは、特別な日である「ハレの日」を思いきり楽しむことです。誕生日、結婚記念日など個人のお祝いを楽しむこともステキです。

また、1月ならお正月、春の七草、2月は節分、バレンタイン、3月はひな祭り、ホワイトデー、春分の日など、日本にはたくさんの季節の行事もあります。

病院等の施設では、患者様は白い壁に囲まれて季節感が分かりにくい生活を送ることになります。そこで、1カ月に1回以上は「ハレの日」の食事メニューを提供しているところがほとんどです。

例えば私どもの病院では、年間27行事。平均すると2週間に1回「ハレの日」です。

毎回、盛大にお祝いできるわけではありませんし、簡単な行事のときは、その日の行事にちなんだ1品とランチョンマットが1枚添えられている、それだけのこともあります。それでも、普段とは違った潤いが出ると患者様からご好評をいただいています。

こんな風に、日々の生活の中にこれらの行事を「無理はしない、でもちょっと心が躍る」ように取り入れることが粋な暮らし方なのだと思います。

また、自宅での食事を楽しめるように、食器やカトラリーをワンランク上げてみる、食卓に花を飾る、ランチョンマットを使うなど食卓を華やかにする工夫をするのも楽しいと思います。

料理をするのが楽しくなるようなきれいな鍋を買う、フライパンを可愛いものに変えるなど、心がワクワクするようなものに囲まれてキッチンに立ってみてください。

お料理の味も格段と美味しくなり、身体をさびさせるストレスもどこかへ飛んで行くはずです。
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平井 千里(管理栄養士)

「なぜ自分だけが」と不遇を嘆くタイプはストレスに克てない

 英語版だけで900万部、日本でも100万部を優に超える大ベストセラー『夜と霧』。オーストリアの精神科医ヴィクトール・E・フランクル(1905~1997)が書いたこの作品の原題は、『心理学者、強制収容所を体験する』。その名の通り、先の大戦中にフランクル自身がナチスドイツのユダヤ人強制収容所に収容された時の体験が、心理学的な見地から冷静な筆致で描かれている。

 この世界的名著は、過酷な収容所生活を記録したドキュメンタリーとして広く知られているが、ストレス・マネジメント研究者の舟木彩乃氏によると、『夜と霧』で語られている内容は深刻な不安やストレスを抱える現代人にとっても学ぶべき点が多いという。

「強制収容所での出来事や体験を書いた記録や報告は数多く発表されていますが、その中でも『夜と霧』は異彩を放っています。それは、被収容者たちがどのようにして精神を崩壊させてしまったのか、あるいは逆に、過酷な状況に直面していかに健全な精神を保っていたのかといったことについて、心理学や精神医学の立場から解明しているからです。これは、ストレス・マネジメントの観点から見ても、とても貴重な記録だと言えます。

 実際、近年注目されている『首尾一貫感覚(SOC/Sense of Coherence)』というストレス対処の考え方を提唱した医療社会学者のアーロン・アントノフスキー博士は、著書の中でフランクル氏の研究から影響を受けたと明記しています。『夜と霧』には、メンタルを強くして、ストレスに耐えながら生きるためのヒントがちりばめられているのです」(舟木氏、以下同)

◆生還したのは「偶然」ではない

 別名「ストレス対処力」と呼ばれる「首尾一貫感覚」は、もともとアントノフスキー博士がユダヤ人強制収容所に収容され過酷な体験をした女性たちの中で、戦後も生き延び、更年期になってもなお良好な健康状態を維持し続けた人々に共通する考え方や特性を分析した概念だ。舟木氏の近著『「首尾一貫感覚」で心を強くする』によれば、それをわかりやすく表現すると、

・「だいたいわかった(把握可能感=Sense of Comprehensibility)」
・「なんとかなる(処理可能感=Sense of manageability)」
・「どんなことにも意味がある(有意味感=Meaningfulness)」

 という3つの感覚からなる。

『夜と霧』を読んでいくと、フランクル自身がこうした首尾一貫感覚の高い人だったことがわかるという。たとえば、『夜と霧』の冒頭で、フランクルは収容所から生還した自分たちをこう表現している(以下、『夜と霧』の引用は池田香代子訳・みすず書房刊より)。

〈何千もの幸運な偶然によって、あるいはお望みなら神の奇跡によってと言ってもいいが、とにかく生きて帰ったわたしたちは……〉

「『何千もの幸運な偶然』『神の奇跡』といった表現から、『なんとかなる』『なるようになる』という処理可能感や、『どんなことにも意味がある』という高い有意味感を持っていることが推察されます。でも、フランクル氏がいうように、収容所から『生きて帰った』ことは、本当にすべてが『偶然』であり、『奇跡』だったのでしょうか?

 たしかに、フランクル氏を含む被収容者たちは、生き地獄のなかでギリギリの選択を迫られ、あるいは選択の余地すらない状態で、死の危機から偶然にまぬがれたこともたびたびありました。しかし、それだけではなく、生還者たちが高い『首尾一貫感覚』を持っていたために『死』や『生の苦しみ』からも救われていたと思われる箇所が随所に出てくるのです」

◆“見通しのつかない不安”で精神が崩壊する

 フランクルの分析の中でも興味深いのは、被収容者たちが「収容所世界」の影響に染まっていった原因の1つは、“見通しのつかない不安”だったとしている点だ。多くの被収容者の報告書や体験記には、彼らの心に最も重くのしかかっていたのは「どれほど長く強制収容所に入っていなければならないのか、まるでわからないことだった」と記述されている。たとえば、こんな表現がある。

〈収容所に一歩足を踏み入れると、心内風景は一変する。不確定性が終わり、終わりが不確定になる。こんなありよう(引用者注/収容所内での過酷な生活のこと)に終わりはあるのか、あるとしたらそれはいつか、見極めがつかなくなるのだ。(中略)いつ終わるか見通しのつかない人間は、目的をもって生きることができない。(中略)未来を見すえて存在することができないのだ。そのため、内面生活はその構造からがらりと様変わりしてしまう。精神の崩壊現象が始まるのだ〉

「“見通しのつかない不安”とは、つまり首尾一貫感覚でいうところの『把握可能感』がまったく持てない状態です。この過酷な生活がいつまで続くのかわからない──そんな“把握不可能”な状態が延々と続くために、やがて『精神の崩壊が始まる』というのです」

 さらにフランクルは、強制収容所における内面生活(精神的な面、心理的な面から見た人間の生活のこと)で「追憶」ばかりしている人を、人間として破綻した人たちであると呼んでいる。そして、追憶という行為は「現実をまるごと無価値なものに貶めること」だとしている。

〈人間として破綻した人の強制収容所における内面生活は、追憶をこととするようになる。未来の目的によりどころをもたないからだ〉

「追憶という名の現実逃避は、そのときの苦しさから一瞬逃れられるという利点があります。しかし、この方法を何度活用しても根本的な解決にはつながりません。フランクル氏は、『追憶をすること、つまり逃避というストレス対処法を選択する人間には成長は望めない』というような意味のことを述べています。一時的な逃避ばかりしていては、『なんとかなる』という『処理可能感』を高めることができません。そのため、やはりストレスに押しつぶされてしまうのです」

◆理不尽な苦しみにも「意味がある」

 ほとんどの被収容者の心を占めていた考えは、収容所生活で生き残ることができるかどうかであり、生き残れないのであればこの苦しみのすべてには意味がない、ということだった。ところがフランクルは、理不尽な強制収容所の苦しみにも「意味がある」と考えていた。アントノフスキー博士が、首尾一貫感覚の一つに「有意味感」を挙げたのも、こうした考え方が参考になったものと思われる。

〈行動的に生きることや安逸に生きることだけに意味があるのではない。そうではない。およそ生きることそのものに意味があるとすれば、苦しむことにも意味があるはずだ。苦しむこともまた生きることの一部なら、運命も死ぬことも生きることの一部なのだろう。苦悩と、そして死があってこそ、人間という存在ははじめて完全なものになるのだ〉

「フランクル氏は、『苦しむこと』そのものにも意味があると考えました。それは、首尾一貫感覚における『有意味感』の最も深い部分であると思われます。

 フランクル氏は、『まっとうに苦しむこと』は、それだけで精神的に何ごとかを成し遂げることであり、それを選択することは、人生の最期の瞬間までほかの誰も奪うことのできない人間の精神的自由であるとしています。そして、『まっとうに苦しむこと』により、人生は息を引きとる最期の瞬間まで意味深いものになるのだと説いています」

 苦しい出来事に直面しても、その出来事に対してどのように対応するかは自分自身の選択によるものであり、選択しだいで人生に意味を持たせることができる、とフランクルは言う。そんな彼の精神的な強さの背景には、「把握可能感」「処理可能感」「有意味感」という首尾一貫感覚の高さが見てとれる。

「仕事で思うような結果を残せない」
「病気や障害で悩んでいる」
「受験に失敗して何もかもやる気がなくなった」……

 そうした苦悩や不安は、誰の身にも起こり得る。そんな時、人は大きく2つのタイプに分かれると舟木氏は言う。

「1つは、『なぜ自分だけが貧乏くじを引かなければいけないのか』と自分の不遇を嘆くタイプ、もう1つは、『この状況にも意味がある』と思えるタイプです。自分の力ではいかんともしがたい苦難に遭遇した時に、前者と後者のどちらを選択するのかは、自分自身が決めるしかありません。時間がかかっても後者を選択することができれば、人生に意味を持たせることができるのではないでしょうか」

 強制収容所という極限状態を生き抜いたフランクルの“知恵”には、まだまだ学ぶべきところが多い。悩んだり、落ち込んだりしたら、あらためてこの名著をひもといてみてはいかがだろうか。

【プロフィール】舟木彩乃(ふなき・あやの)/ストレス・マネジメント研究者。10年以上にわたってカウンセラーとしてのべ8000人以上の相談に対応。現在、筑波大学大学院ヒューマン・ケア科学専攻(3年制博士課程/ストレス・マネジメント領域)に在籍。著書に『「首尾一貫感覚」で心を強くする』。

超少子高齢化時代に突入…年金の半分以上が住居費に消えていく時代がもう始まっている!

 厚生労働省は去る1月18日、19年度の年金支給額が実質的に抑制されることを発表した。理由は少子高齢化だ。年金保険料を払う働き手よりも年金給付を受け取る高齢者が圧倒的に多く、その傾向はこれからますます顕著になっていく。

 十分な収入が見込めないなら支出を抑えるしかないと、04年の小泉政権時代に年金の大改革が実施された。そのときに導入した支出を抑える仕組みが、4年ぶりに発動されるわけだ。こうなると住居費の問題が大きく浮上する。

 例えば、都内で公団住宅に住む、年金暮らしの女性の受け取る厚生年金額は約月8万6000円だ。そこから家賃4万1300円の他、介護保険料などを差し引くと、残る生活費は月約3万9000円となり、生活保護以下だ。家賃が1万円台の都営住宅に申し込んでも、どこもすでに満杯で抽選にはまず当たらない。

 19年度の年金支給額は、国民年金で満額を受け取る人1人分は、月6万5008円。厚生年金では、平均的な収入で40年間働いたサラリーマンと専業主婦のモデル世帯(2人分)は、月22万1504円で、単身者はざっとこの半分だ。ここから家賃を支出するとなると特に単身者にとっての生活は苦しい。

 総務省の調査によれば、今は高齢者世帯の8割は持ち家で暮らしている。ところが、単身の高齢者に限ってみると、持ち家の比率は約66%に落ちる。こうした持ち家なしの単身高齢者が今後、ますます増える傾向にある。

 持ち家がよいかと言えば、こっちには固定資産税がある。 例えば年金が月額約10万円の一戸建て単身住人の固定資産税は、年間約21万円。これでは固定資産税が払えない。もし45歳で35年ローンなど組んで、生活が苦しいからと団体信用生命保険を解約でもしているともう目も当てられない。

 年金制度の改革が叫ばれているが、変えたところで年金額は劇的に上がることはない。それよりも受け取る年金の半分が住居費に消えていくのをまず、国家は何とかすべきなのではないか。

親の死亡時にとんでもなく大変な「葬式」手続き10の流れ

 親が亡くなると、子供は悲しみに暮れる暇もなく、煩雑な手続きや届け出に追われることになる。面倒な死後の手続きのなかでも、特に大きな負担となる「葬式」についてまとめた。

 まず「葬儀社選び」が重要だ。『子供に迷惑をかけないお葬式の教科書』の著者で大手葬儀社に勤める赤城啓昭氏はこう話す。

「理想は故人が亡くなった日に、事前に決めていた葬儀社に連絡し、通夜と葬儀の日取りや参加人数などをある程度固めてしまうこと。そうすれば、その後の面倒な各種手続きが余裕をもって進められる。

 死亡後に慌てて決めると、入院していた病院提携の葬儀社など相場より割高なところに回されるケースが多い。そのリスクを回避するためにも生前に親と葬式のやり方について話し合っておくことをお勧めします」

「死亡診断書」の交付を受けるといった各種手続きを代行してくれる葬儀社も増えている。トラブルが起きやすいのが近親者等への連絡だ。

「連絡が遅れたことで“自分は軽んじられている”と感じた親族がヘソを曲げ、その後の遺産分割協議が揉めるケースもある。

 また故人の友人に連絡した際、『葬儀は30人ほどで行なう意向です』と伝えた後、『だから他には声を掛けないでください』と言い添えなかったために当日、参列者が200人近くに膨れ上がったケースもあります」(同前)

遺体の安置や7日以内に自治体に届け出なくてはならない「死亡届」「火葬許可申請書」も葬儀社に任せられると、一気にスムーズになる。

「納棺・通夜・告別式・火葬」が済んでからも、14日以内に「世帯主変更届」など様々な手続きに追われるが、忘れると損をするのが葬祭費(埋葬費)の申請請求だ。

 故人が加入していた健康保険から、葬儀を執り行なった喪主などに対して1万~7万円の葬祭費が支給される。手続きには、葬儀費用の領収書や葬儀を行なった者の印鑑や預金通帳、国民健康保険証などが必要となる。

「申請が可能なのは葬儀を行なった日の翌日から2年以内。死亡した翌日から使えなくなる故人の健康保険証の返却のために役場を訪れる必要があるので、その時に併せて申請すると手間を省けます」(同前)

身長伸ばす、頭が良くなる… 「子供向けサプリ」市場拡大

 都内のスポーツ用品店を訪れると、筋肉質な腕の力こぶや、シックスパックに割れた腹筋が描かれたパッケージがズラリと並ぶ一角がある。本格的に体を鍛える人たちが熱心に品定めするプロテインやアミノ酸、サプリメント(以下サプリ)などのコーナーだ。

 最近、そんな“いかつい”一角には似つかわしくない商品群が急激に増えている。かわいらしい子供のイラストが描かれた商品がずらりと陳列され、中には子供たちに人気のキャラクターをあしらったものも。販売スタッフもこのジャンルの急成長に舌を巻く。

「現在店内にあるのは7種類。売れ行きはよく、昨年の10月に2種類増やし、棚を拡大しました」(スポーツデポ南砂町スナモ店スタッフ)

◆塾でじゃらじゃらとサプリケースを取り出す子供たちが増えている

 母親たちがこぞって買い求めていたものは「子供サプリ」というジャンルの商品。子供向けに栄養機能を強化することを目的にした栄養補助食品で、錠剤やカプセル、グミ、粉末などさまざまな形状がある。主にドラッグストアやスポーツ用品店、キッズ・ベビー専門店などで販売されている。

 健康食品業界のコンサルティング会社「グローバルニュートリショングループ」によれば、その市場規模は推定95億円(2017年)。注目すべきは、その伸び率だ。一般の健康食品・サプリメント市場全体が前年比0.6%の微減(マーケティング・リサーチ会社インテージ調べ)と苦戦する一方で、子供向けサプリは10%の増加となっている。

 サプリの目的は多岐にわたり、「身長を伸ばす」「頭がよくなる」「強い体づくり」「目によい」「栄養バランスを整える」「口内環境改善」などさまざま。なんと「集中力を高める」というものまである。

 とはいえ、商品にはその目的がハッキリと書いてあるわけではない。薬機法(旧薬事法)により、サプリは「効果・効能」を謳うことを禁じられているからだ。たとえば『セノビック』(ロート製薬)はパッケージに〈成長期応援飲料〉と記載するほか、広告コピーに〈未来を伸ばそう!〉〈ぐ~んと成長期をもっと元気に〉といった文言を使っている。「背が伸びる」という直接的な言葉は使われていない。

 都内に住む専業主婦の小池純子さん(40才)は小学3年生の息子の身長を伸ばしたいと考え、サプリを定期的に購入しているという。

男女間でこんなにも違う!?知っておきたい遺族年金制度


国民年金、厚生年金加入者が死亡すると、残された遺族には、遺族年金が支給されます。しかし、遺族年金は男性と女性では支給される条件が異なります。男性に支給される遺族年金は、女性に支給される年金より、はるかに金額が少ないのです。

夫は死亡を保障する生命保険に加入しているけれど、妻は加入していないという方は少なくありません。共働き世帯が増える中、妻の収入が途絶え、しかも遺族年金が少ないとなると、家庭への影響は大きいものです。ですから、まずは遺族年金の制度を知った上で生命保険の必要性を判断しましょう。
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遺族基礎年金の支給対象者

「遺族年金」と言っても、その種類は大きく分けて2種類あります。「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」です。まず、遺族基礎年金についてお話します。

遺族基礎年金の支給対象者は、死亡した者によって生計を維持されていた子のある配偶者、子です。なお、ここで言う「子」とは、高校3年生までの子(18歳になってから3月31日を迎えていない子)、20歳未満で障害等級1級、2級の子を指します。

さて、「生計を維持されていた」とは何をもって判断するのでしょうか? それは、死亡した者と生計が同じであること、そして配偶者の年収が850万円未満(所得が655万5千円未満)であることです。内縁関係にあっても夫婦として共同生活をしており、生計維持基準を満たせば遺族基礎年金受給対象者として認定されます。

遺族厚生年金の支給対象者

厚生年金に加入している人によって生計を維持されていた妻、子・孫、55歳以上の夫、父母、祖父母が遺族厚生年金の支給対象者です。自営業者は厚生年金に加入していませんが、過去に加入しており、条件を満たせば支給対象となります。

ここで注意したいのが、妻には年齢要件がないのに対し、夫には年齢要件があることです。しかも、妻死亡当時、夫が55歳以上だったとしても受給できるのは60歳になってからです。このように遺族が夫であるか妻であるかで遺族厚生年金の支給要件が異なるため、その年金額も大きく変わってきます。

ケースで考える遺族年金額

では、男女間で遺族年金の金額にどれほどの違いがあるのか、確認してみましょう。夫・妻ともに40歳、子8歳の家族を例に考えます。夫婦は2人共22歳から会社員として働き、その間の平均年収が夫400万円、妻300万円とします。

・夫が亡くなった場合
遺族基礎年金・・・子どもが高校を卒業するまで支給されます。年金額は「78万円+子の加算額」です。子の加算額は、子ども2人までは約22万円、3人目からは約7万5千円です。よって、年金額は78万円+22万円=100万円となります。現在、子どもは8歳ですから、高校を卒業するまで10年間、毎年100万円が支給されるということです。

遺族厚生年金・・・妻に対して生涯支給されます。年金額は、夫の年収をベースに計算し、約40万円となります。さらに、65歳まで中高齢寡婦加算という、女性だけに支給される手当金も上乗せされます。

これは、夫死亡当時、40歳以上65歳未満で生計が同じ子がいない妻、あるいは、遺族基礎年金を受けていた妻が、子どもが高校を卒業したため遺族基礎年金を受給できなくなったとき、支給される遺族厚生年金の上乗せ支給です。年金額は約60万円です。

遺族年金の支給イメージは下記の図のとおりです。

65歳までの遺族基礎年金、遺族厚生年金、中高齢寡婦加算を合計すると2,900万円になります。

・妻が亡くなった場合
遺族基礎年金・・・夫がなくなった場合同様、支給されます。

遺族厚生年金・・・夫は55歳未満なので、受け取ることはできません。子に対して支給されます。金額は、妻の年収をベースに計算し、約30万円となります。支給される期間は、遺族基礎年金と同じ、子どもが高校を卒業するまでです。

遺族年金の支給イメージは下記の図のとおりです。

遺族基礎年金と遺族厚生年金の総支給額は1,300万円です。

男女で違う遺族年金額

夫が死亡した場合、妻に支給される遺族年金は2,900万円、一方、妻が死亡した場合に、支給される遺族年金は1,300万円です。

今回は、妻が65歳になるまで支給される遺族年金しか計算していません。妻自信の老齢厚生年金の支給が始まると遺族厚生年金が調整され、計算が複雑になるためです。しかし、調整されるとしても妻は遺族厚生年金を生涯受け取ることができます。

一方、夫が生涯受け取ることができるケースは、妻が死亡時55歳以上だった場合です。

このように、遺族年金は支給対象者が夫か妻かによって大きく金額が異なります。ですから、妻の生命保険を考える際は、夫が受け取れる遺族年金はいくらか、理解しておくことが大切です。その上で、必要保障額を補えるような保険金を設定すれば、見直す必要のない生命保険の加入ができるでしょう。

執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
CFP(R)認定者

「ネットで墓参」も… 葬祭ビジネスはさらなる拡大へ向かう

「終活ビジネス」が活況を呈していると言われている。現状では葬祭関連市場は約1.8兆円とする試算があるが、『50代からの「稼ぐ力」』を上梓した経営コンサルタントの大前研一氏は「インバウンド市場に匹敵する4兆円市場になる可能性がある」と指摘する。

 * * *
 数年前に、定価3万5000円の「お坊さん便」がアマゾンに登場して話題となった。すぐさま伝統仏教の連合組織・全日本仏教会が「お布施はサービスの対価ではない」と定額表示に反対し、販売停止を求めるなどの騒ぎとなったが、「お坊さん便」への問い合わせ件数は大きく増えており、当初は350人程度だった「お坊さん便」の提携僧侶の数は、すでに1100人を超えている。客も僧侶も、こうしたサービスを必要としていた、ということだろう。

 サービスを提供しているのは、2009年創業のITベンチャー企業「よりそう」だ。定額で僧侶を手配するWebサービス「お坊さん便」は、2013年5月からスタートしている。2018年2月には、民泊仲介サイト「エアビーアンドビー」との提携を発表。全国の僧侶・お寺を募集する特設ページを公開し、今後は国内各地の寺院を活用した宿坊や座禅・写経などの体験コンテンツを提案していくという。使われていない「お寺」に目をつけた発想と言えるだろう。

 私が塾長を務める「アタッカーズ・ビジネススクール」では「これからの日本の成長産業は葬祭ビジネスだ」と言い続けているが、実際、卒塾生の中に葬祭ビジネスで成功を収めている人がいる。「鎌倉新書」の清水祐孝会長だ。

 清水氏は、証券会社を経て父親の経営する鎌倉新書に入社した。当時の鎌倉新書は、主に仏教書を扱うマイナーな小出版社だった。専門家相手の商売だった同社を、彼は葬儀や墓石、宗教用具などの業界へ向けた出版社に転換した。さらに、出版業を「情報加工業」と自分なりに定義付け、セミナーやコンサルティング、インターネットサービスへと事業を拡大していった。日本初の終活サイトを作り、現在は「終活ビジネス情報局」「いい葬儀」「いいお墓」「いい仏壇」「遺産相続なび」「看取り.com」「お葬式消費者相談.com」など終活関連の様々なポータルサイトを運営している。会社は成長を続けて2015年に東証マザーズ上場を果たし、2017年には東証一部に昇格した。

 葬祭ビジネスの市場規模は約2兆円と言われている。矢野経済研究所の「2017年版 フューネラルビジネスの実態と将来展望」によれば、2016年の国内の葬祭ビジネス市場規模は前年比100.7%の1兆7944億円だが、私の試算では4兆円あってもおかしくない。

「どんな最期を迎えたいか」 介護をするにあたって重要なこと

 果たして理想の最期とはどんなものか──。認知症を患う母(84才)を支える立場となった本誌・女性セブンのN記者(55才)が、介護の現実と、「最期」に迫る。

 * * *
 母は認知症だが、衰えに抗いながら前向きに生きているように感じられて、“人生の終わり”がどうもピンと来ない。だが、前向きに生きているうちに、“終わり方”を考えるべきなのかもしれない。そう遠くない将来の自分に向けた、シミュレーションでもあるのだ。

◆みんなで手を携え送り出す。そんな見送り方が理想

「延命はしない! 家で穏やかに最期をと…ばあちゃん(義母)とも主治医とも話していたのに、いざとなるとオロオロして、家に帰ることなく逝かせてしまった」

 悔しそうにそう話すのは、イラストレーター・なとみみわさん。長年同居していた義母の老いを支え、悲喜こもごもの介護記録を、自身のブログ『あっけらかん』で公表していた。

 一昨年、88才の義母が脳梗塞を起こして入院、いよいよ終末期を覚悟したという。帰宅することになった矢先、看取ることになった。

「もう少し早く家に連れて帰れば、ばあちゃんの望みが叶えられたのに」と、なとみさんは心残りをこぼすが、義母の人生の最期の瞬間まで、本人と家族、医師、介護スタッフまでが心を通わせていた姿には心から感動した。きっとお義母さんは満足で幸せだっただろう。私の理想の看取りだ。

 一方、わが母の最期に思いを馳せると、まったく現実味がない。終末期のことを話す雰囲気など皆無だ。

 家族で楽しく出掛ければ、母は必ず「パパも来たかったでしょうね。死にたくなかったはずよ」と、心筋梗塞で急死した父を憐れみ、そうかと思えば最近あちこちで目にする“人生100年時代”というフレーズには「百まで生きるなんて嫌だわ~。それまで何をすればいいのよ」と、妙に的を射たことを言う。

 母が自分の最期をどう考えているのか、きちんと聞いたことはない。趣味の読書やデイサービスに励み、たまの外食にウキウキし、認知症にも前向きに挑んでいる母に、最期のことを話すきっかけが見当たらないのだ。

 父の看取りで、子供がさまざまな選択や決断を迫られることは学んだので、母と話しておくべきなのはわかっているが、こればかりは事務作業のようにサクサクは進まない。

◆誰のもとにも訪れる死。親が先に逝くとは限らない

 そんな私が、考えを新たにする出来事があった。私も50代半ば。更年期の不調も相まって、気力体力にすっかり自信がなくなった。

 少々疲れがたまっているなと感じていたある日の夕暮れ、自転車を走らせていると急にめまいが。次の瞬間、スローモーションのように民家の塀が迫ってきて、ドスッと頭を打つ音が聞こえ、自転車に積んだプチトマトが宙に舞うのも見えた。「私、死ぬ?」と、全身に緊張が走った。
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