岸田首相 「為替の急変動は望ましくない」 介入には言及せず
円安の進行は、米国の連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを決める一方、日銀が国内の長期金利上昇を抑えるため国債の無制限買い入れに踏み込んだことが要因となっている。首相は日本の経済財政運営について「金利と物価のどちらか一方を重視するということではない。金融・経済の動向を勘案しながら、適切に政策対応を行っていくことが重要だ」と述べた。【青木純】 :

安倍一族が愛した統一教会:日本は"エバ国家"で「サタン(悪魔)の国」であるため、贖罪として「金のなる木」の役割を担い、"アダム国家"である韓国と国内外の統一教会に全てを捧げるべきとの反日教義が教え。文鮮明の教え(教義)の一つとして、文教祖の恨(ハン)を晴らすのは「エバ国家日本をアダム国家韓国の植民地にすること」「天皇を自分(文鮮明)にひれ伏させること」としている。
『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
マネジメントや組織運営について学びたいのですが、何か良い本はありますでしょうか
いつもブログ、ツイッターを拝読させていただいております。
私事になるのですが、この度、新規プロジェクトで現場の制作進行、進捗ディレクションやマネジメントを任されることになりました。ざっくりいって仕舞えば中間管理職ということになります。
今まではあくまで現場の一クリエーターに過ぎなかったので、個人のスキルアップに関する本はそれなりに読んできたのですが、チームのマネジメントなどは気にも留めてませんでした。
これを機にマネジメントや組織運営について学びたいのですが、何か良い本はありますでしょうか。
[読書猿の回答]
最初の一冊に『チームリーダーの仕事のルール』PHP研究所を。あとタイトルは平凡ですが、著者がなうてのブリーフセラピーの使い手である、若島孔文『リーダー事始め―はじめて部下をもつときに読む本』をどうぞ。
『問題解決大全』の後半で扱ったサーキュラーな問題解決(問題と偽解決の悪循環が起こっている場合)を極めようという人は、ブリーフセラピーを学ぶとよいです。
ブリーフセラピーとは、心理療法のひとつで、精神科医・心理学者であるミルトン・エリクソンに影響を受けた人達が始めたものです。
長谷川啓三『家族内パラドックス』がものすごい本ですが、若島さんは長谷川さんのお弟子さんに当たる人です。二人の共著に『よくわかる!短期療法ガイドブック』があります。
:職場で「最近どう?」と聞かれたとき、どう返せばいいのか。多摩大学名誉教授の樋口裕一さんは「雑談にリアルは必要ない。事実をすこしデフォルメし、4コマ漫画のように最後にちょっとしたオチがつくようにできごとを伝える。そういう人は『頭のいい人だな』と思われやすい」という――。
※本稿は、樋口裕一『頭のいい人は「答え方」で得をする』(だいわ文庫)の一部を再編集したものです。
「口下手だから雑談が苦手」と思い込んでいる人がいる。そのため、なんとか克服しようとして雑談のテクニック本を読んだり、スマホの雑談ネタアプリでせっせと話題を仕込んだりしている。
しかし、雑談というものは、こちらの意思とは別に向こうからやってくることがある。そのため、真面目な人ほどいちいちきちんと対応しようとして右往左往するのだろう。
確かに、知人から「最近どう?」などといきなり声を掛けられ、モゴモゴしてしまうことは誰にもある。
「週末はどこか出掛けるの?」「連休は何してた?」などと挨拶代わりに聞かれて、ちょっと面倒に感じたりもする。だが、それほど真剣に悩まなくても、軽やかに対応することはできる。
私の場合、「あいつはクラシック音楽好きなちょっと変なヤツ」だと周囲に思われているので、相手もその手の話を振ってくることが多い。
仮に音楽に関係ない話を振られても、こちらは自分が好きな音楽の分野から発想して答えることを続けていると、周囲は「あいつに聞けばそういう答えが返ってくるだろう」と予想して話し掛けてくれるようになる。
私自身は、雑談したくなければしなくてもよかろう、無理して会話で場の空気を生み出そうとしなくてもよかろうと考えているタイプの人間だが、実はそれほど雑談が苦ではない。むしろ、気楽に構えていられる。
要するに、「私はこういう人」と自分のキャラを決めておくと、雑談の返しが非常にラクになるのだ。とくにそのキャラが際立ったものであれば、何を言っても大丈夫ということになる。
その好例がマツコ・デラックスだろう。
たとえば、「笑いの絶えない家庭を作りたい」というありがちな決まり文句に対し、「毎日笑いが起きてる家庭なんて、この世に一軒もないよ!」などと毒づく。しかし、それは現実に対する鋭い指摘だ。
マツコさんはただ毒舌キャラというだけではなくて、誰もが言いたくても言えなかったことを言える代弁者キャラでもある。
あのキャラだからこそ「あの人が言うからおもしろい」「納得できる」というふうに支持を得るのだろう。
つまり、雑談で気まずくならない答え方の基本は、ネタの仕込みよりもキャラ作り。得なキャラを見つけてそれを演じることがコミュニケーションには大切で、その準備があれば、雑談で悩むこともなくなる。
インスタグラムやフェイスブックにアップする情報も、こういう自分を演じたいと思ってやっているわけで、いってみればキャラだ。
雑談もまさにそういうものであって、自分でこうありたいというキャラを作って演じればいい。いちいち真剣勝負のように真面目に対応したり、本当の自分をさらけ出す必要はないのだ。
「最近どう?」と聞かれて、「離婚協議中なんだよ」「子どもが引きこもりでね」などと答えたら、気楽に声を掛けたつもりの相手はびっくりしてしまうに違いない。
それよりも、「いやあ、今朝もゴミ出し係ですよ」と恐妻家を演じたり、「今日は最高傑作のキャラ弁ができました」とイクメンぶりを披露するなど、キャラとして返されたほうが、声を掛けたほうも受け入れやすいうえに話にも乗っかりやすくなる。ひいては、互いにちょっとした雑談の時間を楽しむことができる。
最初はこうした一般受けしやすいキャラから入るのがベストだろう。食いしん坊キャラ、運動大好きキャラなどいろいろある。
そこから徐々にオリジナル感を極めていく。趣味の分野を前面に押し出してもいいし、○○王子、○○女王など得意なことを強調してもいい。「あの人は○○な人」という印象を浸透させていけば、やがて「得する自分のキャラ」を築いていけるだろう。
何者でもない自分として会話に参加していると、ぼやっとしているうちに何を答えたらいいかわからず沈黙してしまったり、聞かれてもいない個人的なことばかり話し続けることになる。その場にふさわしくない本音をもらしてしまうことにもなる。そうなると、雑談に水を差すことにもなりかねない。
だから、自分自身に色をつける。自分はこの色と決めて通してもいいし、この集団では青、こちらでは白というふうに、その場に応じて変えるのもよい。
その色がすぐに定着するわけではないので、雑談のなかで楽しみながら実践を重ねていくのだ。
▼自分が設定したキャラから返答し続ける。▼最初は一般受けしやすいキャラ→オリジナリティあふれるキャラへ。
私くらいの年齢になると、友人との話題のほとんどが健康と年金と親の介護だ。健康診断や人間ドックの結果がどうした、年金だけで将来暮らせるのか、親がボケはじめた、介護施設が見つからないなど、どうしてもその手の話になる。
実際にはどれもシビアなテーマだが、たいていおもしろおかしくエピソードを披露し合い、笑い合っている。それなのに、ときどきそこがどんな場面かをあまり考えず、話を振られたとたんに重いテーマを重いままにぶちまける人がいる。
何か聞かれると暗い表情を浮かべ、しかしながら待ってましたとばかりに深刻な話を深刻なトーンで語りはじめる。境遇をぼやいたかと思えば、日本の社会保障制度はおかしいなどと社会への不満をぶちまけたりもする。皆で楽しむべき雑談を一気に自分ワールドに持っていってしまうのだ。
さらに、この種の人は周囲にあれこれ質問してくる。いい情報を持ってないかと探ったり、「こういう場合、君ならどうする?」などと聞いてくる。
これでは雑談ではなく相談だ。会話はどんどん重苦しいものになってしまうわけだが、このように話の展開や誰かのひと言がきっかけになって、他愛ない話が急に現実的な話にすり替わるということは雑談につきものだろう。
もちろん、真剣な相談ごとには真剣に答えたほうがよい。人としてそれは当然の行為だ。とはいえ、誰かが周囲にはどうにもできないような重い話をはじめてしまい、止められなくなっているようなら、その深刻なトーンを軽減させてあげるといい。そこでポイントになるのが戯画化だ。
私の友人たちも、話を振られて自分の番になったら、今までで最もひどいできごとやちょっとした事件を、ささやかな笑える話に脚色して披露している。
「最近どう?」と聞かれたある友人は、たとえば、ボケはじめた母親がちょっとした騒動を起こしたことをこんなふうに話してくれた。
「まだらボケのおふくろが散歩するのを探偵気分でこっそりつけてみたんだよ。そうしたら、知らない家の庭に干してある洗濯物を取り込んでたたみはじめちゃった。働き者だからね? うちのおふくろ! その家の人もいい人でさ、おばあちゃんまた来てねなんて言ってんの」
介護をはじめたばかりだと、身内は親の言動の変化にショックを受けるものだ。問われるままに深刻に返してしまえば、周囲は心配し、同情しつつも何と言葉を掛けたらよいかわからなくなってしまうだろう。
だからこそ彼は、深刻に話そうと思えばいくらでも深刻になるところを、軽い笑い話とさえ思えるトーンにして語ったのであろう。その場がふっとなごんだのは言うまでもない。
このように、事実をすこしデフォルメし、4コマ漫画のように最後にちょっとしたオチがつくようにできごとを伝える。雑談をしていてありがたいと感謝されるのは、こういう返しができる人ではないだろうか。
つまり、雑談にリアルは必要ない。できるだけリアルから距離を置くことで、自分のキャラを作れるし、その場で軽やかに演じることができる。そうすれば事実を事実として伝える答え方だけでなく、深刻な話を軽くおもしろくまとめて返せるようになる。
話している相手がどんどん深刻になってしまうときは、「史上最悪ナンバーワンだね、一杯おごるよ」「それだけ悪運が続いたら、もう幸運しか残ってないんじゃない?」などと、あえてユーモアを交えて返してあげるのもいいだろう。
もしも自分自身が深刻ぶってしまうタイプだと気づいたら、ものごとのおもしろい面を捉えるクセをつけるとよい。自分の失敗や失態を軽い笑い話にまとめてみる、自分が思わず笑ってしまった話に似たことを自分の体験から探してみる、またそういう話がうまい人を真似てみるのもいいだろう。
▼事実をデフォルメし、4コマ漫画のようにできごとを語る。▼リアルから距離を置いて、その場を演じるつもりで会話に参加する。
雑談を続けるのがうまい人と、そうでない人がいる。続かせたい、もしくは間を持たせなければならないのにそれができず気まずい空気が流れてしまうとき、どんなことに注意して答えればいいのか。
「元気?」「お久しぶり!」などと、誰かが声を掛けてきたとする。その相手が同僚や友人などとくに気を遣わない間柄で、気楽に流しても大丈夫なときは「まずまずだね」「ぼちぼちだね」と返せばいい。
気の利いたことを言おうなどと構えることはない。これは何も改めて言うまでもない、コミュニケーションの基本であろう。
ただ、このようなごくありふれた返事にもちょっとしたコツがある。ビジネスの場面であれば、どんなことにも早めに返すほうがよい。その間があまりにもあると、仕事のスイッチが入っていないと思われるからだ。
だが、仕事から離れたシチュエーションでの雑談の場合、即座に答えることだけが大切とは限らない。無理やりオンの状態にしなくても、むしろ間を持たせたほうが相手とじっくり対応できる。
たとえば、「最近どう?」と声を掛けられたら、「うーん」といったん考えるような態度で受けてみる。「そうだなぁ……」「えーっと」でもよい。そういう姿勢を見せることで、その間を共有できる。間が空いて、「愚鈍だな」などと思う人はいないだろう。雑談において間は、場を作る効果があるのだ。
そして、そんなふうに間を取っているうちに、「そういえば……」と何かいい話題を思い出すこともある。なければ「そういえば……とくに何もなかったな~」と笑いを取れる。
このように、一度会話を受けた後で「で、そっちはどう?」と質問で返せば、雑談がスムーズに進む。途切らせてはダメだと慌てて返事をするよりも、よほどいい時間を生み出すことができる。
では、声を掛けてきた相手が、気楽に流すのは気が引ける人だったらどうか。
相手が「仕事どう?」「がんばってる?」といった仕事モードで問いかけてきた場合、うまく行っているときこそ、最初のひと言で「最悪です! 今朝犬の糞を踏みました」などと返す。
そして、その後に「昨日の○○社の交渉、一発オッケーいただけたのでひと安心です」と、うまく行っている具体的なことがらをコンパクトに伝える。
反対に、うまくいっていないときは「絶好調です! 朝から肉食いました!」などとまず答えて、「例のトラブル、まだ収束してないんで、今夜も徹夜の可能性大なんですよ?」という具合に続ける。
つまり、答えの最初のひと言で相手をハッとさせておいて、その内容とは反対のことがらを続ける。このような答え方をすると、相手が雑談に乗ってきやすくなるだけでなく、「仕事どう?」「がんばってる?」という問いかけにもスマートに対応できるのだ。
また、「○○さんのせいでこっちは朝から大変ですよ~、今度おごってくださいね」「もう本当に生きていてよかったです、これも○○さんのおかげです」などと、相手にからめた大げさなひと言で気を引いて、相手が「何があった⁉」となったところで、ネタばらしをしたり、他愛ない話題を続けたりしてもいい。
このようなちょっとした答え方の工夫で、何気ない雑談を途切れることなく続けさせることができる。
さらに、高等技術も紹介しておこう。たとえば、「見てましたよ~」などと、相手の興味を引くようなひと言で返す。いきなりこう言われると、相手はギクッとするだろう。何かやましいことを隠しているような人は焦りまくるはずだ。
そう言って関心を引きつけたうえで、「昨日、○○さんとランチしてたでしょう」と相手が「なんだそんなことか」と笑い出すようなことを言ったり、「非常階段でタバコ吸ってたでしょう」と、本当は見ていないウソ話をするのもいい。
実はそうかもしれないし、違えば違ったで「じゃあ、あれはきっと□□さんだったんだ」「多分そう。僕はもう加熱式タバコに変えましたから」と、他愛ない会話を気楽に続けることができる。
要は、相手を落として上げるようなフレーズで意表を突く。「ひどいですね?」「向いてませんね?」なども使える。
▼流してもいい気楽な相手の場合は、「うーん」と間を持たせてゆったり答える。▼ぜひとも会話を続けたい相手の場合は、「答えの最初のひと言」で意表を突く。
▼さらに高等技術として、相手がギクッとするようなひと言で気を引いて「落として上げる」作戦もアリ。
---------- 樋口 裕一(ひぐち・ゆういち) 多摩大学 名誉教授 1951年、大分県に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業後、立教大学大学院博士課程満期退学。仏文学、アフリカ文学の翻訳家として活動するかたわら、小学生から社会人までを対象にした小論文指導に従事。通信添削による作文、小論文専門塾「白藍塾」塾長。著書は『頭のいい人は「短く」伝える』(だいわ文庫)、『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP新書)など多数。 ----------
:※本稿は、樋口裕一『頭のいい人は「答え方」で得をする』(だいわ文庫)の一部を再編集したものです。
質問に対して、小学生のような答えしかできない人がいる。
仕事で講演会を聞きに行ったとしよう。帰社後、当然のことながら上司から「講演会はどうだった?」と問われるだろう。そのようなときに、「おもしろかったです」「楽しかったです」としか言わない。
課を代表して取引先主催のパーティに出席したような場合も、「料理がおいしかったです」「盛り上がりました」。打ち合わせへ出向けば、「うまくいったと思います」、出張から帰れば、「北海道は寒かったです」。
それしか言わないという点が、相手をがっかりさせていることに気づいていない。
小学生に遠足や運動会の作文を書かせると、「○○をしました、おもしろかったです」という具合に、見聞したことの羅列で終わることが多い。
その経験から何に気づいたのか、なぜそう感じたのかを文章にしてほしいのだが、そのような視点は教えてもらわないと書けない子がほとんどだ。それと同じで、質問されたときとっさに出やすいのがこうした主観的な感想だといえよう。
まずはそう答えておき、続けて詳しく話そうと思っているのかもしれない。友人との他愛ない雑談なら、それでもいいだろう。だが、ビジネスの場合、「君の個人的な感想は聞いていない」と、一瞬であきれられる恐れがある。それではあまりにもったいない。
それでも心やさしい上司であれば、「で、どうおもしろかったの?」などと尋ねてくれるだろうが、本心ではおそらくその前に答えてほしいと思っているだろう。
言うまでもなく今は、ハイスピードで情報が行き交う時代だ。世の中の動きはほぼオンタイムで手元に届き、SNSでは即座に答えが返ってくる。そういう現代にビジネスの最前線で活動しているのであれば、そこに乗っかってスピードを発揮するしかない。
上司からの「どうだった?」は、「きちんと報告しなさい」という意味だ。
講演会で何を発見したのか、パーティの顔ぶれはどうだったのか、契約はどこまで詰められたのかといった具体的な情報を求めて聞いている。「実際に出向いた者にしかわからないから、答える側がポイントを絞りなさい」と言っているのだ。
だから、まず答えるべきは「主観」ではなく「話の方向性」だ。大まかでよいので、これから何について答えようとしているかの概略を示せればよい。そこでキーになるのが「答えの最初のひと言」だ。
たとえば、「盛り上がりました」を「盛況でした」と言い換えてみる。「盛り上がりました」は主観的だが、「盛況でした」は視点が客観的であり、巨視的といえよう。答え方をこうしたフレーズではじめてみるだけで、幼稚な印象が消え、知的に見える。
逆にいえば、幼稚な感想しか言えないのは、「首尾よくまとまりました」「盤石です」「ご立腹でした」などの短い定番フレーズ、いわゆる大人言葉を単に知らなかったり、使いこなせていないだけという可能性もある。
この「答えの最初のひと言」は、新聞記事の大見出しのようなものと考えればよい。
「五輪開幕」「首脳会談成功」「ロケット打ち上げ延期」など、新聞記事は必ず内容がひと目でわかるキャッチーなフレーズではじまる。この大見出しがあるから、読者はできごとを予測しながら記事を読んでいけるのだ。
そして、このフレーズの後に、自分なりにポイントを絞った答えをコンパクトにつなげる。これが、新聞記事のリードに当たる。大見出しの後、本文に入る前に数行にまとめられている文章があるだろう。いわゆる要約だ。つまり、
「答えの最初のひと言」
=「話の方向性を示す」+「ポイントを絞ってコンパクトにまとめる」
相手に話の枠をまず見せてあげるのが、頭のいい答え方の基本といえよう。
質問 「A社のパーティはどうだった?」
答え×「盛り上がりました⁉」
答え○「盛況でした。著名なゲストのトークコーナーもあり、例のM&Aの裏話も聞けました」
この例の答えは約5秒。報告の際の目安と覚えておくとよい。
主観だけでは幼稚。かといって、いきなり詳細な報告をはじめると、何の話をされているのか見当がつかず相手は戸惑う。こうした工夫を心掛けていると、小学生レベルの感想から抜け出すことができる。
さらに、上級編もある。問いに対しあえてマイナスで切り込んで相手をハッとさせ、プラスの情報で盛り返す、意表を突く「答えの最初のひと言」だ。
質問 「出張はどうだった?」
答え×「北海道は寒かったです」
答え○「目を疑いましたよ! 地元新聞の広告が効いて、売れ筋商品の在庫がなんとギリギリでした!」
聞いたほうは、まず「一体どういうことだ?」と俄然興味を引かれる。そこで、マイナスからプラスに転じさせることで、相手をこちらのペースに引き込むことができる。
答え方で得している人は、このようなことを日常的に行っているのだ。だから答えるたびに得をする。答えるということは、本来得する行為なのだ。
▼報告の「答えの最初のひと言」は5秒が目安。
▼大人言葉の最初のひと言→「盛況でした」「盤石でした」など。
▼上級編の意表を突く最初のひと言→「ひどいものでしたよ」「史上最悪でしたよ!」「後悔してます」「ありえないことが起こってしまいました」など。
ビジネスシーンにおける報告や連絡の場合、「答えの最初のひと言」にどのような情報を入れ込むかが大きな差となって表れる。
自分が見聞きしたたくさんの情報のなかから、どこにポイントを絞るか。そこを間違うと、相手から「一体、何を報告しているのだ?」と思われ、マイナス評価を招く結果となってしまうわけだ。
たとえば、「展示会には何社来た?」と、上司から具体的に質問されることがあるだろう。その場合は、「20社です」と端的に答えればよいから、誰にでもできる。
だが、前項でお話ししたように、「○○はどうだった?」と漠然と問いを投げかけられたときに能力が表に出てしまう。
たくさんの情報のなかから、ファーストアンサーに最適な情報にポイントを絞るには、次の二つの方法を覚えておくだけでうまくいくことが多い。①「ジャンル」でシンプルに絞る方法と、②「切り口」でオリジナリティを出す方法だ。
これは、自分が実際に見聞きしたものから、自分が話しやすいジャンルに焦点を絞る方法だ。たとえば、数や量の多寡、規模の大小、できごとの出来不出来など、誰の目にも見える事実やことがらから選ぶ。
あるいは、質問者が聞きたがるであろう人物に関する新情報やライバル社の動向など、現場で得た情報を取り上げればよいので比較的思いつくのが簡単だ。それをきちんと答えることができれば、聞き手はまず満足する。
報告や連絡の際、「ジャンル」を絞ることに意識を向けるだけで、主観的で幼稚な感想から脱却し、聞き手が求めているような答え方ができる。
私がおすすめしたいのは、「切り口」でポイントを絞って答える方法だ。これは「ジャンル」の上級編といえよう。
こちらは、単に目に見える事象から情報をピックアップして答えるのではなく、その人なりの独自の見方で答えを絞る。その人なりの光の当て方といってもいい。
展示会の例でいえば、次のようになる。
質問 「展示会どうだった?」
答え×「おもしろかったです」
答え○「盛況でした。グローバル化の面では、うちはやはり業界トップだと確信しました」
この場合、「グローバル化」という「切り口」で情報を絞っている。答える側に、グローバル化や海外戦略に関心がなければ、そのような視点で展示会を眺めないだろう。
このように「切り口」で答えるということは、自分の得意分野に持ち込み、自分の頭で分析して浮き彫りになった事実や現象を伝えることを指す。
周囲に、「あいつはいつもAI関連に話を持っていく」という人はいないだろうか。あるいは、何でもかんでも社会福祉につなげるとか、芸術に結びつけるという人もいるのではないだろうか。
そうやって自分の得意分野に話を引き込んでいくのは、自分の土俵へ相手を引き込んでいることにほかならない。つまり、自分の持ちネタで自分のスタイルに持ち込みながら、答えに説得力を持たせているのだ。
いつもワンパターンでおもしろくなければ、みんなにあきれられてしまうが、その得意分野の話にうなずけるところがあれば、それなりにみんなが納得するだろう。
私はこれまで、さまざまな講演会に呼ばれたが、そういう場ではたいてい最後に質疑応答の時間がある。講演内容をさらに掘り下げる鋭い質問を受けることもあるが、ときに予期せぬ質問や少々的外れな質問のケースもあり戸惑う。
そのようなときどうするかというと、自分が得意とする「日本語」「話し方」といった内容に強引に引っ張り込み、答える。
自分の土俵に話を持ち込み、そこで私にしかできない視点で話を掘り下げることで、私独自の視点からの話題を提供することができると、聞き手も満足してくれる。
ビジネスのプレゼンの場などでも、同じことがいえるだろう。自分の得意分野に引きつけて答えることが、アピールにつながるのだ。
一尋ねて一答えてもらうのは、相手は当たり前だと思っている。しかし、一尋ねて意外な「切り口」から答えをもらうと、相手は「得した」と思うものだ。相手が得だと感じるのだから、そう思わせた答えた側はもっと得をする。
うまく答えただけで、「なかなか鋭いじゃないか」「おもしろいことを言う人間だ」と、思わせることができるのだ。
「切り口」は無数に存在する。そのどれに焦点を当てるかで、答えの質は大きく変わる。
ただ、「切り口」があまりにも偏った目線だったり、独創的すぎると、「聞きたいのはそういうことではないのだが……」と相手を困惑させてしまうので注意が必要だ。
▼どんな質問も自分の持ちネタに引き寄せれば、的確な答え方ができる。
▼シンプルな「ジャンル」答え→オリジナリティあふれる「切り口」答えへ。
---------- 樋口 裕一(ひぐち・ゆういち) 多摩大学 名誉教授 1951年、大分県に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業後、立教大学大学院博士課程満期退学。仏文学、アフリカ文学の翻訳家として活動するかたわら、小学生から社会人までを対象にした小論文指導に従事。通信添削による作文、小論文専門塾「白藍塾」塾長。著書は『頭のいい人は「短く」伝える』(だいわ文庫)、『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP新書)など多数。
:日常生活で困ったシーンに遭遇することはありませんか。時流に沿った柔軟な立ち居振る舞いや、大人の女性として身につけておきたい理想的な対応力について、マナー講師である諏内えみさんにお答えいただきます。今回は年賀状についてです。
年に1回の年賀状。長く続けてきた習慣だけど、年々、準備を億劫に感じるように。なんとなくやりとりを続ける意味も感じられないのですが、やめるタイミングがわかりません……。相手との関係を悪くしないで、スムーズにやめる方法はあるのでしょうか?
何のお知らせもなく、ある年から急に年賀状を送らないというのは、相手によっては失礼になってしまいます。そこで重要なのが「宣言」だという諏内えみさん。 「年始のご挨拶をメールやSNSでするという人は増えていますし、中にはそれすら省くという人もいらっしゃいます。年賀状をやめること自体は特に問題のないことですが、大切なのは『事前に伝えておく』ということ。できれば相手が年賀状の準備をする前のタイミングで、伝えてあげると親切です」 では、その宣言はどのように伝えればよいのでしょうか? 「年賀状をやめると伝えるために、喪中はがきのような形式的なハガキを出す必要はありません。クリスマスカードなど、年賀状に代わるものを送る際に記載してもいいですね。クリスマスの挨拶でLINEなどで送るのでもよいと思います。 Facebookなどに投稿して、関係者全員に一斉にご報告するという形でもOKです。もちろんお会いする機会があれば直接お伝えしてもいいですし、今年で最後にする旨を最後の年賀状にコメントとして書いてもいいですね」
メールやSNSがなかった時代は、手紙やはがきは大切な連絡手段でした。しかし、時代は変わり、世代を問わず、手紙やはがきに頼らないコミュニケーションが一般的になりました。そんな時代の流れに沿った選択であることを相手に伝えるのがスムーズだという諏内さん。 「本人が決めたという意思を強く感じさせるよりも、『時代に沿って』と自然なニュアンスで伝えるのがスマートです。『周囲でもそのような方が増えているので私も年賀状を断捨離することに決めました』といった伝え方などがおすすめです」
事前に伝えたつもりでも、手違いなどで相手に伝わっていなかったとき、年賀状をいただいてしまったら、どう対応するとよいのでしょうか。 「もし年賀状をいただいてしまったら、目上の方にだけ『寒中見舞い』としてお返事をするといいですね。友人など対等な関係であれば、必要ありません。『きちんとお伝えできていませんようで失礼いたしました』『今回より控えさせて頂いておりました為、ご用意がなく……』とメールなどで伝えるだけでよいと思います」
長い年月続けてきた年賀状の習慣だからこそ、一気にやめるということが難しいかもしれません。完全にやめる覚悟ができないなら、少しずつ枚数を減らしていくなどがおすすめだそう。 「お会いする機会がなく、年に一度、年賀状でのご挨拶しか連絡を取っていないだけという関係の相手もいますよね。お互いの『安否確認』の意味も込めて、そういう方々に限定して、年賀状を通して繋がりを保っておくというのも、一つの選択肢だと思います。枚数が少なくなれば、負担も減るでしょう」
毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。このコーナーでは、読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」にてアクセスの多かった書籍を、金融業界のユーザーに絞って毎月ランキング形式でご紹介しております。皆様の書籍選びの参考になれば幸いです。
第1位:『神・時間術』(樺沢紫苑著、大和書房)
第2位:『気くばりがうまい人のものの言い方』(山﨑武也著、三笠書房)
第3位:『説明の一流、二流、三流』(桐生稔著、明日香出版社)
第4位:『自己肯定感のコツ』(植西聰著、自由国民社)
第5位:『がんばらない戦略』(川下和彦、たむらようこ著、アスコム)
第6位:『「会社がしんどい」をなくす本』(奥田弘美著、日経BP社)
第7位:『アフターコロナのニュービジネス大全』(原田曜平、小祝誉士夫著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
第8位:『世界で活躍する人の小さな習慣』(石倉洋子著、日本経済新聞出版社)
第9位:『なぜ、あなたは他人の目が気になるのか?』(根本裕幸著、フォレスト出版)
第10位:『気持ちよく人を動かす』(高橋浩一著、クロスメディア・パブリッシング)
※本の要約サイト「flier(フライヤー)」の有料会員のうち、金融業界に所属するユーザーを対象にした、2021年10月の閲覧数ランキング
■脳の「ゴールデンタイム」
10月の第1位は『神・時間術』でした。銀行と保険の関連企業にお勤めの方々に最もよく読まれました。ベストセラーを連発する精神科医で作家の樺沢紫苑氏による2017年の著作です。
日々の仕事には、集中力を要する「集中仕事」と、そうでない「非集中仕事」があるのをご存じですか。集中仕事は「脳のゴールデンタイム」と呼ばれる起床直後の2、3時間のうちにさばくのが効率的だと、樺沢氏は言います。
「そんな朝早くに仕事できないよ」という方もご心配いりません。他に、「休憩した直後」、「就業間際」、「締め切りの前日」なども「集中力の高い時間」とされています。仕事の能率や時間配分に悩んでいた方は必見の一冊です。
神・時間術
樺沢紫苑
出版社:大和出版
発売日:2017年04月25日
ジャンル:自己啓発・マインド、生産性・時間管理、サイエンス、健康・フィットネス
■「それでいい」って言っていませんか?
続いて第2位は『気くばりがうまい人のものの言い方』でした。優れた観察眼に裏打ちされたベストセラー『心を打つちょっとした気の使い方93』などを手掛けたビジネスコンサルタントの山崎武也氏による作品です。
会議や商談で空気を読まない発言をし、微妙な雰囲気が漂ってしまった……。そんな冷や汗ものの経験をしたことがある方も少なくないでしょう。本書は、日常のさりげない言葉遣いのあんばいで、相手に与える印象はぐっと変わると説明します。
「感謝の気持ちを伝えたいときは、お礼だけでなく、自分の感想も加えよう」
「「それでよい」ではなく「それがよい」と言おう」
すぐに取り組めるコツが詰まった一冊。書かれていることを実践すれば、きっと気くばり上手な人に生まれ変わっているはずです。
気くばりがうまい人のものの言い方
山﨑武也
出版社:三笠書房
発売日:2019年11月20日
ジャンル:自己啓発・マインド
■結論から話さない?
第3位は『説明の一流、二流、三流』でした。第6位だった9月のランキングに引き続き、金融業界全般において幅広く読まれ続けています。
社会人になってから、説明する際は「結論から話すように」と先輩社員などから諭された記憶がある人も多いはずです。しかし、その教えを後生大事に守り、「常に結論から話そう」とするのは二流の考え方だと、本書は言います。状況に応じて結論からでなく、背景から伝えるなど、「相手の頭の中から考えはじめる」。それが一流の説明です。
本書は他にも、「説得力が増す説明」、「プレゼンや人前での説明」など、目的や場面ごとに効果的な説明法を一流、二流、三流に分けて紹介していきます。試して損のない、いずれも納得感のある合理的な流儀が満載です。
説明の一流、二流、三流
桐生稔
出版社:明日香出版社
発売日:2021年07月21日
ジャンル:スキルアップ・キャリア
■99%の「ムダな努力」
ここからは、第4位以下から注目の書籍をピックアップしていきます。
まずご紹介するのは第5位の『がんばらない戦略』です。証券界に携わる方々の間では1位にランクインしました。
物語形式で進む本書は、がんばることが何より大切とされる「ガンバール国」の主人公・ミサキが、がんばることに飽きてしまうところから始まります。そんなミサキが、がんばらない国民ばかりなのに成果を出し続ける「ガンバラン王国」で、飛び込み営業で断られるたびに喜んでいる人など、個性豊かな人々と出会い、がんばらずに成果を出す術を学んでいきます。
本書のタイトルは、一読すると消極的に聞こえるかもしれません。しかし勘所は、サブタイトルにある通り「99%のムダな努力を捨て、1%に集中する」ことにあります。ムダを極力省き、最大限の成果を発揮する。その要諦がスルスルと頭に入ってくる、読みやすい一冊です。
がんばらない戦略
川下和彦、たむらようこ
出版社:アスコム
発売日:2021年02月22日
ジャンル:自己啓発・マインド
■スマホや人と距離を取る
最後は第6位の『「会社がしんどい」をなくす本』です。産業医として日々ビジネスパーソンと向き合っている精神科医の著者が綴った、効果的なストレス対処法を示す一冊です。
ただでさえストレスが多い現代、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中で、人々の心労は過去に類を見ないほどに鬱積しています。本書はまず、日本のビジネスパーソンが感じるストレスの背景に、「同調圧力」があると分析し、元凶を解きほぐしつつ、対処法を紹介していきます。例えば、メンタルや体調の不良の原因となる「過緊張」を和らげるには、「緩み時間」をつくることを勧めます。「睡眠を優先する日を作る」「帰宅したらスマートフォンから離れる」、「休日は人に会わない、遠出しない」と具体策を提示しています。
「もしかしたら自分も過緊張かも……」と気になった方、語り掛けるような優しい筆致の本書を、ぜひご一読ください。
「会社がしんどい」をなくす本
奥田弘美
出版社:日経BP社
発売日:2021年06月07日
ジャンル:自己啓発・マインド、健康・フィットネス
■編集後記
今回の月間ランキングでは、第2位『気くばりがうまい人のものの言い方』、第3位『説明の一流、二流、三流』、第8位『世界で活躍する人の小さな習慣』のように、上手な話し方をしたり、活躍したりしている人を見習い、やり方を学べる著書が目立ちました。また、最新刊が9月のランキングにも入っている樺沢紫苑さんの『神・時間術』は堂々の第1位で、業界内で幅広く支持されている様子がうかがえます。
11月はどのようなランキングになるのか、引き続き注視してまいります。
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