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孫の学費援助は1500万円まで実は非課税? 上手に使いたい「生前贈与」とは

かわいいお孫さんに教育資金をプレゼントしたいおじいちゃん、おばあちゃんは多いと思います。実は1500万円までの教育資金一括贈与は、非課税になることをご存じでしたか。相続税対策の生前贈与としても有効な方法ですが、適用されるには細かい要件が必要です。詳しく解説します。


孫の学費援助は1500万円まで実は非課税? 上手に使いたい「生前贈与」とは      

孫の学費援助は1500万円まで実は非課税? 上手に使いたい「生前贈与」とは


孫への生前贈与が非課税になる場合


贈与とは、あげる人(贈与者)ともらう人(受贈者)との契約です。「あげます」「ありがとう。もらいます」というやり取りがあれば、原則として口約束でも成立します。ですから、祖父母は孫に、何を贈与しても構わないと言えます。

一方、個人間の贈与では受け取った側に「贈与税」がかかります。親族間でも、一定額以上のお金や資産の贈与があったときには、贈与された側に課税されるのです。

まずは贈与税のかかり方に着目して、課税、非課税のポイントを見ていきます。

(1)必要な入学金・学費等は非課税

親や祖父母などの扶養義務者から、子や孫がもらった教育費や生活費に関し、「通常必要と認められるもの」については、そもそも贈与税の課税対象になりません。当然の費用負担をしているから、贈与税の対象となる贈与ではないという解釈です。

贈与税の対象とならない「教育費」とは、子や孫を教育する上で通常必要と認められる学資、教材費、文具費等を指します。通学のための交通費(定期券代など)や学級費、修学旅行参加費等も対象です。また「生活費」とは、日常生活を営むのに必要な費用で、治療費や養育費等も含みます。ただし、たとえば数年分の教育費を一括で贈与された場合、すぐに教育費として充当されない部分の金額は、贈与税の対象となります。

(2)毎年の贈与は、110万円まで非課税

暦年贈与(通常の贈与、1年ごとの合計額で申告が必要)の場合、受け取った金額の合計が基礎控除の110万円を超えた場合には、受け取った人に申告納税の義務が発生します。複数の人から贈与を受けている場合は、合算して税額を計算します。合計額が年間110万円以内なら、非課税になります。贈与の税率は、直系尊属(祖父母や父母など)からの贈与の場合の特例税率と、それ以外の一般税率があり、特例税率の方が少し低くなっています。

たとえば、孫が祖母から500万円相当の暦年贈与を受けて、他に贈与を受けていない場合、孫が支払う贈与税額は以下の通りです。

(500万円-110万円)×15%-10万円=48万5,000円

贈与税は、税務署に確定申告をした後、申告した税額を納めます。

(3)相続時精算課税制度を利用

相続時精算課税制度は、父母や祖父母から遺産を前渡しで子や孫に引き継ぐ制度です。累計で2500万円までの贈与には贈与税がかからない代わりに、相続時には贈与した財産が、亡くなった人の相続財産に加えられて、相続税を計算する制度です。

主な特徴は以下の通りです。

(1)60歳以上の父母や祖父母から、20歳以上の子や孫への贈与が対象

(2)父親から子A、祖母から孫Bのように、1対1の関係で適用される

(3)制度を選択すると、利用した関係の間では通常の贈与(暦年贈与)は適用されない

(4)一度選択すると、取り消しできない

(5)制度を利用したあとは、贈与があるたび翌年3月15日までに申告する

(6)累計で2,500万円まで非課税。2,500万円超の部分には20%の贈与税が課される

(7)贈与する人(贈与者)が亡くなったときには、贈与された分を、他の相続税の対象となる財産と合算して、相続税の申告を行う

(8)この制度で納めた贈与税の総額と、支払うべき相続税額を比較して、相続税額の方が多ければ税金を追納する。逆に相続税額の方が少ないときには、すでに納めた税金(贈与税)が払い戻される。

(4)贈与税の非課税制度を利用する

親や祖父母から子や孫への贈与については、以下の目的に使う資金であれば、今後かかる費用についても、一定額まで非課税で贈与できます。ただし、非課税で利用できるのはあらかじめ決められた目的に限られること、期限が決められていること、贈与者が死亡したり期限を過ぎたりすると、未使用の金額に対して贈与税や相続税がかかる可能性があることなどの注意点があります。

以下の制度を利用した場合、一度決めた贈与を取り消すことはできません。利用に際しては制度をよく調べて、慎重に検討しましょう。

(1)教育資金の贈与の特例

親や祖父母から、30歳未満の子や孫へ「教育資金」を非課税で贈与できる制度。非課税限度額は最高1,500万円です。

(2)住宅取得等資金の贈与の特例 

親や祖父母から、20歳以上の子や孫へ「住宅購入等資金」を非課税で贈与できる制度。非課税限度額は、条件により700万~3,000万円です。

(3)結婚・子育て資金の贈与の特例

親や祖父母から、20歳以上50歳未満の子や孫へ「結婚・子育て資金」を非課税で贈与できる制度。非課税限度額は1,000万円です。

以上のうち、今回は「教育資金の贈与の特例」について、次章で詳しく解説します。


教育資金の一括贈与制度とは


親や祖父母から30歳未満の子や孫へ「教育資金」を非課税で贈与できる制度です。非課税限度額は、受贈者1人につき、1,500万円(学習塾など学校以外への支払いは500万円)です。

手続きは金融機関の窓口で行います。親や祖父母は贈与した資金の管理契約を金融機関と結び、子や孫名義の口座に一括で入金します。子や孫は教育資金の領収書や請求書を提出することで、贈与税非課税でお金を引き出せます(目的外の引き出しには贈与税がかかります)。子や孫が未成年の場合、親などの保護者が手続きを行います。

受贈者である子や孫が30歳になったときには教育資金口座にかかる契約は終了し、口座に残っていたお金は贈与税の対象となります。また、契約期間中に贈与者である親や祖父母が死亡した場合、その時点の残額に対して相続税がかかることがあります(受贈者が23歳未満である場合や、2019年4月1日以降に受け入れた資金等がない場合は除く)。

なお、教育資金口座の開設(契約)は、2021年3月31日までの期間限定です(ただし、将来、延長される可能性はあります)。

塾や留学費用も対象?教育資金の範囲

この制度の対象となる教育資金は、幅広い用途が対象になります。文部科学省の発表資料(2019年7月1日現在)では、以下のように定めています。

(1) 学校等に直接支払うもの

(1) 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など

(2) 学用品の購入費や修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など

(2) 学校等以外に対して直接支払うもの

(3) 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など

(4) スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など

(5)(3)の役務の提供又は(4)の指導で使用する物品の購入に要する金銭

(6)(2)に充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの

(7) 通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費

(1)の非課税限度額は(2)との合計で1,500万円まで、(2)は500万円までとなっています。

※2019年7月1日以降に支払う(3)~(5)の金銭で、受贈者(子や孫)が23歳に達した日の翌日以降に支払われるものについては、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用に限る。


非課税にならないケースに注意


制度活用のメリットとしては、将来予想される教育資金を、自分が元気なうちに子や孫に非課税で贈与しておける点があります。自分が認知症や死亡により金銭の支払いができなくなった場合でも、教育資金を負担してあげられるのです。

ただし、非課税枠の全額が必ずしも非課税になるわけではありません。非課税となる教育資金の範囲内であること、証明するための領収書や請求書を提出することには注意が必要です。また、贈与者の死亡や、受贈者が30歳になって契約が終了するなどして非課税とならないケースもあります。

所得要件・対象年齢を再確認

この制度を利用する上での注意点は以下のとおりです。

(1)受贈者には所得要件がある

19年4月以降は、受贈者である子や孫の前年の合計所得金額が1,000万円以下の場合に利用できます。

(2)受贈者が23歳以上になると、教育資金の範囲が限られる

(1)学校等に支払われる費用

(2)学校等に関連する費用(留学渡航費等)

(3)学校等以外では、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練の受講費用のみ

(3)30歳で契約終了。残額には贈与税が課される

30歳になったときには契約は終了し、残額には贈与税が課されます。ただし、30歳以降も学校等に在学中または教育訓練受講中であれば、残高があっても贈与税は課されません。その後、在学中・受講中ではなくなった年の年末または40歳になった場合には、その時点の残高に対して贈与税が課されます。

(4)相続税の対象になることがある

相続開始前3年以内に行われた贈与については、贈与者の相続開始日に、受贈者が23歳未満、または在学中または受講中である場合を除き、相続開始時の残高が相続財産に加算されます。

金融機関の方の話によると、この制度を利用したあとに、「お金をあげすぎた。解約したいのだが…」という申し出をいただくこともあるそうです。しかし、いったん結んだ契約は、原則として取り消すことはできません。また、使わずに残ってしまったお金には贈与税や相続税がかかることがあるので、他の子や孫への贈与等とのバランスを考えることも必要です。

利用する際には、制度をよく知った上で、誰にどのように資金援助するのか慎重に検討しましょう。

(注)贈与の年の1月1日に所定の年齢になっていることが条件になる場合と、契約時等にその年齢になっていることが条件になる場合があります。利用の際は、その他の条件を含めて、税務署や専門家にご確認ください。

(記事は2020年1月1日時点の情報に基づいています)

ファイナンシャル・プランナー 山田静江プロフィール

大学卒業後、銀行や会計事務所、独立FP会社勤務を経て、ファイナンシャル・プランナーとして独立。得意分野は医療・介護、相続・エンディング・ノートなど。

確定申告 「在職老齢年金」受給者は税金増えるケース多く要注意

 今年1月から大幅な税制改正が実施された。所得税の計算のベースとなる「基礎控除」や「給与所得控除」「公的年金等控除」「配偶者控除」などの基準が変更されたため、年金受給者も現役サラリーマンも税金計算が変わる。


 現実には、この改正で取られすぎた税金の確定申告は来年行なうことになるが、いざとなってからでは間に合わない。今年のうちに“損しない”申告方法を知って備えておく必要がある。確定申告と聞くと“自営業者や高額所得者のためのもの”と思いがちだが、大きな間違いである。


 とくに注意したいのは「在職老齢年金」をもらっている人だ。働きながら年金を受給している場合、確定申告が必要かどうかは給料と年金の金額で決まる。給料が年85万円(月給約7万円)を超え、かつ、年金収入が65歳未満なら年に90万円、65歳以上は140万円を超える人は確定申告の義務がある。

 まず知っておきたいのは、「在職老齢年金」の受給者が確定申告をすると、税金が増えるケースが多いことだ。


 理由は税金の源泉徴収の仕組みにある。給料と年金から天引きされる税金を計算する際に、どちらにも「基礎控除」が適用され、本来の税額より少ない金額が徴収されているケースがある。確定申告するとそれが修正され、納めなければならない税金が数万円増える。「だったら確定申告しなければいい」というわけにはいかない。税務署から必ず追納を求められるからだ。


 だからこそ、医療費や保険、自宅のリフォーム控除など税金を軽減できる様々な制度をフルに利用して、確定申告で逆に税金を取り戻すことが重要になる。それは完全リタイアした年金生活者や現役サラリーマン世代も同じだ。各種控除を積み上げることで、30万円程度の還付を受け取れることもある。「面倒くさい」と申告をしなければ、払い過ぎた税金を取り戻すチャンスを失うことになる。今年の申告期間は2月17日からの1か月間となる。


※週刊ポスト2020年2月14日号

確定申告で見逃しがちな“雑損控除” 自然災害、シロアリ駆除も対象

2月17日から確定申告の受付が始まるが、見逃しがちなのが、自然災害や盗難などで被害を受けた場合に申告する「雑損控除」だ。「本来は、かなり対象者の広い控除です」と語るのは元国税調査官で税務コンサルタントの大村大次郎氏だ。


「雑損控除は『自然災害で全壊した建物を撤去した時の費用』といったイメージがありますが、実際は原状回復のための修繕費が5万円以上かかれば受けられます」(大村氏)自然災害で「自宅の塀が壊れた」「ガレージが水浸しになった」「水道が壊れた」といったケースも対象になるという。


「雪下ろしやシロアリ駆除、スズメバチ駆除も対象になります。台風や雪かきに備えて購入した土嚢やスコップの費用も申告できます」(大村氏)控除額は、「差引損失額(保険金などによる補填を引いた実損)-所得金額の合計額×10%」か「差引損失額のうち、(後片付けや原状回復などの)被害関連支出額-5万円」の多いほうだ。


 年収800万円の会社員Aさん(56)が火災で約100万円の実損を負ったケースでは、雑損控除を申告することで約6万円が戻ってきた。近年は自然災害が多いため、被害を受けた場合は忘れず申告したい。


※週刊ポスト2020年2月14日号

夫婦の年金 夫の分だけでも繰り上げ受給を選ぶメリット

年金「繰り上げ」「繰り下げ」受給と「寿命」の関係


 現在、年金の受給開始年齢は原則65才だが、それを前倒しして60~64才の間に受け取る「繰り上げ受給」、または先送りして66~70才の間に受け取る「繰り下げ受給」を選択することができる。繰り上げ受給なら、早く受け取る代わりに受給額が減る。反対に繰り下げ受給は遅く受け取る代わりに受給額が増える仕組みだ。


 はたして、受給額を減らしてでも「繰り上げ」で早く受け取った方が得なのか、それとも「繰り下げ」で受給額を増やした方がいいのか。基本的には、それはどれだけ長く生きるかにかかってくる。

 通常の65才から受け取った場合と、繰り上げ受給の60才から受け取った場合で、受給開始から死亡するまでの「年金の受給総額」を比べると、「76才」で同額になる。つまり、「76才」より若くして亡くなるなら、60才から受給した方が得で、「76才」より長生きするなら、65才から受け取った方が得ということ。この76才は、繰り上げ受給の「損益分岐点」と呼ぶことができるだろう。


 一方で、70才まで繰り下げて受給した場合の損益分岐点は「81才」だ。81才以上生きれば、繰り下げて得する計算になる。逆にそれまでに亡くなれば損だ。最新のデータでは、女性の平均寿命は87.14才で、男性は80.98才。あくまで平均値だが、それまで生きるのであれば、「繰り上げ受給をするのは損」といえる。


 政府は、「長生きリスクに備えて繰り下げを」とアピールする。しかし、「年金博士」として知られるブレインコンサルティングオフィス代表で社会保険労務士の北村庄吾さんはその考え方に懐疑的だ。

「重要なのは死ぬまでの平均寿命ではなく、自立して生活できる年齢を示す『健康寿命』です。健康寿命は女性で75~76才、男性で72~73才とされます。繰り上げ受給の損益分岐点である76才まで生きていたとしても、健康ではなくなっている可能性も高く、せっかく年金を受け取っても、満足に使えなくなっているかもしれません」(北村さん。以下、「」内同)


◆せめて夫だけでも繰り上げるべき

 定年後、もっともお金がかかるのは60代。夫婦ともに元気で、特に娯楽や趣味にかけるお金は現役時代より増えるともいわれている。一方、体の自由がきかなくなる後期高齢者(75才以上)になると、娯楽や趣味にかけるお金は60代の半額以下になるため、70才を過ぎてから多くの年金を受け取っても、“トクした感”は得られないといえる。


「10年近くも“今がまんすれば年金が増えるから”と倹約を重ねていても、お金が入る頃にはボケているかもしれないし、最悪亡くなっているかもしれません」繰り下げ受給を選択し、受給開始前に亡くなってしまった場合、65才から亡くなった年齢までの年金は「未支給年金」として遺族が受け取ることができる。しかし、繰り下げを選択することによる「加算分」は消滅する。


「いずれにしろ、男性の方が平均寿命も健康寿命も短いので、夫婦で考えた時には、夫の分だけは繰り上げて、比較的健康寿命の長い妻の分は繰り下げるという選択肢もあると思います。何より繰り下げ受給は、“絶対に健康で長生きする自信があって、生活にも余裕がある、ごく一部の恵まれた人たち”の選択肢といえるでしょう」


 デメリットはまだある。

「年金額が増えると、税金や社会保険料が多く天引きされて手取り金額が少なくなってしまう場合があります。自治体によって異なりますが、たとえば東京23区などの大都市では、公的年金だけで暮らしている人の場合、年金収入が年211万円(月額約17万6000円)を超えると、健康保険料や介護保険料などの社会保険料が上がり、医療費の自己負担分を減らす『高額療養費制度』の自己負担上限額も引き上げられます」


 実際に繰り上げ受給するのにはどうすればいいのか。もし、まだ60才になっていなければ、60才の誕生日の3か月前までに日本年金機構から送られてくる「年金請求書」と住民票、年金手帳などを持って最寄りの年金事務所に行き、「繰上げ請求書」に署名のうえ、申請すればいい。60~64才のまだ年金をもらっていない人も、同様の手続きを取れば、あらためて繰り上げ受給に切り替えることが可能だ。


「ただし、繰り上げ受給の場合は、一度申請すると一生減額された年金しかもらえないので、慎重な検討が必要です」将来への年金不安や自分の健康寿命などを考えていくと、たとえ1年あたりで受給できる年金額が減ったとしても、早く受け取れる繰り上げの方がずっと安心できる。「一寸先は闇」の時代だ。とにかく元気なうちに受け取っておくというのが“年金の王道”だろう。

政府がゴリ押しする「年金繰り下げ受給」の落とし穴

 総務省の調査によれば、無職の高齢夫婦の平均支出は月26.4万円。一方で、受け取れる公的年金等の額は20.4万円だという。さらに、今後、年金受給額も減るとの観測も多く、受給開始年齢を60~64才に前倒しする繰り上げ受給を選ぶ人が多いのが現状だ。 遅く受け取る代わりに受給額がアップする繰り下げ受給には、デメリットも少なくない。まず、制度的な落とし穴だ。「年金博士」ことブレインコンサルティングオフィス代表で社会保険労務士の北村庄吾さんが言う。

「実は繰り下げ受給は“予約”ができません。繰り下げるためには、66才以降、受給したいと思った時に年金事務所に手続きに行く必要がある。その頃にボケていたり、体が思うように動かなくなっていたり、なんらかの事情で手続きができないと、受給できないんです(北村さん。以下、「」内同)」政府はどうしたら国民に年金を払わずに済むかを考えるのに躍起だ。そのために“狙い撃ち”されたのは、サラリーマンの夫を持つ専業主婦(第3号被保険者)の年金だった。

「会社員の夫がいれば年金保険料を免除されるため、『無職の専業主婦はズルい』とか、『第3号被保険者なんて制度があるから女性が働かないんだ』とやり玉に挙げられていて、いずれ廃止されるのは規定路線になっている。政府は本心では、全国に約870万人いる第3号被保険者に年金を払わずに済めば、年金財政は楽になると算盤を弾いているはずです」

 そんな風前の灯火ともいえる第3号被保険者ならば、「制度が廃止される前に早く年金を受け取りたい」と考えるのも妥当だろう。この点でも繰り上げ受給は有効だ。 少しでも多くの年金を受け取ろうと、割合はまだ少ないとはいえ、繰り下げ受給者がここ5年間でじわじわ増えているという。その背景には政府のゴリ押しが見え隠れしていると北村さんは言う。

「受給予定者の家には、定期的に『繰り下げ受給の方がお得ですよ』という旨の書かれたパンフレットが届きます。国がそうして繰り下げ受給を勧めているのは、年金の支払いを先送りして年金財政が悪化するのを先延ばしにしたいからだと考えられます」

 北村氏によれば、政府は来年4月をめどに、受給開始を75才まで繰り下げられるようにするとみられる。もし、国の言うとおりに75才からの受給を選べば、国民年金の満額は通常なら年約78万円のところ、年約111万円にまでアップする。たしかに、その数字だけを見れば“繰り下げすればするほどバラ色の年金生活が待っている”かのように映る。

 そのうえ、最近はいわゆる「老後資金2000万円」問題もあって、国民は自助努力で老後のお金を準備すべきだという風潮が高まっている。だから、“がまんして受給開始を遅らせて、少しでも年金を増やそうかな”と考える人が増えて、少しずつ繰り下げ受給者が増えているのだ。しかし、北村さんはこの現象にも警鐘を鳴らす。

「よく考えてみてください。年金財政を立て直したい、国民にできるだけ年金を払いたくないとばかり考えている政府が、本当に国民にとってお得な制度を、わざわざお金をかけてパンフレットを用意してまで勧めるでしょうか。繰り下げすればするほど、それだけ受給を開始する前に亡くなって、年金を受け取れない確率が増えます。現役時代に保険料を払うだけ払ってまったく受け取れないのは、確実に大損です。

 また、受給額のベースの水準は毎年減らされているので、できるだけ“後ろ倒し”で年金を受け取ってもらいたい、という政府の狙いが透けて見えるのです」

介護費用負担増に対抗する「要介護認定申請質問票」の書き方

要介護認定申請の質問票を記入する際のポイントは

 2020年から介護保険料が年間最大1万円値上げされる。さらに、3年に一度の改正を迎える2021年には介護に関する2つの負担増が準備されている。

 1つは低所得者が特別養護老人ホームに入居した場合に受けられていた食費と居住費の補助の削減。厚労省は年金額120万円を超える人に食費を全額自己負担させる方針で、対象者は年26万円もの負担増だ。

 さらに特養での介護サービスの利用者負担増も検討されている。これまで所得に関係なく上限が一律4万4400円(食費・居住費除く)と決められていたが、所得によって上限額が変わり、高所得世帯の上限額は14万100円まで引き上げられる見込みだ。


 介護費用の負担増にはどう立ち向かうべきか。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏は、適切な要介護認定を受けることが重要だと語る。「一定の負担でサービスが受けられる支給限度額は『要支援2』が月10万5310円なのに対し、『要介護1』は16万7650円で、1段階違うだけで月6万円、年間70万円以上の差が生じます」

 

要介護認定を受けるには自治体の窓口やホームページで「介護保険要介護申請書」を入手し、提出する。自治体によっては申請時に被介護者の状況を記載する「質問票」の提出を求められる(東京・千代田区の例を別掲)。書き方次第で調査員による認定調査の結果を左右しかねない重要な書類だ。


「自治体によって書式は異なりますが、『一人でトイレに行けない』など、日常生活で困っていることを具体的に書くこと。余白が足りなければ別紙にまとめてもいい(ポイント1、2)。認定調査で介護を受ける人は『介護なんて要らない』と言いがちです。正確に病状を理解してもらうためにも、特記事項や備考欄に“調査後に、本人がいない場所で話したい”と記入しておきましょう(ポイント3)。普段の様子をスマホで撮影しておくのも効果的です。


 自治体から質問票の提出を求められなくても、同様の内容をまとめて主治医に渡しておくと、認定時に必須の『主治医意見書』で考慮されることがあります」(黒田氏)制度の激変に対応して老後資産を守るために、正しい手続きを知っておきたい。


年金制度は「瀕死の重傷」、制度維持のためには75歳まで働く必要も

 2019年8月に、5年に1度行なわれる公的年金の財政検証が公表された。財政検証は、「年金の健康診断」とも呼ばれるが、その結果について経済アナリストの森永卓郎氏は「即刻手術が必要な瀕死の重傷といえるほど深刻なものだった」という。私たちの年金制度は今、どうなっているのか、そして今後どう乗り越えていくべきか、森永氏が解説する。

 * * *
 今回の財政検証での将来の見通しは、6パターンに分けて行なわれた。そのうち、所得代替率50%以上が将来的に確保できたのは、「経済成長と労働参加が進むケース」の3パターンだけだった。所得代替率は、厚生年金に40年間フル加入時、現役世代の手取り収入の何%を年金でもらえるかという数字である。

 現在の所得代替率は61.7%だが、将来的に下がっていき、最も楽観的なパターンでも50%ギリギリとなる。現行よりも年金給付が約2割カットされるということだ。

 さらに問題なのは、「労働参加が進む」というのは、高齢になっても働き続けなければならない、ということだ。前提となっている65~69歳の労働力率を見ると、男性は現状の56.1%が2040年に71.6%へ、15.1ポイント上がる想定となっている。女性は現状の35.0%から54.1%へ、19.1ポイント上がっている。つまり、男性の7割以上、女性の5割以上が70歳まで働き続けない限り、年金制度は維持できないというのである。

 それだけではない。この想定では、男性の70~75歳の労働力率も49.1%まで高まると見込んでいる。つまり、男性の半数は、75歳まで働かなければならないのである。だが、現在の男性の健康寿命は72歳である。これでは、リタイア後に悠々自適の生活が送れるどころか、介護施設から働きに出ろというに等しい想定となっている。

 それが実現できなければ、年金制度が維持できないというのだから、ほとんど詐欺である。さらに政府は、年金制度維持のために給付期間を短縮することを画策している。現在の年金受給開始年齢は原則65歳だが、受給開始を60歳から70歳の間で自由に選択できる制度となっている。まずは、それを75歳まで繰り延べて選択可能にしようとしているのだ。

 一方で政府は、年金受給を繰り上げた場合の減額幅を圧縮する方針を打ち出している。現行では、年金受給を1か月早めるごとに基準額から0.5%減らされ、60歳から繰り上げ受給すると年金額は30%減となる。それを1か月の減額幅を0.4%とし、60歳から繰り上げ受給をすると24%減にとどめる改正案が、早ければ2020年の通常国会で決定される運びだ。

 2019年の財政検証を見ても、今後年金支給額がズルズル減らされていくことは明らかだ。そうしたことを勘案すれば、私は年金の繰り上げ受給が有力な選択肢になると考える。もちろん、生活費を思いきり下げる家計の構造改革、リストラが必要になるが、減額された年金の範囲で楽しく暮らしていくことは十分に可能だ。大都市に住んでいたら難しいかもしれないが、たとえば家計で最も大きな支出となる住居費は、そこから離れて郊外に住めば劇的に安くすることができる。

 60歳からの繰り上げ受給を選択すれば年金額は少なくなるが、健康寿命の72歳まで12年間、体も動いて好きなことができる。一方、70歳までやりたくもない仕事を我慢して続けて年金をもらい始めれば、確かに年金額は42%増えるが、健康寿命からいえば悠々自適の期間はわずか2年だ。どちらを選ぶかは、個人の人生観の問題なので何ともいえないが、老後の幸せはこの選択にかかってくるのだ。

今の40代世代を襲う「年金4割カット」の現実味/森永卓郎氏が解説

2016年12月に改正国民年金法が成立し、デフレ下で見送られたマクロ経済スライドは蓄積され、物価上昇率がプラスになった時に一気に発動されることになった。その結果、今後は平均すると毎年1%程度ずつ確実に実質的な年金支給額が下がっていく。問題は、どこまで下がるのかということだ。経済アナリストの森永卓郎氏は「年金65歳支給を守ろうとすると、将来的に現行支給額の4割はカットされることになるだろう」と予測する。以下、森永氏が解説する。

 
 厚生労働省が年金の支給開始年齢をひとまず70歳に繰り延べしたいと考えているのは間違いない。とはいえ、65歳支給自体が実はまだ移行期間で、段階的に支給年齢が引き上げられている特別支給の老齢厚生年金の65歳前支給が終了する(男性は2025年、女性は2030年)まで完了しない。かつて支給開始年齢を繰り延べしようとして国民の猛反発を買い、断念した経緯もあって、厚労省も当面は繰り延べするのは困難と考えているだろう。


 ただし、日本の年金制度は年金支給のために必要な財源を、その時々の保険料収入から用意する「賦課方式」であるため、少子高齢化で支える側が減って、もらう側が増えていくわけだから、年金の給付水準が下がるのは避けようがないことも現実だ。制度を維持しようとすれば、「保険料の引き上げ」か「給付水準の引き下げ」か「支給開始年齢の繰り延べ」かの3つしか選択肢はないのである。


 3つの選択肢のうち、保険料をこれ以上増やすのは、会社員にも会社にとっても耐え切れず非常に困難だ。また、政府が年金支給年齢を繰り延べるといった途端に、国民の反乱が起きてしまう。そうした点から、当面、最も可能性が高いのは、年金の給付額がズルズルとカットされていくことだ。


では、年金支給水準はどこまで下がる可能性があるのか。厚労省は2014年6月に、年金制度の「財政検証」の結果を発表した。そこでは経済成長率の前提が異なる8パターンの将来推計が示されており、ケースAからケースEの5つのケースは将来的にも厚生年金の所得代替率50%が維持できる、つまりは現役世代の手取り収入の50%以上の年金を保障できるとしている。ただし、この5つのケースはすべて、65~69歳男性の労働力率は67%と3分の2の高齢者が働く前提となっているのだ。


一方、高齢者の労働力率が現状と変わらないとしたケースFからケースHの場合では、所得代替率は最悪35~37%まで低下する。これは、年金が実質的に4割もカットされていくことを意味する。この財政検証が言わんとしているのは、今のままの年金制度を続けていれば、年金支給額は確実に減っていく。それが嫌だというなら、


みんな70歳まで働いて年金保険料を払い続けろということに他ならない。これが安倍政権の提唱する「一億総活躍社会」の正体であり、70歳支給を国民に納得させる布石でもある。実際、年金を確実に下げていき、高齢者が音を上げたところで「生活が苦しいのだったら支給開始年齢を遅らせましょう」と言い出すに決まっている。


今後の生活防衛術として、少なくとも現在40代より下の世代は、年金が現行支給額の4割カットになると思って生活設計をしておくべきだろう。現行支給額は、平均的給与で40年勤務したサラリーマンの夫と専業主婦の夫婦の場合、2人で月額約22万円。それが4割カットとなると、夫婦で月額約13万円しかもらえなくなる。つまり、現役時代から、将来は夫婦で月13万円で暮らせる生活を考えておく必要があるということだ。



医療費改革で天引き保険料アップ、75歳超の窓口支払い額が激増

 年齢を重ねた人ほど狙い撃ちで負担増を求められる2020年の「全世代型社会保障」改革。その最大の標的となるのが「医療費」だ。政府は医療費を抑えるための制度改革を次々と打ち出そうとしている。

【ポイント1】給料や年金から天引きされる保険料UP

 その第一弾として、政府は2020年6月に自営業者や退職後の元サラリーマン(75歳未満)が加入する国民健康保険の保険料を値上げする方針だ。

 厚労省が社会保障審議会に提示している資料によると、年間の値上げ幅は医療保険分が最大2万円、一緒に徴収される介護保険分が最大1万円にのぼる。保険料は年収や住んでいる市町村ごとに差が生じるが、同省の試算では年収400万円の中間所得層でも平均保険料は年間約8000円アップとなると見積もっている。

 国保の保険料は2018年、2019年にも引き上げられており、3年連続の値上げになる。現役サラリーマンの健康保険料も値上げは避けられそうにない。

 企業の健保組合が加盟する健康保険組合連合会は、平均の保険料率(医療保険と介護保険の合計)が現在の約10.8%から3年後には11.8%に上昇するという試算を発表している。サラリーマンの給料から天引きされる保険料が1割近く値上げされる見通しなのだ。

【ポイント2】75歳以上は病院の窓口で払うお金が激増

 相次いで打ち出される負担増の背景にあるのが医療費の“2022年問題”だ。国民1人あたりの年間医療費は75歳未満の約22万円に対し、75歳以上の後期高齢者は4倍の約94万円に達している。現在の医療保険制度では、病院にかかったときの自己負担(窓口負担)は原則として69歳までが医療費の3割、74歳までは2割、75歳以上の後期高齢者は1割と、歳を取るほど低く抑えられている。

 75歳以上にもなれば、ほとんどの人は年金生活で収入が減るうえ、病院通いも増えて医療費がかさむ。そのため、老後の生活を圧迫しないように医療費の自己負担を少なくするのが現在の社会保障のセーフティネット機能だった。

 ところが、2022年には団塊世代が75歳を迎え、この制度のままでは国民医療費の総額が膨れ上がることが予想される。

 そこで政府が医療制度改革の第二弾として準備しているのが、75歳以上の窓口負担を現行の1割から2割に引き上げる案だ。「1割増」といっても、実際に病院で支払う自己負担額は2倍になる。

 厚労省は75歳以上の医療費窓口負担が2割に引き上げられると年間の医療費負担がどれくらい増えるかを病気ごとに試算している(図参照)。

 一目してわかるように、腰痛をはじめとする関節症や高血圧など、定期的な通院が必要とされる疾患では、文字通りの「医療費倍増」となる。歳を重ねるほど、腰痛のように慢性的な症状の出る疾患や、高血圧など長期の通院が必要な病気に悩まされる機会は増えるため、その影響は非常に大きいと考えられる。

2020年 年金、医療、介護、相続の常識が大きく変わる

 2020年は年金、医療、介護など日本の社会保障制度が大きく変わり、中高年世代にとって「受難の始まり」の年になる。政府が推進する「全世代型社会保障」への転換に伴うものだ。

 これまでの社会保障は「年金」「老人医療」「介護」に重点が置かれ、消費税の税収はすべて、この3つに使われていた。

 それが消費税率10%への引き上げに合わせて、税収を幼児教育と大学の無償化、女性の社会進出など幅広い世代に使うことになった。「全世代型」社会保障への転換とは、言い換えれば「高齢者向け」の社会保障を大幅に減らすことに他ならない。

 政府は社会保障審議会と首相直属の「全世代型社会保障検討会議」で大転換を次々に打ち出している。医療保険は後期高齢者の窓口負担が2倍に増え、介護保険は「貯金500万円以上」持つ高齢者の支払額がハネ上がる。適切な準備ができなければ、虎の子の老後資産が大きく毀損されるリスクがある。

 一方で、様々な制度変更のなかには、チャンスと捉えられるものもある。

 年金制度は「75歳まで働く」ことを前提に組み直しが進む。働き方や年金の受け取り方を工夫すれば、これまでより生涯収入を大きく増やせる可能性がある。

 時間とお金ばかりかかる印象の強い相続対策も、2020年には複数の制度が大きく変わる。新制度を活用すれば、資産を妻や子供によりスムーズに渡しやすくなる。

 しかし、「損するリスク」や「得するチャンス」の存在自体を知らないと、老後資産はどんどん失われていく。

 困難な時代を乗り切るには、制度がどう変わるかを先取りし、今すぐにでもライフスタイルを見直して老後の生活と資産を守る備えが欠かせない。

ネット銀行はお得だが退職金を預けるならリアル銀行に軍配か

 2019年の「インターネットバンキング利用調査」(マイボイスコム)によると、全体の7割が「ネット銀行を利用したことがある」と回答した。やはり、窓口のある大手リアル銀行よりお得なのだろうか。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんが話す。

「ネット銀行の方が総じて金利が高く、オリックス銀行の定期預金は1年もので0.2%、3年もので0.3%と、一般的なメガバンクの金利(0.01%)と比べて20倍、30倍になります。地方銀行のインターネット支店も狙い目。たとえば、愛媛銀行の四国八十八カ所支店のだんだん定期預金は100万円までしか預けられませんが、金利は0.27%(1年もの)。香川銀行のセルフうどん支店も100万円限定で0.27%(同)、高知銀行のよさこいおきゃく支店は0.2%(同)などとなっています。その地方に住んでいなくても口座開設できます」

 リアル銀行のように窓口の営業時間を気にせずに自分のパソコンやスマホでいつでも操作できる。しかも、預金はリアル銀行と同じく元本1000万円とその利息額までは保証される。明らかにネット銀行の方がお得なように見える。

「退職金などのまとまった大金を預けるなら、話は別です。リアル銀行の退職金専用定期なら0.5%~1%のものもあり、ネット銀行より高い。その代わり、預けられる期間は3か月程度と短いものが多いので、ひとまずその期間だけ預けてみることをおすすめします。退職金専用定期は退職して1年以内であればいいので、A銀行で3か月経ったら、次はB銀行へ、というふうに、1年間は退職金を高金利で転がしていける。退職金のようにまとまったお金が入ると、ついつい旅行や投資で散財しがちですが、1年くらい高金利で回しておいて、使い道を冷静に考えた方がいい」(深野さん)

 さらに、ネット銀行は使い方にコツがいる。店舗がない分、現金を引き出す際にコンビニや他行のATMを利用すると毎回手数料がかかる。

「それぞれの銀行のホームページには手数料がかからないATMの一覧があるので、自分の生活圏で身近にあるところを選んでください。ネット銀行には通帳もなく、人に聞きながら条件を決めることもできないほか、何かあった時も電話がなかなかつながらなかったり、メールも返信が遅かったりします。パソコンやスマホの操作が苦手な中高年には、通帳も窓口もあるリアル銀行の方が安心で便利でしょう。

 肝心なのは、生活に合わせて選ぶこと。金利の低い銀行に預けていてもお金は増えないし、金利が高いからといって自分に合わない銀行を選べば、手数料も“ちりつも”で、せっかくの金利分が吹き飛んでしまうことさえあります」(同)

夫に先立たれた妻、遺族年金はいくらもらえるか?

 遺族年金は夫と妻とでは制度が異なり、「夫に先立たれた妻」よりも、「妻に先立たれた夫」の方が受け取れる額が少なくなる。では実際、夫に先立たれた妻はいくらの年金をもらえるのか。

 夫の年金額が月16万円(基礎年金6万円+厚生年金10万円)で、専業主婦(3号被保険者)の妻の基礎年金が6万円のケースで試算すると、「妻が65歳まで」の受給額は月額約12万4000円(夫の「遺族厚生年金」月7万5000円+「中高齢寡婦加算」月約4万9000円)。

「妻が65歳以降」の受給額は月額約13万5000円(夫の「遺族厚生年金」月7万5000円+妻の「基礎年金」月6万円)になる。

 注意しなければならないのは「共稼ぎの妻」が遺族年金を受給するケースだ。妻が働いていても65歳までは前述の専業主婦のケースと同じ遺族年金を受給できるが、65歳になって年金受給が始まると、妻の厚生年金に夫の遺族年金が上乗せされるわけではない。

 妻は自分の基礎年金に上乗せされる2階部分について、(1)そのまま亡夫の遺族年金をもらうか、(2)遺族年金を捨てて自分の厚生年金をもらうか、(3)亡夫の厚生年金と自分の厚生年金を半分ずつもらうか、を選択しなければならない。

 亡夫の厚生年金部分が10万円で妻の厚生年金がその半額未満なら、妻は夫の遺族厚生年金(7万5000円)をもらい続けるほうが3つの選択肢の中で一番金額は多くなる。この場合、年金額は共稼ぎの妻も専業主婦(3号)も同じだ。遺族年金は専業主婦が不利にならないようになっている。

 妻の厚生年金が夫の遺族年金より多いなら、妻は65歳以降は夫の遺族年金をもらわずに自分の厚生年金だけを受給するほうがいい。

 共稼ぎの妻に先立たれた夫も、65歳までは「妻の遺族厚生年金」を受給できる。しかし、妻の厚生年金が自分より多くない限り、多くは65歳以降は自分の年金だけを受給することになる。

「夫に先立たれた妻」と「妻に先立たれた夫」、遺族年金の違いは

 年金という老後資金の「入金」の仕組みが変われば、相続という資金の「引き継ぎ」も見直す必要がある。年金をもらいながら長く働き、第2の人生を豊かにできたら、その先は妻や子供にどう渡すかが重要だ。「自分から妻へ」、「自分から子へ」、「親から自分へ」のそれぞれのパターンで、年金資産を受け継ぐ得するポイントを探った。

「年金の受給権」は親から子には相続できないが、サラリーマンの夫に先立たれた妻には、「遺族厚生年金」が支給される。

 厚労省の最新の簡易生命表によると、60歳時点の日本人の平均寿命は男性「83.84歳」、女性「89.04歳」だ。夫婦ともに60歳の場合、妻のほうが5~6歳長生きすることになる。

 遺族厚生年金は夫が年金受給前に亡くなっても、受給開始後に亡くなった場合も、妻の年齢にかかわらず、夫が亡くなった翌月から支給開始される。しかも、妻が再婚しない限り生涯支給が続く(夫の死亡時に妻が30歳未満の場合は5年間支給)。事実上、夫の年金受給権を妻が相続することになる。

 もちろん、「共稼ぎの妻(厚生年金加入)に先立たれた夫」も遺族厚生年金を受給可能だが、夫と妻とでは制度が違い、妻のほうがはるかに手厚くなっている。ざっと比較してみよう。

◆「夫に先立たれた妻」への遺族厚生年金

・受給条件 死亡した夫によって生計を維持されていた妻(妻の年収が850万円未満)
・受給期間 夫が死亡して1か月後から生涯受給
・受給金額 夫の厚生年金(報酬比例部分)の4分の3

 さらに遺族厚生年金に加えて、18歳未満の子供を持つ妻には「遺族基礎年金」(年78万100円+子供1人につき22万4500円加算)が支給され、18歳未満の子供がいなくても、夫の死亡時に40~64歳の妻には、65歳になるまで「中高齢寡婦加算」(年58万5100円)が上乗せされる。

◆「妻に先立たれた夫」への遺族厚生年金

・受給条件 妻が亡くなったとき55歳以上だった夫(夫の年収が850万円未満)
・受給期間 夫が60歳になってから生涯受給
・受給金額 妻の厚生年金の4分の3(夫のほうが収入が多ければもらえない)

 夫に先立たれた妻と比べると、「遺族基礎年金」の適用はあるが、「中高齢寡婦加算」はない。たとえば共稼ぎ夫婦の場合、夫に先立たれた妻は何歳であっても「夫の厚生年金受給権」を“相続”できるが、妻に先立たれた夫が55歳未満で、妻より収入が多い場合は「自分で稼げばいい」と妻の厚生年金受給権を“相続”できないわけである。

生命保険は「積み立て型」と「掛け捨て型」どちらを選ぶべきか

 生命保険に加入する際に迷うのが、「積み立て型(貯蓄型)」か「掛け捨て型」か。「払い込んだ保険料が戻ってこない掛け捨ては損」と思っている人もいるかもしれないが、はたして本当だろうか。保険に詳しいファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんが話す。

「貯蓄型は、とにかく保険料が高い。一般に、掛け捨ての保険料は月数千円程度ですが、貯蓄型は月3万~4万円が平均的。長年毎月払い続けるのは簡単ではありません。また、貯蓄型の最大のメリットである、解約時に返ってくるお金(解約返戻金)も、近年の商品は払い込み保険料の総額よりも少ない場合があります。インフレリスクも考えるべきです。保険加入期間中にインフレになって金利が上がれば損をすることになります」

 それだけではない。保険会社は、加入者から集めた保険料から手数料(人件費や営業費)を徴収する。大手生保はこの割合が非常に大きいのだ。

「手数料率は公開されていませんが、最低でも20~30%といわれています。CMを打ったり、販売代理店に手数料を支払ったりと莫大なお金がかかります。貯蓄型の場合はそこに運用手数料も上乗せされます」(長尾さん、以下「」内同)

 保険料から2割以上も抜かれれば、受け取る解約返戻金が少ないのも頷ける。別掲の表は、実際の保険商品を参考に、40才の女性が死亡保険1000万円の貯蓄型の終身保険と掛け捨ての定期保険に加入し、20年間保険料を払い続けた場合の保険料を試算した。

 掛け捨ての保険の場合、月2043円の保険料を20年払い込むと、49万320円だ。それに対し、貯蓄型の保険は毎月3万3120円の保険料で払い込み総額は794万8800円。だが、解約払戻金の払戻率は104.8%なので、20年後には38万1542円増えて、総額833万342円受け取れる。

 一見、貯蓄型が魅力的に見えるだろう。だが、こんなシミュレーションをしてみたら、どちらがお得かが、はっきりと浮かび上がってくる。先ほどの貯蓄型と掛け捨ての毎月の保険料の差額(3万1000円)を、「iDeCo」(個人型確定拠出年金)で運用してみたとする。

 iDeCoの運用利回りを、リスクを抑えて1%と仮定した場合、20年後の最終積立額は約823万円。これに加え、約149万円の税金が戻ってくるため、貯蓄型保険の解約払戻金の増分をはるかに上回る。もしお金を増やしたいならほかの運用方法でやって、保険は掛け捨てを選ぶのが正解と言えるだろう。

 そもそも生命保険は万が一の大きな経済リスクに備えるもの。子供が独立した夫婦2人だけの世帯なら、ある程度の蓄えがあれば保険は必要ない。先ほどの事例は、「40才女性の死亡保険1000万円」だった。確かに、小学生から大学生までの子供がいるならそれぐらい必要かもしれない。しかし、彼女が70才や80才になった時に、残された家族にとって1000万円もの保険金が必要だろうか。

「掛け捨てならいつでもやめられて、子供が巣立ったら保険金額を減らしたり、逆に子供が増えたら保険金額を増やすこともできる。ライフステージに応じて、簡単に見直せるのです」

 掛け捨ての保険のなかでも、さらにお得なのが、特定の地域に住む人を対象とした「都道府県民共済」だ。

「都道府県民共済の死亡保障が付いた『総合保障2型』の月額保険料(掛け金)は2000円と手頃です。また、集めて余った保険料は『割戻金』として加入者に還元されるため、民間の保険より確実に良心的です。

 そのほか、死亡保険金を給料のように分割で受け取る『収入保障保険』もおすすめです。契約後年数が経過するごとに保険金が下がっていく仕組みで、必要な時に必要な分だけ保険を掛けられ、保険料も安く抑えられます」

 保険に縛られず、自らコントロールすることが大切だ。

老後資産づくり iDeCoとつみたてNISAどちらを選ぶ?

 2019年は「老後資金2000万円不足」問題が注目を集めたが、老後資産づくりのために注目を集めているのが、iDeCo(個人型確定拠出年金、以下イデコ)とつみたてNISA(少額投資非課税制度)という国が用意した資産形成の制度だ。どちらも毎月一定額を金融機関で積み立てることで“特別なメリット”があるように設計されている。イデコは月5000円から、つみたてNISAは月100円からと、手軽に始められるのも魅力だ。

 最近、「老後資金2000万円を貯めたいならすぐに始めるべき」と紹介されることが多い、この2つの資産運用方法。でも、結局どっちがお得かわからず、「どっちもやってない」という人が多いようだ。ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんが語る。

「イデコの最大の特徴は、3つの税優遇制度にあります。(1)掛け金の全額が所得控除の対象になる、(2)運用益が非課税になる、(3)受け取る際にも税金の控除を受けられる。“じぶん年金”をつくることが前提なので、20才以上60才未満しか加入できず、一度預けたら60才まで引き出せません」

 会社員や主婦は月2万3000円(自営業者は月6万8000円)まで拠出できる。特にメリットが大きいのは(1)の所得控除だ。

「サラリーマンやパート主婦が働いて収入を得たら、その金額に応じて所得税や住民税がかかります。ところが、イデコに掛け金を払うと、その分を収入から差し引いたうえで税金が計算されるので、結果的に所得税・住民税が少なくなります」(山中さん、以下「」内同)

(3)の受け取り時の税金控除もあなどれない。一時金で受け取る場合は「退職所得控除」が適用され、積立期間が20年なら800万円、30年なら1500万円まで非課税。分割して年金として受け取る場合は、「公的年金控除」が受けられる。一方、つみたてNISAは20才から積み立てができるのは同じだが、年齢の上限はなく、いつでも引き出せる。

「その代わり、非課税となるのは(2)の運用益のみ。とはいえ、通常なら約20%の税金がかかるところ、利益を丸ごと受け取れるのは大きい。投資枠の上限は毎年40万円で、運用期間は最長20年。20年間フルに活用した場合、800万円分も非課税で運用できることになります」

 実際どれくらいお得なのか。

「イデコの場合、年収430万円の夫と年収127万円以下のパート主婦の40才夫婦で、夫が月々2万3000円、妻が2万円積み立てた場合、20年間で156万円節税できます。利回り3%で運用できた場合、夫婦の資金は1411万円となり、(1)と(2)と(3)のメリットで節税できたお金を合計すると、20年間で532万円余りも得します(別掲グラフ参照)」

 長期投資では、運用で得た利益を元本に加え、翌年も自動的に再投資し、それにまた運用利益がつく「複利」の効果が見込める。そのため、雪だるま式に増える。

「イデコでも、つみたてNISAでも、毎月3万3000円を20年間5%で運用した場合、元本792万円に対して最終的に積立額は1356万円にもなります。両制度ともに運用益への課税112万円がかからないので、564万円も得をします」

 どちらを選ぶか悩ましいところだ。

「老後資金を積み立てるなら、イデコの圧勝だといえます。生活費を圧迫しない範囲で、できれば上限いっぱいまでイデコで積み立てたいところです。理由の1つ目は、つみたてNISAの税優遇が(2)の運用益に限られる一方、イデコは3つも優遇があること。特に、働いて収入を得ている人にとって、所得税控除のメリットは大きいです。2つ目は、つみたてNISAが最長20年までしか運用できないのに比べ、イデコは20才から始めれば最長40年も長期運用できることです」

 そのうえで、余裕があるならば、いつでも引き出せるつみたてNISAを始めるのも手だ。教育資金や住宅資金など、中期の資金づくりに適している。

年金には、残された家族の生活を補償する役割があるって知っていますか?

もし、主たる生計者に何かあった場合、残された人の生活はどうなるのでしょう? 誰しもがそんな疑問を持ったことがあると思います。そのため、生命保険に入る方も多いかと思いますが、そんな時のために遺族年金という制度があります。 遺族年金は国の年金制度のひとつで、国民年金または厚生年金の被保険者または被保険者であった方が亡くなったときに、その遺族が受けることができる年金です。

遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。遺族基礎年金は国民年金の被保険者が対象となり、遺族厚生年金は厚生年金の被保険者が対象ですが、遺族厚生年金受給者は国民年金の被保険者でもあるため、遺族基礎年金に合わせて遺族厚生年金を受給できます。

わかりやすく説明しますと、自営業の方は厚生年金に加入できないため、遺族は遺族厚生年金の受給対象となりませんが、給与所得者で厚生年金加入者であれば、遺族は遺族厚生年金と遺族基礎年金の受給対象者です。

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したときに給付されます。ただし、死亡した者の保険料納付済期間が、加入期間の3分の2以上(保険料免除期間を含む)必要です。対象者は、死亡した者によって生計を維持されていた子ある配偶者または子になります。支給される金額は、78万100円+子の加算となり、第1子および第2子の場合は各22万4500円で、第3子以降は各7万4800円です。

老齢基礎年金を受けられる加入期間のある方が、国民年金からいずれの年金も受けないで亡くなられたときは、残された妻に寡婦年金が支払われます。寡婦年金は10年以上結婚していた妻に60歳から65歳になるまで支払われます。

遺族厚生年金

遺族厚生年金の支給要件は次の3つです。

1、被保険者が死亡したときまたは被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき(ただし令和8年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます)。

2、老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。遺族基礎年金と同様、死亡した者の保険料納付済期間が、加入期間の3分の2以上(保険料免除期間を含む)必要です。

3、1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき。

対象者は、死亡した者によって生計を維持されていた、妻や子、孫、55歳以上の夫(遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる)、父母、祖父母(支給開始は60歳から)です。子のない30歳未満の妻は、5年間の有期給付です。子のある配偶者や子は、遺族基礎年金も併せて受けられます。

夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻または、遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達した等のため、遺族基礎年金を受給できなくなった妻は、40歳から65歳になるまでの間、58万5100円(年額)が加算されます。これを中高齢の加算額といいます。

また、昭和31年4月1日以前に生まれた妻に65歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生したとき、または、中高齢の加算がされていた昭和31年4月1日以前に生まれた遺族厚生年金の受給権者である妻が65歳に達したときに、経過的寡婦加算が遺族厚生年金に加算されます。

このように、遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金がありますが、遺族基礎年金は主に残された子に対する制度に対して、遺族厚生年金は、残された妻をはじめ子や父母などの遺族を広くカバーする制度といえます。なお、ここに記載した内容は遺族年金の概要を記載したものであるため、個人の状況に応じて支給の有無や金額が変わるため、詳細につきましてはご自身のお住いの年金事務所へご確認ください。

執筆者:高畑智子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者

住宅ローン控除を最大限活用する知識を発表!「あえて繰上返済しない」など、トクする返済法は?【2019年度版】

2019年の消費税増税に合わせて、住宅ローン控除(減税)制度が変更となり、住宅ローン控除の対象期間が13年となります。この控除をフルに活用するには、「あえて繰上返済しない」などの知識が必要です。金利や借入額、年齢や年収によっては、長く借りた方が良いケースもあれば、繰上返済をした方がお得なケースもあります。住宅金融支援機構や銀行では教えてくれない「正しい知識」を紹介しましょう。

 こんにちは、ブロガーの千日太郎です。

 住宅ローン控除(正式には「住宅借入金等特別控除」)は、従来最長10年だったのですが、2019年10月の消費増税後からは最長13年に延長されました。

 11~13年目の税額控除は、次のいずれか少ない額が限度額となります。

(1)年末のローン残高×1%
(2)(住宅取得等対価の額-消費税額)×2%÷3

 増税後に家を買う以上は、この住宅ローン控除を賢く利用してめいっぱい節税したいですよね。今日は、この減税をフルに活用する住宅ローンの借り方、返し方について詳しく解説します。
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住宅ローンの金利が1%超なら随時、繰上返済するのがおトク?

 住宅ローン控除によって、住宅ローンの年末残高の1%がその年の所得税等から最大10回(または13回)還付されます。そのため、住宅ローンの残高は多くしておいた方が良いと言われています。例えば、年末のローン残高が1000万円ならば住宅ローン控除による還付は1%の10万円です。一方で住宅ローンの金利が0.5%なら、その年に払う利息は5万円前後ですから、払う利息よりも税金の控除額の方が大きくなるため、逆に儲かるのです。

 これに対して、住宅ローンの金利が1.5%ならば、その年に払う利息は15万円前後となります。この場合、還付される10万円よりも払う利息の方が大きくなりますので、住宅ローンの残高は少ない方がおトクです。

 ところが、控除額よりも利息の方が金額が大きいからといって、すぐにでも繰上返済すべきなのかというと、そうとは限らないんですよね。家を購入した直後は、最も手元のお金が減るタイミングです。不測のアクシデントで現金が必要となったときでも、繰上返済したお金は返ってきません。今は超低金利時代ですから、まずは家を買う前にあった貯金額に回復するまでは、無理に繰上返済をせずに、貯蓄に励むことをおススメします。

住宅ローン控除の「二つの上限」を知る

 実は、1年間で受けられる住宅ローン控除の金額には上限が設けられていて、自己資金を温存して借入を増やし過ぎると、かえって損をするようになっています。この上限を正しく理解して、無駄なく減税の恩恵を得られる住宅ローンの借入額を把握しましょう。. 建物の種類によって上限がある 2021年12月31日までに居住の用に供した※場合の住宅ローン控除の上限は、次のように定められています。(※その物件で、実際に生活を行っている状態のこと)

 この限度額を1%で割り戻すと住宅ローンの残高となります。例えば、50万円の控除を受け取るには、住宅ローンの残高は5000万円である必要があるということです。ところが、ローン残高が5000万円以上あったとしても、控除額は50万円までなので、注意が必要です。. 借りる人の所得税額と住民税額によって上限がある 住宅ローン控除のもう一つの上限は、「所得税」+「翌年度の住民税(上限は前年の課税所得の7%と13万6,500円のいずれか低い方)」です。つまり、自分に課せられる税金の額を超えて還付されることは無いのです。

 下記に、年収ごとの住宅ローンの上限と、それから割り戻した控除対象となる住宅ローン金額の一覧をまとめました。あくまでも目安ですが、参考になるかと思います。

 たまに、所得税の還付額だけを見て「住宅ローン減税はこの表よりも少なかった」という人がいます。足らない部分は翌年の住民税から減額されるのですが、それに気づいていないからです。住宅ローン控除の還付というのは、まずは年末調整で還付され、それでも還付額に届かなかった分は、住民税の減額という形で還付されるようになっています。

【住宅ローン控除の還付金の支払い方法】

所得税:年末調整で還付される(所得に応じて額は異なる)
住民税:翌年の住民税が減額になる(所得税で還付しきれなかった分もしくは13.65万円のいずれか低い方) 年収600万円の人の年末住宅ローン残高が3400万円だった場合、住宅ローン控除は34万円です。しかし天引きされた所得税が20.36万円ならば、年末調整で返ってくるのは20.36万円までです。足らずの部分は、翌年の住民税から13.64万円減額されるということなのですよ。

 住宅ローン控除は、まず所得税から控除され、足らない部分は住民税から天引きとなりますので所得税の還付だけで完結する人もいます。 例えば、年収1000万円の人の年末住宅ローン残高が5000万円だった場合、住宅ローン控除は50万円です。天引きされた所得税が79.93万円ならば、そこから50万円返金されて控除が満額となるので、住民税の出番はないということになります。

11年目~13年目は、繰上返済を検討しよう!

 冒頭にも紹介しましたが、今回延長された3年間分(11年目~13年目)の住宅ローン控除額は、10年目までの基準とは少し違うのですよ。

(1)年末のローン残高×1%
(2)(住宅取得等対価の額-消費税額)×2%÷3

 この2つのうち、どちらか少ない方の金額が控除額になります。だいたい建物価格の2%となるように調整されているのですが、その理由は、8%から10%への消費増税による消費者の負担増が、主に建物価格にかかる消費税だからです(土地は非課税です)。

 そこで気になるのが、11年目~13年目は繰上返済した方がいいのか?ということです。もちろん具体的な物件の価格と借入額でシミュレーションすれば、10年後~13年後のローン残高から計算して分かるのですが、そこまでしなくても、ある程度の目安を知っておきたいですよね。

 結論として、一般的な新築物件を購入する場合を前提とすると、11年目からはローン残高が建物価格×2÷3を下回らない範囲で繰上返済した方がおトクということになります。その理由をこれから説明しますね。

 仮に、あなたが土地を所有していたとして、1000万円の注文住宅を建てたケースで考えてみましょう。

 住宅ローン残高は、順調に返済していけば、10年後には現在の3分の2程度になります。1000万円借りたとすれば666万円、この1%を3年分とすると合計約20万円の住宅ローン控除額となりますね。一方で、建物の取得価格は1000万円ですから、建物価格の基準で考えると11~13年目の住宅ローン減税は、3年で1000万円×2÷3×3年=20万円です。つまり、このケースではほぼ同額の減税となります。

 こうして考えると、建物代が住宅ローンの100%を占めるケースで、ようやく(1)と(2)が同額になるぐらいだということが分かります。実際は、土地代を含めて住宅ローンを組む人がほとんどでしょうから、大半のケースでは、「(1)年末のローン残高×1%」よりも、「(2)建物価格の2%÷3」の方が金額が低くなるため、(2)の基準が適用されることになるのです。

 なので、もう一度言いますが、新築物件を購入した多くの人の場合、11年目以降は建物価格の基準の方で住宅ローン控除が決まります。ですから、11年目からはローン残高が建物価格×2÷3を下回らない範囲まで繰上返済した方がおトクということになりますね。 住宅ローンの借入額と建物価格が決まれば、11年目からすぐ繰上返済した方がトクか、繰上返済しない方がトクかがおおむね判定できます。なので、住宅ローンを借りる時点から確認して返済計画を立てておきましょう。

住宅ローン控除期間3年延長のポイントは「特別特定取得」と「居住の開始日」

 住宅ローン控除の期間延長を受けるには、2点注意しておくべきことがあります。それは、「特別特定取得」と「居住の開始日」です。住宅ローン控除を13年間受けるためにも、この点は気を付けて住宅を購入しましょう。

◆「特別特定取得」とは?

 建物代金に10%の消費税が課税されている住宅の取得を指します。

 逆をいうと、10%の消費税が課せられていないものは、控除の対象外となります。例えば、土地(のみの購入)や個人が所有する不動産(中古物件など)は消費税がかからないので対象外。中古物件でも、不動産会社などの事業者が商品として販売しているものについては、建物部分に消費税がかかるので、控除の対象となります。

◆「居住の開始日」はいつまでにすれば良い?

 2020年12月31日までに住民票を移す必要があります。

 居住の開始が一日でも遅れると、3年の延長はなくなります。3年間の延長を受けるには「2019年10月1日~2020年12月31日に対象の不動産を居住の用に供する」という条件があるからです。つまり、いつ住み始めたかを証明する必要がありますが、その証明には住民票が必要です。契約書や鍵の引渡し証などは、物件を引き渡した証拠にはなりますが、住み始めたという証拠にはなりません。転出届・転入届は引越し日の14日前から受理してもらえますから、前倒しで申請したほうが良いでしょう。

 もしも住民票の移し替えを忘れてしまった場合は、税務署に相談して、必要な資料を提出するようにしましょう。
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まとめ

 家を建てる、購入するというのは、個人としては人生でもっとも大きなお金を動かすことであり、個人レベルで目に見えて社会経済に貢献することでもあります。マイホームを買うことで出ていくお金のことばかりでなく、減税制度や補助金制度を知り、最大限に利用することで何百万円もの違いが出てきます。 知っているか知らないかだけで大きな違いが出てくるポイントですよ。千日太郎に出会った皆様が家と住宅ローンで賢い選択をし、素敵な人生を送られることを願っています。

【関連記事はこちら】>>消費税増税後の今、「家を買う」のは損か得か? 価格や金利動向を除けば、2020年3月末までが最も有利に!

年金は「繰り下げ受給」で最大42%増に まず、5年分の生活費を準備しよう!

楢戸ひかる 40代から備えよう「老後のお金」

 今年最後のコラムとなりました。2019年は、いわゆる公的年金の「2000万円足りない」問題が注目されたことにより、年金について考えてみた人も多かったのではないでしょうか? 大規模な金融制度改革だった「金融ビッグバン」になぞらえて、19年は「年金ビッグバン」が起きた年と言ったら、言い過ぎでしょうか?

「2000万円問題」の功罪

 年金2000万円問題の発端は、6月上旬に公表された金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書でした。全51ページの報告書の中の、たった一文が切り取られて大騒ぎに。 本来の報告書の趣旨とは、ずれた報道も多かったことについては、以前書きました 。

 私は、「何だかなぁ……」という気持ちが拭えず、報告書を作成した金融審議会のメンバーに、直接、騒がれた「2000万円問題について、どうお感じですか?」と、聞いてみました。

 私がお話を伺ったのは、セゾン投信社長の中野晴啓さんです。中野さんは、「一般の方へのインパクトがあったという意味で、一定の意義を果たしたと納得している」と言います。同社が開催する長期投資の勉強会には、「貯金以外はしたことがない」という層も参加するようになり、「『自分の年金は、自分で作る』という意識の人が増えたのでは?」とも、おっしゃっていました。

繰り下げると受給率が増える老齢年金

 40代が年金を考える時、最初に知っておいてほしいことは、「老齢年金は、繰り下げると受給率が高くなる」、つまり、受給額が多くなるということです。繰り下げとは、年金の受給開始年齢を遅らせることをいいます。 現行では、70歳まで受給開始を繰り下げることが可能。1か月繰り下げるごとに受給額が0.7%増える計算で、70歳から受給を開始すれば、増額率は42%です。ずいぶん違ってきますね。

65歳までに1560万円を!

 しかし、年金受給を70歳からに繰り下げるには、65歳から70歳になるなでの生活費を確保しておく必要があります。一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事の山中伸枝さんは、この5年間の生活費を目標に貯蓄することを勧めます。具体的には、「1560万円」です。

 《生活費月26万円×12か月×5年=1560万円》

 厚生労働省が発表した2019年度の厚生年金支給額は、22万1504円(標準的な夫婦の場合)です。「生活費月26万円」の計算根拠は、年金が2000万円足りなくなるとされているモデルケース(下図参照)を例にしており、「現在、月26万円よりも多く生活費がかかっている」という夫婦の場合は、その分、貯蓄目標額を多くする必要があります。

「自分事」として考えることに意味がある

 年金については、「自分の場合は、どうなのか?」を、考え始めてみることが大切です。たとえば、この連載は「40代から備えよう老後のお金」というタイトルですが、同じ40代でも、40歳と49歳では老後までの持ち時間が違います。そうなれば、65歳から70歳まで5年間の生活費を作るという目標は同じでも、月々貯蓄に回さなければいけない額は違ってきます。

 こんな試算をすると、憂鬱(ゆううつ)な気分になりますね。私自身、中学生~大学生の息子3人を育てている今、教育費は最大の山場! 老後資金として、毎月5万~8万円を貯(た)める余裕は全くありません。

 ただ、現実は見すえておかないと、かえって怖いとも感じています。なぜなら、マネー記事の取材を通じて、日本の年金制度は、アメリカやイギリスのように、「最低限の生活保障」というカタチになっていくと予測するからです。自分らしく老後を送りたければ、お金の話からは逃げられない……。

不確実だからチャンスが生まれる

 仮に目標額の1560万円を、「長期投資3%の利回りで準備した場合、毎月の投資額はいくらか?」をシミュレーションしてみました。(3%の利回りは、世界のGDPの伸びが目安です)

 もちろん、貯金の結果は確約されていますが、投資の結果は不確実で、マイナスになる可能性もあります。しかし、貯金(確実性のある金融商品)のゼロ金利がこれだけ長引いている今、そろそろ「不確実性」の捉えなおしが必要な時期だとも思います。不確実だからこそ、3%の利回りを得るチャンスが生まれるのですから。

 そういう意味で、「金融ビッグバン」は、政府の金融政策改革だったのに対し、「年金ビッグバン」は個人の意識改革だと思うのです。来年は、後ろ倒しにしていた「自分年金づくり」について、腰を据えて考えてみようと思っています。

楢戸ひかる(ならと・ひかる) マネーライター、ファイナンシャル・プランナー
 1969年生まれ。大手商社に8年間勤務後、フリーライターに。妊娠を機にファイナンシャル・プランナー資格(現FP技能士)を取得。約20年にわたり、女性向けのマネー記事を執筆してきた。 ホームページ「主婦er」の運営や、ワークショップ「『小さな暮らし』を始めるための3カ月家計簿」も手がける。家族は、夫と息子3人(大学生と中学生)。

年金改正で繰り上げ受給時の減額率引き下げへ 5年で60万円増額

 働きながら年金をもらう「在職老齢年金」の制度が来年から改正される見込みだが、同制度は年齢で2つに分かれている。65歳以上の「高在老」(高齢者在職老齢年金)は月給と年金の合計収入が47万円を超えると年金カットが行なわれる。基準が高いため、実際に、年金カットされているのは給料が比較的多い層で全体の1.5%にとどまる。

 一方、65歳未満の「低在老」(低所得者在職老齢年金)は年金カットの基準が合計収入28万円と厳しいため、2割近い人が年金を減らされている。 今回の厚生労働省の改正では「高在老」の基準は据え置き、そのかわりに低在老の年金カットの基準を「47万円」に引き上げる方針となった。

 実は、この制度改正は、「年金のもらい方」の発想を転換させる強烈なインパクトを持つ。現在は65歳までの雇用延長期間に働きながら年金をもらう「繰り上げ受給」を選ぶと、給料が低くても年金を大きくカットされるが、その基準が緩和されることで、新制度では「60歳繰り上げ」を選んだ場合の65歳までの年金総額が現在より大きく増えるからだ。

◆年金減額率が下がる

 今回の年金改正では「繰り上げ」を選んだ場合に次の2つの“特典”が受けられるようになる。

■特典1:年金額が現在よりアップする
■特典2:働きながら受給しても年金カットされない

 ここでは特典1の年金アップについて見てみよう。

 年金の「繰り上げ」は受給開始年齢を1か月単位で選ぶことができる。そのかわりに65歳より1か月早くもらうごとに年金額が0.5%ずつ減額されていく仕組みだ。

 厚労省の標準モデルの「夫の年金」に相当する月額16万円のケースで計算すると、「64歳受給」を選べば約15万円(6%減)、「63歳受給」なら約14万円(12%減)、5年間繰り上げて60歳から受給開始すると最大の30%減額されて年金額は約11万円に下がる。長く受給できる分、金額が減らされるのである。

 だが、厚労省は社会保障審議会年金部会に提出した資料で、この繰り上げ時の年金減額率を引き下げる(1か月0.4%に縮小)ことを盛り込んでいる。実施されれば、モデルケースで60歳繰り上げ受給を選んだ場合の年金額は現在の月額約11万円から、改正後は約12万円へと1万円アップする。5年間で約60万円もの増額だ。

年下妻を持つ夫 年金受給額は4つのパターンでこんなに変わる

夫婦で第2の人生のライフプランを考えるとき、重要な要素となるのが夫婦の年齢差だ。現在の年金制度は、「夫の厚生年金」が老後の夫婦の生活基盤となることを前提に組み立てられている。

「妻が年下」の夫婦であれば、夫が先に65歳を迎えて年金受給が始まる。この場合、妻が年金をもらえるまでの期間、原則として夫の年金額に“配偶者手当”にあたる「加給年金」(年額約39万円)が上乗せして支給される。月額にして約3万2500円の加算は大きい。

 夫婦の働き方は多様化し、妻が3号被保険者か、妻も厚生年金加入の共稼ぎかなどで夫婦の年金額や「得する受給方法」の考え方のポイントが違ってくる。ここでは年下妻を持つ夫のケースを見てみよう。

年下妻がもらえる「加給年金」と「特別支給」

 妻が年下で3号主婦(厚生年金加入歴なし)の場合、夫の年金に「加給年金」は上乗せされるが、妻は国民年金の満額をもらえないケースが多い(パターンA)。夫婦の年金は月額22万7000円で、年金だけで生活するにはギリギリの金額で人生プランにも余裕が持てない。

そこで夫婦の年金をさらに増やすには2つの方法がある。

 1つは妻が60歳以降も厚生年金に加入して働く方法だ。すでにパート勤めをしている3号被保険者(サラリーマンの夫に扶養されている)の妻なら、60歳で3号から外れた後、年金加入期間が40年になるまでの期間を会社の厚生年金に入るのが有効だ。月給10万円でも、5年間働くと65歳から妻に厚生年金が上乗せされ、受給額がアップする(パターンB)。

「基礎年金繰り下げ」でさらに増額

さらに年金アップの効果が高いのが、夫が年金受給しながら働き、「基礎年金」だけ70歳まで繰り下げるというやり方だ(パターンC)。

 年下の妻を持つ夫が年金を全部繰り下げるのは、配偶者手当にあたる「加給年金」まで停止されるから損失が大きい。しかし、基礎年金だけの繰り下げであれば、加給年金は停止されない。

 この方法を取れば、65歳から70歳までの間、夫の年金額は月額17万円から10万円ほどに減るものの、加給年金(月額約3.2万円)が上乗せされるうえ、給料収入もあるから生活の心配なく繰り下げできるはずだ。

 そして70歳からは、繰り下げによる割増しなどで夫の年金額は月額3万1000円もアップする。老後資金を趣味などに使える余裕が出てくる。

 妻が年下の「共稼ぎ夫婦」の年金は、妻の厚生年金加入期間が20年を超えるかどうかが加給年金支給の境界になる。

「妻は独身時代は会社員で、結婚後も子供が生まれるまで共稼ぎだった」というケースで、妻のトータルの厚生年金加入期間が20年未満であれば、夫の年金に「加給年金」が加算される。

 妻の年金加入期間15年(平均月給20万円の場合)の夫婦が前述の「夫の基礎年金繰り下げ」を選んだ場合、夫70歳、妻65歳になった時の夫婦の年金月額は28万2000円まで上がる。“たまには夫婦で年金旅行”もできそうだ。

 同じ共稼ぎでも、夫婦とも定年まで厚生年金に加入して働くケースは、妻が年下であっても「加給年金」はもらえない。そのかわり、厚生年金をダブルで受給できるから夫婦の年金額は最も高くなる(パターンD)。

 とくに妻が現在54歳以上の「得する年金」世代なら、夫が65歳で年金受給が始まった後、妻も65歳になる前に厚生年金の特別支給が始まる。60代の年金ダブル受給で、老後は無理して働かなくても“悠々自適”の年金生活に入ることができそうだ。

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