知ってると楽しい『通】学! ※年金/保険/退職金のいろは
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年金積立金は「33年後にゼロ」へ 大幅カット迫られる事態に

 2004年の年金大改革で時の小泉純一郎首相が、「年金は将来にわたって現役サラリーマンの平均給料の50%を下回らない」と約束したことから、夫婦合計の年金額とサラリーマン給料の割合を示す「所得代替率」の50%を維持することが、年金財政が健全かどうかの基準となってきた。

 しかし、それを計算するときに、役人は“悪知恵”を働かせた。「年金額」は税金や社会保険料を天引きする前の大きな金額を使い、「給料」は税・社会保険を天引きした後の少ない手取り金額を用いることで、所得代替率を大きく見せかける“粉飾”が施されているからだ。

 そこまで都合のいい前提を置いても、8月に発表された財政検証では年金財政の悪化を隠し通すことはできなかった。

 財政検証資料にある年齢別の支給額の試算から、今後、年金が支給開始される65歳時点の金額は毎年実質的に下がっていき、受給が始まってからも毎年同様に引き下げられるという“二重の減額”が進むのだ。

◆年金積立金は「33年後」にゼロ

 そして大きなクラッシュがやってくる。

「2052年度に国民年金の積立金がなくなり完全な賦課方式に移行。その後、保険料と国庫負担で賄うことができる所得代替率は38~36%程度」という財政検証の記述からそのことが読み取れる。

 現在は現役世代の納める保険料収入に加え年金積立金を取り崩しながら年金を支払っているが、積立金がなくなれば保険料収入と国庫負担だけで年金を払わなればならない。それが「完全賦課方式」だ。

 現役世代が負担できる保険料には限界があり、33年後に年金積立金がゼロになった途端、年金の大幅カットを迫られる。

 財政検証の試算によると、夫婦の年金額は現在の月22万円からそのとき約13万5000円程度に下がる。

◆国民から長期にわたって、多くの保険料を取り立てる

 厚労省はこれから始まる年金改正で厚生年金の加入義務を学生や短期労働者にも拡大して加入者を一挙に「1050万人」増やし、月給5万8000円以上あれば容赦なく保険料を取り立てる。

 さらに保険料の支払期間を国民年金は45年間(20~65歳)、厚生年金は最長55年間(20~75歳)に延長する。いずれも財政検証に書かれているオプションだ。

 年金積立金を食いつぶし、「完全賦課方式」に移行して年金クラッシュ(大幅引き下げ)が起きるのに備えて、今のうちから加入者を集められるだけ集め、保険料を広く深く取る態勢を整えようとしているのは明らかだ。

 受給開始年齢の繰り下げなどで「年金が増える」という口車に乗ると、払うだけ払わされた挙げ句、将来、積立金が尽きた時点で、「ハイ、これからは年金は半分しか払えません」と、あっさりと見捨てられる可能性が高いのである。

年金改革唯一のアメ「在職老齢年金の廃止」を最大限活かす手口

 厚生労働省が8月に発表した年金財政検証では、厚生年金の加入年齢を75歳まで引き上げる方針を示した。「75歳繰り下げ可能」と合わせて、「75歳まで働いて年金保険料を払い、75歳から年金をもらう」というライフプランを推奨しようとしている。

 だが、健康でいる限り働きたいと思っても、現実は厳しい。総務省の調査(2018年)によると、65歳以上の人のうち、働いているのはまだ4人に1人にすぎない。「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏が語る。

「サラリーマンは雇用延長期間の65歳までは比較的収入も安定していますが、その先の再就職となると、職種が限られる。ハローワークで高齢者の求人が比較的多いのは清掃、警備、飲食サービスなどで、キャリアを活かした仕事をしたいと思っていても、希望の仕事はなかなか求人がない。給料も60代後半ならフルタイムに近い勤務で月給15万円、70代になると時短勤務で10万円稼げればマシ、といった働き方になることが多い」(北村氏)

 60代後半~70代前半は生活費がまだかかる年代だ。家計調査では高齢者世帯の1か月の消費支出は約25万円。月15万円の給料では毎月10万円もの赤字で貯金など資産を取り崩す必要がある。

 それなら、「65歳から年金をもらい、75歳まで働く」という選択がある。生活費がかさむ期間を給料と年金のダブルインカムで余裕をもって過ごすプランだ。

 65歳からの5年間は月給15万円、70歳からの5年間は月給10万円のケースで働いた場合を試算したのがグラフだ。

 夫婦の年金22万円と夫の給料15万円を合わせると60代後半の収入は37万円。ほぼ現役男性サラリーマンの平均収入だ。

 70代前半の合計収入は32万円。リタイアする75歳からは年金収入の22万円だけになるが、その年齢になれば必要な生活費は大きく減っていく。

 ポイントは、働きながら年金を受給すると、給料との合計額が一定を超えたところから、支給がカットされていく「在職老齢年金」だ。高齢者の労働意欲を高めるために、厚労省は廃止・縮小を検討中で、財政検証にもその試算が盛り込まれた。

 65歳以上は、カットになる基準が「合計46万円」と高額になるため比較的対象者が限られるものの、数ある改悪のなかで唯一の“アメ”であることは間違いない。「年金をもらいながら、働けるだけ働く」が、これからは有力な選択肢となるのだ。

 一方、厚労省が推奨する「75歳まで働き、75歳から年金受給」を選択すると、前述のように60~70代前半は夫の給料と貯金の取り崩しでしのぎ、75歳以降に赤字を埋めていくことになる。どちらが安定した老後資金計画かは明らかだろう。

 給料と年金の総収入を比べても、男性平均寿命の85歳時点で年金+給料の“ダブルインカム”を選んだ方が有利だ。前出・北村氏が語る。

「厚労省は保険料を長く支払わせ、トータルの支給額も少なくなる75歳受給を普及させようという考えのようですが、後期高齢者になってから高額の年金をもらっても使いようがないケースが多いのが現実です」

年金75歳受給の落とし穴 もらえる総額が65歳受給者に追いつくのは90歳

 厚生労働省が8月に発表した財政検証には、これからの年金改革の方針が盛り込まれている。柱の1つが、受給開始を遅らせることで割り増し年金をもらえる「繰り下げ受給」の上限年齢を現行の70歳から75歳へと引き上げることだ。

「75歳から受給すれば、夫婦の年金額は現役サラリーマンの給料並みにハネ上がる」――資料にはそんな内容の試算がされている。鵜呑みにしていいのだろうか。夫の年金が月16万円のケースで考える。

 70歳繰り下げ受給を選択すると、年金額は42%割り増しされて月約23万円、75歳まで我慢すれば84%割り増しで月約30万円になる計算だ。専業主婦の妻の国民年金月約6万円(繰り下げしない場合)を合計すると、現役サラリーマンの平均手取り収入(35万7000円)とほぼ同じになる。

 しかし、1か月の年金額にまどわされてはいけない。「65歳受給」「70歳受給」「75歳受給」のどれを選択すれば最も得になるかは年金総額で比較する必要がある。

 ポイントは、年金額が増えれば天引きされる税金・社会保険料も大きくなる点。額面ではなく、年金の「手取り収入」で損益分岐点を見極めなければならない。

 本誌は犬山忠宏・税理士の協力で「65歳受給」のAさん、「70歳繰り下げ」を選んだBさん、「75歳まで我慢した」Cさんが受け取る年金の手取り総額を計算した(いずれも収入は年金のみで月額16万円)。

 当然、最初は一番先に受け取るAさんの年金額が増えていく。60代のうちに約913万円、79歳までに2742万円の年金をもらう。70歳受給のBさんの受給総額がAさんを抜くのは85歳のときだ。Aさんより10年遅れて受給が始まるCさんは毎月の年金額は多くても、総額でAさんを抜くのは90歳、Bさんはなんと94歳になる(図参照)。

 いくら毎月の年金額が多くなるといっても、70歳受給や75歳受給を選んだ場合の年金総額が、65歳からもらった人を追い抜くには平均寿命(男性約81歳)を超えて長生きしなければならない。犬山氏が指摘する。

「夫16万円、妻6万円の年金であれば、住民税非課税世帯となって税金はかからず、健康保険料なども軽減措置でかなり安くなります。しかし、75歳受給を選んで月30万円の年金収入があれば、そうした低所得者向けの優遇措置がなくなって、税金や社会保険料の負担が年40万円を超えます。さらに世帯の収入が増えると、後期高齢者であれば原則1割の医療費窓口負担が3割になったり、入院や手術をしたときに高額療養費制度で還付される金額も減る」

 年金生活者の多くが受けられる数々の優遇措置を失うデメリットは大きい。

 財政検証でまやかしの試算を見せるだけでなく、政府は「ねんきん定期便」などでも“繰り下げると年金は増える”とアピールし始めているが、実態としては「年金を受け取る人を少しでも減らしたい」ということではないのか。「75歳受給を選べば年金2倍」の宣伝文句に騙されないことが大切なのだ。「年金博士」こと社会保険労務士の北村庄吾氏が語る。

「日本人の健康寿命は男性なら約72歳。老後の生活設計をするうえで最も生活費がかさむのが60代後半から70代前半とされています。繰り下げ受給はその時期の年金収入がなくなる。繰り下げを選ぶ場合は十分な資産や年金以外の収入で生活を賄える見通しが必要です」

 繰り下げ幅が広がっても、「65歳受給」が有力な選択肢なのだ。

年金はこんなに減らされる!財政検証でわかった年金の未来 現在50歳は880万円減、45歳は863万円減

 厚生労働省が8月に発表した年金財政検証は、「年金の未来予想図」だ。「現行の年金制度は、一定の経済成長などが進めば将来的に夫婦の年金額が現役サラリーマンの平均手取り給料の50%を割り込むことはない」──それが今回の検証の結論だった。

 だが、その説明にはトリックがある。年金は「もらい始める前」と「もらい始めた後」の2段階で減らされていく。現役世代の保険料負担を減らすため、賃金・物価の上昇に対し、年金の上昇が抑制される仕組みがあり、そのため実質的に年金額が目減りしていくのだ。

 65歳の受給開始時点の年金額は毎年、少しずつ減らされる。そのため、若い世代ほど安くなる。厚労省の「現役サラリーマンの給料の50%が維持される」というのは、この受給開始時点の年金額のことだ。

 それに加えて同様に、受給開始後も、毎年、年金額が減っていく。だから、いずれ50%を割り込むのは確実なのである。

 注意したいのは、そうした二重の減額は、現行制度において確実にやってくる未来であり、それとは別にさらなる改悪が待ち受けていることだ。

「年金大減額時代」に備えるために、まず、すでに年金を受給している世代も、これから年金を受給する世代も、自分の年金が何年後にいくらになるのか、その金額を把握しておく必要がある。

 財政検証の付属資料には、今年65歳で年金受給が始まった標準モデル世帯(40年間の平均賃金で厚生年金に加入した夫と専業主婦の妻)の「月額22万円」を基準に、年齢別の「夫婦の年金額」が65年先まで1年刻みで試算されている。

 表は厚労省試算のうち、現在40歳から65歳の人の年齢別年金額を5年刻みに簡略化したものだ(現在の物価、賃金水準に換算した実質額)。

 たとえば、今年65歳の夫婦の年金は月額22万円から、70歳になる5年後には21.5万円へと月5000円(年6万円)減らされる。10年後には月1万4000円減、15年後には月2万円減と毎年減額幅は大きくなり、90歳になる2044年には月額2万9000円(年約35万円)も減らされる。

 66歳以上の年金受給世代の将来の年金額は、厚労省の財政検証資料では試算されていないが、計算していくと65歳世代と同程度の金額が減らされることがわかる。

 この表からあなたの“生涯年金額”と、老後30年間でもらえたはずの年金がいくら減らされるかも推計できる。

 夫婦の年金が22万円の65歳の世代は、年金額がそのままであれば95歳までの30年間の“生涯年金額”は7920万円のはずだったが、そこから約680万円もカットされてしまう。これが最も減額が大きい現在50歳の世代になると二重の減額によって880万円も少なくなる(表参照)。

 当然、その分、老後資金の不足額は大きくなることを覚悟しなければならない。

 今年6月の金融庁報告書では、公的年金だけに頼って暮らすと毎月5万円の赤字が生じることから、「老後30年間で、2000万円不足」と弾き出しているが、これはもらえる年金額は一定という前提だった。

 しかし、現実には厚労省自ら年金を毎年減らしていくことを明かしているのだ。現在65歳の世帯ならざっと2700万円、50歳世帯は将来的に2800万円不足すると考えておくべきだ。

サラリーマンの夫が亡くなった時、妻に支給される遺族給付はどのくらい?

老齢年金より前に受給する可能性がある遺族・障害給付だが…

先の参議院選挙で争点の1つだった公的年金の2,000万円不足問題に加え、8月27日に厚労省が公表した「年金財政検証」により、現在の公的年金制度を維持するための法改正に向けた議論が活発になりつつあります。ところで、公的年金は主として、A)老齢年金、B)遺族年金、C)障害年金の3つに分類されますが、現在、前述したような議論になっているのは、原則65歳から支給されるA)の老齢年金です。

しかし、その老齢年金よりも前に受給する可能性があるのが、残り2つの遺族・障害給付です。残念ながら、この2つを受給する場合は、ご自身またはご家族に危機(不幸)が訪れることに他なりません。表現は適切でないかもしれませんが、不幸はある日突然やって来ます。したがって、緊急時や危機が起きた時の公的年金制度を知っておくことも大切と言えるでしょう。

サラリーマンの夫が突然亡くなった時、妻が受給できる遺族給付は?

今回は、一家の家計を支える大黒柱であるサラリーマンの夫が、ある日突然亡くなるケースを考えてみます。残された妻はどのような遺族給付を受給できるのでしょうか? 

話を簡単にするために、亡くなる夫は働き始めてからずっと会社勤め、つまり、国民年金第2号被保険者であったとします。途中で自営業や無職(アルバイト)の期間があると、少しややこしくなりますので、今回はそのパターンは省略します。また、残された妻はいわゆる“専業主婦”、つまり、国民年金第3号被保険者とします。また、主婦が年間130万円以下のパート収入がある場合も“専業主婦”とみなされます。ちなみに現在、国民年金第3号被保険者は約870万人います(平成29年度)。

なお、遺族給付を受給するためには、亡くなった夫が定められた保険料納付要件を満たしていることが必要不可欠です。ただ、サラリーマンの場合、保険料は給与天引きとなっているため、要件を満たさないケースは稀と考えられます。

「子供がいるかどうか」「妻の年齢」が重要な2つのポイント

サラリーマンの夫が亡くなった時、その妻が受給対象となる遺族年金には、1)遺族基礎年金、2)遺族厚生年金の2つがあります。ここで重要なポイントは、会社勤めの夫が亡くなった時、「子供がいるかどうか」と「妻の年齢」です。

結論から言うと、子供がいない場合、受給できる遺族年金は少額に止まる可能性が高く、なおかつ、30歳未満(子供なし)の場合は受給期間も非常に短期となります。

遺族基礎年金

 遺族基礎年金の受給資格は? 

遺族基礎年金の支給対象者は、「子のある配偶者」もしくは「子」です。ここでの配偶者は妻を指します(以下同)。ということは、子供がいない場合、つまり、「妻」のみでは、遺族基礎年金は一切支給されません。

ただし、国民年金法でいう「子」とは、18歳年度末までの子を意味します。ザックリ言えば、高校3年生までが「子」となりますので、たとえば、夫が亡くなった時に妻と大学生の子供1人の場合は支給対象から除外され、1円も支給されません。また、夫が亡くなった時に中学生の子供がいた場合、その子供が高校を卒業すると支給されなくなります。

このように、結構厳しい基準があるのです。なお、夫の死亡当時に胎児であった場合は、出生したときから「子」として扱われ、遺族基礎年金の支給対象になります。

このように、遺族基礎年金では子供がいるかどうかが重要なポイントになります。遺族基礎年金は、“子供が高校を卒業するまで少なからず援助しましょう”という性格の遺族給付です。

 受給できる金額はいくらか? 

遺族基礎年金の支給額は、基本年金額(780,100円)に「子」の人数に応じた加算額(1人目と2人目は1人に付き224,500円、3人目からは1人74,800円)を加えた額となります。この金額は、亡くなった夫の収入や保険料納付期間と関係なく、一律の基準となります。

遺族厚生年金

 遺族厚生年金の受給資格は? 

今回は(現役の)サラリーマンである夫が亡くなった時を想定していますから、原則的に、妻に遺族厚生年金が支給されます。遺族基礎年金とは異なり、子供がいるかどうかは問われません。妻のみでも支給対象となります。

ただし、夫の死亡時に「30歳未満」でかつ「子のいない」妻の場合、5年間の有期支給となります。たとえば、夫の死亡時に28歳で子供がいない場合は、34歳から支給されなくなります。しかし、夫の死亡時に妻が30歳未満でも子供がいれば、その子供が18歳年度末(=高校卒業)に達するまでは支給されます。

表現が適切でないかもしれませんが、“子供のいない若い未亡人は、最長5年間の支給期間の間に新たな生活基盤を準備して下さい”ということでしょう。ここで言う“新たな生活基盤”とは、再婚や就職・自営などの経済的な自立を意味します。やはり、ここでも厳しい基準が設けられています。

 遺族厚生年金はいくら支給されるのか? 

遺族厚生年金の支給額は、遺族基礎年金とは違って非常に複雑です。ただ、本当にザックリ言うと、死亡当時の夫の報酬額に比例します。基本的には、老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3であり、納付月数が反映されます。ただし、夫の会社勤め期間が300カ月(=25年)未満の場合は、300カ月とみなして計算されます。と言われても、ピンと来ない方が圧倒的に多いでしょう。

これも本当にザックリした粗々の計算ですが、年収700万円で会社勤め10年間の夫が亡くなった場合、支給される遺族厚生年金は約70万円程度と推察されます。実際問題として、この遺族厚生年金額のみで生計を立てるのは難しいと言えるでしょう。

サラリーマンの夫が亡くなった時、支給される遺族給付はいくらか?

では、サラリーマンの夫が亡くなった時、遺族給付はどのくらい支給されるのか。以下に3つかのケースを例示しました。なお、遺族厚生年金の金額は、筆者が粗々で計算したものですのでご留意願います。

 <ケース1>

夫(45歳、年収900万円)、妻(44歳)、長男(大学2年)※、次男(中学3年)、長女(小学6年)

 ・1)遺族基礎年金=780,100円+224,500円×2人分=約123万円
 ・2)遺族厚生年金=約76万円(推定)
ただし、長女が高校を卒業以降は、1)=0円になり、2)のみ。

※長男(大学2年生)は18歳年度末を過ぎているため、加算される「子」ではない。

 <ケース2>

夫(31歳、年収500万円)、妻(27歳)、長男(1歳)

 ・1)遺族基礎年金=780,100円+224,500円×1人分=約101万円
 ・2)遺族厚生年金=約51万円(推定)
ただし、長男が高校を卒業以降は、1)=0円になり、2)のみ。

 <ケース3>

夫(31歳、年収500万円)、妻(27歳)、子供なし

 ・1)遺族基礎年金=0円
 ・2)遺族厚生年金=約51万円(推定)
ただし、5年後には2)=0円となり、一切の遺族年金は支給されない。
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遺族給付は必ずしも未来永劫支給されない

なお、遺族年金は未来永劫支給されるわけではなく、以下の事項に該当すると即座に支給停止となりますので、ご注意ください。

 ・妻が再婚した場合
 ・子供が全員18歳年度末に達した場合(遺族基礎年金)
 ・18歳未満でも子供が結婚した場合(遺族基礎年金)

また、遺族年金が支給される妻は、法律上の婚姻関係にあることが絶対条件です。いわゆる内縁の妻や事実婚は対象外となります。いかがでしょうか。なかなかこの記事だけでは理解が難しいと思われますが、将来の危機に備えようとしていただく一助になれば幸いです。最後にもう一度言います「不幸はある日突然やって来ます」。

「財政検証」でわかった 30~40代の30年後の年金受給金額

【年金崩壊の自衛手段】#1

 公的年金の将来の給付水準などを示す「財政検証」が公表された。検証はおおむね5年に1度実施されるが、前回の2014年検証に比べ、やはりというか、残念というか、もらえる額はより一層厳しくなった。一体どれくらい減るのか?

 前回2014年は6月に検証結果が公表された。今回も厚労省は同じ時期の公表を予定していたようだが、「夫婦で老後2000万円が不足」の金融庁報告のゴタゴタがあり、さらには参院選も重なって、姑息な政府の思惑でこの時期にまでずれ込んでいる。

年金が将来どれくらいもらえるかは、現役世代にとっての人生設計や家族の消費金額に直結する最重要問題。それだけに今回の財政検証に対する国民の注目はより一層高いものとなってしかるべきだが、テレビや新聞など主要メディアに目をやると、どれもこれも韓国の話題ばかり。見事に政府の術中にハマっている。

 そこで改めて今回の財政検証の中身をおさらいしてみよう。大きなところでは3つのポイントがある。

●標準的なケースでは約30年後の給付水準は今よりは2割近く目減りする
●繰り下げ受給年齢を75歳まで拡大(実質的な70歳支給開始の動き)
●学生など月5・8万円以上の賃金の人の年金加入も検討する

 アルバイト学生からも掛け金を徴収するとはいよいよ年金も断末魔だが、受給額はどれくらい減ってしまうのか。

 かなり楽観的と思われる標準的なケースでも2割減だ。今回の財政検証では、物価や賃金上昇率、運用利回り、将来の出生率や平均寿命などを材料に「Ⅰ~Ⅵ」の6段階で受給水準を推定している。

 冗談もほどほどにとしか言えないような超楽観的な試算「ケースⅠ」では、2046年度のモデル夫婦世帯の年金額が26・3万円(現在は22・0万円)。現役男子の手取り収入から見た割合である所得代替率は51・9%で、かろうじて50%を死守している。もちろん、バブル時代並みの好景気が前提だから、この試算を作った官僚たちも苦笑いしているだろう。

 現実の日本を直視すれば、最も低い「ケースⅥ」の他はあり得ない。中部圏社会経済研究所の島澤諭研究部長がこう言う。

「ケースⅥは、物価上昇率0・5%、実質賃金上昇0・4%などが前提になりますが、日本の現状はこれさえクリアできていません。そのため、最悪とされるケースⅥでさえ、過大評価の可能性があると考えます。そのケースⅥでは2052年に国民年金の積立金(約9・2兆円=時価)がなくなり、完全賦課方式に移行。そのため1987年生まれの現在32歳の若者の年金額は、所得代替率で36%ほどにまで落ち込んでしまいます」

 専門家が指摘するように、物価は2015年から3年で1・3%しか上がっておらず、実質賃金も政府主導の賃上げが行われた2014年以降も16年と18年の2度しかプラスになっていない。

では、具体的に年代別の年金額はどうなっていくのか?

 ケースⅥの場合(別表)、1975年生まれの40代が65歳になった時に夫婦2人でもらえる年金は19・9万円。1987年生まれの30代は同18・8万円となる。

 その後、国民年金の積立金が枯渇。現在の20代の年金額は所得代替率で36%となり、現在の水準(22・0万円)で計算すると、36%は夫婦で12万8500円。消費税も上がるのに、どうやって生活していくのか。

「今の30代より若い人は年金だけでは暮らせません。若い頃は高齢者のために働き、高齢になったら自分のために働く。本気で声を上げるべきですが、今のところこの世代は静か過ぎます。政治家にも若い人の意見は届きにくいのでしょうが、3年前には『保育園落ちた』のSNS発信から待機児童問題がクローズアップされた例もありました」(前出の島澤氏)

 少なくとも韓国の悪口に留飲を下げている場合ではないようだ。ちなみに単なる偶然だとは思うが、2年前の衆院選の20代の投票率は33%、30代が44%、40代は53%、50代が63%。将来もらえる年金の所得代替率に極めて近くなっている。

夫婦2人の標準的な年金「月22万円」で老後資金は足りるか

【カンタン貯蓄 目標3年で300万円!】

 人生の3大出費のひとつである老後資金は、誰にとっても、最大の関心事だ。先ごろも、金融庁金融審議会の「老後に2000万円が必要」とする報告書の内容が大炎上した。老後のお金は、若いうちから蓄えるべきというファイナンシャルプランナーもいるほどだ。

 問題は、そのお金をどう貯めるかだ。

 高齢社会で将来、年金財政は苦しくなる。破綻を防ぐために、支給年齢の引き上げや年金支給額を減らす。そのことは分かっている。

 しかし、みんなが不安になる必要はない。例えば、比較的余裕なのが、厚生年金+企業年金加入者だ。大企業勤務者に多いが、彼らは月40万円を超える年金額になる。退職金もあって、老後資金に不安はない。

 定年までに住宅ローンを完済できるならば、退職金は老後資金になるので、いたずらに老後を不安がる必要はない。万が一のときは、家を売るという方法もある。

 問題は、これらから取り残された人たちや国民年金(老齢基礎年金)のみの人たちだ。平均支給額は月額で約5万5000円だ。国民年金だけでは生活は厳しい。

 毎年の誕生月に「ねんきん定期便」が郵送されてくることはご存じだと思う。加入実績に応じて、自分がもらえる年金額の目安が確認できる。まず、その年金額と貯蓄(予定額)した老後資金で生活できるか判断する。

 明らかに不足しているならば、蓄えを急ぎたい。特に40代、50代で老後資金が不足するという人は、子供の教育費がなくなる時期なので貯蓄額を増やせる。

 厚労省によると、夫婦2人分の標準的な年金額(国民年金+厚生年金)は約22万円。家賃などの支払いがなく、ある程度節約していけば、老後も十分に生活できる金額である。一方、支出は約24万~25万円。その差額が老後の資金不足額といわれるものだ。

 しかし、毎月の収入が決まっているのに、それ以上にお金を使うことがあるだろうか。少なくとも支出を抑えようとするだろう。それは老後も同じだ。受け取る年金額で不足ならば、現役時代中に蓄えを増やす。問題なければ、万が一のための貯蓄程度で十分だ。

(経済ジャーナリスト・山下知志)

30代が将来もらえる年金は今より20~30%減る

デフォルトの常連、アルゼンチンがまたやらかした。アルゼンチンのマクリ政権は8月28日、IMF(国際通貨基金)や海外の国債保有者に返済の猶予を求めると発表した。

S&Pグローバルレーティング社は、アルゼンチンの短期国債を「D」(デフォルト)、長期国債を「SD」(選択的デフォルト)に格下げした。その後、8月30日に「デフォルト状態は解消された」と報じられている。

■「見かけの利回りがいい国」の債券にだまされるな

個人の犯罪や各種の悪癖はしばしば繰り返されるが、デフォルト常連国であるアルゼンチンにも似た趣がある。「スミマセン。また、やってしまいました」。

10月に予定されている大統領選挙でポピュリスト的な左派候補者アルベルト・フェルナンデス氏の優勢が伝えられることなどから、資本の対外流出が活発化して、外貨準備が急減している。

2017年にアルゼンチンが発行した100年満期国債のアメリカドルベースの価格は、8月29日、30日の2日間で13%下落した。年初来からの下落率は5割に達する。

高金利通貨国の債券の場合、国債でも、その国の政情や経済状況が悪化した場合にはこのような事態がありうるということなので、投資家はよく覚えておこう。先進国の国債利回りがマイナス金利を含むゼロ近辺まで軒並み低下している状況なので、見かけの利回りがいい金融商品を作ろうとすると、高金利通貨の債券が使われる場合がしばしばある。

はっきり言っておくが、外貨建ての保険や投資信託などを売るセールスマンに外国通貨の先行きなどわかるはずもないし、そのセールスマンが属する会社の研究所やエコノミストにも先行きはわからない。ついでに言うと、運用のプロにもわからない。

知らないと損する65歳からの“失業保険” 年金と一緒に給付可

 65歳からでももらえる失業保険があることをご存じだろうか。「高年齢求職者給付金」というが、シニアの雇用急増などを受けて、この失業保険、仕組みがパワーアップされたという。「長く働く」が一大テーマになるなか、うまく活用できればシニアの強い味方となる。知られざる失業保険をご紹介しよう。

 都内のA男さん(68)は、この3年間で「失業保険」を3回受け取った。大手事務機器メーカーの出身。2015年3月まではそのメーカーの関連会社に勤めていた。

「大企業のサラリーマン一筋で来たので、常識知らずになっていると感じていました。税金など世の中の仕組みも知らなかったので、役所で働こうと思ったんです」

 たまたま広報紙で地元自治体が嘱託職員を募集しているのを知り、応募した。運よく採用され、国民健康保険を扱う職場で1年半、働いた。

「わけあって退職せざるを得なくなりました。辞めてハローワークへ行ったのですが、そこで初めて失業保険をもらったのです。合計約24万円でしたね」

 いろいろと仕事探しをしていたら、別の自治体から「臨時職員なら採用できる」と声がかかった。介護保険の係で書類のコピーや電話取りなど事務補助が仕事だった。3カ月ごとの契約更新で今度は1年3カ月働いた。そこを辞めてもらった失業保険は約14万円。

 また仕事探しを始めたら、同じ自治体の別のセクションから臨時職員の誘いがあった。同じく事務補助の仕事だが、今度は期間が決まっていた。10カ月間働き、3回目の失業保険は約9万円だった。もらったのは、この6月のことだ。

 A男さんは言う。

「現役から見ると10万~20万円は大した金額ではないでしょうが、第一線を退いた身には大金になります。それぞれ、ずいぶん助かりましたよ」

 A男さんがもらったのは、雇用保険の「高年齢求職者給付金」。65歳以上で働いている人が失業した場合、一定の条件を満たせばもらえる。

 この給付金、64歳までの失業保険(基本手当)と対比する形で、「65歳からの失業保険」といわれることが多い。

 基本手当は加入期間などに応じて一定期間、退職時の賃金などに応じた手当が支給される。例えば会社に20年以上勤めていたのにリストラで退職させられた45~59歳の人なら、所定給付日数は330日になる。

 これに対し高年齢求職者給付金は、一定期間ではなく一時金として受け取る。また、基本手当を受給すると公的年金は支給停止になってしまうが、この給付金は年金と一緒にもらうことができる。

 以前は65歳以上で新たに雇われた人は雇用保険の対象外で、この給付金も65歳前から同じ会社に勤めていた人が65歳を過ぎて辞めた場合に限って1回だけ支給されるものだった。企業の人事出身の社会保険労務士の柳田恵一氏が言う。

「63、64歳で辞めると言いだした従業員に対して、『65歳まで頑張ると出る一時金がある。しかも、年金と一緒にもらえますよ』などと、引き留め策として使っていましたね」

 高齢化が急進展するにつれてシニアの雇用はどんどん増え、働く年齢は上がる一方だ。そこで2年前に改正法が施行され、65歳以上も雇用保険に加入することが義務づけられた。

 今は激変緩和措置で保険料は猶予されているが、来年度からは徴収されるようになる。負担あるところに給付あり。一回こっきりだったこの給付金も、条件を満たせば何回でももらえるようになった。

 労働側から見れば「権利拡大」だが、制度の知名度は低いままのようだ。先の社労士の柳田氏が、

「働く側は制度自体を知らない人がほとんどでしょうね。会社側も中小企業になると2年前の改正さえ知らない企業がけっこうありますよ」

 と言えば、労働問題のコラムをブログで展開している広島の社労士、村上公政氏も、

「ネットで私のコラムを読んだ人が、『保険料を払っていないのに本当にもらえるのか』と問い合わせてくるケースがあります。中には、明らかに会社の人事・総務担当者と思われる人もいますね」

 と話す。

 冒頭のA男さんもこうアドバイスする。

「私が給付金をもらえたのは、ひとえに制度の存在やその改正を知っていたからです。現役時代は会社がすべて面倒を見てくれますが、いったん離れると誰も何も教えてくれませんよ」

 外部に頼れないとなると「自衛」するしかない。65歳以上で働く人は、失業保険の存在を知っておくべきなのだ。

 高年齢求職者給付金の概要、すなわち受給資格を得る条件と一時金の基準、金額を調べると現役社員らを対象にした基本手当より、受給資格が得られやすくなっていることがわかる。基本手当をもらうには、週20時間以上働くなど一定条件を満たし、過去2年間で12カ月間雇用保険に加入する必要があるのに対し、この給付金は過去1年間で6カ月間雇用保険に加入していれば済む。

 ただし、失業状態でないと給付金は出ない。「もうこれでリタイア」とか「辞めて骨休めしたい」はダメ。自己都合で会社を辞めた場合は、3カ月経たないと一時金が出ないという給付制限もある。

 一時金の基準はシンプルだ。加入期間が1年未満ならば「基本手当日額の30日分」、1年以上ならば「50日分」の二つだけだ。

 金額は賃金によって異なり、基本手当日額は次のようにして求める。

 まずは平均日給を意味する「賃金日額」を出す必要がある。表にある通り、離職直前の6カ月の賃金の合計額を出し、それを「180」で割って求める。

 毎月の賃金にあまり変動がなければ、月給を30で割っても概算額にはなる。求めた賃金日額に金額によって違う給付率をかければ基本手当日額(賃金日額の50~80%)が出る。それに30日、50日をかければ一時金の金額となるわけだ。

 ご覧の通り一時金の金額は、30日分で6万~約20万円、50日分で10万~約34万円となっている。

 確かに、条件を満たせばこの金額が何度でももらえるとなれば、「魅力的」だ。65歳を超えて失業状態になっても一定の金額を受け取れるなら、転職の機会も広がる。先の社労士の村上氏はこう言う。

「少し前なら65歳を超えればもう雇ってくれるところはないと思って、ずっと働きたい人は会社を辞めませんでした。それが今、変わり始めています。一つは人手不足。65歳を超えた人も雇っていかないと、業務がこなせません。それに、給料など、より条件のいいところが見つかれば、すぐ移ろうというシニアも増えています。この一時金も、そういう流れに乗って利用者が増えていくでしょう」

 ただし、利用が広がるにつれ悪知恵を働かせる人が出てくる恐れもある。例えば基本手当でも一時、問題になった、「循環的離職者」という働き方だ。一定期間内に何度も同じ事業所に就職し、失業保険を繰り返してもらおうとする人のことを指す。

「例えば自動車などの期間工のケースがあります。出稼ぎ労働者が毎年半年ずつ工場で働けば、2年で基本手当がもらえてしまうんです。翌年も同じ会社に雇われることが確実なのに、です。高年齢求職者給付金は雇用保険の加入期間が6カ月でもらえてしまうため、そういう利用がより発生しやすくなるともいえます」(先の柳田氏)

 厚生労働省によると、今では同じ事業所に何度も就職すると「警報」が出て、ハローワークが働く側と会社側に事情を問い合わせるシステムができているという。それでも全てチェックすることは現実的ではない。

「いったん辞めて関連会社に再就職したりすると、同じ事業所ではないので捕捉は難しいでしょうね」(同)

 こういう手当でよく見られる、抜け道探しと規制強化のいたちごっこが、今回も起こるのかもしれない。しかし、逆から見れば、こうした過程を経て65歳以上の雇用が一般化していくという見方もできる。

 最後にもう一つ。この給付金は、受給資格を得てから1年以内なら給付金をもらえる。もし皆さんの周りに、昨年夏以降に仕事を辞めた65歳以上のシニアがいれば、ぜひ情報を教えてあげてほしい。仕事探しを続けていれば、この給付金をもらえる可能性がある。

 知らないことによる「損」ほど悔しいことはない。ゆめゆめ情報収集を怠らないことが大切なのだ。

60代は夫婦で「働く&繰り下げ」で年金受給額が約50%アップ

 年金は原則として65歳支給だが、最大60歳まで早められる「繰り上げ受給」と最長70歳まで受給を遅らせる「繰り下げ受給」を選べる。とくに超高齢社会では、「長く働いて年金を繰り下げる」という選択が、老後の生活を安定させる鍵となる。

 年金は受給を遅らせると1か月ごとに0.7%増額され、限度いっぱいの70歳まで繰り下げると42%の増額となる。定年後も長く働いて収入を保ちつつ、できるだけ受給を遅らせて年金を増やす戦略だ。

 このやり方の利点として、定年後も働いて厚生年金の保険料を支払い続けることで、その分、年金額が増えることが挙げられる。年金博士こと社会保険労務士の北村庄吾氏の指摘。

「国民年金と違って、厚生年金には『満額』という考え方がありません。定年後も厚生年金に加入して保険料を支払えば、その分だけ年金の報酬比例部分が増えていきます」

 繰り下げ受給による増加とは別に、働き続けて厚生年金の加入期間を長くすることによる年金増が生まれるのだ。

 例えば定年後の60歳から69歳まで年収216万円で働き、70歳で繰り下げ受給するケースでは、通常の65歳受給で月額約15万6000円だった厚生年金が月額約23万2100円になる。「長く働く」+「繰り下げ」で50%近い増額となる。

 さらに北村氏が勧めるのは「妻が厚生年金に加入して働くこと」だ。

「国民年金の保険料は一律で月額1万6410円で全額自己負担ですが、厚生年金は会社が半分負担してくれます。しかし現状では男性の約半数が加入期間35年以上なのに、女性は半数が10年未満。定年後は妻が厚生年金に加入して働くことで、夫婦の年金を大きく増やせます」(北村氏)

 2016年の法改正でパートでも厚生年金に加入しやすくなった。具体的には、労働時間週20時間以上、月給8万8000円(年収106万円)以上、1年以上の雇用継続などが見込めれば加入できる。

 仮に月10万円のパートを1年間続ければ、厚生年金は死ぬまで月額約550円アップする。3年で約1650円、10年で約5500円増やせる計算だ。

 60歳で同い年のAさん夫婦(夫の収入216万円、妻の収入144万円)のケースでシミュレーションしたのが掲載した図だ。Aさん夫婦が65歳から年金を受給した場合、90歳までの受給総額は約6645万円だが、夫婦で5年間繰り下げると、約7546万円となり、約1000万円多くなる。

 それが夫婦で60~69歳の10年間働いて5年間繰り下げた場合、余分に払う保険料などを差し引いても90歳までの年金総額はさらに約200万円増える。この差は長生きするほど広がっていく。

「持ち家なのに貧困」な人は多い、高齢富裕層が賃貸を選ぶのは当然か

 同じような生活をしていても、幸せな老後を迎えられるひとと、悲惨な結末を迎えるひとに分断されている。新著『上級国民/下級国民』が話題の作家の橘玲氏が、誰も口に出せない「老後格差」の真実明かす。

 参院選でも大きな争点となった「老後資金2000万円不足問題」が大炎上したが、発火点となった金融庁の報告書では、「平均的な世帯」は持ち家で2000万円程度の金融資産を保有しているとされる。だが金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」では、2000万円以上の金融資産を保有しているのは、70歳以上の世帯の27.9%に過ぎない。

「平均以下」だといわれた残りの7割超が、“「下級高齢者」として生きていくしかない”と宣告されたと考え、怒りや不安に駆られたことで政界を揺るがす大騒ぎになったのだろう。

 同じ調査では、70歳以上の世帯の28.6%が「金融資産を保有していない」と回答している。数にして700万人にも上り、高齢化の進行によってこの層が1000万人に達するのも時間の問題だろう。

 日本の高齢者は、裕福な3割(上級高齢者)と年金以外に生きていく術がない3割(下級高齢者)に分断されているのだ。

◆「持ち家=裕福」という誤解

「持ち家は裕福で賃貸は貧乏」と誰もがごくふつうに考えている。だがこの常識も崩れはじめている。

 前出のデータを分析すると、「金融資産を保有していない」と回答した世帯のじつに78.8%もが「持ち家」に住んでいる。持ち家世帯全体を見ても金融資産ゼロは約20%で、持ち家が5軒並んでいればそのうち1軒は貯金がほとんどない。

 日本の社会には、「持ち家なのに貧困」という膨大な層が隠されている。なぜこんなことになるかというと、住宅ローンを組んでマイホームを購入するのではなく、若い時から実家で暮らし、そのまま住み続けるひとたちが一定数いるからだろう。

 家を出るには、それなりの収入がある職業につき、引っ越しのための貯金も必要だ。そのお金がないと、「持ち家(実家)に閉じ込められる」ことになる。

 家賃がいらなければ、病気やケガなどの不慮の出来事がない限り、年金だけでなんとか暮らしていける。そう考えれば、貧困層の8割が持ち家なのは不思議でもなんでもない。

 それに対して富裕層を見ると、金融資産1000万~3000万円のおよそ2割が持ち家に住んでいない。年齢別のデータがないため断言できないが、裕福な高齢世帯が「賃貸」に住み替えるからではないだろうか。

 高齢になると一戸建てを管理するのは困難になる。庭の手入れやゴミ出しは億劫だし、天井の電球を交換するのも転倒の危険がある。そう考えれば、お金持ちが持ち家にこだわる合理的な理由はない。

 80歳になったら食事や見守りのあるサービス付き高齢者住宅に、90歳になったら介護の行き届いた有料老人ホームに移る――こちらの方がずっと楽なのだから、上級高齢者が「賃貸」を選ぶのは当たり前なのだ。

◆橘玲(たちばな・あきら):1959年生まれ。作家。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎文庫)『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)などベストセラー多数。新刊『上級国民/下級国民』(小学館新書)が話題。

確認しておきたい老親のお金事情 機嫌を損なわず聞き出す方法

 高齢化が進む日本において、特に大きな心配事となっているのが「実家に住む老親」の問題だ。

 普段は離れて暮らしている家族が一堂に会するお盆の帰省は、親子の今後についてじっくり考え、話し合う絶好の機会だ。「うちの親はまだ大丈夫」「まだ子供に相談するタイミングではない」と準備を怠っていると、いざというときに途方に暮れる事態を招きかねない。

 しかし、「お金」に関する質問は、根掘り葉掘り聞き出そうとすると親から不審がられてしまう可能性がある。

 それでも共有しておきたいのは「銀行口座」に関する情報だ。相続に詳しいファイナンシャルプランナーの平井寛氏がいう。

「親が認知症になるなど万が一のことがあれば、子供が親の銀行口座を把握するのも、そこから出金するのも非常に難しくなる。そのため親が元気なうちから口座・暗証番号などを把握しておくのが理想です。

 ただし無理に聞き出すのは避け、“急病で当座のお金を振り込まなければいけないときはどうすればいい?”などと体調を気遣う流れの中で聞き出したい。一度の帰省だけではなく、電話連絡や次回の帰省も含め、長期戦で臨みましょう」

 親の資産の確認で最も注意すべきは借金だ。多額の借金があり“負の相続”となる場合、親の死後3か月以内に手続きすれば相続放棄ができる。しかし葬儀などで慌ただしいなか、親の財産を速やかに把握するのは至難の業だ。

 また、帰省中に「自宅の不動産登記」などを取得しておくのも手だ。

「不動産の所在や名義人を確認しておくことは何より重要です。もし名義が親ではなくすでに亡くなっている祖父名義だったり、共有名義だった場合には相続の手続きが煩雑になってしまう」(同前)

 相続トラブルを避けるため、親が遺言書を準備している場合もある。遺言書は「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があるが、自筆証書遺言には注意が必要だ。

「公正証書遺言は公証役場で保管されるが、自筆証書遺言は家で保管されている場合が多い。保管した場所が家族に伝わらず、せっかく作成しても見つけてもらえないケースが少なくないのです。そのため親が元気なうちに遺言の有無とその種類、保管場所は共有しておいたほうがいいでしょう。

 また、来年からは自筆証書遺言を法務局で保管できる新制度も施行される。それを利用するよう促してもいい」(同前)

社会保険加入=「手取りが減る」と感じてませんか? 「国民健康保険」や「国民年金」より手厚い給付があります

よく労働者の方より「社会保険に加入しなければなりませんか?」といった質問を受けます。一般的に「社会保険」とは「健康保険」と「厚生年金保険」のことをいいます。 「社会保険」は、一定条件に該当する方であれば、働いている会社が「社会保険の適用事業所」であれば必ず加入しなければなりません。強制加入です。 社会保険加入と聞くと「手取りが減る」と感じてしまう方もいらっしゃると思いますが、多くのメリットもあります。
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「社会保険」の加入条件

「社会保険」は、会社が「社会保険の適用事業所」であることが前提となります。法人であれば「社会保険の適用事業所」となり、原則として多くの会社が「社会保険の適用事業所」になると考えてよいでしょう。

■(1) 正社員

「社会保険の適用事業所」で働いている正社員の方は原則として社会保険に加入しなければいけません。

■(2) パートタイマー等

一定以上の雇用契約期間があり、一定以上の労働時間・労働日数がある(正社員のおおむね4分の3とされています。)と社会保険に加入しなければいけません。また、大企業の社会保険の加入条件は、平成28年10月より変わっているので以前の記事でチェックしてみてください。

「社会保険」加入のメリット

■(1) 「社会保険料」は会社が半額負担

 「国民健康保険」や「国民年金」の保険料は全額自己負担であるのに対して、「健康保険」や「厚生年金保険」の保険料の半額は会社負担となります。

■(2) 「国民健康保険」や「国民年金」より手厚い給付がある

a. 「健康保険」には「国民健康保険」にはない、病気やケガをし会社を休んだ場合に一定額の給与が補償される「傷病手当金」や女性が出産時に産前・産後休暇により休んだ場合に一定額の給与が補償される「出産手当金」などがあります。

b. 「厚生年金保険」は、老後に給付される老齢年金であったり、障害を負った場合の給付や亡くなった場合に家族へ給付される年金や給付金など「国民年金」のみに加入している場合に比べ手厚く補償されています。

■(3) 扶養者という概念がある

「国民健康保険」や「国民年金」
扶養という概念がないために、個人個人が被保険者として加入する必要がありそれぞれ保険料がかかります。
「健康保険」や「厚生年金保険」
扶養者という概念があり、扶養者認定されれば保険料がかからないため支払う保険料を抑えることができます。
「社会保険」に加入していることでメリットがあります。

ただし、「社会保険」の保険料は以前の記事でも記載しましたが、給与額により保険料も変わってきますので注意が必要です。

生保社員200人に「加入している死亡保険」アンケート 最多は「入っていない

「ご契約ありがとうございます! これで人生に万が一のことが起きても心配要りません。三大疾病や介護、死亡保障までカバーできて、弊社の中でも一番人気の商品です」大手生命保険会社に勤務して15年になるベテラン営業マン・新垣誠さん(仮名・37才)はそう言って顧客の40代夫婦の前で笑みを浮かべたあと、心の中でこうつぶやいた。

《まあ、頼まれても自分では入らないですけど…》

 新垣さんによれば、「保険会社が推奨する人気商品ほど、契約者が損をする仕組みになっていることが多い」という。「保険の仕組みを単純に言えば、『加入者から保険料を集めて、必要な人に保険金として還元する』というものです。加入者にとって『得する商品』とは、集めた保険料がすべて保険金として分配される商品です。そうすれば、加入者には損はありませんよね。

 一方で、保険会社にとって『儲かる商品』とは、保険料がたくさん集まって、なるべく保険金は払わないですむ商品なんです。保険会社は、社員の高額な給料や、テレビCMに登場する有名タレントのギャラ、商品の販売・宣伝のための経費などを、集めた保険金から支払っています。だから、なるべく高額な保険料を集めて、そこからガッポリと手数料を取りたいわけです。つまり一般論では、辣腕の営業マンが、自分がすすめる商品に入っていないというのは、ある意味で当たり前なんです」(新垣さん)

 実際、今回行った保険会社勤務200人に対するアンケートでも、「入っている死亡保険を教えてください」という質問に対し、最多の回答(24人)は「自分は何も入っていない」というものだった。

理由の中には、「家の事情でお金が必要で最近解約した」(32才女性)という切実な声や、「万が一のための備えは『貯蓄』の方が効率的」だったり、「資産を貯めるなら、保険以外の方法のほうが割がいい」といった合理的な意見も散見された。冒頭とは別の大手生保会社社員が声を潜める。

「長く仕事をしていると、手数料や更新料で会社が儲かる仕組みもわかってしまうし、一度入ると解約しづらいのは経験上よく知っています(笑い)。貯蓄型であっても、手数料を考えたら銀行の定期預金の方が得する場合も多いし、定期的な『特約をつけませんか?』という営業を断るのも煩わしい。まあ、自分もやっているのですが…」

生保社員200人が明かす「自分が加入している死亡保険」ランキング!

「生保会社がいちばん売りたい商品は、生保社員がいちばん入りたくない商品」──ブラックジョークみたいな話だが、実は的を射ている。生命保険のカラクリを知れば、保険会社が儲かる商品ほど、加入者が損をするのは自明なのだという。

 そこで、保険の表も裏も知り尽くした「匿名の生保社員200人」に「自分が入っている死亡保険」をアンケートした。保険のデメリットを充分熟知した生命保険会社社員たちが入っている商品は何なのだろうか。

 プロたちが選んだ1位は、「みらいのカタチ 終身保険」(日本生命)だ。経過した年月数に応じて解約払戻金が増えていき、保険料の払い込みが一定期間で終了するという特徴がある。「みらいのカタチ」シリーズは加入した際もその後も、一人ひとりのライフスタイルに合わせて、13種類の保険を自在に組み合わせることができるため、「三大疾病にも対応していて、病気にならなくても死亡保障として受け取れるから」(37才女性)に代表される「カバーする範囲の広さ」を推奨する声が相次いだ。

 また、大手の保険会社名が並ぶ中で異彩を放ったのが、ソニー生命と同率2位にランクインしたJA共済の「終身共済」だ。JA共済というと、農業関連の事業を営んでいる人に特化しているという印象が強いが、誰でも利用できる。1票を投じた52才の男性はその魅力をこう解説する。

「亡くなった時に給付される一時金に加え、家族収入保障特約をつければ、働けなくなった時の収入保障も受け取れる。家族のことを思うと、これがいいと思いました」

 加えて「安さ」と「構造の単純さ」もランクインの大きな理由だ。

「大手の保険会社と違い、大がかりなPRや営業をしていないため、宣伝費や人件費がそれほどかからず、保険内容も無駄な手数料や契約者の得にならないような余計な特約がそぎ落とされたシンプルな内容になっています。また、ウチも含めこのご時勢、どんな保険会社も景気によって左右される可能性があるけれど、JAは『共済』だし、母体が農業の会社だから大丈夫だろうという安心感もあります」(42才女性)

元自営業の高齢夫婦は「国民年金だけ」でどう暮らしているのか

「年金だけでは暮らせない」「今から2000万円も貯められるだろうか」──6月に公表された金融庁の報告書が、国民の不安を煽り続けている。しかし、一般的なサラリーマン家庭であれば、それほど心配する必要はない。標準的なサラリーマン夫婦がもらう厚生年金は月22万円(妻が専業主婦の場合)ほど。さらに大企業なら2000万円超、中小企業でも1000万円超の退職金がもらえるため、老後資金を確保する余裕が出てくるのだ。

 サラリーマン家庭と比べ、老後の心配が大きいのは自営業者だ。『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)の著者で、久留米大学商学部教授の塚崎公義さんが語る。

「自営業者の国民年金は夫婦で最大約13万円しかなく、退職金もありません。老後の収入は金融庁が試算した平均金額よりもぐっと少なく、老後に不足する金額は2000万円どころではないはずです。元気なうちはできるだけ長く働くこと、若い頃から貯金しておくことが求められます」

 だが現実には、国民年金のみで平穏に暮らす高齢夫婦もいる。大阪府守口市の公団団地に暮らす野澤寿美子さん(86才・仮名)は、夫の正男さん(90才・仮名)とともに、10年前まで酒店を営んできた。

「夫の兄が大阪の旭区で米屋さんを営んでいた縁で、小さな酒屋を始めました。大きな儲けはありませんでしたが地道に商売を続けてきて、娘2人を育てあげました」(寿美子さん)

 成人した娘たちはそれぞれ結婚して家を離れていった。その後も野澤さん夫婦は細々と店を続けた。

 そして正男さんが80才になったのを機に、「そろそろ潮時や」と酒店を閉めて、次女夫婦の近所である守口市の公団団地に移り住んだ。

「店は個人商店だったので、何十年も国民年金を払ってきました。店を閉めた時に自宅も処分しました。それまでずっと自転車操業でカツカツの暮らしやったから、貯金は100万円もあったかどうか。それでもこの10年は年金だけでやりくりしています。一銭も借金せず、誰にも迷惑をかけてこなかったことがホンマによかったです」(寿美子さん)

 野澤さん夫婦が国民年金だけで暮らせる理由の1つは、年金の受給開始を遅らせる「繰り下げ受給」を選んだことだ。

「夫は60才から年金を受け取れる世代でしたが、商売を続けていて実入りがあったので、年金の受給開始を70才まで繰り下げたんです。そのため、夫の国民年金は通常より高くなって月10万円ほど。私は65才からもらい始めて月6万円ほどなので、夫婦合わせて月16万円ほどの年金です。そこから毎月7万5000円の家賃を払い、スーパーの安売りを利用して食費を月5万~6万円ほどに抑えて、水道光熱費や新聞代などで1万5000円くらい使う。もらえる年金とちょうど同じくらいの支出でやりくりしています」(寿美子さん)

 現在、年金の受給開始年齢は原則65才だが、もらい始めるタイミングは受給者自身が60~70才の範囲で決められる。受給開始を遅らせる、つまり繰り下げるほど年金額は増え、「70才受給」を選ぶと、年金額は本来の42%増しになる。ファイナンシャルプランナーの森田悦子さんが解説する。

「年金なしでも生活できそうなら、繰り下げ受給を選んで、もらえる年金額を増やすべきです。繰り下げは1か月単位で可能です」

 野澤さん夫婦の場合、酒店を閉めた時に自宅を売却して、公団団地に移り住む「住まいのダウンサイジング」をしたことも効果的だった。老後も自宅に住み続ける場合、傷んだ箇所の修繕や、介護が必要になった時にバリアフリー化のためのお金を要するケースが少なくない。

 卒寿を迎えた正男さんは耳が少し遠くなり、軽い認知症を患っているが、まだまだ健康で日常生活に不自由はない。妻の寿美子さんも元気で快活そのものだ。

「夫は酒屋だったのに酒が飲めず、たばこもやりまへん。日々の暮らしもぜいたくはしないけど、夫は肉好きだから月に1度や2度はすき焼きをします。夫婦仲がいいことも幸せな暮らしの条件ですよ。お金をぎょうさん持っていても夫婦仲や家族関係が冷え切っていたら不幸やからね。

 まあ、私らは国民年金だけでなんとか暮らせていますが、もし可能やったら、あと3万円ほど多めにもらえればうれしいですわ」

 そう言って寿美子さんは楽しそうに笑った。

退職日が「64歳363日」か「64歳364日」で失業給付は70万円違う

 人生100年時代、定年退職後も再雇用や再就職で働き続けるライフプランが当たり前になってくる。定年後に新しい仕事を探す場合、心強い見方となるのが「雇用保険の基本手当(失業給付)」だが、“年齢制限”があることに注意が必要だ。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの北山茂治氏がいう。

「対象者は、離職後に就職する意思と能力のある『65歳未満』で、離職前の2年で雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上ある人です。離職前の給与から算出される『基本手当日額』の最大150日分を受け取れます」

 一方で「65歳以上」の人が退職した場合は、雇用保険の基本手当に代わって「高年齢求職者給付金」という一時金が支給される。

「“65歳以上の失業給付”といわれる給付金で、離職する前の1年間に雇用保険に加入していた時期が通算6か月以上あることが支給条件です。支給額は『基本手当日額』の最大50日分で、65歳未満対象の雇用保険の基本手当より最大100日分少なくなります」(北山氏)

 とりわけ注意すべきは、「65歳の誕生日前後」で仕事を辞めて、新しい職を探そうとするケースだ。

 前述の通り、雇用保険の基本手当は65歳未満での退職が支給条件となるが、「65歳の誕生日の前日」までに辞めればいいと考えるのは間違いだ。

「法律的には、65歳の誕生日の前々日までが64歳です。つまり雇用保険の基本手当をもらうには、65歳の誕生日の前々日までに退職する必要がある。それ以降に退職すると、高年齢求職者給付金をもらうことになります」(北山氏)

 1日でも退職が遅れたら、もらえる失業給付に大きな差が出ることがある。

 別掲図のように、64歳までバリバリ働いて基本手当日額が上限額の人(月収50万円以上)を想定してシミュレーションすると、退職日が1日違うだけでもらえる失業給付が70万円以上も変わるのだ。

「退職日が1日違うだけでこれだけの差が出ます。65歳前後で新しい仕事を探そうとしているのであれば、この得する制度を見逃さないようにしたい」(北山氏)

 失業給付を受け取るには、退職時に会社から「雇用保険被保険者離職票」を受け取っておき、自分の住民票がある管轄のハローワークで手続きを進める。

 ちなみに「高年齢求職者給付金」は、雇用保険の加入期間などの条件を満たしていれば、何歳になっても何度でも受け取ることができる。定年後の転職の際には、上手に活用したい

「退職日」の落とし穴 1日違うだけで失業給付に70万円超の差も

 人生100年時代ともなれば60代で新しい仕事を何度も探す機会も出てくる。65歳以降に新たな職を探す場合は「高年齢求職者給付金」の申請を忘れてはいけない。

「“65歳以上の失業給付”といわれる制度で、離職する前の1年間に雇用保険に加入していた期間が通算6か月以上あることが条件です。65歳未満の失業給付と違って年金とダブル受給もできます」(社会保険労務士の稲毛由佳氏)

 離職前の月収が20万円で雇用保険に1年以上加入していれば、約24万円が一時金として支給される。65歳未満の失業給付と同様に、前の職場から受け取った離職票など必要書類をハローワークに提出して手続きを進める。この給付金は雇用保険の加入期間などの条件を満たしていれば、70代になっても80代になっても受け取ることができる。

“65歳以上の失業給付”は長く元気に働いていこうとする人にとって心強い存在だが、「65歳の誕生日前後」で仕事を辞めて新しい職を探そうとする場合、注意が必要だ。退職日が1日違うだけで、もらえる失業給付に「大差」が生じるのだ。

「64歳までの人であれば、離職前の給与から算出される『基本手当日額』の最大150日分が失業給付として受け取れる一方、65歳以上だと最大50日分になってしまいます。64歳までバリバリ働いて基本手当日額が上限額の人を想定して違いをシミュレーションすると、図のようにもらえるお金は70万円以上変わってくるのです」(同前)

 給付水準が下がるのは「65歳に達した日(=65歳の誕生日の前日)」以降。つまり、失業給付を多くもらうためには、65歳の誕生日の「前々日」までに退職しておかなければならない。

地震保険のお得な入り方 「家財」に加入で保険金がおりやすくなる

 万一の災害時に、頼りになるのが火災保険などの損害保険だ。中でも地震保険は政府もサポートする公的な側面を持つ保険で、被害が起きた際は建物5000万円、家財1000万円を上限に、全損、大半損、小半損、一部損の4つの分類に応じて保険金が支払われる。

 とはいえ、地震保険の保険料は決して安くない。保険料には地域差があるが、千葉、東京、神奈川、静岡の4都県は全国でも最高額で、加入を躊躇する人も多いだろう。できればお得に加入したいものだが、一般の保険と異なり地震保険はどの損保会社を選んでも保険料には差がない。

 保険会社を乗り換えて安くすることはできないが、実際に地震が起きた時になるべく保険金の支払いを受けやすくすることは可能だ。地震保険は「建物」と「家財」に分けて加入するが、その内訳で支払額が大きく変わる可能性があるからだ。

 損害保険ジャパン日本興亜によると、震度7を観測し200人以上が犠牲になった熊本地震(2016年)では、地震保険の「半損」の認定が、建物よりも家財で2.4倍多くあったという。要するに建物は無事でも家財がダメになり、家財に対して地震保険がおりるケースが多くあったということだ。また、2011年の東日本大震災でも、建物自体より家財の損害が大きかったが、家財に地震保険をつけていない被災者も多く、保険金を支払ってもらえなかったケースがあったという。

 実際、地震保険加入率は、建物が約62.2%であるのに対し、家財は約40%にとどまっている。

 保険金額が同じなら、対象が建物であっても家財であっても支払う保険料は変わらない。たとえば、2000万円の地震保険をかけるなら、建物だけにかけるのではなく、建物と家財に1000万円ずつ分けて加入すれば、支払う保険料は同じでも万一の際に支払いを受けられる可能性は高まりそうだ。

 これは火災保険でも同様で、建物に集中させるより一部を家財の補償に充てることで、ちょっとしたボヤでも支払いを受けられる可能性は高まる。

 地震や火事というと、家そのものの被害が心配が先に立つものだが、実際は建物より先に家財がやられるケースが多い。加入の際は分散を心がけた方が万一の際に役立ちそうだ。

文■森田悦子(ファイナンシャルプランナー/ライター)

1位は外貨建て保険 生保社員200人「入りたくない死亡保険」ランキング

「生保会社がいちばん売りたい商品は、生保社員がいちばん入りたくない商品」──ブラックジョークみたいな話だが、実は的を射ている。生命保険のカラクリを知れば、保険会社が儲かる商品ほど、加入者が損をするのは自明なのだ。

 そこで、保険の表も裏も知り尽くした「匿名の生保社員200人」に「入りたくない死亡保険」をアンケートした。保険のデメリットを充分熟知した生命保険会社社員たちが「入りたくない」という商品は何か。

「入りたくない」保険として2位と倍近くの差をつけて1位にランクインしたのは、外資系の保険会社が主力商品とする「外貨建て」の保険だ。ファイナンシャルプランナーの長尾義弘さんがその理由を分析する。

「受け取る際に円安か円高によってもらえる額に変動があり、結局いくらになるかわからないという不安定さがあります。手数料が高いというのと仕組みが複雑だというところも避ける理由でしょう」

 回答者の中には、「同じ投機性のある商品なら株や投資信託を買う」と答えた人もいた。

「私たちもこういった商品を売る時に、『将来、増える可能性があります』『資産形成の一環として』とすすめますが、同じような商品であれば投資を専門にやっている証券会社の方が詳しいうえに、商品の幅が広い。実際、同僚でもお客さんに外貨建てをすすめながら、自分は別の投資信託にあずけているという人は確かにいる」(59才男性)

 実際、「外貨建て保険」をめぐる契約者からの苦情はここ6年で4倍に増えている。その多くは「元本割れのリスクをきちんと説明しなかった」という内容だ。金融庁もこうした営業活動を問題視し、生命保険会社各社に改善を要請している。

「定期保険特約付き終身保険」(2位)や「定期保険」(3位)は、満期を迎えると年齢とともに保険料も上がる。商品によっては1.5倍や2倍になるものもあり、入りたくないという声が目立った。ランキングの中で、長尾さんが「入るなら注意が必要」と語気を強めたのは「セットもの」(6位)の保険だ。

「国内の大手生命保険会社の商品には、主契約だけではなく『疾病入院特約』や『災害割増特約』などといった、『特約』がたくさんついているケースが多い」(長尾さん)

 また、さまざまな保障がセットになっているゆえ、回答したプロたちですら、「自分の契約内容がわからなくなるからなるべく避けたい」という。

「セットにすると自分が今どの特約をつけているのかわからなくなるうえ、最悪本来もらえるはずの保険金の請求をしそびれたり、必要ない保障分の保険料を支払い忘れたりする。営業する側としてはセットで契約してもらえたらそれだけペイが増えるからありがたいのですが、契約者に優しい内容とは思えない商品が多いです」(31才女性)

 プロたちの「ナイショ話」を参考に見直しをしてみるのもいいかもしれない──。
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