幸せ呼ぶ猫神の呟き ■すぐ役立つ法律問題Q&A
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保育所不足で過熱する「保活」 入所のために「ウソ」を書いたら犯罪!?

出産後も働く女性が増えたことで、幼い子どもを預ける保育所のニーズが首都圏を中心に高まっている。特に、保育料の安い「認可保育所」の入所希望者は定員を上回っている状況だ。厚

生労働省によると、希望する保育園が満員だったなどの理由で入所できなかった「待機児童」の数は、2012年8月に全国でおよそ2万5千人もいたという。

このような状況の中、保育所を探す保護者たちの活動、俗に「保活」が年々、エスカレートしているという。自治体が、保護者の就労状況などに応じて点数化し、ポイントの高い子どもから優先的に認可保育所に受け入れているためだ。

保護者の中には、入所の選考を有利にするため、勤務先に就労条件を変えてもらったり、入所しやすい保育所の近くにわざわざ引っ越す人もいるそうだ。

さらには、提出を求められた書類に嘘の状況を記入したり、偽装離婚までする夫婦もいるという。それでは、ここまで行き過ぎた「保活」は犯罪に問われる可能性はないのだろうか。刑事事件に詳しい萩原猛弁護士に聞いた。

●「勤務証明書」や「就労証明書」に、嘘の内容を書いた場合は?

「認可保育所とは、国が定めた設置基準を満たし、都道府県知事に認可された施設です。大幅な公的資金補助があるため、保育料は比較的安くなっています。どこの自治体でも、入所については選考基準があり、選考をパスすれば入所が認められます。

この入所申し込みに際して、申込書や提出書類に虚偽があった場合、申込者は刑事責任を問われる可能性があります」

萩原弁護士はこのように説明する。では、具体的にはどのような犯罪に問われるのだろうか。たとえば、提出した文書に嘘の内容があった場合は?

「もし、申込者が『勤務証明書』や『就労証明書』などを、勤務先の会社に内緒で勝手に作成して提出すれば、私文書の偽造罪(刑法159条)及び行使罪(同161条)となります。

勤務先会社が了解して、虚偽の内容の文書を作成してくれた場合には、申込者は文書偽造罪にはなりません。

偽造とは、権限なく他人名義の文書を作成することを言いますので、この場合は、内容は虚偽であっても、作成権限のある会社が作成しているからです」

●入所選考の基準をクリアするために「偽装離婚」した場合は?

経済的な問題などから、あまりにも度が過ぎた「保活」になる場合もあるだろう。中には選考基準をクリアするために偽装離婚する夫婦もいるそうだが、この場合はどうだろうか。

「この場合、公務員に虚偽の申し立てをして戸籍に不実の記載をさせるという公正証書原本不実記載罪(刑法157条)が問題となります。

この点、夫婦の双方が『離婚届の提出』に合意している場合は、仮に実態として夫婦関係を継続するつもりだったとしても、戸籍上の離婚をする意思はあるので、公正証書原本不実記載罪に問われることはないでしょう」

つまり、形式的であっても離婚する意思に代わりはないので、「不実記載」ではないということだろう。では、これらの方法を使って実態とは違うように見せかけ、選考基準をクリアしているように装った結果、入所が許可された場合はどうなるのか。

「この場合、入所申込者は選考をパスするために、虚偽の内容が記載された書類を提出しています。つ

まり、本来は選考基準をクリアしていない『無資格者』であるにもかかわらず、選考基準をみたした『有資格者』であるかのように装って、自治体の担当者をだまして認可保育所への入所を認めさせたということになります。

これは、『人を欺いて財産上不法の利益得た』と評価できるので、入所申込者は、詐欺罪(刑法246条2項)に問われる可能性が高いでしょう」

エスカレートする「保活」に巻き込まれて、あせってしまう保護者の気持ちはわからないわけでもない。しかし、あまりにも行き過ぎた「保活」は犯罪につながる可能性があるのだ。越えてはいけない一線は、絶対に超えないように注意してほしい。

【取材協力弁護士】
萩原 猛(はぎわら・たけし)弁護士
刑事弁護を中心に、交通事故・医療過誤等の人身傷害損害賠償請求事件、男女関係・名誉毀損等に起因する慰謝料請求事件、欠陥住宅訴訟その他の各種損害賠償請求事件等の弁護活動を埼玉県・東京都を中心に展開。
事務所名:大宮法科大学院大学リーガルクリニック・ロード法律事務所
事務所URL:http://www.takehagiwara.jp/

もらい事故での賠償命令 ドライバーが取るべき自己防衛手段

福井県で起きた交通事故をめぐる判決がドライバーの間で波紋を広げている。「もらい事故」に巻き込まれた“被害者”でも、損害賠償責任を負わされる可能性が出てきたからだ。

 判決は4月13日、福井地裁で言い渡された。2012年4月、福井県内の国道で、居眠り運転でセンターラインをはみ出した乗用車が、直進してきた対向車と正面衝突する事故が起きた。居眠り運転していた乗用車側の助手席に乗っていた男性が死亡、運転していた大学生や、衝突された対向車の運転手らは肩などを骨折する大ケガを負った。

 これに対し、死亡した助手席の男性の遺族は居眠り運転していた大学生に対して訴訟を起こし、判決では約6700万円の損害賠償が命じられた。

 ここまでは納得できる話である。ところが、今回の裁判では多くのドライバーにとって衝撃的な別の判決も言い渡された。居眠り運転手とは別に、突っ込まれた対向車の運転手にも約4000万円の賠償責任があるとされたのだ。

 遺族は居眠り運転手だけでなく対向車側にも責任があるとして提訴していた。衝突された対向車側の運転手は当然、「事故は対向車線に逸脱してきた相手側の一方的な過失によって生じたもので自分は無過失である」と主張していたが、裁判で認められなかったのだ。

 交通事故問題に詳しい加茂隆康弁護士が解説する。

「車は殺傷能力のある危険な乗り物なので、自動車損害賠償保障法(自賠法)は基本的に加害者に責任があるという被害者救済の観点から成り立っています。賠償責任を免れるのは、自賠法第3条に定められている3つの条件をすべてクリアした時のみです」

 その3条件とは、〈自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと〉、〈被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと〉、〈自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったこと〉。3条件をすべて満たして初めて「過失がなかった」ことの証明になる。

「今回のケースでは、衝突された対向車側が『注意を怠らなかったこと』を証明できなかった。そのため、過失がなかったとは言い切れず、賠償責任が生じたのです」(加茂氏)

 たとえ自分に「過失があったわけではない」としても、「過失がない」ことを証明できない限り、もらい事故でも賠償責任を負いかねないことになるのだ。

 賠償だけではない。例えば自動車保険は1~20の等級に応じて割引率が決まる「等級制度」があるが、損害賠償を保険金でまかなうと基本的に3等級ダウンし、事故翌年度から3年間は保険料が割高となる。

 それもまだいい。犯罪者になる可能性さえ出てくる。

「仮にもらい事故で自分が無過失だったことの証明ができない場合や、それなりの過失があると判断された場合、相手方が刑事告訴して立件される可能性も皆無ではありません。

 もらい事故だからと油断しないことです。事故後は警察任せにせず、自ら事故現場を撮影したり、証言者を確保したりするなどして、自分に過失がないことを裏付ける証拠集めをすることが重要です。ドライブレコーダーを取り付けるのも手でしょう」(前出・加茂氏)

アダルトサイトの「18歳未満禁止」を破って見ると犯罪になる?

男性であれば一度は目にしたことがある18歳未満閲覧禁止のアダルトサイト、俗にいう「18禁」。

18歳未満は見てはいけないということなのですが、仮に18歳未満が閲覧してそれが発覚した場合、犯罪になってしまうのでしょうか。

また、アダルトサイトの入り口で「あなたは18歳以上ですか?」という質問があり、「18歳以上です」をクリックすると閲覧できるようなシステムの場合、18歳未満なのにそれを偽って18歳以上というところをクリックして閲覧した場合、何らかの犯罪になってしまうのでしょうか。

結論を申し上げると、いずれも犯罪にはなりません。それはなぜでしょうか?

●そもそも法律で年齢制限がない

そもそもアダルトサイトの閲覧には、飲酒や喫煙と異なり、法律上年齢制限はありません。ですので、18歳未満が閲覧したとしても法律上は全く問題ありません。

ただ、サイトの運営側が、「18歳未満には閲覧させていませんよ」ということをアピールするために、自主規制として18歳未満閲覧禁止と言っているだけです。ですので、18歳未満の人が18歳未満閲覧禁止のアダルトサイトを見ても法律上は犯罪にはなりません。

●有料のサイトに登録してしまったらどうなる?

ただし、有料のサイトの場合、未成年(これは18歳未満ではなく20歳未満)であるにもかかわらず成年であると偽って閲覧し、課金された場合は、その料金の支払義務は発生する可能性が高いと思われます。

民法上、未成年者がサイトに申し込んだ場合は、その申し込みを取り消すことができると規定されています。

ですので、仮に故意でも過失でも未成年者が有料サイトに申し込んでしまった場合は取り消すことができます。ですので、閲覧の料金の支払いを免れることができる可能性が高いでしょう。

しかしながら、20歳以上であるとだまして申し込みをした人まで救う必要性はありませんので、20歳以上であると偽ってサイトに申し込みをした場合には、支払義務を免れることはできなくなります。

サイトの運営者もそのことは分かっていますから、申し込みの際には必ず「あなたは20歳以上ですか?」という質問があり、それに答えないと閲覧できない仕組みを取っているようです。

●数十万円を支払ったケースも

過去には、未成年者が成年と偽って閲覧したサイトの料金数十万円を請求され、泣く泣く親が支払ったなどという事案もあるようですのでお気を付けください。

男性であれば非常に興味がある18禁サイトですが、法律上は問題ないとしても、閲覧しすぎは様々な影響を及ぼします。やはり何事にも「ほどほど」が一番よろしいのではないでしょうか。

*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)

自己破産するとどうなるの? 知らないじゃ済まない基礎知識まとめ

「自己破産」というと全財産がなくなり、「人生終了」のようなイメージを持っている方も多いかもしれません。

しかし、借金が返せないことで苦しんでいる人を救済するために国が作った前向きな制度とも言えます。もちろん、デメリットもありますが、まずはどういったものなのかをしっかり知っておく必要があるでしょう。

今回は自己破産はどのような制度なのか、メリット・デメリットについて解説していきます。

●ほとんどの場合、借金はなくなる

破産は、裁判所が選任した破産管財人と呼ばれる担当者が、債務者が有していた財産を管理・換価、配当する手続です。これだけでは、全ての債務を払いきることはできず、債務が残ってしまいます。

この残った債務の支払い義務をなくすのが免責です。つまり自己破産することによって借金がチャラになるということです。

破産法では、自己破産の申立があった場合には、反対の意思が表示されていない限り、同時に免責許可の申立てもなされたと扱っています。そのため、一般的に自己破産すれば債務を支払わなくてよくなると言われているのです。

免責は、一定の不許可となる事由がない限り、必ず許可されます。

●免責が不許可となるケース

不許可事由は色々ありますが、その一部を紹介します。

例えば、財産の隠匿、一部の債権者に偏った弁済をしたこと、浪費、賭博等による著しい財産減少・過大な債務負担、債権者を騙して借入れを行ったこと、裁判所の調査に対する説明拒否・虚偽説明など様々なものがあります。

このような事由があっても、軽微なものである場合など他の事情を考慮して相当と認めるときは、裁判所の裁量によって免責が認められる場合もあります。

免責が認められる比率は高いですが、浪費・賭博などの免責不許可事由があり、免責が困難であるとあらかじめ認められるような事件については、事前に裁判所から勧告があり、破産・免責の申立を取り下げる例も相当数あるようです。

免責が認められると、破産者は原則として債務について責任を免れます。ただ、租税等の請求権や、扶養料、子の監護費用、破産者が故意重過失により加えた人の身体・生命を害する不法行為にもとづく損害賠償請求権など、免責されないものもあります。

●デメリット

まず、生活に必要不可欠な部分をのぞき、所有している財産は原則として処分しなければなりません。

家や自動車を買っていても、手放すことになってしまいます。金融業者等が用いるブラックリストに登録されるので、しばらくローンを組んだりすることも難しくなります。

また、官報に破産したことが公告されます。弁護士や税理士、不動産鑑定士など一定の資格については、その資格を使うことができなくなりますが、これについては免責と同時に復権し、再び使うことができるようになることも多いです。

自己破産は、予期せず大量の債務を負ってしまった人も新たなスタートを可能とする優れた制度といえます。他方で、免責がなされない人もおり、デメリットもあるので、法テラスへ相談するなど、良く考える必要があるでしょう。

軽い気持ちで「焚き火」をするとかなりの重罪に!?

■極めて重罪になる危険

結論からいうと、軽い気持ちで焚き火をした結果、思いもよらない重罪に問われる大きな危険があります。

また、焚き火行為自体も、「相当の注意をしないで、建物その他の燃えるような物の付近で」焚き火をすることは、軽犯罪法1条9号に違反します。

軽犯罪法違反は、罰則も軽く、実際上あまり問題とされることもないので、あまり気にしなくてよいですが、怖いのは、焚き火が失火罪や放火罪に発展するケースです。この点について詳しく紹介します。

■延焼したら大変なことになる

焚き火といっても、いったん炎が制御不能なレベルに達すると、消火は極めて困難です。

一見、空き地で何もなくても、植物に延焼して火が広がり、空き地の周辺のバイクや車、住居・建物にまで火が到達する危険は常にあります。

例えば、焚き火の際の不注意により、周辺のバイクや車に延焼し、付近一帯に「公共の危険」(人の生命身体・財産に危険が及ぶ状況)を生じさせた場合、失火罪が成立します。

また、焚き火をしていた空き地の面積や可燃物の配置、建物等との距離、天候、消火体制・道具の準備の有無といった事情から、周辺への延焼を容易に予想できたといえるような場合には、未必の故意(延焼しても構わないという意思)があったものとして、焼損した対象に応じ、現住建造物放火罪、非現住建造物放火罪、建造物等以外放火罪の責任に問われる危険があります。

現住性建造物を焼損した場合、現住建造物放火罪となり、(人が実際に死んでいなくても)死刑、無期懲役、5年以上の懲役という極めて重い法定刑です。

非現住建造物放火罪は、2年以上の懲役、建造物等以外放火罪でも1年以上、10年以下の懲役です。

この他、実際に死傷者が出れば、殺人、重過失致死、傷害罪などの責任にも問われます。

■小学校時代の教えには理由がある

このように、失火、放火関連の罪は法定刑が相当重くなっています。

これは、まさに、「いったん制御不能なレベルに達すると、消火が困難」という火の性質と、可燃性の木造密集住宅が多い日本の社会事情を考慮したものです。

焚き火や火遊びは、小学生男子であれば、誰しも興味をそそられるものですが、「火遊び禁止」という小学生時代からの学校の教えは、火遊びの危険性と重大な法的責任を踏まえてのものです。

「たかが焚き火」と思わず、不注意により、重大な放火罪に発展することがないよう、気を付けましょう。

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。顧問法務、不動産、太陽光自然エネルギー、中 国法務、農業、不貞による慰謝料、外国人の離婚事件等が専門。)

絶対にクレジットカードの名義貸しをやってはいけない2つの理由

「自分はクレジットカード作れないから、カード作るのに名前貸して!!」、「自分のクレジットカード使えないから、カード貸してくれない?」

こんな風に言われて自分のクレジットカードを貸してしまったことはありませんか?自分の親兄弟や親しい友人からの頼みだと、なかなか断り切れないのが人情というものです。

しかし、情にほだされてこのようなお願いを聞いてしまうと、とても大きなトラブルに巻き込まれることになります。今日は、この点についてお話ししていきます。

■「名義貸し」や「クレジットカード貸し」は犯罪行為

そもそも、他人の名前でクレジットカードを作成したり、これを使ったり、所持することは犯罪に該当します。

作成したり、使用したりする場合には、10年以下の懲役又は100万円以下の刑罰に処される可能性があります。所持しているだけでも、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金という刑罰が科される可能性があります。

そして、カードを作るのに名義を貸した人も、作成の罪の共犯として、作成した人と同じだけの刑罰を科される可能性があります。

処罰されるのは、他人がクレジットカードを作るのに名義を貸した場合に限られません。

他人のカードを使って、買い物をしたりキャッシングをしたりする場合には、自分の経済力を偽って物を買ったりお金を借りたりすることを意味するため、詐欺罪や私文書偽造罪に該当する可能性があります。

そして、そのようなことを知っていながら、クレジットカードを貸せば、やはり共犯として同じだけの刑罰が科される可能性があるのです。

■多額の借金を背負うリスクが高い

友人知人に名前を貸してクレジットカードを作らせてあげた場合でも、クレジットカードを貸してあげた場合でも、そのカードを使って買った商品の代金やキャッシングによる借金を、その友人知人が踏み倒せば、その請求は、名義やカードを貸したその人に対して行われることとなります。

この場合、名前を使うことは認めているわけですから「自分の借金ではありません」などと責任を逃れることは困難です。

最悪自己破産して、借金から逃れればいいと考える人もいるかもしれません。しかし、破産法では、「悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権」については、自己破産による免責の対象にはならないと定められております。

このようなケースは、この規定に該当して結局自己破産できなくなる場合もあるでしょう。

そもそも、「クレジットカードが作れないから名前を貸してほしい」「クレジットカードを貸してほしい」と頼んでくるような人は、お金がない人であり、往々にして返す見込みのない人ばかりだということができるでしょう。

それに、このようなことを頼んでくる人は、そもそも人の迷惑を顧みることができない、お金の使い方が無計画という困った人であることも少なくありません。

情にほだされる前に、こんな人とはお付き合いをやめて、自分の生活を守ることを考えてもらいたいと思います。

*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)

企業秘密を内定者が漏らした! 責任はどうなるの?

近年、SNS利用者の投稿が炎上した場合、投稿者本人のみならず、投稿者の投稿履歴やプロフィールから判明した勤務先・内定先企業のホームページやアカウントも炎上する例をよく目にします。

では、SNS上で企業秘密、顧客情報の漏えいなどの問題投稿を「内定者」が行ったとき、その責任は会社も負わなければならないのでしょうか。

以下では、新卒採用の場合を念頭に置き、内定者と会社とはどのような法律関係にあるのかというところから解説していきたいと思います。

●内定者と会社との法律関係

内定者と会社との法律関係は、判例上次のように固まっています。

まず、会社の採用募集に対する学生の応募や採用試験の受験が労働契約の申込みとなり、会社からの内定通知が契約の承諾に該当するため、内定通知により労働契約が成立することになります。

ただし、この契約は、入社日を就労または効力発生の始期付であり、かつ、内定取消事由が生じた場合は解約できる権利が会社に留保されたものになります。

●内定者の投稿に対して会社は責任を負うのか

会社が法的責任を負う可能性があるものとしては、投稿によって被害を受けた人からの損害賠償請求が考えられます。

しかし、内定通知により労働契約が成立しているのは上記のとおりですが、一般的に会社は従業員等の私的なSNS上の投稿について管理、監督すべき義務を負わないといえますから、たとえ内定者がインターンシップやアルバイトを行っていたとしても、会社は損害賠償義務を負わないのが通常です。

●会社が内定者に対して採り得る措置

SNS上で企業秘密、顧客情報の漏えいなどの問題投稿を内定者が行った場合には、会社は、内定取消しや損害賠償請求ができる可能性があります。

内定取消しについては、判例上、「解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるもの」でなければならないとされていますが、投稿内容が企業秘密や顧客、来店者情報の漏えい等の会社の信用を傷つけるものであれば内定取消事由に当たるといえるでしょう。

以上のように、会社は内定者の問題投稿によって法的責任を負わないのが通常ですが、実際問題としては抗議の電話対応に時間を取られたり、企業名の検索結果やサジェスト機能で悪いイメージがついたりするということがあり得ます。

そのため、企業側としては、内定者に対して、学業の妨げにならない程度のネットリテラシー研修を行うことが望ましいともいえます。

逆に、内定者は、自分の投稿が内定取消しや損害賠償の対象になるリスクがあることを念頭に置くようにしましょう。

*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)

年金機構の流出事件、慰謝料は安めの「5,000~15,000円」程度?

日本年金機構に不正アクセスがされて個人情報が流出したとされています。

まだまだ全容解明にはほど遠い状況のようですが、このような流出があった場合、慰謝料を請求したいと考える人も少なくないと思います。

では、どのような情報流出があると、どのくらいの慰謝料が認められるのでしょうか。過去の裁判例から検討してみましょう。

■どの情報が漏れたから「いくら」という考え方ではない

「どのような情報が漏れたから、自分はいくらの慰謝料をもらえるはずだ」と言えるのであれば分かりやすいのですが、必ずしもそのような判断はされません。

情報流出があったということは、法的に見ればプライバシーが侵害がされたと評価することができます。そして、住所・電話番号・基礎年金番号・年齢・家族構成などの情報と氏名が結びついた情報は、プライバシーとして保護される情報と考えられます。

しかし、プライバシーとして保護される情報といっても、誤解を恐れずいえば、単なる個人を識別するための情報としての側面が強く、その人となりや行動を窺い知れるようなものでは必ずしもありません。

裁判所は、このような単純情報についての慰謝料を低く評価する傾向があります。

■類似事例の慰謝料の認定額はいくら?

このような情報流出に関する事件の代表的な裁判例としては以下のようなものがあります。

住民番号、住所、氏名、性別、生年月日、転入日、転出先、世帯主名、世帯主との続柄等の個人情報が転売された宇治市住民基本台帳データ漏洩事件(大阪高裁平成13年12月 25日判決)では、1件あたり10,000円の慰謝料

氏名・住所・電話番号・学籍番号が記載された名簿を警察に提供した早稲田大学名簿提供事件(最高裁第2小法廷平成15年9月12日判決)では、1件あたり5,000円の慰謝料

住所・氏名・電話番号・メールアドレス・ヤフーメールアドレス・ヤフーID・申込日が漏洩したYahoo! BB顧客情報漏洩事件(最高裁第2小法廷平成19年12月14日判決)では、最終的に1件あたり4,500円の慰謝料(500円が先に賠償されていたため、実質的に5,000円)

■慰謝料が高くなるケースは?

基礎年金番号からは、勤務先の情報なども調べ得ることを考えると、若干高くなる可能性はあると思いますが、現在の裁判実務からするとそれほど高くはならないと思われます。

高めの慰謝料を認めた例としては、氏名、住所、電話番号、年齢、職業といった情報のほか、身体に関する情報が流出したTBC情報漏洩事件(東京地裁平成19年8月28日判決)があり、17,000~30,000円の慰謝料が認められています。

これは、身体に関する情報はプライバシー性が高いからだと評価されています。ちなみに、金額に幅があるのは、迷惑メールを受けていたかどうかを考慮して、金額に差を設けているためです。

このようなものを考えると、今回の事件は5,000~15,000円程度の慰謝料が認められることになるのではないかと思われます。

*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

本当は怖いママ友コミュニティ…弁護士が語る「イジメ」の実態

当事務所では、全国から「ママ友トラブルの相談」を受けております。なかには、涙ながらに、ママ友トラブルの相談をされる方もいます。

多くの方が家族にも誰にも相談できず、一人で悩み苦しみを抱えています。そのなかで、「ただ話を聞いてほしい」という方もいらっしゃいます。でも、話を聞いてあげるだけでも、多くのママさんたちの支えになるんですよね。

さて、今回は、そんな「ママ友」の実態について。「ママ友」の仮面の下には何が?

今も昔も「ママ友」の存在は大きいですよね。特にお子さんがいらっしゃる場合、「ママ友」の存在は、苦労や楽しさを共有できる友達でもあり、大事な情報源にもなっています。

でも、そんな「ママ友」も新しい時代を迎えています。それは、恐ろしい「ママカースト」の時代。

夫の地位・収入、住んでいるところ、子どもの学校、服、趣味など、いろいろな尺度から、知らず知らずのうちに、お互いに格付けをし合います。もちろん、昔からあったと思いますが、今の時代では、より明確に「格付け」が意識されています。

この「ママカースト」が多くのママさんたちの頭を悩ませています。最近では、有名人の「ママ友トラブル」も問題となっていましたね。きっと「私には関係ない話」と思えるママさんは少ないと思います。

さて、そんなママ友。「ママ友トラブル」はどのような法律違反になるのでしょうか?実際に相談された内容をご紹介しながら、説明していきましょう。

●人の集まるところには「悪口」の花が咲く?

(1)悪口合戦

今も昔もあるのが「悪口」。これがジワジワと人の精神を蝕んでいきます。

そして、「ママ友」グループで集まると、そのグループの誰か1人がいないときに、ここぞとばかりに、その場にいないママ友の悪口合戦になることも珍しいことではありません。当事務所でも一番多いご相談ですね。

(2)悪口を言わなければならない罪悪感

なかには、本当は悪口を言いたくないのに、ママ友グループから外されたりすることを恐れ、一緒に悪口を言うものの、悪口を言うことの罪悪感や「自分がいないときに、自分も悪口を言われているのではないか」という不安から精神的にストレスを抱えている相談者の方も少なくありません。

(3)法律上は?

刑事上、公然と人の名誉を毀損した場合には、名誉毀損罪という犯罪になり、公然と人を侮辱した場合には、侮辱罪という犯罪になる可能性があります。

また、民事上、わざともしくは不注意によって違法な行為をして、他人に損害を与えた場合、損害賠償の責任を負わなければなりません。そして、この損害には、精神的な苦痛も入ります。

そのため、限度を超えた悪口は違法となり、精神的な苦痛を被った場合には損害賠償を請求される可能性もあります。

●子どものいじめだけではなく、大人のいじめでも多い「無視」

(1)「ママカースト」の頂点「ボスママ」。

「ママカースト」のリーダー、いわゆる「ボスママ」。その「ボスママ」に嫌われてしまった結果、そのママ友グループの全員から無視されるようになってしまったといったご相談もよくあります。

客観的にみたら、きっかけは、いつもほんの些細なことばかり・・。でも、そんな些細なことでも、「ボスママ」の機嫌を損ない、気づかないうちにママ友グループから除外されてしまうこともあるようです。

また、仕事を理由に「ママ友」の集まりに1回参加しなかっただけで、「グループ」から無視されてしまうなんてケースも稀ではありません。

(2)毎日の「LINE」に苦しむ毎日

あるママ友と仲良くなって、決して関係も悪くはないものの、毎日のようにメールやら「LINE」が来るように。

「無視はできない」と、毎日返信をするものの、あまりにも短時間で連絡が来たり、プライベートなことまで根掘り葉掘り聞かれ続けたりした結果、精神的に疲弊してしまう方も少なくありません。まさに「LINE」の無限ループ。

それに耐えかねて返信しないでいたところ、関係性がこじれてしまい、ママ友間で、無視されてしまったというケースもあります。

(3)法律上は?

ただ、無視するという行為自体は、残念ながら、犯罪になることはありません。もっとも、やはり、限度を超えた無視は違法となり、精神的な苦痛を被った場合には損害賠償を請求される可能性もあります

さて、いかがだったでしょうか?当事務所では、他にも数多くのご相談がありますが、今回は、そのごく一部をご紹介しました。ご相談のなかには、もっとヘビーなご相談もあります。

本来、ママ友は、お子さんの成長を「共に喜び分かち合い、困った時にお互いに支えあい、助け合える存在」であるはず。

そして、学校での出来事や地域の情報など、生活に必要不可欠な情報を得るためにも、「ママ友」グループは、お子さんをお持ちのママさんたちにとって、大事なコミュニティーといえます。

いつもご相談を受けながら、ママさん同士上手に良い関係性を保ち、理想のコミュニティーを作ってほしいと心から思います。いつかそのような日が来てほしいですね。

*著者:弁護士 佐藤大和(レイ法律事務所。芸能トラブル、性犯罪、労働事件、損害賠償請求事件、債務整理などを得意分野とし、特に「子どもたちを被害者にも加害者にもさせない」という信念で、法教育に力を入れている。)

「身内に不幸が…」嘘をついて会社を休んだら解雇されても仕方ない?

「叔母が亡くなったため忌引休暇を……」などの嘘の理由を会社に深刻して会社を休もうとする人が読者の中にいるかは分かりませんが、世の中にはいるらしく、たまに何度も行っていたなど悪質なケースは報道がされたりします。

それでは、1回嘘をついたのがバレた場合はどうなるのでしょうか?解雇までは行かなくても、何かしらの懲戒処分が下ることは妥当なのでしょうか。

嘘の理由で休んだ場合、労働者に対してどのような処分が下るのが妥当なのか、考えてみたいと思います。

■懲戒とは?

懲戒とは、職場のルールを破った労働者に対するペナルティのことです。

労働者に対する会社の懲戒は、会社が存続できるようにするため、会社が事業をスムーズに運営できるようにするために認められます。

■懲戒が有効になるための要件?

懲戒が有効になるためには、会社の就業規則に懲戒の種別と懲戒事由を定められていること、労働者に対する懲戒が労働者の行為の性質・態様その他の事情に照らして合理的かつ相当といえること、が必要です。

まず、会社は、就業規則に書かれていない理由で労働者を懲戒することはできません。

労働者を懲戒するためには、就業規則に書かれてある悪い事(=懲戒事由)を労働者がした場合である必要があります。

次に、労働者の行為がたとえ就業規則の懲戒事由に該当するとしても、不合理な理由での懲戒は認められませんし、懲戒事由と比較して重すぎる懲戒も認められません。

■労働者が「身内に不幸が…」と嘘をついて会社を休んだ場合

就業規則に懲戒事由として例えば「正当な理由なく欠勤したとき」といった記載があれば、これに該当すると言えそうです。

たとえ会社の了解を得ていたとしても、会社をだまして了解を得ていたわけですから、会社の了解も無効であり、会社の了解を得ていない欠勤であると評価できます。

また、正当な理由のない欠勤が職場の秩序を乱すことは明らかであると考えられますから、懲戒事由として不合理な理由とは言えません。したがって、労働者に対して戒告・減給といった相応の懲戒処分をすることは認められます。

しかし、1回嘘をついて休日を取ったからといって、労働者を降格したり解雇したりすることまでは懲戒事由と比較して重すぎるので認められないと考えます。

もちろん、何度も繰り返したら解雇になる可能性もあるでしょうが…

*著者:弁護士 冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)

なぜ「JKビジネス」はいつまで経ってもが無くならないのか

JKリフレ、JKお散歩という女子高生を使ったビジネスが巷には氾濫しています。そのブランド力は、女子大生や女子中学生とは比肩し得るものでなく、常に「若い女性」というイメージの代表といえましょう。

女子大生はすでに社会人としての年齢に達しており、また女子中学生は、明らかな子供であって義務教育期間にあることからも女子高生はいつの時代も人気の的といってよいでしょう。

今は死語かも知れませんがJKがかつては、コギャルといわれ、世間であらゆる意味で脚光を浴びていたのを懐かしくさえ感じてしまいます。

■JKビジネスは法的にどう扱われるのか

女子高生は、通常3年生に18歳をむかえる年少者であり、18歳に満たない者については、その心身の未発達に応じてパターナリズムの観点から特別に18歳以上の者とは違った保護がなされています。

例えば、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律では風俗営業等に従事することは認められていませんし、営業主が18歳未満の者を雇用等すれば処罰の対象となります。

これは、青少年の健全な成長を阻害するのを防止する狙いで、未成熟な青少年が風俗営業等に接触することで悪影響を受けるからです。

しかし、18歳を過ぎれば論理的には、風俗営業等に従事することは可能となるはずですが、キャバクラなどの風俗営業をはじめとした業界はある程度自主規制で卒業の3月の経過をもって雇用等しているようです。

このような風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律では禁止されていますが、性的なサービスは勿論、「接待」(歓楽的雰囲気を醸し出して客をもてなす行為)も青少年の健全な発育に有害であるとの趣旨です。

■形を変えた「接待」が横行

しかし、例えば、設備を設けていない接待、つまり派遣による接待、具体的には、JKお散歩と称して街頭で女子高生がビラを配布して、60分8,000円などでデートするという商法が横行していました。

まさに、法の抜け穴を突いた商法ということでしたが、これは、紛れもなく「接待」であり、社会問題ともなり、自治体レベルで規制がなされているようです。

その他にもガールズバーもどきの携帯で女子高生を雇用している店もあり、今後の規制が期待しうるところです。昔大阪のガールズバーで女子高生が急性アルコール中毒で死亡した例なども記憶に新しいところです。

また、リフレ、耳掻きなど女子高生であれば、客が来て金になるといった動機から様々なJKビジネスが後から後から出てくるようですが、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律をクリアにしたからといってすべてが許されるものではありません。

■法的に問題はないからと言って許されるべきではない

JKブランドが主に男性の広義の性的欲求を満たすためになされている以上、そのような性欲の対象として未成熟な女子高生を客にさらすようなことは決してなされてはなりません。

労働基準法は18歳未満の者が有害業務に従事することを禁止しています。そこで、例え折り鶴をひたすら折るという内容でも、下着等に男性客が性的欲求を覚える業務は女子高生の健全な成長にとって有害であるといって差し支えないでしょう。

そもそも未成熟な女子高生を性的欲求の対象とするのは、いい大人のすることではないと思います。

JKビジネスはメイド喫茶くらいまでが限界と思いますがいかがでしょうか。

*著者:弁護士 小西一郎(聖マグダラ法律事務所。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を専門分野とする風俗弁護士として全国を飛び回る。)

国が「ブラック企業」名を公表へ・・・効果はあるのか?

厚生労働省は、違法な長時間労働を強いる「ブラック企業」の企業名を行政指導の段階で公表するとのことです。

その対象は、大企業で、1年間に3つ以上の事業所で是正勧告を受けた企業が対象となるとのことですが、果たして、効果はあるのでしょうか。

厚労省によると、長時間労働を防ぎ、企業による自主的な改善を促すのが狙いとのことです。企業名の公表についての扱いは、従来は原則として労働基準監督署などが書類送検した場合のみとのことです。

●今回の基準は緩い?

労働基準法を守らせようという一環とも思いますが、逆に三六協定を結べば、長時間労働も可能となりえます。

残業代を払いさえすれば長時間労働は違法ではなくなり、その結果「過労死」を招くことになるという問題と、ただ単に違法に労働者を使い捨てにする状態を解消したいという問題とが存在していますので、両にらみで運用しなければならないですね。

とすると、過労死ラインが月80時間とされていますので、月100時間超という今回の基準は緩いかと思います。

●しっかり運用されるのかは疑わしい

また、行政による運用ですので、多分に恣意的な扱いがされるのではないかという疑念も払拭できず、その運用をチェックする機関も必要なように思います。

今回の運用は、恐らく後者の違法状態を解消したいという目的のためのみに焦点が当てられているようで、その意味では、諸手を挙げて賛成という訳にもいきませんが、雇用を希望する人間に対する情報提供量が増えると言う意味では、このような運用も是かなという気もします。

暫くは、厚労省の運用を大企業の従業員が自主的にチェックをし、様子を見ていくしかないのかな、と思います。

*著者:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)

芸能人にプライバシーはない? スクープ写真、拡散に違法性はあるのか

芸能人のプライベート写真が流出した……といった事件はしばしば起きています。

雑誌にスクープされて出回ることも多いようですが、Twitterの裏アカウントから流出するようなこともあるようです。

流出する写真も、一緒に写っているだけのものから、ベットシーン写真、裸の写真など様々ですが、プライベート写真を流出させると、どのような法的問題が生じるのでしょうか。

■名誉毀損になるのは誹謗中傷だけではない

名誉毀損というと、悪質な中傷をされているケースを思い浮かべると思います。しかし、名誉毀損になるのは誹謗中傷だけではありません。性的な画像をネットにアップすることも、名誉毀損となり得ます。

名誉毀損というのは、社会的評価の低下を意味します。

芸能人のベットシーン写真、裸の写真などが流出した場合、イメージの悪化などからしばらく起用を見合わせられるといったことは、しばしばあるようです。その意味で、社会的評価の低下があるといえそうです。

また、これが芸能人でなくても、性的好奇心の目を向けられるなどして、社会的生活が難しくなるような事態になることが想定できるわけで、その意味で社会的評価の低下があるということもできます。

したがって、性的な画像をネットにアップすることは名誉毀損罪を問われるリスクがある行為であるといえます。

■リベンジポルノ防止法やストーカー規制法

また、プライベート写真が流出する理由はいろいろあると思いますが、別れた後に腹いせで流出させるといったことがあります。このプライベート写真が性的なものであった場合、その写真はいわゆる「リベンジポルノ」と言われるものになります。

2014年11月に、いわゆるリベンジポルノ防止法が施行されており、たとえば裸の写真だけでなく、下着の写真などでも、この法律の適用を受ける可能性があります。

また、このような写真をネットにばらまくことは、ストーカー規制法にいう「つきまとい」に当たる可能性もあります。

リベンジポルノ防止法の適用を受ければ、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金とされています。

■芸能人にプライバシーはないから流出させても問題ない?

芸能人である以上、このような写真をばらまかれても仕方がない……と考える人は多いようです。

しかし、一定程度プライバシーを商品にしている側面がないわけでないものの、芸能人も一人の人間であり、権利を持っています。プライベートな写真が意図せず流出させられたら、一般人同様に不快に思うでしょうし、見られたくないと思うのが普通です。

そのため、このようなものは削除していくことは可能です(ただし、写真が広範囲に拡散している可能性はあり、削除がかなり大変になるだろうことは予想されますが……)。

また、度を超えた権利侵害をしている人物が誰なのかを特定していくことも、法的には可能です。最初に拡散した人物だけではなく、拡散に加担した者も同じ責任を負う可能性があります。

したがって、芸能人についての情報だからといって、安易な情報拡散をすることにはリスクがあることは知っておくべきでしょう。

*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

仕事で知った芸能人の個人情報・・・家族に話しても違法になる?

先日、ある金融機関の従業員が有名人の来店とその有名人の住所を入手したことを娘に電話で話し、このことを娘がツイートしたために大騒ぎになり、金融機関が対応に追われたという事件が話題になりました。

インターネット上では「このご時世にまだ個人情報流出の重大さがわかっていないのか……」というような意見が多数を占めていましたが、家族に対してはつい気が緩んで業務上知った秘密を話してしまう人がまだまだいるのでしょう。

そこで、今回は、業務上知った秘密や個人情報を家族に話すのはNGなのか等について解説したいと思います。

●個人情報の社外持出しは絶対ダメ

今回は、もし母親が業務上知った有名人の来店情報や個人情報を家族に話さなければこんなことにはならなかったでしょう。

金融機関はもちろん、一般的な会社では、個人情報を社外へ持ち出すことを禁止し、守秘義務に関する誓約書を従業員に提出させることが一般的ですから、母親の行為は守秘義務(契約)違反に当たります。

そして、守秘義務違反を行った従業員は懲戒や損害賠償請求の対象になりますので、安易な気持ちで個人情報を社外に持ち出すことは絶対にやめましょう。

●家族に有名人の来店情報を知らせるのもダメなの?

業務中に有名人が来店したことを不特定多数の第三者に知らせるのは何となくアウトな気がする人も、家族に対しては気が緩んでしまうと思います。

公開ロケ等で有名人が来店していた場合であれば、帰宅後に家族に対してこれを話しても違法となることはならないでしょう。

しかし、有名人がプライベートで来店していた場合、その情報は業務上知り得た秘密に当たり得るため、厳密には家族に対して話すことも禁止されます。

また、そもそも業務中に来店情報を電話やLINE、SNSで家族に知らせることは、労働者の職務専念義務違反に当たることが多いです。

したがって、家族に有名人の来店情報を知らせることは、場合によっては懲戒や損害賠償請求の対象になり得ますので、原則として行わないほうがよいです。

●家族から聞いた来店情報や個人情報をSNSに流すことはどうか?

「今日の10時くらいにお母さんが働いている○○銀行△△支店に、□山□治が美人と一緒に来てたんだって!うちも見たかった(ToT)」というようなことをSNSに投稿した場合は、理屈としてはプライバシー侵害に当たり、損害賠償請求の対象になります。

ここで、プライバシー侵害に当たるか否かのポイントは、(1)プライベートでの来店か、(2)その情報は一般的に人に知られたくない類のものか、(3)一般的に知られている情報かという点にあります。

上記の例でいうと、□山□治であれば美人と一緒に行動することは珍しくないかもしれません。

しかし、場所が銀行なだけにプライベートの来店である可能性が高く、また、□山□治は結婚しておらず彼女もいないことになっているので一般的には知られたくない情報といえましょう。

なお、ここで挙げた例はフィクションであり、実在する人物とは一切関係がありません。

プライバシー侵害になるかどうかは判断が難しいですので、自慢したくなる気持ちを抑え、家族から聞いた来店情報や個人情報についてはSNSに投稿しないほうがいいでしょう。

以上のように、たとえ家族であっても業務上知った秘密や個人情報を話したり、家族から聞いた情報を不特定多数に拡散したりすると思わぬ不利益を受けることがありますので、秘密や個人情報は誰にも漏らさないほうが安全です。

*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)

ギャンブルで全財産なくして「借金400万」――そんな理由でも「自己破産」できる?

「ギャンブルで全財産失った。しかも借金は400万円、所持金は5000円しかない。あと生きれて一週間くらいかなぁ・・・」。インターネットの掲示板に、そんな悲痛な書き込みが投稿された。

試しに手を出したギャンブルで100万円を儲けたことから、賭け事のとりこになり、ギャンブルで「生活できると思ったんだよねー」。その勢いで、仕事も辞めてしまった。

しかし、負けが続いて借金を重ねるようになり、消費者金融から150万円、友人から100万円、さらに税金とクレジットカードの延滞金もそれぞれ100万円、50万円ーー。借金の総額は400万円までふくらんだ。

今は、金を借りたくても「審査落ちで、借りられるところはない」状況で、友達も親からも見放されてしまった。家賃を払えず、明日の食べ物にも困る始末だ。

こんな悲惨な状況に対して、コメント欄には「自己破産」を勧める声があいついだ。だが、ギャンブルによる借金でも、自己破産できるのだろうか。また、自己破産すると、どんなメリット・デメリットがあるのか。小松雅彦弁護士に聞いた。

●ギャンブルでも自己破産は認められる?

「自己破産は、債務で苦しむ人の救済のために機能しています。破産して免責許可されると、債務を払わなくて良くなります。しかし、ギャンブルで多額の債務を作った場合は、免責不許可が原則です(破産法252条1項)。

ですが、ギャンブルの負債であっても、少額であれば、免責許可になることが多いのが実情です。

また債務が多額だった場合でも、東京地裁では、裁判所から選任され、債務状況や資産状況を調査する『破産管財人』への協力を免責許可の積極的事情としています。

全国の裁判所で運用が異なりますが、ギャンブルが直接的な原因であっても、なるべく免責を認める傾向にあるようです」

自己破産が認められたら、どんなメリット・デメリットがあるのだろうか。

「自己破産のメリットは、債務を全額支払わなくて良いことと、手続の期間が短いことです。これに対し、同じく借金を整理する手段である『民事再生』や『任意整理』は、自己破産のように支払い義務がなくなるものではありません。

また、長期間にわたって支払いは続きます。

いっぽうで、自己破産のデメリットとして影響が大きいものに、資格制限があげられます。自己破産の申し立てをすると、一時的に就けなくなる職業があるのです。

弁護士、司法書士、税理士など『士業』のほかに、警備員、旅行業者、生命保険募集人、宅地建物取引業なども制限されます。なお、免責確定で、この資格制限はなくなります」

自己破産が認められた後、気をつけるべき点はあるのだろうか。

「銀行やクレジットカード会社は、それぞれ信用情報機関に顧客情報を登録します。破産も1つの搭載事由で、5年から10年間、その情報は搭載されます。この期間は、借金やクレジットカードの作成ができません。

車のローンを組もうとするとき、よく問題となります。

自己破産のメリットの裏返しですが、比較的容易に債務から解放されるため、生活の立直しができないまま、ふたたび借金を重ねてしまう人もいます。

上記の信用情報機関に登録されていて、銀行等から借金できないので、ヤミ金等から借りる事態となり、さらに大変な借金地獄をまねく恐れもあるのです」

【取材協力弁護士】 小松 雅彦(こまつ・まさひこ)弁護士
後見・相続・遺言を多数取り扱う。「気軽に相談できる、親しみやすい法律家」をモットーに身の回りの相談にも対応している。薬害エイズ事件やハンセン病国賠事件、薬害肝炎事件なども担当した。

事務所名:多摩オアシス法律事務所
事務所URL:http://komatsu6.com/

親の借金、返済するのは私だった! そんなのアリ??

『FRaU』7月号は、「母と私」特集。いつまでも元気でいるとは限らない、親という存在。そこで、「老親とお金」をテーマに、親にまつわるお金について、ファイナンシャルプランナー・??山一惠さんが教えてくれました。

●借金も遺産のうち。借りたのは親なのに、払うのは私

親が残すものは、プラスのもの(財産)だけとは限りません。マイナスのもの(借金)を遺して、この世を去ってしまうことだってあります。相続はプラスの遺産だけでさえもめる種になりがちなのに、借金があったらさらに厄介。

原則として死から3カ月以内に家庭裁判所に申し立て、相続放棄の手続きをしないと、借金を相続してしまうことになります。

もちろん、プラスの財産が借金の額を上回っていれば放棄しなくてもいいでしょうけれど、財産だけもらって借金だけ放棄するなんて虫のいい方法はないので注意をしてください。

ちなみに、相続放棄をすると、親の借金の連帯保証人になっていたとしても、その地位を引き継がなくて済み、一回、相続放棄すれば、後から借金が見つかっても払う義務はありません。

●年金って、死ぬまで同額もらえるわけじゃない、って知ってました?
今後、どうなるかわからない年金制度において、FRaU世代の親は、ギリギリ退職金と年金で老後の生計を立てられる最後の世代になるかもしれません。

しかし、最初の支給額が一生続くとは限らないのが年金の落とし穴。

国民年金や厚生年金は死ぬまで払われますが、上乗せの役割を持っている国民年金基金や厚生年金基金は、終身か、10年もしくは15年だけもらうか、受け取り方が選択によって異なります。

今、私たちがすべきなのは、親が加入している年金の種類、そして受給方法も把握すること。受給額がガクッと減って、親に泣きつかれるリスクを回避せよ!

●親にガンが見つかった。当座の費用はいくら用意しておくべき?
 親にはいつまでも元気でいてほしいと願っても、寄る年波には勝てないのが現実……。病気となれば本人も家族も慌ててしまうもの。病気になった時に備えて、50万円程度用意しておくと安心です。

とはいえ、それは全額使うのではなく、後から戻ってきます。というのも月の医療費が一定額を超えると、超えた分が戻ってくる高額療養費制度があるから。

例えば、胃がんになったとき、治療費の平均は3割負担で約25万円。1か月の自己負額からオーバー分の払い戻しを申請しても、3か月以上かかります。当座のお金がないと、苦しくなりますよね。

でもそんなときは、会社員なら病院の窓口に「限度額認定証」の申請を。原則的に、一定額の自己負担額のみ支払えば精算完了になります。とはいえ、入院中の食事(1食260円)、差額ベッド代は全額自己負担になるので、これも注意をしてください。

投票したのに無効票になってしまう5つのケース

近年では投票率の低下が叫ばれて久しいですが、せっかく投票したのに無効票となる投票も5%ほど存在するそうです。

最近では誰も支持をしない表明として白票を投じるという動きも広がっているようですが、単純にミスして無効票となってしまうケースもあるでしょう。

このような公職の選挙について定めているのが言わずと知れた公職選挙法で、その第68条において、衆議院(比例代表選出)議員の選挙、参議院(比例代表議員)議員の選挙、それ以外の選挙に分けて、どのような場合に投票が無効となるのかを定めています。

今回は、比例代表選出議員ではない一般的な公職の選挙において、投票が無効となる主な場合を解説してみます。

■無効になる5つのケース

1.所定の投票用紙を用いない投票

投票用紙は選挙管理委員会の側で用意するものですから、通常はあり得ないと考えられますが、種類の異なる選挙が同時に行われる場合には、それぞれで異なる投票用紙が用意されている関係で、係員が間違った投票用紙を渡してしまい、結果的に無効になったという例があるようです。

2.複数名の候補者の氏名を記載した投票

1つの投票用紙に2人以上の候補者の氏名を記載した場合です。どちらの候補者に投票したのか分かりませんから、これも無効になるのは当然です。

3.候補者にいない氏名への投票

候補者の氏名とは全く関係のない氏名を記載した場合も無効となります。これも当然のことといえるのですが、特定の候補者の名前を記載するつもりが、間違って記載してしまった場合には、直ちに無効とはなりません。

間違った記載でも、どの候補者に対して投票する意思であったのかを明白に特定し得るものであれば、有効と判断されることになります。

例えば、候補者山田太郎と記載すべきところを誤って山本太郎と記載したものと認められる場合には、有効とされます。

しかしながら、候補者山田太郎の氏名を誤って同人の実父山田一郎の氏名を記載してしまった場合において、山田一郎も政治家であったような場合には、山田一郎に対して投票した可能性があるものとして、無効となる可能性が高いです。

4.氏名以外の情報を記載した投票

候補者の氏名だけでなく、それ以外のこと(他事)を記載した場合も無効になります。ただし、「他事」といっても、それが候補者の職業、身分、住所又は敬称の類であった場合には、無効とはされません。

候補者である山田太郎さんに投票しようと思い、「山田太郎さん」と記載するだけでは無効とならないのですが、「山田太郎さんへ」と記載してしまうと無効になってしまうのです。このあたりになってくると、少々厳しいという感想を持ちます。

5.その他のケース

そのほか、候補者の氏名を自書しない投票も、基本的には無効とされています。ゴム印を押捺して投票しても無効となるのです。

■選挙は民意を反映させる絶好の機会

投票という行為で選挙権を行使することは、民意を政治に反映させる絶好の機会となります。真の民主主義を実現するためにも、くれぐれも無効票となってしまわないように注意しなければなりません。

*著者:弁護士 田沢 剛(新横浜アーバン・クリエイト法律事務所。8年間の裁判官勤務を経たのち、弁護士へ転身。「司法のチカラを皆様のチカラに」をモットーに、身近に感じてもらえる事務所を目指している。)

AVが「売春」にならない本当の理由

「売春は禁止なのにAVが許されるのはなぜ?」と思ったことがある人も多いかもしれません。

しかし、そもそもAVは売春に該当するのでしょうか?

売春とは売春防止法に規定する「性交」(本番)は、男性器の女性器への挿入を意味し、その他の性交類似行為を含みません。

したがって、性交を伴わない、例えばSMの行為を収録したAVは、売春云々を議論する余地はありません。では、性交(本番)のともなうAVはいかがでしょうか?

■売春防止法とは

性交の対価として金銭の授受などがあれば、対償を得て性交したといえるようです(売春防止法第2条)。

しかし、同法は、不特定多数との性交を違法ともしていると考えられることから、単発的な出演ではどうかとも思いきや、やはり単発的でも反復継続する意志のもとで対償を得て性交に及べば、売春の定義に該当するものと考えられます。

そうすると何故売春防止法で規定されている売春が世の中にまかり通っているのかとも疑問もおありでしょうが、同法は、売春行為そのものに対して直罰の規定は、置いていません。

すなわち、売春を目的として公衆で客引きをすることや売春を強要することなどを処罰することとしているだけで、売春そのものは処罰の対象となっていません。

したがって、AVそのものが厳密には売春に該当するとしても、AV撮影やAV嬢の性交そのものを処罰することはできないということになります。

■AVの芸術性と哲学的要素

ここからは私見ですが、AVが撮影をした画像の作出であり、そこには少なからず芸術性や哲学的要素があることを払拭できないということを看過してはならならという視点です!

すなわち、不特定多数の男性が、撮影という大義名分を用いて性交をAV嬢とするという形式であれば格別、AV作品によっては、芸術性や哲学的要素を持った作品の一群が多数存在していることを忘れてはならないでしょう。

性交(本番)はないにしても、有名な作品は多々あります。それらを見れば一目瞭然といっても過言ではありません。

そうすると、そのような芸術性や哲学的要素を多分に含んだ作品については、例え対償に性交が一部含まれていようと、これは芸術性や哲学的要素の表現という保護法益が優先し正当行為として違法性が阻却されるといってよいと思います。

その他にも極めて芸術性及び哲学的要素が多分に含んだ作品については国民に有益な情報が提供されるとの保護法益に着目して、違法などと評価せず、全くの適法行為として国民は享受すべきものです!

それでは、みなさんAVライフを楽しんでくださいね!

*著者:弁護士 小西一郎(坂本総合法律事務所。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律を専門分野とする風俗弁護士として全国を飛び回る。)

迷惑なタバコの煙・・・隣人を訴える為に「受動喫煙」を証明する方法

戸建て・集合住宅のいずれであっても、ご近所さんがたばこを吸っていたらその煙が自分の家に入ってくることはあり得ます。

たばこが嫌いな方やぜんそくの方、小さなお子様がいる家庭にとっては、ご近所さんに対し、受動喫煙によって苦痛を被っていることを理由として損害賠償請求などを起こしたくなるかもしれません。

そこで、今回は、どうやって受動喫煙を証明するかなどについて解説したいと思います。

●ある程度は受動喫煙を我慢しなければならない

喫煙自体は違法ではないので、隣人がベランダや部屋でたばこを吸って煙が入ってきた場合であっても、社会通念上許される範囲まではがまんしなければならないと考えられています(これを受忍限度論といいます)。

なお、他にも、生活騒音やにおいのトラブルなどについても受忍限度論が用いられており、社会通念上許される範囲を超えなければ違法と評価されません。

ご近所同士では、「お互い様」の精神である程度は我慢しましょうという発想です。

●受動喫煙があったことを証明する方法

受動喫煙の存在を証明して損害賠償請求をするには、まず、(1)相手がたばこを吸っており、煙が自分の家に入ってきていることと、(2)その煙の流入が受忍限度を超えていることの2つの証明が必要になります。

(1)については、写真、位置関係を表す図面、煙が入ってきている時刻等のメモ・報告書、陳述書、当事者の尋問等によって証明することになるでしょう。

(2)については、診断書、煙の流入量についての報告書・陳述書、デジタル粉じん計等のたばこの煙濃度測定器による測定結果、当事者の尋問によって証明することになります。

また、空気清浄機を置くなどの防止措置を講じても効果がなかった(薄かった)ことを主張・立証することが重要になるでしょう。

そして、受動喫煙により苦痛を被ったり体調を崩したりしたという損害の発生も証明する必要がありますが、これは診断書、陳述書や当事者の尋問によって立証していきます。

●勝訴しても割に合わない可能性も

以上のような立証を十分に行っていけば、損害賠償請求が認められる可能性があります。

もっとも、勝訴したとしても、過去の裁判例で認められた金額は5万円程度と低額ですので、時間と費用を考えると割に合わないといえます。

他方、喫煙者の方は、「お互い様」の精神で許される範囲を超えて喫煙を継続すると違法になることを念頭に置き、たばこが嫌いなご近所の方に配慮をすることが重要です。

*著者:弁護士 木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング。)

「結婚しよう」は慎重に? 別れたら慰謝料を請求されるリスクも

付き合っている相手に「結婚しよう!」などと簡単な気持ちで言ってしまうと、後で気持ちが変わって別れようとする場合、相手からは慰謝料を請求される可能性があります。

この点、法律上、未婚のカップル同士であっても、「婚約」が成立している場合には、当該関係の一方的な解消は、婚約破棄として慰謝料の対象となります。

そこで、今回は、どのような場合に婚約が成立するのか、婚約破棄の場合の慰謝料、婚約中に浮気した場合の責任について説明したいと思います。

●婚約はどのような場合に成立するのか?

婚約とは、文字どおり、結婚しようとする者が将来結婚することを約束すること(婚姻の予約)を意味します。

婚約は口約束だけでも成立しますが、裁判になった場合には、言った言わないの話になってしまい、相手が否定した場合には当該約束があったことを証明することは困難です。

そこで、裁判上、婚約の成立が認められるためには、婚約があったことを裏付ける客観的な事実が重要となります。

具体的には、婚約指輪を交換したとか、結婚式場の予約をしたとか、結納をすませた、などが婚姻を裏付ける重要な客観的な事実となります。

もし、上記事実のうち、いずれか一つの事実でも認められれば、婚姻の成立が認められる可能性は高いでしょう。

逆に、上記事実のいずれも認められない場合には、細かい事実の積み重ねによって、婚姻の成立を主張していくほかはないでしょう。

●婚約破棄の場合の慰謝料はいくらか?

過去の裁判例では、婚約破棄の場合の慰謝料は、婚姻成立に向けた行為に着目したもの(挙式・披露宴・結納やそれらの準備、親族や友人への紹介等)、破棄の帰責事由となるもの(暴力や他の異性との交際等)、その他の要素(交際期間、同居期間、妊娠、中絶、出産、破棄当時の年齢等)から算定されています(千葉県弁護士会編・「慰謝料算定の実務〔第2版〕」より)。

慰謝料の相場は、100万円から300万円程度となっています。

●婚約中の浮気も慰謝料の対象となる

上記のとおり、婚約状態は法律上保護されますので、一方が他の異性と浮気をした場合には、夫婦関係と同様、他方に対して慰謝料を支払う義務を負います。

さらに、浮気をされた当事者は、浮気をした当事者に対して、慰謝料を支払うことなく婚約を解消することもできます。

※「もう妻と離婚するから浮気しても良い」・・・こんなこと許される?

*著者:弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)
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